開発した4自由度多関節型ロボットマニピュレータの冗長性を利用して, ティートカップの装着・解放アルゴリズムを構築した。装着では, 乳頭の微妙な傾斜や運動の多様性に対応して, Z軸動作過程でローカルセンサによる検出位置を原点とするXY軸方向にリサージュ波形振動をエンドエフェクタに与えながら, カップ内に真空を適用する方式とした。
開発した搾乳ロボットシステムを用いて, 搾乳牛2頭を供試して自動搾乳試験を実施した。牛体位置追従機構は, 牛体と相対的な位置関係にある乳頭に接近するための位置情報としてはほぼ十分であった。また, そこで生じた位置偏差に対して, ローカルセンサはカップ中心を乳頭端位置に合致させる機能を果たした。牛体位置追従機構により受動的に牛体を捕捉し, これと連結した自動搾乳ユニットは円滑に乳頭の動きに追従し, 60[s]程度ですべてのティートカップの自動装着を達成した。装着時においては, 設定圧48[kPa]の真空適用後のカップ内負圧降下は20[kPa]で時間は0.2[s]以内に留まり, 装着までの空気流入量をほぼ最小限に抑止することができた。これらの試験結果より, 本ロボットシステムは実用的な搾乳システムであることを確認した。
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