小麦の品質評価基準である容積重とデンプン粘度 (フォーリングナンバー) の測定は, 現在はそれぞれ専用の装置で測定しているが, 高水分小麦の水分とタンパク質含量の測定に導入が進んでいる近赤外分析計がこれらの推定にも利用できれば, 現場での省力化に大きく寄与する。このため1999年から2001年の3年にわたり北海道産小麦の収集を行い, これら容積重とデンプン粘度 (フォーリングナンバー) の推定精度の検討を行った。その結果, 容積重ではr
2=0.77, SECV=18g/Lが得られ, これは低品質小麦の仕分けには十分な精度であると判断された。一方, デンプン粘度 (フォーリングナンバー) ではr
2=0.49, SECV=63sが得られ, これは容積重の推定精度より劣り, また, 実用的な精度を求められる300s以下で精度が劣ったが, 低品質小麦の予備選別には利用可能な精度であると判断された。実用化するためにはさらにデータを蓄積する必要はあるものの, 荷受け段階で近赤外分析計により1次選別を行い, 疑わしいもののみを専用機により測定するという2段階選別を採用することにより, 小麦乾燥調製施設での作業の大幅な省力化への可能性が示された。
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