本研究は, ラオス国サバナケット県の一集落を調査対象として, かんがい農法における在来耕うん技術の特色を調べ, その工学的特性を明らかにすることを目的とした。判明した結果は, 以下のとおりである。
(1) ラオスで農業機械化の気運が生じたのは20年程前のことであり, 機械導入はかんがい地域に集中しながら広がっていく傾向をたどった。
(2) 国策である新経済機構 (NEM) の施策以前には, 天水田農業が畜力主導で行われていたため, 市場主義経済の進展に伴う農産物需要への対応が円滑にいかない状況が発生した。農産物増産の動きに対応する形で, 農業機械化の必要性が唱えられ始めたことが指摘できた。
(3) NEM施行後, 水利用組合 (WUA) が結成され, 多毛作化が推進された技術的背景について論及した。
(4) 調査地の耕うん作業形態を機械所有形態の観点から3グループに分類し, それぞれのグループの営農上の特色について検討した。特に, 萌芽的段階にある賃耕方式について, その実情と問題点について検討した。
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