本研究では,実際に転倒・転落事故が起きた傾斜地形におけるトラクタ挙動のシミュレーションを行った。傾斜地形を走行するトラクタ挙動は上下・ピッチング・ローリングおよび前後進により表現可能であることから,これらの運動方程式を立案した。また,事故現場での聞き取りおよび測量調査から得られた微地形データに基づくシミュレーション入力に適した地形の表現手法について検討した。さらにトラクタ挙動モデルのパラメータを実測により同定するとともに,再現地形を入力して4自由度の挙動シミュレーションを行った。その結果から,事故現場における不安定性を検証することで,トラクタ挙動を現す運動方程式と地形表現手法の実用性を示した。
放射性物質に汚染された水田等の農地の除染作業に適用し,運転者の外部および内部被ばくの抑制を目的としたシールドキャビン付き農用トラクタを開発した。開発機はキャビン内部の空間線量率をキャビン外部に対して概ね50%以下に低減し,粉じん濃度を95%以上低減する性能を有した。開発機を用い,福島県飯舘村の農家ほ場において,表層土壌の除去による除染作業試験を行い,開発機の作業性能と除染効果を確認した。
軟弱野菜の出荷作業では,出荷規格質量の束を作る煩雑な作業(調量作業)が繰り返されている。そこでニラを対象に,2~3束の小束を組み合わせて適正な質量の束にする調量基礎試験装置を試作し,作業の省力化について検討した。装置は主として1個のロードセルと8個のバケットを有し,PLCで制御される。バケットに供給された小束を順に計量・貯留した後,目標質量を満たし,最も小さな質量となる組合せの小束を算出し,取り出す。目標質量110gの場合,110~115gに調量できた割合は,35g程度の小束の組合せでは91~96%,55g程度の小束の組合せでは83~96%で,1束の平均調量時間は,順に17sと13sであった。
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