人工臓器
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15 巻, 2 号
選択された号の論文の195件中101~150を表示しています
  • 会田 博, 清水 健, 松原 純一, 岩波 洋, 坂本 滋, 安西 吉行, 湯浅 幸吉, 金戸 善之, 保坂 浩史, 長末 正己, 白川 尚 ...
    1986 年 15 巻 2 号 p. 825-828
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    現在までDDDペースメーカーは工学的問題により単極型が主流を占めているが, DDDペースメーカーは心房センシングにおいて高感度を要するため, 電磁干渉や筋電位干渉が問題とされ双極型への移行が論議されている。単極型と双極型の比較を行った結果以下の結論が得られた。pacing threshold, sensing threshold(心内P波R波)ともに心房心室において単極型双極型で有意差は認めず, 筋電位干渉やEMIの点から, また横隔膜twitchの点から双極型の方が良いと考えられた。心筋電極を使用する場合は双極型では4ヶ所電極の固定が必要となり, 単極型は2ヶ所ですみ単極型の方が簡便である。しかも腹壁にgeneratorをおく場合は筋電位平渉は生じにくく心筋電極を使用する時は単極型でよいと考えられた。双極型と単極型をプログラムできるペースメーカーは個々の症例に応じてその極性を選択でき有用であるといえる。
  • ―完全房室ブロック例のDDDmodeとVVImodeの比較―
    福本 仁志, 小池 龍, 佐藤 晴瑞, 村木 宏要, 大森 英夫, 西本 孝, 麻田 邦夫, 志熊 粛, 井上 隆夫, 大関 道麿, 佐々木 ...
    1986 年 15 巻 2 号 p. 829-832
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    完全房室ブロック症例のペーシング中, 運動時における血行動態と心筋代謝の変動について, DDDモードとVVIモードの比較検討をおこなった。DDDモードはVVIモードに比較して, 安静時運動時ともに血行動態的に優れていた。この血行動態的優位性は全身の代謝にも影響を及ぼし, DDDモードでは運動時の血中乳酸値や動静脈酸素較差が少なかった。DDDモードでは運動時の心仕事量の増加による酸素消費量の増加にともなって冠血流量が増加するが, VVIモードでは主として酸素摂取率によって代償されていた。また左室の仕事効率は安静時運動時を通じてDDDモードの方が高値を示し, 効率の良い仕事がおこなわれていることが判明した。このような血行動態, 心筋代謝面におけるDDDモードの優位性は1. 心房心室の同期性, 2. 運動による生理的な心拍数の増加によるものと思われた。
  • 堀 原一
    1986 年 15 巻 2 号 p. 833
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 白川 尚哉, 清水 健, 会田 博, 松原 純一, 岩波 洋, 坂本 滋, 安西 吉行, 湯浅 幸吉, 金戸 善之, 長末 正己, 保坂 浩 ...
    1986 年 15 巻 2 号 p. 834-836
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1985年5月まで211例267個のペースメーカー植込みを施行し遠隔成績を検討した。初回植込み時年令は60歳以上の高令者が65.7%を占め, 死亡例は34例(16.1%), 平均年令67.4歳であった。死亡原因については脳血管障害26.5%, 心不全176%, 悪性新生物147%の順に多く, SSSにおいては脳血管障害が死因の43%を占めていた。心室ペーシングと生理的ペーシングにおいて死亡率は前者225%, 後者7.6%で生理的ペーシングが良好であった。ペースメーカー植込み後年令別10年生存率においては70歳代, 80歳代の高令者は他の年令層に比べ必ずしも低率ではなく, 高令者においても積極的なペースメーカー植込みを考慮する必要があると思われる。
  • ―臨床例における長期追跡―
    進藤 剛毅, 宮脇富 士夫, 中田 恵, 田中 公啓, 田中 修, 関口 昭彦, 古瀬 彰, 水野 明, 浅野 献一
    1986 年 15 巻 2 号 p. 837-839
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    限られた電池寿命の制約下でペースメーカー寿命の延長をはかる為に, リード先端電極の表面積の縮少, 電極形状の工夫, 電極材質の改良により刺激閾値を下げ消費エネルギーを節約しPM系全体の長寿化が図られてきた。しかし電極表面積の小型化は刺激閾値を下げる反面検知能力も下げセンシング不全を増す結果となった。活性化ガラス質カーボン電極はこの矛盾を解決する数少い電極と考えられる。教室では最長5年に渡り本電極を臨床に用いたのでその長期経過を分析検討した。結果は, 1) 単極型カーボン電極リードは金属電極リードに比べ慢性期でも電圧閾値は有意に低くペーシングエネルギーは節約されるためPM寿命の延長が期待される。2) カーボン電極リードは電極表面の小型化にも拘らず心筋組織との接触状態は長期的に良好で安定しておりリード離脱やセンシング不全は起りにくかった。3) 双極型カーボン電極リードは慢性期に必ずしも予想された様に低くならず, 今後の追跡が必要である。
  • 鶴田 宏明, 小川 恭一, 山本信 一郎, 中尾 守次, 麻田 達郎, 樋上 哲哉
    1986 年 15 巻 2 号 p. 840-843
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    洞機能不全症候群に左上大静脈遺残症を合併した1例と房室ブロックに合併した1例の計2例に対し、経静脈性にVVI、および、DDDペースメーカー植込み術を施行した。2症例とも、左無名静脈が欠損し、両側上大静脈の存在する左上大静脈遺残症であり、McCotterI型であった。左鎖骨下静脈穿刺法の最中に本症と判明したが、術前診断がつかなくとも、外側寄りに穿刺することにより、左鎖骨下静脈から左上大静脈への鋭角的な挿入が可能になり、長さ60cmの電極であっても、右室心尖部に到達しえた。右房電極には、J型電極は不適当であり、直線型の電極の方が適している。術後、2症例ともに電極離脱やpacing failure, sensing failure, 冠静脈洞血栓症などの合併症の経験もなく、順調に経過している。
  • 平中 俊行, 広瀬 一, 中埜 粛, 松田 暉, 白倉 良太, 榊原 哲夫, 岸本 英文, 河本 知秀, 桜井 温, 今川 弘, 三浦 拓也 ...
    1986 年 15 巻 2 号 p. 844-847
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    DDDペースメーカーの適応とならない患者に対し, より生理的ペーシングを行う目的で呼吸数感応型ペースメーカー(BIOTEC社BIOrate RDP3)を使用した。対象症例は4例, 心房粗細動による頻脈2例, 洞不全症候群1例, 完全房室ブロック1例である。ペーシングモードはVVI3例, AAI例であり, 心房粗・細動症例にはA-Vブロック作成術を行った。術後Holter心電図で日常活動におけるペーシングレートの増減を認め, 自転車エルゴメーター負荷試験で心拍数の増加と心拍出量の増加, 運動耐容能の増大を認めた。本ペースメーカーを用いることにより, 従来DDDペースメーカーの適応外とされていた症例に対しても, より生理的ペーシングが可能であると考えられる。
  • 木村 元彦, 原田 幸雄, 杉浦 敏文, 吉村 敬三
    1986 年 15 巻 2 号 p. 848-851
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体温あるいは心拍数による制御機構を持った横隔膜ペースメーカーを試作した。雑種成犬を用いて、頸部あるいは上縦隔内で横隔神経を刺激した。ジニトロフェノールを経口投与する事によって代謝を亢進させ、体温および心拍数を増加させたときのペーシングレート、換気量および血液ガス分圧を測定し、試作したペースメーカーは体温が38℃以下において、生理的に有効であることを確認した。雑種成犬においては、頸部で横隔神経を刺激した場合、代謝の亢進によるペーシングレートの増加によって横隔膜の疲労が顕著となる事がわかった。
  • 原田 幸雄, 山口 貴司, 吉村 敬三, 杉浦 敏文, 木村 元彦, 水品 静夫
    1986 年 15 巻 2 号 p. 852-855
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    試作した温度センサ内蔵型ペースメーカを房室ブロック犬に装着しトレッドミルによる6km/hr, 3分間までの運動負荷を加えた。正常犬では運動開始直後で血液温の変化しないうちに心拍数, 心拍出量は急速に増加し10秒後にはそれぞれ1.69倍, 1.76倍に達しその後一時下降し開始32.8秒後から再び血液温の上昇と共に増加した。運動終了後も血液温は僅かに上昇したが心拍数, 心拍出量は急速に減少した後徐々に減少した。ペーシング犬では常にレートは血液温と共に変化し運動中には、両者とも徐々に増加し運動終了後に最高値に達したが、レートはその間に1.12倍に上昇したに過ぎなかつた。正常犬の運動初期にみられる急激な心拍数の上昇は自主的な運動では僅かで、精神的な要因によると考えられ、ペーシングレートの設定を改良すれば、正常犬の変化のうち精神的な変化を除き代謝の充進に伴う部分により近似してレートを上昇させることが可能である。
  • 原田 幸雄
    1986 年 15 巻 2 号 p. 856
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • VVDペーシング・システムの使用経験
    山県 史朗
    1986 年 15 巻 2 号 p. 857-862
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    市販の単極DDDペースメーカーと双極Y字型電極を6例の患者に植え込んだ。双極電極の先端側を心室側ブロックに、リング側を心房側ブロック膿続しVVDモードにて作動させた。自己心拍出現時VVDではVVIと同様ペーシングは抑制された。次砂出力での胸壁刺戟試験ではそれに追従し心拍が変動したが、大出力ではペーシソグはすべて抑制された。またホルター心電図では筋電位による上限レート・ペーシングが見られたが出力の抑制は少なかった。また単極WIとVVDで拝み試験を比較した所、前者では筋電位による抑制が見られたが後者ではその影響は少なかった。次にモードをAAIにした所、リング電極を通して右室ペーシングが見られた。以上よりVVDは入力電位の大きさに応じて自動的にモードが切り換わる事、単極VVIと比較して筋電位によるペーシングの抑制は少ない事、また右室に電極が2個あるためバックアップ・ペーシングが可能であるなど臨床的に有用であった。
  • 横沢 忠夫, 大関 一, 中込 正昭, 岡崎 裕史, 諸 久永, 江口 昭治
    1986 年 15 巻 2 号 p. 863-866
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    乳児用体外循環装置の小型化を試みた。人工肺としてCapioxII08(最大流量0.8l/min, 充填量90ml)を, 血液ポンプとしてPKS-Kidney(最大流量1.1l/min)を用いた。回路は脱血側内径6mm, 送血側5mmのものを使用し, 総充填量は305mlであった。溶血は既製のポンプとほぼ同等であった。4~5kg犬を用い約3時間の体外循環を行った。充填量は300mlで, 追加液として薬剤約60ml, 血液140mlが必要であった。心筋保護液の未回収は100mlであった。乳酸加リンゲルの使用は, 尿量の多い例で必要とした。充填量300mlで約3時間の体外循環が可能であったが, 臨床では充填量に余裕をもたせる必要がある。
  • 澤 芳樹, 島崎 靖久, 広瀬 一, 松田 暉, 岸本 英文, 門場 啓司, 西垣 恭一, 大竹 重彰, 野村 文一, 川島 康生
    1986 年 15 巻 2 号 p. 867-870
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    新生児・乳児期早期開心術症例における体外循環について, 臨床データーをもとに検討した。対象は23例で, 手術死亡は13例57%であった。体外循環は, 超低体温法が14例で, このうち完全循環停止併用13例, 低流量灌流併用1例, また中等度低体温法が9例であった。灌流量(PI)は, 2.0±0.4l/m2/min, 133±36ml/kg/minであった。体外循環(CPB)時間は, 70~51.3分で, このうち生存例は, 70~140(107±23)分であった。PIが2.0l/m2/min以上例では未満例より有意にCPB中尿量が多かった。CPB中尿量は, CPB方法及び成績とは直接関連がなかった。PIが200ml/kg/minでは体重増加率が10%前後であったが, 150ml/kg/minでは4%であった。CPB時間が長いものでは, 体重増加率は大であった。術翌日GPT高値例, 術後腹膜灌流施行例, 胸骨閉鎖困難例ではCPB時間が有意に長かった。
  • 人工肺性能及び脱血カニューレの検討
    中村 譲, 松井 道彦, 橋本 和弘, 小池 龍平, 松井 晃
    1986 年 15 巻 2 号 p. 871-874
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    乳児を対象としたExtracorporeal Lung Assist(以下ECLA)を目的に, 充填量の少ない補助循環回路を試作した. 今回はこれに使用する0.6m2ポリプロピレンホロファイバー人工肺の性能及び脱血カニューレの検討を行った. 人工肺性能の指標としては, 動静脈間酸素, 炭酸ガス含量較差ΔO2, ΔCO2, 及び有効肺血流量率Qp/QT, 炭酸ガス較差分圧比ΔCO2/PaCO2により酸素添加能と炭酸ガス排出能を検討した。その結果, 酸素添加能に関しては酸素血流比V/Qが1.0で血流量400ml/minまではQp/QT 0.6以上であった. しかし炭酸ガス排出能に関してはその性能は悪く, 充分な炭酸ガス排出にはV/Q 3.0以上を要した. 次に脱血カニューレの流量と回路内陰圧の関係を検討してみた. 臨床における安全陰圧限界を-100mmHgと考えると, 回路径は4.5mm, 脱血カニューレ径は10Fは必要であると考えられた.
  • 大滝 正己, 山口 明満, 笹生 正人, 田村 栄稔, 跡部 正明, 北村 信夫
    1986 年 15 巻 2 号 p. 875-878
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年人工肺の開発・進歩はめざましく従来の気泡型肺に加え, より生理的といわれる膜型人工肺が広く使用されるようになってきた。当科では過去5年間に11種類の人工肺(気泡型肺6種, 膜型肺5種)を臨床使用し, その比較検討を行った。評価方法はガス交換能についてはV/Qを変化させたときのPO2, PCO2を測定し, さらに, 一定条件下にO2transfer, 有効肺血流量率 (Qp/Qt)を算出した。熱交換能については1.8lの溶液を, 冷温水槽より一定温度流量の水を灌流させたときに, 単位温度あたり上昇させるのに要する時間として評価した。血小板減少については体外循環開始前を100%として体外循環終了後の減少率で評価した。溶血については体外循環前後での総ビリルビン値で比較した。
  • ―微小空気塞栓の組織に及ぼす影響―
    須藤 憲一, 幕内 晴郎, 小塚 裕, 高浜 龍彦, 和気 一夫, 川内 基裕, 井手 博文, 横井 泰, 斉藤 寛文, 関口 昭彦, 田中 ...
    1986 年 15 巻 2 号 p. 879-883
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々の施設ではポリプロピレンホローファイバーよりなる膜型肺(Capiox II, TERUMO)を、現在全開心術症例の約70%に使用している。本肺の特性の1つとして、動脈回路における超音波による微小ガス6同定により、気泡型と異なりほとんどその発生が見られないことが確認されていたが、今回動物実験により血液及び組織の微少循環への影響を気泡型肺と比較した。
    雑種成犬を用い膜型肺としてCapiox II 1.6M2(HFO群: 8頭)、気泡型肺としてBOS-5(Bentley)(BO群: 7頭)を使用した。常温下に2時間の完全体外循環を行ない、その後2時間の人工呼吸管理を行なった。体外循環終了時に肺及び大腿筋、実験終了時に肺、心筋、肝、膵腎、小腸、大腿筋の組織標本を摘出し、光顕及び電顕により比較した。また体外循環開始5分後、60分後、120分後、終了60分後、120分後に血液ガス分析、血算、遊離ヘモグロビン等を測定した。
    血液ガス分析の結果は体外循環開始5分後、HFO群でPaO2が有意に高く(p<0.05)、また体外循環120分後、BO群でPaCO2が有意に高値を示したが、体外循環終了後は両群間に有意差は見られなかった。血算では血小板数が体外循環120分でHFO群が有意に(p<0.01)高値を示した。組織標本においては肺及び腎において両群共に約半数の症例において血管周囲出血及び浮腫が認められたが、心筋においてはBO群の4例及びHFO群の1例に斑状凝固性壊死が認められた。またBO群の3例、HFO群の4例に心筋収縮帯壊死が認められた。
  • 古川 仁, 佐々木 達海, 堀越 茂樹, 鈴木 茂, 小机 敏昭, 中野 雅道, 江本 秀斗, 水野 朝敏, 高安 英樹, 望月 吉彦, 辛 ...
    1986 年 15 巻 2 号 p. 884-887
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年、ガス交換能及び操作性にすぐれた中空糸膜型肺が各施設で数多く用いられ、その報告も多い。当教室でも7例の開心術症例にベントレー社製中空糸膜型肺BOS CM40を用い、従来より常用している積層型膜型肺であるTMO肺と比較検討し、次の結果を得た。
    (1) 血液ガス所見は同じFiQ2, V/QでBOS CM40がより高いPaO2, より低いPaCO2を示す傾向をとった。
    (2) 血小板は体外循環終了時、TMO肺より有意の低値を示したが、免疫グロブリンは良好に保持され、補体C3, C4も全経過を通じTMO肺より高値を示した。
    (3) 血漿遊離ヘモグロビンの体外循環中の増加量は終了時でみると有意差を認めなかった。
    (4) 圧力損失は他の積層型膜型肺と比較し、やや高い傾向を示したが、臨時使用上問題はなかった。
  • 小澤 勝男, 杉村修 一郎, 入山 正, 服部 良信, 渡辺 浩次, 根木 浩路, 中村 肇, 松田 昌浩
    1986 年 15 巻 2 号 p. 888-891
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    A) Travenol LPM 50, B) Shiley M-2000, C) Bentley CM40の膜型肺とD) Bentley BOS 10S E) William Harvey H-1700の気泡型肺を54人の開心術症例で使用した。Bentley Oxysatによる人工肺送脱血連続的酸素飽和度モニターにより、安定完全体外循環および、大動脈遮断解除時の低灌流のあと灌流指数を元に戻してゆくときの静脈血酸素飽和度の回復と、動脈血炭酸ガス分圧を各群で比較し、灌流血液量・混合ガス流量比(V/Q)を考慮して検討した。大動脈遮断解除後に血液ガス分析上異常が長くみられた頻度はA) 70%、B) 60%、C) 44%、D) 33%、E) 30%であったが、C) では脱血酸素飽和度の70%以下の症例は全くなく、V/Qは他に比して著明に小さかった。以上より、我々の手術の補助手段としてはBentley CM40がより適切と判断された。またOxysatによる連続的血液酸素飽和度モニターは、安全な体外循環の施行に有益であり、信頼できた。
  • 三崎 拓郎
    1986 年 15 巻 2 号 p. 892
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―術後肺機能の検討―
    成味 純, 須磨 幸蔵, 竹内 靖夫, 井上 健治, 城間 賢二, 小山 雄次, 金子 秀実, 西山 清敬, 高浜 龍彦, 郡 良文, 寺田 ...
    1986 年 15 巻 2 号 p. 893-896
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ポリプロピヒン中空糸型人工肺を600例以上の開心術に用い良好な酸素加能・炭酸ガス除去能を得た。完全体外循環終了時送血側酸素分圧の低下をみたり炭酸ガスが上昇する症例を経験した。その一因には灌流システムの不備があると考えられた。
    術直後の肺内シャント率はone pump systemの気胞型肺の方がtwo pump systemのポリブロビレン中空糸型肺よりも低く, 肺機能をよく温存していた。これには灌流システムの違いも関与していることが考えられた。肺内シャント率の推移, spirometryによる肺機能の検討ではポリプロピレン中空糸肺使用症例は肺機能の回復が速かであると考えられた。
  • 横山 秀雄, 佐々木 昭彦, 菊地 誠哉, 井上 紀雄, 数井 暉久, 小松 作蔵
    1986 年 15 巻 2 号 p. 897-901
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    外部潅流方式polypropylene hollow fiber膜型人工肺MAXIMAを30症例に臨床応用した。本肺は他のhollow fiber肺に比しfiber本数が少く, pore sizeも小さく, 逆にfiber径が大きい特徴を有し, 低容量でありながら適応送血量が1~7l/minと広範囲である利点をもっている。単位膜面積当りのガス交換能は良好で, 且つ安定しており, blood-material interactionが少いことから, 血小板減少, 溶血等の血液成分に対する損傷は軽微であった。膜を介する圧損が低いことから, roller pump pulsatileの併用が可能で, その効果はpulsatile bypass pumpと同等であった。しかしながら, pulsatile deviceの使用に当っては, 回路内陰圧による血液側へのGas流入に対し注意が必要である。実験的A-V shunt方式ECMOにより13時間迄の性能安定性が確認されたが, より長期の使用に際するplasma leakageの様態に関しては不明である。以上の利点の他, 除泡の容易性, 機能の集約化など操作性に優れ, 臨床応用に充分耐え得る人工肺と思われる。
  • ―Capiox IIとの対比―
    東 茂樹, 木曽 一誠, 前原 正明, 内藤 千秋, 鈴木 一郎, 熊丸 裕也, 鈴木 茂樹, 饗庭 秀則, 塩田 哲也, 薄根 茂雄
    1986 年 15 巻 2 号 p. 902-905
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    外部灌流式中空糸型膜型人工肺Maximaは、内径400μm、外径460μm、pore size 0.03μm、のpolypropylene hollow fiber 2800本よhなる膜面積2.0m2の膜型肺と熱交換器とが一体化された人工肺である。このMaximaと内部灌流式中空糸型膜型人工肺Capiox IIとを成人体外循環症例に用い、総蛋白量、血小板数、血漿遊離ヘモグロビン量、LDHおよびガス交換能について、両者を比較検討した。体外循環時間30分以上では、Maxima使用群の血小板数は有意に高値を示し、血漿遊離ヘモグロビン量は有意に低値を示した。体外循環中のPaO2、PaCO2値は、両群とも良好な値を示し、共に優れたガス交換能を有していた。流量3.5l/min時の圧力損失は、Capiox IIの80mmHgに対しMaximaでは30mmHgと低値であった。MaximaはCapiox IIに比し、圧力損失が少なく、血小板保存、溶血の点で優れ、充填時の除泡も容易であり、優れた人工肺であると思われた。
  • 国吉 幸男, 古謝 景春, 池村 富士夫, 伊波 潔, 上里 忠興, 赤崎 満, 城間 寛, 草場 昭, 島袋 正明, 神里 隆
    1986 年 15 巻 2 号 p. 906-909
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    新しく開発された, 積層型膜型人工肺Shiley M-2000を10例の開心術症例 (M群) に用い, 従来より使用してきた気泡型人工肺William-Harvey H1700 (C群) と比較検討を行った。10例の内訳は弁膜疾患5例, 先天性心疾患2例, 虚血性心疾患2例, その他1例であり, 平均体重46.1±6.3Kg, 又平均体外循環時間は75.0±13.0分であった。一方対照群は18例であり, M群とほぼ同様の条件であった。以上の2群について, (1) ガス交換能 (O2 transfer rate, CO2 transfer rate) (2) 血球破壊 (遊離Hb増加率, 術後肉眼的血尿), を中心に比較検討を行った。その結果いずれの点についてもM群が良好な成績を示したが, 特にCO2 transfer rateは平均171.0ml/minと良好であり, 又遊離Hb増加率も0.84mg/dl/minと低値を示し, 溶血も軽微であった。以上よりShiley M-2000 は血球破壊も少なく, 更に優れたガス交換能を有していることが示された。
  • 皐 弘志, 楠本 幸弘, 片山 治, 西岡 孝純, 城谷 均
    1986 年 15 巻 2 号 p. 910-913
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Shiley M-2000膜型肺は, 熱交換器内臓積層型肺で, 有効膜面積は2.3m2である. この肺の特徴は, 人工膜が膜厚25μm, pore size 0.2×0.02μmと0.4×0.04μmの2枚を交差するように重ねている事と, spacerが従来の網目状から格子状となって, 血流がBilevel crossflowとなっていることである. ガス交換能, 肺内圧損失, 熱交換率の検討を行うとともに, 臨床例においては, 血小板数, 血漿遊離ヘモグロビン, 白血球数, microbubble数, 尿量を測定し, 他の膜型肺と比較した. 本肺は, CMLと比ベガス交換能, 圧力損失の面で良好であったが, 熱交換率ではCMLに劣った. 膜型肺間に血小板数, 白血球数, microbubble数, 尿量などの差は認められなかった. 血漿遊離ヘモグロビンは, CMLが最も良好であった.
  • 司尾 和紀, 家永 徹也, 沢村 敏郎, 楠本 長正, 橘 史朗, 岡田 昌義, 中村 和夫, 松田 昌三
    1986 年 15 巻 2 号 p. 914-918
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Shiley M-2000膜型肺の臨床使用経験を, Copiox II膜型肺及びShiley 100A気泡型肺と比較検討した。Shiley M-2000膜型肺は, 他の二者と対比して操作が容易であった。ガス交換能を検討した結果, 三者とも良好なガス交換能が得られたが, 膜型肺では高酸素化の傾向がみられた。いずれの人工肺においても, 適正なPaCO2の維持は酸素流量を調節することによって容易に行い得た。血液成分に関する検討においては, β-TG・血漿遊離Hbでは3群の間に差異はみられなかったが, 膜型肺においては血小板数が手術の翌日に回復する傾向がみられた。この血小板の循環血中への早期復帰は, 膜型肺の一つの特徴と考えられた。
  • 竹内 靖夫
    1986 年 15 巻 2 号 p. 919
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 深沢 弘道, 萩原 和彦, 川口 茂, 野村 治, 寺井 大輔, 野川 淳彦, 桂 義郎, 高橋 晃
    1986 年 15 巻 2 号 p. 920-923
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々はmicroporous hollowfiberの細孔にシリカ (SiO2) を充填し、更にフッ素樹脂をコーティングすることによって拡散的なガス透過膜を有するHollowfiber型人工肺 (有効膜面積1.6m2) を開発した。In vitro性能評価の結果、V/Q=1.0, 血流量150ml/minの条件下でO2 transfer rateは75ml/min, CO2 transfer rateは83ml/minであった。またV/Q=5にすることによって150ml/min (94ml/min/m2) のCO2の除去が可能であった。雑犬4頭を用いた30時間のV-Abypass実験において酸素、炭酸ガスともに性能の低下はなく、従来porous膜にみられた血漿成分の漏出も発生しなかった。また血小板数の経時的な変化においても30時間値で平均88%と良好な結果が得られた。
    本人工肺は、高いガス交換性能、長時間の性能安定性、血液適合性、そして耐久性を有しておりEC-CO2RをはじめとしてECMOに有用な人工肺であると思われた。
  • 服部 良二, 魏 啓明, 井村 正史, 斎藤 圭治, 福山 守, 宮村 一男, 矢田 公, 湯浅 浩, 草川 實, 神谷 勝弘, 桑名 克之 ...
    1986 年 15 巻 2 号 p. 924-927
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ECMOへの使用を前提として, 中空糸を用いた血液外部灌流型膜型肺を試作し, In Vitroにてガス交換能検定を行い, 犬を用いた24時間のVAバイパスにてガス交換能, 血液損傷の推移について検討した。ポリプロピレン中空糸を用いた外部灌流型肺は, O2 transfer rate 89ml/min・m2で, VAバイパスにても良好な酸素添加能, 炭酸ガス排出能を示し, 血液損傷は軽微であったが, 微孔質膜であるため, 血清漏出がみとめられECMOへの適用は困難であった。一方, シリコン中空糸を用いた外部灌流型肺は, In VitroでのO2 transfer rateが38ml/min・m2とほぼ満足できる酸素添加能を示し, ECMOに適していることが考えられた。
  • 清水 明, 塩津 一男, 喜岡 幸央, 中尾 俊彦, 名和 清人, 妹尾 嘉昌, 寺本 滋
    1986 年 15 巻 2 号 p. 928-931
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ECMOは循環呼吸補助の為のV-Aバイパスとして実施されることが多かったが, 近年急性呼吸不全に対して呼吸補助を行なうV-Vバイパスとして認識されるようになった。今回我々の考案した気道内海水注入法にて急性呼吸不全犬モデル6頭を作成し, ECMOの為のV-Vバイパスの実験的研究を行った。気道内海水注入法は血行動態の抑制なく早期に顕著な呼吸不全状態を作り出すもので, ほぼ純粋な急性呼吸不全モデルと認められた。V-Vバイパスでは, 動脈血酸素飽和度の上昇は軽度で動脈血酸素加能は不充分であったが, 血中CO2除去能力は強力で低灌流量にてもPaCO2の低下は著明であった。また, 灌流量を灌流前心拍出量の40%, 60%, 80%に, 人工肺酸素血流量比を1.0, 2.0, 3.0に各々変化させることによりPaCO2の調節が可能であった。
  • 大津 哲郎, 寺崎 秀則, 高瀬 公一, 島村 秀彦, 山田 善彦
    1986 年 15 巻 2 号 p. 932-936
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    新生児重症呼吸不全患者を, 膜型人工肺と長期部分体外循環で治療する体外式肺補助(extracorporeal lung assist, ECLAと略する)の方法と装置を開発した。セグメント化ポリウレタン製の壁薄(0.25mm~0.3mm)のカテーテル(#8~#14Fr.)1本を頸静脈から右房へ挿入して, 交互に脱血と送血を繰り返して膜型人工肺でガス交換を行うV-Vバイパスである(to and fro v-v bypass ECLA)。本装置の血液充填量は100ml~220mlである。ECLAの安全性を確認するたあ, 生後14日以内の子ブタ18匹(体重1.56~4.30kg)に本法を応用した。バイパス血流量は平均80ml/kg/分(41~112ml/kg/分)であった。これまで最長7日間のECLAを安全に実施できた。動物実験で技術を修得すれば, この方法と装置は臨床応用可能であり, 従来の呼吸管理法では救命できなかった新生児の重症呼吸不全症例を救命する新しい方法として期待できる。
  • ―間歌流V-V bypass ECMOの検討―
    沢村 敏郎, 久野 克也, 家永 徹也, 楠本 長正, 司尾 和紀, 橘 史朗, 岡田 昌義, 中村 和夫, 松田 昌三, 白江 博, 西村 ...
    1986 年 15 巻 2 号 p. 937-940
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    呼吸不全を伴う小児に対するECMOの臨床応用を目的に小型雑種犬2~9ka32頭を用い心拍出量の30%の流量(およそ30ml/kgに相当)補助にてECMOを行った。その内訳はV-A bypassが5頭, 定常流V-V bypassが7頭,間歇流V-V bypassが20頭であった。定常流はローラーポンプを使用し, 間歇流はflexible chamberをリザーバー兼ポンプとして使用したECMO専用装置を用いた。30%補助のECMOの実施により大腿動脈血のPaO2の上昇とPaCO2の下降するのがV-V bypassの2群で認められ, V-A bypassに匹敵する程度にECMOの効果が得られた。定常流V-V bypassにおいてはECMO前とECMO中との間では平均肺動脈圧には有意の変動はみられなかったが, 間歇流V-V bypassでは送・脚の時相に一致して明らかな右室圧及び肺動脈圧の変動が認められたため, その一回拍出量は1ml/kg以下が望ましいと考えられた。
  • 板岡 俊成, 和田 寿郎, 茅野 公明, 笠置 康, 横山 正義
    1986 年 15 巻 2 号 p. 941-944
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    呼吸性, 代謝性アシドーシスにて意識レベルの低下をみた重症呼吸不全3症例に, 低流量pumpless A-V bypassにてのECMOを雄行した。施行後1時間目より二酸化炭素ガス排泄によりアシドーシスも改善され意識レベルの上昇をみ家族との会話も可能となった。しかし, 今回使用した中空糸型膜型人工肺(Capiox II)にては, serum leakage, 血小板数減少が認められより合目的な人工肺開発が望まれた。
  • 寺本 滋
    1986 年 15 巻 2 号 p. 945
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 石橋 義光, 坂入 隆人, 高平 真, 山崎 亮, 竹田 治土, 酒井 圭輔, 田辺 達三
    1986 年 15 巻 2 号 p. 946-949
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    雑種成犬16頭を用い、経気管的にリノール酸を注入し重症呼吸不全犬を作製し、呼吸不全犬群(GI) Pumpless A-V群(GII)、V-A群(GIII) V-A+OP41483 (PGI2誘導体) (GIV)の4群に分け、かかる重症呼吸不全犬に対するECMOの限界、OPの有効性について検討した。ECMO施行群は、有意に平均生存時間の延長を認めた。また、G-IIIはG-IIに対し有意に生存時間の延長を認めた。OPを使用しなかったG-IIIでは6 keto PGF/TXB2比が経時的に低下し0.2~0.5であったが、G-IVでは徐々に増加(リノール酸注入後8時間後は1.04とほぼ注入前と同じ値を示した。病理学的検索でもOPを用いなかった群では肺細小動脈内に多数の血栓を認めたがG-IVでは散見されるにすぎなかった。重症呼吸不全犬に対するV-AによるECMOにOPを加えた群では生存時間の延長はなかったが、内因性プロスタノイド、病理所見からみて有用と考えられた。
  • 篠原 裕希, 大森 一光, 石井 良幸, 名取 宏, 西村 理, 大畑 正昭, 陸川 容亮, 瀬在 幸安, 桑名 克之, 中西 光
    1986 年 15 巻 2 号 p. 950-954
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    急性重症呼吸不全の治療としてのECMOは, その期待のわりには効果はあがっていない。このことはECMO使用に際しての対象の選定に問題があると考え, 実験的に二群の呼吸不全モデルを作成し, それぞれに9時間のECMOを行い, 微細構造の変化を電顕的に観察した。I群(循環呼吸不全群)では, 早期より浮腫性および破壊性変化の出現を認め, そのうちの半数は6時間終了時点で死亡した。II群(肺胞低換気型呼吸不全群)では, 微細構造上の変化は少なかった。同じ肺胞低換気型呼吸不全でもECMOを使用しなかった群では, 時間の経過とともに, 浮腫性・破壊性変化は増強した。
    ECMO使用にあたり, その対象の選定に肺生検は有用な手段と考えられる。またECMO自身は肺病変に対して直接的な治癒作用はなくても, それにより生命維持をはかりながら, 肺病変の修復を待つのは意義がある。
  • 渡部 晃久, 氏平 政伸, 中野 国男, 谷下 一夫
    1986 年 15 巻 2 号 p. 955-958
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々は、これまでに曲り管によって膜型人工肺のガス交換性能を改善する試みをおこなって来た。とくに蛇行管型は、織りこみによる小型化及び高いガス交換性能の点から有望と思われるが、蛇行管の幾何学的条件を決める因子が多いため明確な設計条件が見い出されていない。そこで本研究では、蛇行管の曲率半径Rと管内半径aとの比をR/a=14として一定に保ち、円弧部の中心角が、0°、45°、70°、90°、130°、240°、360°となるようなプロトタイプを作成し、血液定常流及び拍動流のもとでのガス交換性能を測定し、蛇行管の幾何学的条件と流動性状の影響を調べた。定常流では、中心角が90°以上でほぼ一定なガス交換性能を示し、酸素加量Vo2=298ml/min、m2 (Re=370)を得ている。さらに拍動を加えることによって酸素加量を増加させることが出来た。拍動流においては、とくに低い中心角で顕著なガス交換性能の改善が見られた。
  • 辻 隆之, 戸川 達男, 岡本 誠, 宗岡 克樹, 末岡 伯明, 赤須 弘幸
    1986 年 15 巻 2 号 p. 959-962
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    エバール人工腎(EVA膜使用)を用い, 透析液流路に酸素化された灌流液を還流して, エバール膜を通してホローファイバ内の静脈血とガス交換を行った。
    その結果, ファイバ内の圧をフィイバ外の圧より低くしておけば, ガス交換能が維持できることを動脚実験で明らかにした。
    本人工腎を用いたガス交換システムは, 安価で, 蛋白の漏出もなく, 抗凝固剤の量が少くてすみ, 新生児のECMOには応用可能と考えられた。
  • 野村 文一, 広瀬 一, 松田 暉, 中埜 粛, 大谷 正勝, 田村 謙二, 門場 啓司, 西垣 恭一, 宮本 裕治, 大久保 修和, 高見 ...
    1986 年 15 巻 2 号 p. 963-966
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    呼吸補助を目的としたECCO2-Rをより簡便に施行するためには, 低流量のバイパス量(BF)でも有効な炭酸ガス除去効果が得られなければならない. そこで回路内再循環方式を用いて心拍出量の5%及び10%の低流量でのECCO2-Rを低換気にした犬を用い実験的に検討した. 再循環方式では心拍出量の10%(平均15.6±4.1ml/min/kg)のBFにて動脈血PCO2は36.0±10.7mmHgであり血行動態も安定していた. 心拍出量の5%のBFではPaCO2は50.2±6.2mmHgであり, 非再循環のSingle pump方式による心拍出量の10%のBFにてもPaCO2は62.2±16.4mmHgと高値であり, かつ循環の維持が困難であった。したがって, 再循環方式を用いれば低流量での有効な呼吸補助が可能であると考えられる.
  • 戸川 達男
    1986 年 15 巻 2 号 p. 967
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―実験及び臨床的検討―
    宮本 裕治, 広瀬 一, 松田 暉, 中埜 粛, 白倉 良太, 中田 精三, 大谷 正勝, 門場 啓司, 大久保 修和, 九鬼 覚, 野村 ...
    1986 年 15 巻 2 号 p. 968-971
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    一般にステロイドには抗補体作用があると言われているが, 詳細な検討はみられない. 最近, 人工心肺下体外循環において, 大量ステロイドの投与が試みられているが, これの血中補体に及ぼす影響をみるため, 実験及び臨床的に検討し, 以下の結果を得た.
    1.in vitroでmethylplprednisoloneの抗補体作用を検討した結果, これは, classical pathway及びalternative pathwayの両者を抑制した. 両者を比較するとalternative pathwayがより強く抑制されると考えられた.
    2. 臨床の人工心肺下体外循環において, methylprednisolone (30mg/kg)投与群(n=11)と非投与群(n=21)に分けて補体活性を検討した. その結果, 投与群でCH50が有意に高値で, これを各補体成分でみるとalternative pathwayが有意に抑制されていた.
  • 山崎 元成, 田宮 達男, 泉 敏, 山城 敏行, 野並 芳樹, 北川 素, 松崎 圭祐
    1986 年 15 巻 2 号 p. 972-976
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血中補体値推移からの体外循環病態の解明が最近脚光をあびているが、未だ統一見解をみていない。我々は本課題を臨床症例20例について酸素加装置の種類、同種血充填量の多寡が各補体値に与える影響を中心に比較検討を試みた。CH50、C3、C4に関しては、気泡型群に比し膜型群にやや低値をとる傾向が認められた。C3aは同種血充填の有無及び多寡に拘らず、気泡型群で漸増傾向を示した。膜型群ではほぼ一定値を維持した。C5aは、体外循環中に限定して両群共高値をとったが、この傾向は膜型群に強く、かつ両群共にPMN(多形核白血球)と逆相関を示した。大量同種血充填気泡型肺使用のVSD. PH1歳児に、著しいC3a、C5aの高値、血少板減少と術後肺機能不全を経験したが、類似条件下膜型肺使用の同年児ではこの傾向は軽微に留まった。これらの結果より、長時間体外循環、特に乳幼児開心術には、膜型肺が望ましいと考えられた。
  • 高平 真, 坂入 隆人, 石橋 義光, 山崎 亮, 竹田 治土, 酒井 圭輔, 田辺 達三
    1986 年 15 巻 2 号 p. 977-980
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    希釈対外循環は広く臨床に応用されているが, その液組成に関しては代謝面等からいまだ問題が多い。今回われわれは雑種成犬18頭を生理食塩水群, 乳酸リンゲル液群, 酢酸リンゲル液群の3群に分け, 2時間の体外循環を行ない, 血行動態, 代謝面等より比較検討した。血行動態には3群間に有意差はなく, PaO2, PaCO2にも3群間に有意差はなかった。補正Base Excess, 補正HCO3において乳酸リンゲル液群との間に有意差はなかった。乳酸代謝面からも両群間に有意差はなかったが, %NEFAでは酢酸リンゲル液群が有意に低値を示し脂肪酸動員の抑制を示した。controlled shockと言われる体外循環下での乳酸代謝の低下を考え, 全身で代謝される酢酸を塩基源とした希釈体外循環は, ことに肝臓が未熟な乳幼児に有効であると考えられる。
  • 山口 明満, 笹生 正人, 大滝 正己, 野尻 知里, 美濃地 忠彦, 田村 栄稔, 跡部 正明, 北村 信夫
    1986 年 15 巻 2 号 p. 981-984
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1984年5月より1985年4月までの1年間に当科において施行された開心術を対象とし, 無輸血群をI群, 無血体外循環で術中術後に輸血を行った群をII群, 充填血体外循環群をIII群とし, それぞれの術前の体重, ヘマトクリット値, 体外循環時間, 総輸血量, 体外循環中のヘマトクリット値の推移, 肝炎発生につき検討をくわえた。術前の体重およびヘマトクリット値は3群間に有意差はなく, 体外循環時間が有意にIII群になるほど長く, 体外循環時間が無血体外循環可否の大きな一因と考えられた。またIII群では有意に輸血量が多く, 肝炎発生の一因と考えちれた。体外循環中のヘマトクリット値は3群間に有意な差はなく, 症例の重症度, 予想される体外循環時間を十分に考慮することにより, 安全かつ効果的に無血体外循環が施行され, また体外循環回路, 限外濾過の併用, 術中の多少の工夫も本法を可能ならしめる一因であると考えられる。
  • 木曽 一誠, 前原 正明, 東 茂樹, 鈴木 一郎, 鈴木 茂樹, 塩田 哲也, 饗庭 秀則, 薄根 茂雄
    1986 年 15 巻 2 号 p. 985-987
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    緊急Hemothorax用ATS(Sorenson Research)の心臓血管外科領域での利用方法を検討した。装置は吸引チューブ, Canister, 血液filter付Liner Assembly, 吸引圧Requlatorからなるsimpleなものである。Liner Assemblyがそのまゝ輸血バッグになり還血できる。ACD液を血液7に1の割合で注入し, 体外循環症例28例と体外循環を使用しない例(動脈瘤)8例で臨床応用してその有用性を検討した。体外循環例では術中応用としてヘパリン中和後術野からの出血を吸引し, 術後はドレーンからの血液を採取したが, 溶血が軽度~中等度(術後ドレーンの方が少い)認められ, Cell Saver等での処置が必要と思われた。体外循環を使用しない動脈瘤手街では術野からの吸引血を採取したが溶血は少く, 臨床応用はきわめて有用と思われた。
  • 田宮 達男
    1986 年 15 巻 2 号 p. 988
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 坂入 隆人, 高平 真, 石橋 義光, 山崎 亮, 竹田 治土, 酒井 圭輔, 田辺 達三
    1986 年 15 巻 2 号 p. 989-992
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    雑種成犬10頭をDBcAMPを用いた群(n=5, D群)とヘパリンのみを用いた対照群(n=5, H:群)の2群に分け実験的体外循環(CPB)を行ない, 循環, 代謝, 血小板機能の面から検討した。DBcAMPは0.01mg/kg/minでCPB開始直後から点滴投与した。CPB前, 直後, 60分後, 120分後, 終了後において, 循環動態, 血液ガス分析, 乳酸・ピルビン酸代謝に両群間の有意差はなかつた。血小板数はD群:8.4~9.8×104H群:4.9~7.7×104と両群間に有意差はなかつたが, 各測定時点でD群が高値を示した。TxB2はD群が対照群に比し, CPB1時間以降有意の低値を示し, 全血凝集能ではD群:20~28Ω, H群:35~40Ωと各測定時点でD群が有意の低値を示した。(P<0.05)DBcAMPをLOS等に対して一般的に投与される50分の1量をCPB中に投与し検討した結果, 循環動態に影響を与えず血小板の保護作用が考えられ生理的により近小CPBを可能にすることが考えられた。
  • 福山 守, 魏 啓明, 井村 正史, 服部 良二, 斎藤 圭治, 矢田 公, 湯浅 浩, 草川 實
    1986 年 15 巻 2 号 p. 993-995
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    開心術症例20例を対象とし, 体外循環前後の凝固・線溶系の変化について検討した。検査項目は, フィブリノペプタイドA(FPA), フィブリノーゲン(Fbg), アンチトロンビンIII(ATIII), α2プラスミンインヒビタ(α2PI), プラスミノーゲン(Plg), FDPで, 体外循環前, 体外循環5分, 60分, 120分, ヘパリン中和直後, 中和後3時間, 6時間の計7回採血を行った。FPAは体外循環前値が6.1±4.0ng/mlで, 体外循環中は増加せず, ヘパリン中和直後に14.8±11.5ng/mlと有意に増加した。FDPは体外循環前値が6.2±6.0μg/mlで, 体外循環120分には274.6±111.1μg/mlと増如した。一方Fbg, α2PI, ATIII, Plg, は体外循環中減少した。以上の結果より体外循環中凝固活性はヘパリンにより十分に抑制されているものの, 線溶活性, 特に一次線溶が亢進している可能性が示唆された。
  • 高木 正剛, 釘宮 敏定, 草場 英介, 黒岩 正行, 宮川 尚孝, 山内 秀人, 柴田 隆一郎
    1986 年 15 巻 2 号 p. 996-998
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年体外循環の安全性は著しく向上したが, 長時間体外循環後などにみられる滲出性の出血傾向に悩まされる例は今なお少なくない。われわれは術後出血防止対策として, 昭和54年以来すべての開心術症例を対象に, 成分輸血法の応用により体外循環中の血液凝固因子の温存を図ってきたが, さらに最近長時間体外循環症例に対し, 血液成分連続採取装置を用いた血小板フェレーシス法(PF)により健康成人男子の供血者一名から術前日に採取した血液3,500ml分に相当する濃縮血小板血漿(PC)を, 体外循環終了後に患者に輸注する方法を追加した。今回は, PFによるPC輸注法の術後出血量などに及ぼす影響について, PC非輸注群(対照群)との比較検討を行なった結果, PC輸注群は対照群に比して, 血小板数が有意(p<0.05)の高値を保ち, また術後出血量(p<0.01)および輸血量(p<0.05)の有意の減少が認められるなど, 本法の有効性が示唆された。しかし輸血量の減少にもかかわらず, 輸血後非A非B肝炎の発生率は有意の減少をみるには至らなかった。
  • 川田 忠典, 舟木 成樹, 三枝 隆, 岡田 忠彦, 稗方 富蔵, 野口 輝彦
    1986 年 15 巻 2 号 p. 999-1002
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    膜型肺を用いた臨床的短時間体外循環において, 遠心ポンプとローラーポンプの血小板質量変動におよぼす影響の差異について, 血小板数, 凝集能, 血小板特異蛋白血漿中濃度の三者から検討した。結論的には2つのポンプ群間に有意の差異はみいだせなかった。各群, 体外循環初期血小板減少群, 非減少群の2群に再分類され, 血小板減少に主として関与したのは体外循環前の患者の固有の血小板凝集能であった。血小板凝集能亢進例ほど血小板減少, 血小板放出反応の増大をみとめた。臨床的には血小板に対しそれ以外にも複雑な因子が影響し, それらはポンプの種類の影響差をはるかに超越したものと考えられ, 現在もっとも鋭敏な検査法をもってしても遠心ポンプとローラーポンプの差を見いだすことは出来なかった。したがって, 現時点では臨床的体外循環における遠心ポンプの使用は血液学的見地からと限ればメリットはないと結論された。
  • 竹田 治土, 山崎 亮, 石橋 義光, 高平 真, 坂入 隆人, 松倉 裕美, 酒井 圭輔, 田辺 達三
    1986 年 15 巻 2 号 p. 1003-1006
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体外循環灌流量の内因性プロスタノイドに与える影響をH群110ml/kg/min. とL群52ml/kg/min. との2群に分け, 雑種成犬による無血体外循環で検討した。頸動脈, 腎動脈血流量(ml/min)で両群間に差はなかつたが, 大腿動脈はH群17±3, L群8±2とH群が有意の高値を示した。6 keto PGは両群間に差はなかった。TXB2(pg/ml)のは頸動脈(H群:348±48, L群:210±32)腎動脈(H群:408±56, L群:301±38)と両動脈でH群が有意に高値であった。低流量でも腎, 脳への血流は維持され, 又高流量の方が血管分岐部での強い乱流からTXA2産生増加, 血小板凝集が惹起されやすいと考えられた。プロスタノイドの面からみて, 体外循環中の灌流量は可及的低流量の方が生体にとつて有利であると考え, optimal flow rateにつき検討中である。
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