人工臓器
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17 巻, 1 号
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  • 渥美 和彦
    1988 年 17 巻 1 号 p. 1
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―その除去メカニズムについて―
    前田 憲秀, 奥山 寛, 小林 力, 秋沢 忠男, 越川 昭三, 中沢 了一, 吉田 豊彦, 上坂 正利, 似鳥 嘉昭
    1988 年 17 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    高分画性能を有するPAN 12CX2透析器のβ2ミクログロブリン(β2M)除去性能および除去メカニズムを検討した。その結果、in vitro試験では拡散によるβ2MのクリアラノスはQB=200ml/minで27.3ml/minと高く、9lHDFモデルでも、β2M除去全体の2/3を占めると推察された。局所的濾過、逆濾過によるβ2M除去は、ゼロ除水透析では総クリアランスの約10%、3l除水透析で約3% 寄与すると試算された。β2M及ひアルブミンに対するふるい係数は各々0.6、0.002であった。マスパランスの検討から濾過と、主として治療初期のβ2M吸着が、β2M除去の補助要因として作用した。臨柴試験において、β2M除去率はHDで48.8%、6l HDFで55.6%とin vitroのモデル試算と良く一致した。以上の成績よりPAN 12 CX2は高いβ2M除去能を有し、HD、HDF除去メカニズムの大半は拡散が、他は治療条件、時期により濾過、吸着、逆濾過が寄与することが明らかとなった。
  • 末岡 明伯, 河田 一郎, 三村 理七, 赤須 弘幸
    1988 年 17 巻 1 号 p. 10-13
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ハイパフォーマンス(HP)膜の性能評価を行なう場合, 膜特性の違いに由来して, 従来の透析膜性能評価法ではいくつかの問題点がある。
    HP膜の透水性は, 膜により純水と血液とでは大巾に異なり, 牛血液を用いた評価が必要である。HP膜の低分子クリアランスは, 一般に膜の透水性が大きいため, UFRまたは濾過圧をゼロに調節しても正濾過(フィルター入口)および逆濾過(出口)がおこり, モジュールのL/Dの増加と共に濾過の寄与が大となる。クリアランスの評価には拡散と共に濾過の因子を考慮する必要がある。In vitroによるβ2-ミクログロブリンの透過性の評価法として, 透析患者からECUMまたはCAPD液を採取濃縮し, 牛血液と混合調整した牛血液を用いた実験法を考案した。臨床での結果と良く相関し, in vitroによる評価法としては有効な方法である。
  • 佐藤 史郎, 大橋 啓一, 樫村 隆司, 吉田 亮, 小沢 喜久矢, 酒井 清孝
    1988 年 17 巻 1 号 p. 14-17
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    長期透析患者にはアミロイド沈着がみられるが、このアミロイドーシスにβ2-microglobulin (以下β2-MG)が関与していることが報告されて以来、β2-MGの効率のよい体外排除が検討されている。我々は回分式吸着実験を行い、コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、多孔質ガラス微粒体、Amberlite XAD-7、8、DHP-1活性炭のβ2-MG吸着特性を測定した。その結果、コラーゲンビーズ、DHP-1活性炭およびXAD-7、8に優れたβ2-MG吸着能が認められ、平衡吸着量はそれぞれ1.9、1.3、6.6、2.7×10-3kg/kg-sorbentであった。弱疎水性材料であるXAD-7は、最も優れた吸着能を示した。吸着平衡に達するまでにDHP-1活性炭では60時間以上、多孔質ガラス微粒体では24時間以上を要した。これは吸着剤の細孔直径が40Å以下であるため、細孔内拡散が律速となるためである。吸着量および吸着速度の点から考えて、β2-MGの除去には弱疎水性素材で、細孔直径が40Å以上の細孔構造を有する吸着剤が適当と思われる。
  • 酒井 良忠, 谷尚 泰雄, 小林 拓一, 小野 利彦
    1988 年 17 巻 1 号 p. 18-21
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    β2-マイクログロブリン(β2-MG)除去膜の最適化を計るとともにβ2-MGの臨床での除去量を推定するために, 透水性が幅広く異なるポリメチルメタクリレート系中空糸の小型モジユールに対し, 透析患者血漿を4時間灌流させるin vitro実験を行った。
    透水性が高くなるにつれてβ2-MGの透析透過量は多く表なるのに対し, β2-MGの吸着量は透水性30~50ml/hr・mmHg・m2で極大値を示し, 約100mg/m2であつた。これらの結果から臨床用モジユールでのβ2-MG除去量は, 1.0, 1.6, 2.1m2それぞれについて120, 190, 250mgと推定された。in vitro実験条件や予備的に行った臨床使用後モジユールからの溶脱β2-MG量測定結果から判断して, 本in vitro実験結果は臨床でのβ2-MGの除去にほぼ対応していると言える。β2-MG除去への濾過効果の検討や臨床使用後モジユールへの吸着量のより精度の高い測定を今後行う必要がある。
  • 内藤 秀宗
    1988 年 17 巻 1 号 p. 22
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 小早川 裕之, 新里 高弘, 高井 一郎, 藤田 芳郎, 小沢 裕子, 前田 憲志
    1988 年 17 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々は, クラレPSフィルターおよびホスパルAN69HFを, HFおよびpush/pull HDFに連続的に使用し, β2-MGの推移および関節痛の改善について検討した。40人の長期透析患者を10人ずつの4群に分け, 以下の治療を行った。第一群:PSフィルターによるHF 第二群:PSフィルターによるpush/pull HDF 第三群:AN69HFによるHF 第四群:AN69HFによるpush/pull HDF
    β2-MG除去率は各群とも従来のhigh performance membraneを用いたHDよりも著しく高かった。治療前血漿β2-MG濃度は, 各群とも治療開始一週間後には有意に低下した。また, 肩関節痛を訴える患者について, 肩関節痛の程度の指標として, 上腕の後方伸展運動, 内転運動, および外転運動の可動範囲を観察した。この結果, 各群において, 治療開始一週間後より肩関節痛の著明な改善とともに肩関節の可動範囲の有意の増大が認められた。
  • 南部 正人, 熊野 和雄, 草刈 修一, 桜井 健治, 酒井 糾
    1988 年 17 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    補体活性の異なる膜材質による血中β2-MGの挙動を検討した。膜材質の差による透析前後、1年間の長期治療のβ2-MGの挙動はcuprophan, PMMA (B2)群で有意に増加した。一方EVAL群では有意に低下または不変であった。ヘパリン加新鮮血の体外再循環後の末梢血リンパ球におけるβ2-MG産生量は膜材質、血液回路の滅菌法(EOG、高圧蒸気)に拘らずIL-2で増加傾向を認め、β2-MGの産生に体外循環自体が関与していることが示唆された。β2-MGのKinetics studyより分布容積は体重の27.6%で血管内外の他にも, β2-MG spaceの存在が示唆され、β2-MG生成速度は0.129mg/h/Kg BWであった。
  • 峰島 三千男, 星野 敏久, 江良 和雄, 佐々木 優里, 佐中 孜, 阿岸 鉄三, 太田 和夫
    1988 年 17 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    β2-microglobulin (BMG)などの小分子蛋白を積極的に除去しようと開発された種々のhigh performance membraneモジュールの性能をin vitro実験をつうじ評価した。閉鎖循環回路系定速濾過実験の結果, 再生セルロース膜(RC), セルローストリアセテート膜(CTA)では原液血漿タンク中BMG濃度は一定値を保ったが, ポリスルホン(PS), ポリメチルメタアクリレート(PMMA)の合成膜で吸着現象がみられた。BMGのふるい係数の値ではRC 0.444, PS 0.516, CTA 0.924が得られたが, PMMAでは濾液中にBMGは検出されず, 吸着のみでBMGを除去していることが明らかとなった。吸着のないRC, CTAについてさらに閉鎖循環回路系透析実験を行ったところ, BMGの拡散のみによるクリアランスの値はRC 5.44, CTA 30.27ml/minとなり, それから得られる総括物質移動係数はRC 3.70, CTA 17.83μm/minとなり, CTAで強い拡散透過能が認められた。なお4種の膜とも濾液および透析液中にアルブミンは検出されなかった。
  • 後藤 健, 佐藤 卓, 前島 俊一, 杉田 栄一, 岩本 忠彦, 中川 成之輔
    1988 年 17 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析患者の長期生存にともない、従来の透析方法ではほとんど除去できない低分子蛋白領域の大分子量物質の蓄積が透析患者の長期予後に悪影響を与えることが明かになった。今回、Albuminを殆ど通過させず、B2-MGに高いS. C. を有するHigh performance membrane (HPM)をHemodiafilterとして用い、大量の重曹置換液を透析液より作成するOn-line HDFを施行し、B2-MGを最大限どれだけ除去できるかを検討した。HPMとしてF60 (polysulfone), H12-3000S (PAN, AN69)を使用しQB:200-300ml, QD:500ml/min, QF:4-5L/hr. 総交換液量15-20L/sessionの条件で6ケ月のhard HDFを試みた。B2-MGの1回除去量150-300mg、除去率50-70%で血中B2-MG濃度を10-20mg/L、約30%低下させることが可能であった。HPMとOn-line HDF systemで最大限1g/weekのB2-MGの除去が可能で、これ以上の除去は現時点での血液浄化法では不可能である。
  • 竹沢 真吾, 日台 英雄, 小川 洋史, 高木 豊巳, 斉藤 明, 酒井 清孝
    1988 年 17 巻 1 号 p. 42-45
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    手根幹症候群の原因物質として長期透析患者にて注目されているβ2-microglobulinの血中濃度変化を推算すべく、3プールモデル解析を試みた。その際、ダイアライザーでの除去速度を正確に求めるため、臨床検査に用いた後の透析患者廃棄血漿を集め、血清処理後1プールin vitro実験を行った。ダイアライザーに旭メディカルのAM-Neo-1000-HPを用いたところ、膜のふるい係数は0.30であった。この値から計算したクリアランスを用いて血中濃度変化をトレースすべくモデルのパラメータを求めた。細胞膜クリアランスはβ2-microglobulinの分子量より予想される値よりもはるかに大きかった。また、毛細血管クリアランスはダイアライザーでの除去速度よりも大きく、文献値と一致した。透析終了直後の急激なリパウンド現象はこのモデルでおおよそ説明できる。見掛けの溶質生成速度は一般に言われている値よりも小さく、100mg/day以下であった。
  • 大坪 修
    1988 年 17 巻 1 号 p. 46
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 岸田 晶夫, 筏 義人
    1988 年 17 巻 1 号 p. 47-50
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析用セルロース膜の表面に、ポリエチレングリコール(PEG)をグラフトすることによって、補体活性化を抑制することができた。グラフトするPEGの分子量を変化させた。その結果、PEG 400と1000をグラフトした場合に最も良い結果が得られた。これらのグラフト化表面は、高圧蒸気滅菌によっても、その補体活性化抑制能は低下しなかった。比較として、パルミトイル鎖をグラフトしたものについても検討した。補体活性化抑制のメカニズムは、タンパク質吸着によるものではなく、PEG鎖によるセルロース表面と補体タンパクの相互作用の低下によるものと考えられた。
  • 内藤 秀宗, 宮崎 哲夫, 末岡 明伯, 高島 征助, 窪津 彰, 高木 俊昭
    1988 年 17 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    各種血液浄化膜にて同一膜素材の異なる構造を有する中空糸の生体適合性に及ぼす影響を検討した。素材としては、EVAL膜を用い、Non-Porous膜(Non-P), 透析膜(D), 血漿分離二次膜(4A), 血漿分離器(PS)を使用した。結果として、血液凝固系活性は、Non-P, PSよりもD, もしくは4Aといった膜内構造がその活性はすくない。すなわち、接触因子である高分子キニノーゲン、プレカリクレインでこの傾向が強かった。この影響を受け、リン脂質ミセル内活性化反応でもNon-P, PSは、cofactorであるVIII, V因子の消費は著明で、さらに液内ゲル化反応においてもXIII因子の活性、フィブリノーゲンも同様にD, 4A<Non-P, PSであった。
  • 佐々木 優里, 寺岡 慧, 菅原 基晃, 星野 敏久, 江良 和雄, 峰島 三千男, 久保 和雄, 鈴木 利昭, 早坂 勇太郎, 太田 和夫
    1988 年 17 巻 1 号 p. 56-59
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析中の一過性の白血球減少は, セルローズ系の膜を用いたときよく観察される現象である。その発生機序についてはCraddockの説など種々の報告がみられる。今回我々はラビットイヤーチャンパー法を用いて透析中の白血球動態の観察を試みたので報告したい。体重約3kgのウサギの耳介に全麻酔下でイヤーチャンパーを作製し, 毛細血管が十分に発達する4週間後にダイアライザーのミニモジュールを用いて体外循環を行いイヤーチャンバー内の毛細血管における血球の動態を顕微鏡で観察した。白血球は血管壁に沿って回転するように比較的ゆっくりと流れているのが観察されるが, regenerated celluloseを用いた体外循環では開始とともに視野内の白血球は急速に減少しその後2~3時間で再び出現するようになる。これは末梢血の白血球数の変動とも一致していた。少なくとも今回の実験では白血球の毛細血管内への凝集という仮説に対しては否定的な結果がえられた。
  • ―患者白血球の荷電変化による検討―
    早坂 勇太郎, 太田 和夫, 小路 久敬, 打越 由紀子, 峰島 三千男, 江良 和雄, 星野 敏久, 高橋 和雄, 寺岡 慧, 高橋 公太 ...
    1988 年 17 巻 1 号 p. 60-63
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    C/CA系のHD療法においてHD開始15-30分前後に補体活性化により患者白血球数が一過性に減少することが報告されてきた。一方、補体活性化作用のない抗OKT3モノクローナル抗体投与後も一過性の白血球減少を生じ、抗体結合後の荷電の変化によることも推察された。このため陽(陰)イオン交換樹脂を用いて白血球に対する吸着率を検討した結果、HD患者白血球では陰イオン交換樹脂に対する吸着率が高いだけではなく、正常白血球ではみられなかった陽イオン交換樹脂にたいしても80%以上の吸着率を示した。またHD患者白血球はHD開始15分前後に陰イオン交換樹脂に対する吸着率が低下し、この時期の患者血漿を正常白血球に添加、incubateすると正常白血球の陰イオン交換樹脂に対する吸着率が増加した。
  • 秋山 暢夫
    1988 年 17 巻 1 号 p. 64
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 内藤 明, 老沼 正芳, 酒井 清孝, 渡辺 哲夫, 今村 和夫, 鶴見 隆, 須磨 靖徳
    1988 年 17 巻 1 号 p. 65-68
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析中に体内電解質の移動を制御する方法の一つとして透析膜に荷電を付加することが有効と考えられる。本報では、血液透析膜を用いて、無機リンおよびナトリウムイオンの膜透過性、無機リンの溶質透過性. 膜表面電位(ζ電位)を測定し膜透過性と膜表面電位の関係を検討した。ζ電位は湿潤状態の中空糸透析膜1本について、流動電位測定装置を用いて中空糸内にKCi水溶液を圧入して測定した。無機リンの溶質透過係数は放射性同位元素で標識した32P-Na2HPO4 (5μCi/ml)の水溶液を中空糸透析膜1本に充填して一席時間透析を行い、中空糸内部の残存溶質濃度を測定して算出した。再生セルロース膜では、無機リンの総括物質移動係数および無機リンの溶質透過係数Pmに及ぼすζ電位の影響はない。PMMA膜では、ζ電位が無機リンおよびナトリウムイオンの総括物質移動係数および無機リンの溶質透過係数Pmに影響を及ぼしている。
  • K. TOTSUNE
    1988 年 17 巻 1 号 p. 69-72
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    In order to obtain the formula to calculate the Donnan ratio (R) from protein concentration in plasma (Ctp) and sodium concentration in dialysate (D[Na]), the experimental equilibrium dialyses were performed in vitro. The formula was represented as follows:
    R=1.0-αR×Ctp/D[Na] where αR is a constant.
    The values of αR varied with the measurement methods for Na and Cl. The results indicated that when the Donnan equilibrium phenomenon was discussed, Na concentrations measured by flamephotometry and Cl by potentiometric titration should be used after the correction as to the complex-binding to albumin, and also suggested that Na and Cl concentrations by Ion-Selective Electrode should be carefully dealt with.
  • 宮崎 高志, 寺町 教詞, 稲垣 豊, 天野 泉
    1988 年 17 巻 1 号 p. 73-76
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    装着型人工腎の開発は透析液や補充液等で小型化には更に問題がある。又一方では, 最近連続的に緩徐な除水方式が注目されている。
    そこで我々は, 血圧の変動の影響を受けにくいVeno-Venous (V-V)方式の連続血液濾過方式の装着型の人工腎を試作し, 問題点を検討した。
  • 阿部 町子, 浦野 壽夫, 鈴木 正司, 平沢 由平
    1988 年 17 巻 1 号 p. 77-80
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々は血液浄化膜において、血中溶存物質に対する吸着あるいは附着現象があること、又更にその膜吸着特性はかなり選択的なものであることを数々の実験で実証してきた。今回は更に5種類のイオン交換樹脂を用い吸着性の検討を行った。透析患者のプール血漿(生理食塩水で2倍に希釈)の中にイオン交換樹脂を加えて、室温下で2時間のインキュベーションを行った。そして30分、1、2時間ごとに各種溶質濃度の測定を行った。β2-ミクログロブリン(以下β2-M. G)に関して強い吸着を示したイオン交換樹脂が3種類(XAD-7, XAD-8, IRC-50)あった。また19当りの吸着除去量はXAD-7では0.90mg、XAD-8では0.36mg、IRC-50では0.30mgであった。又1回の治療でβ2-MG約200mgを除去するのに必要な樹脂量を算出してみるとXAD-7では2229であった。このことは吸着カラムの開発が十分期待できることを示唆している。
  • 峰島 三千男
    1988 年 17 巻 1 号 p. 81
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 吉田 正美, 田畑 陽一郎, 小林 弘忠, 添田 耕司, 林 春幸, 小高 通夫, 磯野 可一
    1988 年 17 巻 1 号 p. 82-85
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々が, Dextran sulfate-cellulose beadを充填したKNA-05を用い, 49才の女性に家族性高コレステロール血症(ヘテロ接合体)の治療を開始して2年5ケ月が経過し, この間, 2週に1回の吸着を55回施行した。導入時のTCは, 464mg/dl, LDL-C. 419mg/dl, apo-B 202mg/dlであつたが, 最近は各々, 251±4mg/dl, 208±9mg/dl, 133±2mg/dlと改善していた。血漿処置量3100mlで, 血清脂質は8.76±0.27g, LDLは7.72±0.295の推定吸着を得た。吸着前後の補体, プロスタグランジンの検討から, 生体適合性にも問題はなかった。又, 長期連用にても特別な副作用なぐ著しい臨床症状の改善をみたことから, 今後共, 有用性が期待できると考えられた。
  • ―その基礎的検討―
    金森 直明, 中島 豊, 衣笠 えり子, 中山 文義, 関口 高, 秋沢 忠男, 越川 昭三, 杉山 隆之
    1988 年 17 巻 1 号 p. 86-89
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    低分子ヘパリン(LH)の血液透析用抗凝固薬としての特徴を明らかにする目的で, in vitro, 動物実験でその効果を従来のヘパリン(OH)と比較検討した。実験はビーグル犬に中空糸型透析器を用いて血液透析を行い, 血中半減期, 透析可能時間, 血中抗Xa活性, 活性化部分トロンポプラスチン時間(APTT), セライト活性化凝固時間(CCT), 血小板数, 血中遊離脂肪酸濃度(NEFA)を測定した。血中半減期はOH, LH各々約100, 159分, 単回投与における透析時間はOH約290分, LH480分以上であった。同一の抗Xa活性下では, APTT, GCTの延長, 血小板活性化作用はLHでOHに比し有意に軽度で, NEFA上昇作用に差は認めなかった。in vitroにおけるトロンビン時間延長はLHでOHに比し軽度だった。以上よりLHはOHに比し種々の特徴を持ち, 特にCCT, APTT延長が軽度であることから, 出血性病変を持つ患者の抗凝固薬として期待される。
  • 山田 明夫, 壁井 信之, 高瀬 知子, 桜井 靖久, 木原 一彦, 石川 功
    1988 年 17 巻 1 号 p. 90-93
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    濾過膜の表面に運ばれる溶質、蛋白流束と血液中への蛋白質の拡散の流束とが均り合って、定常状態となり、膜面に蓄積した蛋白質のゲル層の厚さが一定となる。このゲル層が濾過効率に影響する。そこで濾液フラックスの時間変化、蛋白濃度の影響、T. M. Pとの関係を調べた。T. P. の低いものを除くとJUF*=klog (Tpw/Tp)の理論通りになる。濾液フラックスが安定するまでの時間はT. P. の低い実験ほど長くかかり、安定した濾液フラックスJUF*はT. P. の低い実験ほど高い値で安定を示している。T. M. Pとの関係では生理食塩水とは異なり、血液ではJUF*が一定値になったことは圧力による支配を脱し、濃度分極現象によって支配される状態になる。T. P. の高いものほど低い圧力で飽和し, その時のJUF*はより低い値を示す。T. M. Pの圧力支配をうけず、濃度分極現象によって支配される範囲が各T. P. には必ずある。そこでJUF*を上げるためにはT. M. Pを調整するのではなく、舅断速度γwを上げるべきである。
  • 村沢 恒男, 羽入田 陽一郎, 鈴木 攻, 上田 征夫, 原 文男
    1988 年 17 巻 1 号 p. 94-97
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎症(DN)による慢性腎不全(CRF)12例(DN群)につき血液透析(HD)施行時の心機能をSwan-Ganzカテーテルを用いて測定し, 心筋酸素消費量の指標とされるdouble product (DP), 左室収縮性を表わす左室仕事量(SWI)および血管反応性の指標としての全身血管抵抗係数(SVRI)の相互関係につき非DN性CRF18例(non-DN群)と比較検討を行った。各測定をHD開始前夢よび開始後1hrごとに行った結果, 1)HD前の各バラメーターは両群間には有意差を認めなかった。2)HD中のDPの変化率(%DP)とSWIの変化率(%SWI)との関係を総合すると, non-DN群よりも%DPの増加に伴う%SWIの増加率が低かった。3)HD中の%SWIとSVRIの変化率(%SVRI)との関係を総合すると, %SWIの増加に伴う%SVRIの増加率は正で, 負を示すnon-DN群とは有意差を認めた。以上から, DN群ではnon-DN群よりも酸素利用効率が低下して夢り, かつ除水に伴い減少する左室収縮性の代償機構も低下していることが示唆された。
  • 梅田 優, 海本 浩一, 泉 暢英, 上水流 雅人, 西尾 正一, 前川 正信
    1988 年 17 巻 1 号 p. 98-101
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    フレームレス原子吸光光度計をもちいて、健常者10例(1群)、透析をうけていないがアルミニウム(Al)製剤を投与されていない慢性腎炎患者27例(II群), CAPD患者7例(III群), HD患者30例(IV群)の血清Al (s-Al)及び赤血球内Al (RBC-Al)を測定した。HD患者ではs-Alとアルミゲル®の投与量とは正相関を示したが、RBG-Alは投与量と相関がなく、非投与群でも高値であった。RBC-APは、I群<II群<III群≒IV群の順に高値を示した。Al製剤非投与群の腎炎患者でもRBC内にAlをみとめたことは、Alの経路が、Al-製剤, 透析液以外にも存在し、RBCがAlの集積する細胞の1つであることを示唆した。
  • 松井 則明
    1988 年 17 巻 1 号 p. 102
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 宍戸 寛治, 雨宮 均, 大友 正浩, 橋本 泰樹, 衣笠 えり子, 秋沢 忠男, 北岡 建樹, 出浦 照國, 越川 昭三
    1988 年 17 巻 1 号 p. 103-106
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    安定期透析患者13名を対象に, β2-microglobulin (β25-MG)を代表とする低分子タンパク領域貯留物質除去を目的に開発されたセルローストリアセテート透析器FB-190U GAを用いて血液透析を施行し, その性能と安全性を検討した。
    透析開始30分後のUFRは30.3mlrmmHg・hr, β2-MGのsieving coeffident (SC)は0.52を示し, これらの治療中の低下は軽度であった。小分子量物質のクリアランス, 除去率は従来の透析器と同等以上の性能を示した。β2-MGのクリアランスは58.3ml/min, 除去率は63%に達し, 従来の各種血液浄化法に比して最も高いβ2-MG除去効果を示した。一方, 治療中の末梢泊血球数血小板数活性化補体の変動は軽度で, endotoxin混入による副作用もみられず, アルブミン喪失も軽微であった。本透析器の継続使用により血清β2-MGの維持レベルは急速に低下した。以上より, 本透析器はβ2-MG除去療法に極めて有用な透析器と考えられる。
  • 長野 豊美, 中島 正良, 杉崎 弘章
    1988 年 17 巻 1 号 p. 107-111
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    健常者リンパ球に慢性透析患者の動脈側血漿(透析前, 透析開始15分, 透析後)を加え幼若化反応を行なった。また, 透析前, 15分, 透析後血漿ならびに健常者血漿中のプロスタグランジンE2 (PGE2)を測定した。透析前血漿は健常者リンパ球のPHA, ConA反応を強く抑制した。同様に, 患者リンパ球にこの患者血漿を加えた場合, 患者リンパ球の抑制は認められなかった。前血漿PGE2が最も低い値を示した。
    透析前血漿中に幼若化反応の抑制を誘導する因子の存在ならびにこの抑制因子は透析15分以内に消失することが示唆された。なお, 健常者リンパ球と患者リンパ球では免疫反応への対応が質的に異なると思われる。血漿PGE2値と健常者リンパ球における抑制効果との相関は認められなかった。
  • 水口 潤, 川島 周, 斎藤 明
    1988 年 17 巻 1 号 p. 112-114
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    われわれは, 膜素材の違いによるβ2ミクログロブリン産生量の相違を検討する目的で, 各種ダイアライザー使用症例での透析後β2ミクログロブリン値の変動について検討した。対象は安定期慢性透析患者28症例であり, 透析膜としてキュプロファン, セルロースアセテート, EVAL, およびPMMA(B2)をそれぞれ7症例に使用し, 透析前, 終了時, 終了後1, 3, 6, 24時間後に血中β2ミクログロブリンおよび総蛋白を測定した。除水による濃縮の影響を避けるためβ2ミクログロブリン/総蛋白値をとり, 各症例とも透析前値を基準値とした変化率で経時変化を表した。いずれの透析膜使用群においても透析終了時, 終了後1, 3, 6, 24時間後のβ2ミクログロブリン/総蛋白値の変化率(%)には有意な変化は認られず, 透析中のβ2ミクログロブリン産生や, 膜素材の違いによるβ2ミクログロブリン産生量の相違はないものと考えられた。
  • 津田 彰一, 竹沢 真吾, 酒井 清孝
    1988 年 17 巻 1 号 p. 115-118
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ハイフラックスダイアライザを含む9種類の市販中空糸型透析器を用いて、牛血漿接触前後の透水能を比較・検討した。また、各種透析膜への牛血清アルブミン(BSA)吸着量を、放射性同位元素を用いて測定した。いずれの透析膜でも血漿接触後の純水濾過係数は低下した。低下の度合は膜材質や純水濾過係数の値によって異なる。各膜へのBSA吸着量はPMMA>EVAL・CA>RCの順である。BK-1.0に用いられているPMMA膜のBSA吸着量、透水能低下率はともに著しく大きかった。これは、膜の孔直径が大きいため、アルブミンなどが膜細孔内に進入し、膜細孔が狭窄したためと考えられる。EVAL膜はBSA吸着量が少ないにもかかわらず、透水能低下率は大きい。これは孔入口にタンパク質分子が入り込み、有効孔個数が減少するためと考える。透水能の低下とタンパク質の吸着には、いずれも膜構造が大きな因子になると思われた。
  • 稲垣 豊, 宮崎 高志, 天野 泉
    1988 年 17 巻 1 号 p. 119-122
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    症例ごとに電解質組成を変更して行う腹膜透析(個人処方PD)が、電解質・酸塩基平衡異常の治療に有効である事が判明した。9例の代謝性アルカローシスに対しては、生理食塩水をベースにした液を用いてPDを行う事により(生食PD)、pHおよびBEを正常化させる事ができた。1例の高Na血症には灌流液のNa濃度を下げ(低Na・PD)、又2例の低Na血症には灌流液のNa濃度を上げる事により(高Na・PD)、各症例の血清Na濃度を正常化させた。2例の乳酸アシドーシスには蒸留水と10% NaC1と7%NaHCO3を混合した液を用いたPD(重曹PD)を施行し、代謝性アシドーシスとショックを改善する事が可能であった。
  • 酒井 清孝
    1988 年 17 巻 1 号 p. 123
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • (生体適合性を中心として)
    荘野 忠泰, 稲垣 王子, 長坂 肇, 藤田 嘉一, 井上 聖士, 森 頴太郎, 平林 俊明, 申 曽株, 宮本 孝
    1988 年 17 巻 1 号 p. 124-127
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    7名の慢性血液透析患者に対して再生セルロース膜(RC膜), セルロースアセテート膜(CA膜), ポリアクリロニトリル膜(PAN膜)の三種類の蛋白濾過膜を使用し血液透析および血液濾過透析を行ない, 生体適合性, 小分子除去能および低分子蛋白除去能の比較検討を行なった。総白血球数は, 透析開始15分後において三種類の膜ともに低下を示し, その低下の程度はRC膜, CA膜, PAN膜の順に強かった。血小板数およびPaO2は, 三種類の膜ともに著明な変動を示さなかった。C3aの変動は, RC膜, CA膜, PAN膜の順に強かった。また顆粒球エラスターゼは, 透析開始180分後において三種類の膜ともに上昇を示したが, 膜による差は認めなかった。BUN, UACおよびCRNのクリアランスは, 三種類の膜で大差を認めなかった。また1回の血液濾過透析におけるβ2-ミクログロブリンの排泄量は, PAN膜, RC膜, CA膜, の順に多かった。今後, 蛋白濾過膜の長期使用に際しては生体適合性を含めた総合的な評価も必要であると思われた。
  • 永井 哲士, 小林 力, 奥山 寛, 高橋 健, 秋沢 忠男, 北岡 建樹, 越川 昭三
    1988 年 17 巻 1 号 p. 128-131
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来の再生セルロース(C)膜の補体活性基であるOH基を、diethylaminoethyl基で置換し、補体活性化作用の減弱した、改質セルロース膜に低分子タンパク領域物質に対する透過性能を付与した多孔化改質セルロース膜透析器の臨床評価を行なった。小分子量物質に対する除去能は、C膜と差は認められなかった。UFRは当初12.8ml/mmHg・hrを示したが、透析終了時には約23%低下した。β2-microglobulin(β2M)のSCは約0.3で、透析経過中有意の低下はみられず、約18%の除去率が得られた。透析中有意の自血球、血小板の低下は認められず、補体活性化もC膜に比べ軽度であった。アルブミンの漏出はみられず、約3ケ月間の臨床使用により、β2Mは約15%低下した。試験期間中、透析器に起因する副作用は認められなかった。以上の成績より、本透析器はC膜の長所を保持したまま、β2M除去能は向上、補体活性化は抑制され、今後C膜に代わり幅広い臨床使用が期待される。
  • 藤田 芳郎, 新里 高弘, 高井 一郎, 小早川 裕之, 小沢 裕子, 前田 憲志
    1988 年 17 巻 1 号 p. 132-135
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    持続性低血圧症を呈する長期透析患者に対してL-carnitineを投与し, その有効性を検討した。28人の長期透析患者をL-carnitine(1200mg/日)を12週間投与した群とコントロール群との2群に分けた。L-carnitine投与開始4週以後で, 血漿L-carnitine濃度は, 投薬群ではコントロール群より有意に高くなった。脈拍及び体重については両群間で全期間を通じて有意差はみられなかった。中性脂肪, 遊離脂肪酸に関しても, 両群間で有意差は見られなかったがケトン体は, L-carnitine投与開始8週以後で, 投薬群ではコントロール群より有意に高くなった。以上よりL-carnitine投与はエネルギー代謝を改善し, 持続性低血圧を呈する透析患者の血圧改善に有効であると考えられる。
  • 高井 一郎, 小川 洋史, 斎藤 明, 片岡 浩, 国友 哲之輔
    1988 年 17 巻 1 号 p. 136-139
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    長期透析患者においては, Alの蓄積が問題となっており, これに対しては, Deferoxamine (DFO)投与が有効な治療法とされている。ところが, DFOには多くの副作用も認められ, いまだ適切な投与量が確定していない。今回われわれは, I群:週1回0.5g投与 II群:週2回0.5g投与, の2群に分け, それぞれの群に対してBK-1.0H(PMMA膜)を用いたHDにて, Alの除去を試みた。DFO濃度は, I群において, 投与後1週間では, 186±37.8μg/l, 8週間では151.7±73.1μg/lとなり, 蓄積傾向は認めなかった。これに対し, IIにおいては, 投与後8週間で平均400-500μg/レベルまで上昇し, 蓄積傾向が認められた。Al度は, DFO治療により, 低下傾向を示したが, 両群間には有意差を認めなかった。以上より, 副作用という問題を考え合わせるとDFOは週1回0.5g投与するのが長期治療において適切であると考える。
  • ―volume reservoirのgas圧制御―
    寺町 教詞, 稲垣 豊, 宮崎 高志, 天野 泉
    1988 年 17 巻 1 号 p. 140-143
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Single needle dialysis(SND)は無効血流と再循環現象の為にdouble needle dialysis(DND)に比べ透析効率が劣る。我々は既にSND用のvolume reservoir(VR)を開発し透析効率をかなり上昇させる事は既に報告した。今回はSNDの効率をさらにDNDに近づける為に、V phaseにおいてVRに貯留した血液を設定上限V圧に達すると同時にgasの圧力によってできるだけ短時間に体内へ返す装置を開発した。従来の装置のballoonの収縮は自らの復元力に依存していたので、V phaseの時間を長くとらなければならなかった。しかし、今回の装置においてはV phaseを短くする事が可能となったのでそれだけA phaseの時間を長くする事ができ、効率はさらに上昇した。雑種犬を用いた耐久テストにおいても5時間以上の使用中にballoonが破裂する事はなかったが、安全性の為にgasはCO2が望ましいと思われた。
  • 後藤 健, 岩本 忠彦, 佐藤 卓, 前島 俊一, 杉田 栄一, 中川 成之輔
    1988 年 17 巻 1 号 p. 144-147
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    長期透析患者の合併症の一つの原因として透析膜を中心に生体適合性の問題が挙げられる。酢酸は従来酢酸不耐症として、透析困難症の一因とされ、短期的問題に注目されたが、最近は生体適合性の面から注目されている。
    今回、透析液をBuffer freeとし高濃度の重曹を置換液として用いるAcetate free biofiltrationを施行し血液透析、従来のbiofittrationと比較検討した。
    透析液の組成は、Na 125, K 2.0, Ca 3.5, Mg 1.0, Cl 140mEq/L, Glu 100mg/dl, 置換液の組成は、Na 250, HCO-3250mEq/Lとし置換液量3L, 血流量30dml/minの3時間のsoft HDFを施行した。
    4時間透析、4時間biofiltraionと溶質除去において有意差無く、酸塩基平衡の改善も適性範囲に維持され、血管安定性も良好であった。
  • 山上 征二
    1988 年 17 巻 1 号 p. 148
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 谷口 昌弘, 松原 正和, 阿部 弥生, 打田 和宏, 阿部 富彌, 佐野 嘉彦, 上田 満隆
    1988 年 17 巻 1 号 p. 149-152
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来の透析液供給装置の安全性をより高め、コンピュータを塔載し小型化を計った供給装置を開発した。従来のバッチ式供給装置で培ったノウハウを活かして装置を設計した。ハードウエア部分として、希釈水の連続加温脱気を行ない小型化した。また、透析液調整部は二重化してフェイルセイフ化を計り安全性を高めた。制御部分にCPUを塔載し、自已診断機能など従来装置で実現しえなかった数々の機能を盛り込んでいる。カラーCRTで運転状況をモニターでき、透析液電導度および温度の経時変化や、トラブルシューティングが表示され対話形式で操作ができる。
    重炭酸透析液で安定性の指標となるpH・HCO3-・Ca2+およびNa値は安定しており、臨床使用において安全に使用できることが確認できた。
  • 辻 楠雄, 水町 彰吾, 中村 晃忠
    1988 年 17 巻 1 号 p. 153-156
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    逆浸透(RO)水を充填してある(Wタイプ)と, RO水を充填していない(Dタイプ)の2種類のポリサルフォン中空糸型血漿分離器に, 1.5, 2.5, 5.0及び10Mradのγ線を照射して, 血漿分離器の種々の化学・物理的影響について実験を行った。
    中空糸の121℃, 60minの溶出液では, 2.5Mradの照射で紫外部吸収スペクトルと過マンガン酸カリウム還元性物質が何れも最大値を示し, 10Mradで再び増加した. Wタイプの紫外部吸収スペクトルと過マンガン酸カリウム還元性物質は, 各線量ともDタイプのものより高い値を示した.
    線量の増加にともない, 中空糸の引張り強度と伸びは減少し, Wタイプは, Dタイプに比べて顕著な減少を示した.
  • 天野 泉, 宮崎 高志, 稲垣 豊
    1988 年 17 巻 1 号 p. 157-160
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々は, 位置移動の防止を目的とした新しいCAPDカテーテルとしてウイング状変形部付ストレート型カテーテルを考案した。このカテーテルは挿入操作の面ではストレート型カテーテルと同様であり, 極めて容易である。今回, 1年以上の挿入例10例における臨床経験において, カール型やストレート型カテーテルより位置移動が最も少いことが実証された。又, 挿入1年後の症例において, 造影剤使用によるカテーテル管内撮影を行したが, ウイング間隙部や側孔の閉塞は全くみられなかった。
  • Shinichi HOSOKAWA
    1988 年 17 巻 1 号 p. 161-164
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Silicon intoxication causes nephropathy, neuropathy, liver diseases and other diseases in chronic hemodialysis patients, however silicon (Si) is an essential trace elements for human growth. Changes of serum silicon levels in sixty chronic hemodialysis patients by dialysis were studied. Kinetics of Si transport during hemodialysis were examined in 60 patients who were received three times a week, a 5-hour dialysis using hollow fiber dialyzer with cuprophan and cellulose acetate membrane. Si levels of city water were 64.5±22.6μg/dl and final dialysate Si levels were 6.6±3.1μg/dl. Ultrafiltrate Si is free diffusible Si in serum during hemodialysis. Ultrafiltrable Si levels (6.5±1.8μg/dl) approximately equal to dialysate Si levels (6.5±2.4μg/dl). Therefore, diffusion of Si was little from dialysate to blood or blood to dialysate as free diffusible Si levels were approximately same as utrafiltrate Si levels in 60 patients. Eighty to two hundred and forty μg Si were liberated from silicon tube during a 5-hour hemodialysis. However, liberation of Si from dialyzer membrane was not found when dialyzers were washed out with about 2, 000ml normal saline before dialysis. Serum Si levels significantly (p<0.01) increased from 67.1±25.4μg/dl before HD to 77.4±22.8μg/dl after dialysis. Total protein values significantly (p<0.01) increased 6.2±0.6g/dl to 6.8±0.6g/dl. These results indicate that serum Si levels increased due to hemoconcentration and liberation of silicon tube dusing dialysis.
  • 佐藤 恵子, 知久 友子, 竹田 達道, 堀尾 哲一郎, 高井 信治
    1988 年 17 巻 1 号 p. 165-168
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    CAPD療法で重篤な合併症である腹膜炎について, 小分子物質領域において何らかの差異を見出すため高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略す)を用いて, 強塩基性陰イオン交換樹脂カラムによる分析をCAPD排液で試みた。その結果, 腹膜炎排液では非腹膜炎排液に比して増大するピーク(B)と滅少するピーク(C)が認められた。これにより, これらのピークが腹膜炎時の代謝系となんらかの関連があることが示唆された。又, これらのピークの分離及び同定を試みた結果, ピーク(B)は2種類あることが確認された。ピーク(C)はガスクロマトグラフィーマススペクトロメトリー(以下GC-MSと略す)により, フラン環化合物であるフロイルグリシンであることが判明した。このように, HPLC手法を用いたCAPD排液分析により, 未知・不特定物質の解析が可能となり病態把握の指標の検索に期待がもたれると考える。
  • 小野 利彦
    1988 年 17 巻 1 号 p. 169
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―イヌ初代培養肝細胞を用いた積層型人工肝モジュールの作成―
    船津 昭彦, 橋村 悦朗, 熊谷 文昭, 円谷 敏彦, 駒井 喬, 今 忠正, 中村 敏一
    1988 年 17 巻 1 号 p. 170-174
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    成犬肝臓よりin situコラゲナーゼ灌流法を用い, viableな成熟イヌ肝実質細胞を得た。分離肝細胞をコラーゲンコートした巾10cm, 長さ20cmのガラス薄板に飽和密度で播種し, 初代単層培養を行なった。この初代培養イヌ肝細胞ユニットを200枚積層して, 成犬肝の約1/3に相当する約60億個の肝細胞を組み込んだロングストローク型モジュールを作成した。モジュール内の肝細胞は灌流培養下で全て元気に生存し, 糖新生能, 尿素合成能, アルブミン合成分泌能などで調べた肝機能も少なくとも2週間の長期間, in vivo肝臓に匹敵する高レベルで発現維持することを明らかにした。また, モジュール内の肝細胞はホルモン添加の合成培地のみならず, イヌ血漿で灌流培養を行なっても同様, 長期間の機能維持が可能であることもわかった。すなわち, イヌ肝細胞初代単層培養法を用いた積層型ハイブリッド人工肝臓は従来にない生体肝の機能を有する画期的な人工肝臓であることが明らかになった。
  • ―イヌ初代培養肝細胞積層型モジュールの無肝犬への応用―
    熊谷 文昭, 圓谷 敏彦, 中島 保明, 長谷 泰司, 柿田 章, 内野 純一, 船津 昭彦, 橋村 悦郎, 駒井 喬, 今 忠正, 中村 ...
    1988 年 17 巻 1 号 p. 175-178
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    初代培養肝細胞を利用した人工肝臓を製作し、肝全摘犬を用いて機能評価を行った。モジュールには肝細胞が分離培養された硼珪酸ガラス、200枚を積層され、その肝細胞総数は60億個、細胞総重量は約70-80gである。モジュールはプラスマセパレーターによって分離された血漿と、あらかじめリザーバーに蓄えられた血漿によって灌流される。非処置対照群の平均生存時間21.5時間に対し、人工肝灌流群では平均53.3時間、最長65時間を記録した。APTT活性値、血清アルブミン、アンモニァなどの成績も極めて良好な値を維持していた。人工肝モジュール内の肝細胞は、65時間の実験後も形態、機能とも良く保たれていた。
    これらのことから、本モジュールは高度の蛋白合成能、解毒能を有していることが確認された。
  • ―肝細胞の三次元培養の試み―
    真治 紀之, 小出 典男, 小川 晃, 田辺 高由, 浅野 健一郎, 荒木 康之, 辻 孝夫
    1988 年 17 巻 1 号 p. 179-182
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    肝小葉内間質物質の構成成分, コラーゲン・糖蛋白・プロテオグリカンをそれぞれ培養基質とし、無血清培地下に培養して機能維持, 増殖能に及ぼす効果につき検討した。コラーゲン・糖蛋白では肝細胞は単層を形成したが、プロテオグリカンでは球状に集簇した浮遊細胞集団(Spheroid)を形成した。Spheroidは、Monolayerに比較して長期にわたり良好なアルブミン分泌を認めた。そして細胞増殖能は、Monolayerに比較して低値を示した。Spheroidは、生物学的人工肝作製に際し応用可能な培養系であると思われた。
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