人工臓器
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19 巻 , 3 号
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  • 浜田 良機
    1990 年 19 巻 3 号 p. 995
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 岩谷 文夫, 猪狩 次雄, 阿部 俊文, 萩原 賢一, 丹治 雅博, 佐戸川 弘之, 渡辺 正明, 緑川 博文, 星野 俊一
    1990 年 19 巻 3 号 p. 997-1001
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    全国36施設において行われた日本ゼオン製補助心臓使用61症例の臨床試験成績について報告した。61症例の適用の内訳は, 体外循環離脱困難39例, 術後低心拍出量症候群19例, 急性心筋梗塞による低心拍出量症候群2例, その他の心原性循環不全が1例であった。疾患例では, 虚血性心疾患, 弁膜疾患がそれぞれ38例, 22例であり, 補助形式は左心補助が53例(87%)で, 人工心臓を用いた両心補助は2例(3%)であった。34例(56%)は補助心臓から離脱でき, 13例(21%)に長期生存が得られた。離脱に関しては, 人工心肺時間, 適用決定から適用までの時間が問題で, 適用の早期決断, 迅速適用が重要と考えられた。弁膜疾患に比し虚血性心疾患の成績は良好であった。補助心臓の使用期間については, 3日から10日以内の使用例の成績が良好であった。補助心臓が直接関与したと思われる副作用は認めなかった。日本ゼオン製補助心臓は有力な不全心治療手段と考えられた。
  • 徳永 皓一, 川内 義人
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1002-1006
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工弁の耐久性と抗血栓性及び再弁置換について教室の成績を総括し、人工弁の将来についても展望した。大動脈弁単弁置換での血栓塞栓症(TE)の発生は、機械弁9例12回(2.5±0.7%/P-Y)、生体弁2例2回(0.5±0.3%/P-Y)に認められた(p<0.01)。人工弁機能不全は、機械弁1例(0.2±0.2%/P-Y)、生体弁5例(1.2±0.5%/P-Y)に認められた(p<0.05)。遠隔期の薬物療法を全く行わず社会復帰している率は、機械弁群2.9%、生体弁群37.7%であった(p<0.0001)。僧帽弁単弁置換でのTE発生は、機械弁11例19回(4.1±0.9%/P-Y)、生体弁21例27回(2.2±0.4%/P-Y)に認められた。人工弁機能不全は、機械弁2例(0.4±0.3%/P-Y)、生体弁24例(2.0±0.4%/P-Y)に認められた(p<0.01)。右心系弁置換での人工弁機能不全は生体弁1例(0.5±0.5%/P-Y)、機械弁4例(7.3±3.6%/P-Y)に認められた(p<0.04)。弁関連合併症は生体弁1.9±1.0%/P-Y、機械弁9.1±4.1%/P-Yであった(p<0.001)。再弁置換術では、二弁置換例57%(8/14)、単弁置換例21%(11/53)が死亡し、両群間の生存曲線に有意差を認めた(p<0.001)。生体弁PTFに対する単弁再置換の5年生存率は96±4%であった。左心系の機械弁では優れた耐久性が確認され、生体弁では8年を過ぎる頃からPTFの発生が加速度的に多くなった。右心系の機械弁は血栓弁の発生が多かった。PTFに対する単弁再置換の予後は良好であった。以上の結果から、大動脈弁単弁置換及び右心系弁置換では生体弁の利点(抗血栓性)を生かせるものと考えでいる。
  • 中野 清治, 渡辺 直, 北村 昌也, 八木 葉子, 椎川 彰, 平田 欽也, 遠藤 真弘, 橋本 明政, 小柳 仁
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1007-1010
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1978年7月より1988年12月までの11年間に、1199例に対しSt. Jude Medical弁による弁置換手術をおこなった。内訳は大動脈弁置換術(AVR)342例、僧帽弁置換術(MVR)567例、二弁置換術(DVR)181例、その他であった。遠隔死亡例は50例で、実測生存率はAVR 11年86.1%, MVR11年93.8%, DVR10年93.3%であった。血栓症はAVR1例、MVR2例。血栓塞栓症AVR10例(0.78%/pt-yr)、MVR24例(1.08%/pt-yr)、DVR4例(0.57%/pt-yr)。出血性合併症MVR1例。人工弁感染AVR3例、MVR1例、DVR2例。溶血MVR7例、DVR1例であった。再手術はAVR1例、MVR12例、DVR1例に行った。11年間のSJM弁の大動脈弁及び僧帽弁位における機能は満足のいくものであり、今後も使用していく方針である。今後の課題として、三尖弁位における有用性ならびに妊娠可能な女性に対する適応が考えられる。
  • 武内 敦郎, 佐々木 進次郎, 大関 道麿, 酉本 泰久
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1011-1015
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    最近の電気工学技術の発達により、ペースメーカーの性能向上・長寿命化と小型化が進み、心房心室が同期する生理的ペースメーカーとしてDDD型が繁用されている。心室ペーシング(VVI)とDDDを比較して、従来後者が血行動態的に優れていることを認めていたが、今回最長20年、432例の植込み例の観察により長期予後を比較した結果、生存率はSSS例の生理的ペーシングが、非生理的ペーシングより有意に優れていた。また血栓塞栓症の発生やそれによる死亡は、生理的ペーシングにおいて少なく、よく防止されていた。その理由としてDDDでの房室同期性が左房内の血液停滞を解消し、また心房のオーバードライブ効果が心房細動発生を防ぐなど、左房内血栓の形成を抑制する効果があると考えられた。今後はDDDに心拍応答型のセンサーを組み合わせたDDD. Rも、正しい適応決定によってペースメーカー治療の効果を一層上げることが期待される。
  • 田中 茂夫, 池下 正敏, 浅野 哲雄, 小坂 真一, 佐々木 建志, 新田 隆, 加治 正弘, 朽方 規喜, 保坂 浩希, 別所 竜蔵, ...
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1016-1019
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    教室におけるペースメーカー植込み症例は650例を数える。そのうち生理的ペーシングが150例, 非生理的ペーシングが400例, レート応答型ペーシングが100例である。これらのペーシングの様式別の生命予後を相対生存率で比較すると, AAIRが最もすぐれ, ついでDDDペースメーカーによる生理的ペーシングがすぐれ, いずれも一般人の平均余命を上回る100%以上の相対生存率が得られた。VVIRと非生理的ペーシング(VVI)がこれに続き, これらは一般人とほゞ等しい100%の相対生存率がえられた。しかしながらアンケート調査による生活予後ではレート応答型は固定レート型に劣った。
    植込み型除細動器は教室の1例を含めて我が国では7例と少ないが, 欧米ではすでに8,000例以上の臨床使用が報告されている。現在我が国でも臨床試験の準備が進められており, いずれは症例数も増すものと期待される。
  • 小松 作蔵, 小柳 仁
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1020
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 寺本 滋
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1021-1024
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工肺は人工心(ポンプ)と組合されて開心術を目的として飛躍的に発展してきたものである。現在用いられている人工肺としては気泡型人工肺と膜型人工肺が挙げられ、前者は酸素加効率がよく、取扱い操作が容易である点が特徴とされ、後者は生体肺に似た機構を有し血液の損傷の少ないことが特徴である。
    臨床的使用に際しては特に差を認めない程度の性能を有しているが近年、膜型肺の使用施設数が気泡型を凌駕するようになってきたがこれは種々の点でその特徴が認められたためと考えられる。この特性を利用して急性呼吸不全に対しての応用が注目されECMOとしてとくに幼小児を対象として成果がみられるようになってきた。教室においては膜型肺の試作および実用化に取組んできたが、より性能のよい透過膜の開発が期待されるものであり現在の多孔質膜と均質膜の特徴を併せた複合膜もその1つでありEngineer sideの努力に期待したい。
  • 阿岸 鉄三
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1025-1027
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    わが国における慢性腎不全に対する人工腎治療の普及は、目ざましく総数80,553人、人口100万人当り652人(1988年末現在)の維持透析患者がいる。欧米に対比して、わが国における慢性腎不全治療の特殊性は、(1) 治療を受けている患者の人口対比数の大きなこと、(2)腎移植に対するよりも透析療法に依存する度合の大きなこと、(3) 人工腎臓として応用されている血液浄化技術が多様であることである。しかし、透析患者の一年生存率は、過去数年にわたり向上がみられない。長期患者に特有な合併症・偶発症のうち予防・治療できるのは、人工腎臓の機能改善の結果としてはなく、補助的な薬剤療法・外科治療の開発の結果として遂行できるようになったのである。慢性透析患者の死亡原因の頻度を見ると、心不全と脳血管障害で49.4%を占め、脂質代謝異常と、それに由来する動脈硬化性病変への医療的対処が必要であると考えられる。
  • 平澤 博之, 菅井 桂雄, 大竹 喜雄, 織田 成人, 志賀 英敏, 松田 兼一, 北村 伸哉, 田畑 陽一郎, 小高 通夫
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1028-1032
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    急性肝不全(AHF)に対する人工肝補助療法(ALS)を検討する場合, まずその開始基準の検討が必要である。AHF患者における肝機能を評価するには肝細胞機能を示す指標をもふくめて総合的に評価すべきであり, 我々の現時点でのAHFに対するALS開始基準は, 1) 動脈血中ケトン体比<0.7 2) ヘパプラスチンテスト<30%, ないし総ビリルビン値>5mg/dl, 3) 意識レベルの低下ないしosmolality gap>2mOsm/kg・H2Oであり, 1), 2), 3)の全てを満した場合ALSの適応としている。ALSとしては, 初回は血漿交換(PE)を行い, その後は, ヘパプラスチンテスト>30%となり, ビリルビン値>20mg/dlなら血漿吸着(PA)を,ヘパプラスチンテスト<30%なら再びPEを行うことにしている。そしてPEやPAを行っていない間は, 血管外プールの大なる物質の連続的な除去を企図して, 持続的血液濾過(CHF)を施行している。
  • 江口 昭治, 太田 和夫
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1033
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 松田 武久
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1034-1041
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    本研究では(1) 人工血管の創傷治癒過程における細胞社会と組織再構築を内腔面と外側面から概論し、(2) これらの時変数的な動的変化は同種及び異種の細胞コミュニティのinterplayによることを説明し・(3) interplayの基礎となる細胞外環境の設計が材料学的要素技術であることを提案した。(4) 細胞接着レセプターを分子認識する人工基底膜及び人工細胞外マトリックスの分子設計を紹介した。(5) より能動的なBioactive材料設計には液性因子(成長因子、新生血管誘導因子、遊走因子)を活性させる設計概念が組込まれていることが必要であり、組織工学や器官工学の基盤技術になることを強調した。
  • 赤池 敏宏
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1042-1046
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    多くの臓器を対象に人工臓器研究が活発化しているが、肝臓の代謝機能は非常に高度で多角的であるので、その機能を完全に代行する人工臓器の実現は、事実上不可能である。そこで、肝実質細胞を適当なマトリックス上で培養して装置に組み込み、高級な機能をほとんど丸ごと利用し、さらに細胞機能の制御を目指そうというハイブリッド型人工肝臓の研究が展開されている。そのためには、高分子材料設計により、必要に応じて肝細胞の特異的な接着・伸展・分化機能発現・長期生存と増殖を制御することが可能とならなければならない。筆者らは、肝実質細胞の有する物質を取り込むアシアロ糖タンパクレセプターに着目し、対応するリガンドモデル高分子(ガラクトース側鎖を有するポリスチレン誘導体)の設計と細胞接着用基質への転用に成功した。この培養系に更にEGF等を添加することにより、球形状態であった細胞の多数が集合した、より長時間培養の可能な高密度培養系へ変換させることも可能となった。
  • 雨宮 浩, 岩田 博夫
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1047-1050
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工臓器の自己化を臓器移植との対比で考えた。臓器移植の場合Hostと移植臓器の主要組織適合抗原複合体(MHC)が同じであるほど、移植臓器は生着すなわち自己化されやすい。人工材料の生体適合性について熱心に検討が行われたにもかかわらず、臓器移植のMHCに相当する決定的な因子は見つかっておらずまた今後とも見つかることはないであろう。臓器移植ではMHCが一致しない場合免疫抑制剤を用いて、強制的に移植臓器の生着を試みている。人工臓器で移植の免疫抑制剤に相当するものは、抗凝固剤や抗炎症剤であるが現在のところ人工臓器の自己化にそれらの薬剤がそれほど決定的な役割をはたしているとはいいがたい。今後人工臓器の自己化を行なうため薬剤の使用方法の研究さらに新しい薬剤の開発が望まれる。最近の試みとしては、人工皮膚や人工血管のように人工材料と自己細胞をハイブリッド化し自己化を促進する試みがある。また未だ試みの段階であるが、患者の細胞へ正常遺伝子を組み込む遺伝子レベルでの自己化の試みがある。今後はさらにこれら自己化された細胞と人工材料を組み合わせて臓器の再構築が行ないin vitroですでに自己化された人工臓器が作製されるであろう。
  • 桜井 靖久, 七里 元亮
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1051
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 笹嶋 唯博, 久保 良彦, 小窪 正樹, 和泉 裕一, 堀尾 昌司
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1052-1055
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    保存ヒト臍帯動脈(PHUV)、自家静脈、Solcograft-P、Bovine graft (Sawyer)、Sparks madril、Ovine collagen graft (omniflow)などの移植graftの解析から新しい小口径人工血管開発の方向を検討した。自家静脈の治癒過程を参考に条件を求めるならば、内皮細胞化とそのための必須の組成として基底膜(BM)の存在が指摘される,PHUVはBMを保持する部分の血液適合性は良好であるが、多くはそれを欠如し、吻合部内膜肥厚(AIH)が発生して閉塞する。AIHには2つの形がある。Compliance Mismatchは吻合部から5mm範囲の宿主動脈に限局したAIHを発生するがこの頻度は少ない。PTFEやPHUVに見られる通常のAIHは縫合線を含んでgraft側に1cmの範囲に見られるもので、graftの血液及び組織適合性に起因するものである。このAIHがSmooth surface人工血管の最大の問題であり、AIH防止には吻合部にneointimeを形成させる必要があるが、それには血液及び組織適合性兼備したBMの存在が不可欠と思われる。
  • 佐久間 まこと, 西部俊 哉, 安田 慶秀, 田辺 達三, 林絃 三郎
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1056-1059
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    理想的人工血管開発へのアプローチとして、抗血栓性、器質化特性、弾性特性の面から人工血管の性能評価を行った。検討対象として抗血栓性に優れ、ヒト動脈とほぼ同様の柔軟性を有する、segmented polyurethane graft (SPG)とexpanded polytetrafluoroethylene (EPTFE) graftとを用いた。抗血栓性の評価法として111I:diumoxineによる血小板シンチを応用し、人工血管表面に取り込まれる血小板countと血中血小板countとの比からグラフトの抗血栓性を比較した。柔軟性の検討としてレーザーによる微小変位計測装置を用いて移植前・後のグラフトのstiffness-parameter βを測定した。SPGはEPTFEと比較して血小板の付着は若干多い傾向を示したが有意差はなく、3ヵ月における開存性はEPTFE25%に対してSPG50%と良好であった。開存性には抗血栓性のみならず治癒特性が重要と考えられる。SPGの柔軟性は移植後3か月の時点でもよく維持されていた。
  • 井島 宏, 斉藤 大, 村井 正, 榊原 謙, 筒井 達夫, 三井 利夫, 堀 原一
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1060-1063
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    小口径動脈と静脈を除けば, 人工血管に問題は少なくなったとの印象があるが, 臨床外科的には未だに多くの解決すべき問題を指摘できる。
    1) 大動脈で, low porosity woven Dacronを用いる場合には, この人工血管の硬さのために縫合は困難で, 組織との密着性が悪いこと, 血液凝固系との関係でextra-low porosityと称されるそれでも, アルブミン加工などの補助的処置を必要とする場合があること, また長期的にも仮性内膜は不整で, 内皮細胞様細胞の増殖は期待できないことなどが挙げられる。
    2) 大腿動脈領域に用いられてきた人工血管には, Dardick biograft, EPTFE, Dacronなどがあるが, これらのうちで自家静脈に匹敵する遠隔開存成績を挙げ得たのはSauvage EXS knitted Dacronのみである。しかし, これも末梢側吻合部が膝上部までであり, 血流速度が重要な開存率向上因子であろうと考えられる。この領域のEPTFEの晩期成績には, 吻合部内膜肥厚が大きく関与し, 抗血栓性とbiocompatibilityの適当な配分を考慮せねばならないと思われた。
    3) 静脈用人工血管としては, ほとんどの施設がEPTFEを用いているが, 好成績は大静脈領域のみである。抗血栓性があるとはいえ, 血流速度が遅いと早期閉塞もあるため, 動静脈瘻などの補助手段を要する。
  • 高木 淳彦, 白川 元昭, 進藤 俊哉, 大島 哲, 宮田 哲郎, 江上 純, 古屋 隆俊, 高山 豊, 佐藤 紀, 多田 祐輔, 出月 康 ...
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1064-1068
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    小口径人工血管については, 今日もなお、長期開存性をもったものはない。最近、人工の合成繊維と生体由来の血管内皮細胞とをくみあわせたハイブリッド型人工血管が注目されている。そのin vitroにおける作成方法として、preclotting法、回転法、還流法、filtration法などがおこなわれているoいずれも血管内皮細胞や血管平滑筋細胞の培養技術を応用して、生体のもつ構造を人工血管にくみこむ方法である。血液と細胞浮遊液との混合を基本とするpreclotting法、細胞浮遊液を人工血管内にみたして回転を加える回転法、更に還流を付加してよりよい生着をはかる還流法、大量培養を前提として細胞の人工繊維との密着と単層形成をめざすfiltration法と、それぞれ一長一短がある。今後、素材の追究とともに、培養条件、ハイブリッド化の方法の改良など検討を重ねることによって、人工血管の新たな動向として発展していくものと考える。
  • 内田 發三, 臼井 由行, 寺本 滋
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1069-1073
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々の施設では、従来よりporosityが高いほど良好に器質化するというWesolowskiの理論に基づき、血行再建にはporousなDacron人工血管を使用してきた。すなわち、胸部大動脈の再建にはporosityが300ml以下のwoven Dacron人工血管を、腹部大動脈以下の末梢動脈にはporosityが2000~3000mlのweft-knit Dacron人工血管を用いてきた。これらの成績は概ね良好であった。様々な動物実験や臨床データから、当科でも人工血管の選択について、新しい動きがみられる。すなわち、胸部・腹部大動脈には従来のwovenやknitted Dacron人工血管にアルブミン・オートクレイブ法やフィブリン糊でpreclottingを行って使用し、腹部大動脈や腸骨動脈にはexternal velour warp-knit Dacron人工血管を使用し始めている。また、大腿動脈以下の末梢動脈の再建にはexternally supported Dacron人工血管の使用も試みつつある。
  • 佐藤 伸一, 丹生 智史, 岡 隆宏, 車谷 元, 渡辺 幸二, 野一色 泰晴
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1074-1077
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    市販されている小口径人工血管は反省期にあり、さらに最良のものとされている自家静脈も晩期閉塞が多く、検討が加えられているのが現状である。そこで長期の良好な開存を示す小口径人工血管の開発が望まれる。
    我々は生体との親和性を重視して人工血管を作成してきた。それは自己のコラーゲンを多く含み、血管壁再構築に必要な細血管をも豊富に有するように超極細ポリエステル繊維を骨格として使用した結合織管である。この人工血管の特徴はangiogenesisがin vivoで容易に形成され、治癒そのものが非常に早いことにある。しかし移植当初は抗血栓性がないため、移植早期にのみ抗血栓性を賦与する方法を考案して、我々は小口径結合織人工血管を開発した。このような生体の動向を、あるいは治癒を引き出すような人工物がこれかちの人工血管の材料となると思われる。
  • 小関 英一, 松田 武久, 阿久津 哲造
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1078-1082
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血小板の粘着・凝集は、接着性蛋白質を介して引き起こされる。これは、活性化された血小板表面に接着性タンパク質の一部のアミノ酸配列を認識し結合する接着受容体が存在することによる。この機構を利用した血小板の保護が試みられ、テトラペプチドArg-Gly-Asp-Ser (RGDS)により体外循環時における材料表面への血小板の粘着及び凝集を抑制できることが示された。本研究では、高活性なペプチド性血小板保護剤を分子設計・開発する目的で、(1) RGDペプチドのコンポメーション解析よりRGD配列に含まれるアルギニン残基の側鎖のグアニジノ基とアスパラギン酸の側鎖のカルボキシル基との空間的配向が重要であることを明かにし、(2) その結果に基づき、接着受容体への結合能力の高いペプチドを設計し、(3) ついで血小板との相互作用について検討した。その結果、RGDSよりも高活性である環状テトラペプチドcyclo (RGDG)及び線状デカペプチドVVVRGDSVVVが得られた。
  • 小倉 可光, 中島 博, 安倍 次郎, 小関 雅義, 三石 績, 鈴木 隆三, 赤坂 忠義, 川並 修, 二見 精彦, 野口 法康
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1083-1086
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンオキサイド鎖を有するハイドロゲル(PVC-g-MIOOG)をコーティングしたポリウレタンチューブ(PEO)とポリ塩化ビニルチューブ(PVC)を心臓手術後のドレーンとして同時に使用し、それらの抗凝血性について臨床的に比較検討した。走査電子顕微鏡所見においてPEOはPVCよりフィブリン糸が細く疎であり、血球成分の付着も軽微であった。肉眼的にもPEOはPVCより閉塞をきたし難しかった(p<.01で有意)。PEOではPVCより有意に留置時間が長く(p<0.01)、総出血量は留置時間とr=0.734で相関が認められた(約90時間まで)。すなわちPEOはPVCに比べ材料表面でのフィブリン形成や血球成分の付着が軽微であり、血栓形成による閉塞をきたし難いため、より長時間の有効なドレナージが可能であると考えられた。以上のことからPEOはPVCより心臓手術後のドレーンとして抗凝血性に優れていると考えられた。
  • 西村 元延, 松田 暉, 大久保 修和, 松若 良介, 依田 隆一郎, 川島 康生
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1087-1091
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    抗血栓性材料K III 2塗布パイパスチュープを用いて6例に左心バイパス、1例に右心バイパス、1例に両心バイパスを行い、その抗血栓性について肉眼的及び電顕的に検討した。活性化凝固時間を150~200秒にコントロールした条件下で、補助流量1.81/min以上の成人症例においては肉眼的にも電顕的にも血栓の形成はなかった。しかしK III 2塗布パイパスチュープを用いても小児症例では2例中1例に肉眼的血栓の形成を認め、他の1例にも電顕的に明かなfibrin networkの形成を認めた。また補助流量が1.51/min以下と低値であった成人症例1例にも電顕的に血小板の凝集およびfibrin networkの形成を認めた。対象症例中、非処理PVCチューブを用いた1例では同様の条件下でも電顕的にfibrin networkの形成を認めた。
    成人症例で補助流量1.81/min以上と充分な流量の得られたものでは、本抗血栓性チューブの有用性が認められたが、小児症例および補助流量の少ない症例では本処理法でも限界があると考えられた。
  • 鈴木 嘉昭, 日下部 正宏, 秋庭 弘道, 日下部 きよ子, 佐藤 昌六, 岩木 正哉
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1092-1095
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    人工材料表面の抗血栓性の向上をめざしシリコーンにイオンを注入して表層を改質し抗血栓性の評価を行った。H+, N2+, O2+イオンを加速電圧150keV,注入量1~3×1017ions/cm2にてシリコーンロッドに打ち込み試料を作成した。抗血栓性評価は111In-tropolone-血小板を用い, ラット上行大静脈(SVC)に試料を留置しin vivo評価を行った。H+イオン注入試料留置では未注入試料に比べて試料への血小板の集積量が顕著に減少し, SVC, 心臓, 腎臓, 肝臓で減少を示し, O2+注入では試料およびSVCで顕著に減少し, また網内系臓器での抑制が観測され最も効果的であった。N2+では試料, SVCおよび網内系臓器で減少を示したが, H+, O2+に比べて低いものとなった。イオン注入により試料表層にはH+注入でOH, N2+注入ではOH, SiH, CH2, amine, O2+ではOH, SiH, CH2, カルボニル基等の官能基が生成された。これらより抗血栓性はイオン注入によるカルボニル基などの官能基の生成の効果により付与できるものと考えられる。
  • 知花 幹雄, 樋上 哲哉, 小川 恭一, 麻田 達郎, 向原 伸彦, 西脇 正美, 芳村 直樹, 河村 剛史
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1096-1099
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    開心術後の他家血輸血量節減を目的としたドレーン血返血にCell Saverを使用し, その有用性について検討した。対象とした症例は18例で返血量は487±73ml (mean±SE)であり, 18例中15例が術後無輸血であった。ドレーン血には高度の溶血が認められ, 遊離ヘモグロビンは649.1±54.4mg/dlと高値であったが, Cell Saver処理により99.8±13.5mg/dlへ有意に減少し, その除去率は86%であった。その他, ドレーン血のアンモニア・総ビリルビン・K+・LDH・CPK・GOT・GPT・BUN・クレアチニン・総蛋白量・白血球数・血小板数も有意に減少した。赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリットは増加したが, 有意差は認めなかった。術翌日のリザーバー残留血の培養では18例中1例も細菌を認めなかった。ドレーン血返血による生体への悪影響は認められず, 本法は他家血輸血量節減のための安全かつ有用な方法であると考えられた。
  • 永田 昌久, 野口 宏, 田中 厚司, 小林 正治, 野垣 英逸, 塩井 健介, 三枝 裕幸, 加藤 眞司, 朴 一彦, 浅井 忠彦, 池内 ...
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1100-1103
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    出血量の多い心大血管手術において他家血輸血量節減は輸血合併症回避のため重要な課題である。著者らは簡易型自己血返還装置を試作し, 開心術において体外循環離脱, プロタミン中和後に自己血を回収し, その効果を検討した。この装置は電動ポンプにより吸引, 120ミクロンの炉過膜を有するチェンバーへ貯血, 電動ヘモレーターで攪拌し返血するものである。開心術18例に使用し, 術中出血量(平均)3240ml, 自己血返血量1300ml, 返血率40.1%であり, 最大返血量5000mlであったが, 溶血, 出血傾向, 凝固因子の減少, 微小塞栓, 感染, 蛋白喪失などの問題もなく臨床的に有意であった。
  • 高場 利博
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1104
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 渡部 智, 奥村 典仁, 夏目 徹, 池 修, 中村 達雄, 清水 慶彦, 岡田 敏行, 筏 義人
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1105-1108
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工腎外シャント用カニューレの、皮膚との接着性を得るために、我々は、コラーゲン固定化ポリエチレンスポンジのカフ付きカニューレを作製し検討した。1cm長のカフを付けたシリコーンカニューレの両端を家兎背部皮下へ埋植し、カフあるいはカニューレと皮膚を各々接触させ比較した。カフなしの場合、カニューレ6本中4本滑落し、カフ付きの場合、カニューレ6本中滑落は1本も認められなかった。皮膚との接着は、カフ付きの場合、強固であったが、カフなしの場合は全く認められず、感染巣も見受けられた。組織学的には、カフ付きの場合、表皮がカフを覆うように伸長するのに対し、カフなしの場合はカニューレに沿い表皮のdown growthが見られた。外シャント用シリコーンカニューレにコラーゲン固定化ポリエチレンスポンジのカフを付け、皮膚との接着ひいては皮下トンネル感染の防止に有効であった。なお、このカブは、CAPD用カテーテルのカフとしても応用可能であろう。
  • 満渕 邦彦, 井街 宏, 野澤 宏彰, 鎮西 恒雄, 阿部 裕輔, 米沢 卓実, 浅野 雅広, 今西 薫, 渥美 和彦, 藤正 巌
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1109-1113
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    平滑表面を持つ抗血栓材料により内面をコーティングした人工心臓血液ポンプをin vivoで長期駆動させた際の、材料表面における吸着血漿タンパク、および粘着血小板の分布をImmuno-peroxidase stain methodおよびradioisotope conjugated antibody methodを用いて解析し、フィブリノーゲンの吸着部位、血小板の粘着部位に関しては、走査型電子顕微鏡による観察を加え、比較検討を行い、本法の妥当性についても検討を加えた。アルブミンが平滑な表面を持つ一様な吸着を示したのに対し、Ig-Gは表面が凹凸のある不均一な分布を示し、血栓の周囲では吸着量の増加が認められた。また、フィブリノーゲンの吸着部位、血小板の粘着部位はほぼ血栓形成部位と一致した分布を示した。本法は、吸着タンパクと血栓形成との関連、血流動態のタンパク吸着に対する影響の評価、高分子材料の抗血栓性評価、ポンプの形状の評価などに対して、非常に有用であると思われる。
  • 三宅 仁
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1114-1117
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来のアクチュエータに代わるバイオミメティックな発想の形状記憶合金(SMA)を用いた新しいアクチュエータ(人工筋肉)は、SMAを主構成成分とする人工サルコメアを単位とし、これを直・並列に接続したものであり、ストロークおよび出力を従来のSMAアクチュエータより改良したものである。この特長として、柔軟な動作性や静粛性などが挙げられ、さらに、より“高級”な制御の可能性も期待されている。本論文においては、このSMA人工筋肉を用いた人工義手開発の第一歩として、再変形力を得るために生体と同様の拮抗筋構造を取り入れ、先ず1関節のマニピュレータのついて製作と実験を行った結果、次に2関節を持つマニピュレータの開発の結果を述べてある。さらに、SMA人工筋肉を用いたエンドエフェクタとしてのグリッパの開発の試みについても述べてある。本人工筋肉は、生体筋肉のモデル論的アプローチとしても有望であることが示唆されている。
  • 高井 信治, 大坪 修, 鈴木 好夫, 加茂 純
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1118-1121
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    炭素材料を用いて中空糸を試作して、その基礎的な性質について測定を行った。まず膜の構造を明らかにする目的で孔径分布を測定し100A付近にポアーのあることを確認した
    また上記の中空糸を用いて小形のモジュールを作り純水を用いてその透過性を調べた、実験のけっかこのもののフラックスはちいさいが将来生体適合性のよいホローファイバーと考えられる
  • 宗岡 克樹, 辻 隆之, 戸川 達男, 青木 秀希
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1122-1125
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    現在の人工気管の種類としては生体材料による物、管腔型の無孔性の物およびメッシュタイプの人工気管である。しかしそれぞれに利点、欠点が存在し、理想的な人工気管とはいえない。今回管腔型の人工気管に属するハイドロキシアパタイトの緻密体を使用し、人工気管として応用する基礎的研究を行った。アパタイトのチップを雑犬の気管の内側及び外側に固定すると、内側では炎症性の肉芽組織が存在したが、外側では周囲の結合組織で固定されていた。そこで人工物と気管組織との接合部分の問題を解決するために、接合部の粘液分泌を阻止するためのYAGレーザー照射による選択的気管粘膜破壊の方法を開発した。YAGレーザーにより気管粘膜下層まで破壊したのちにアパタイト中空管を家兎気管に挿入留置すると、アパタイトは気管と繊維性結合組織を介して弾固に癒着していた。
  • 池 修, 清水 慶彦, 岡田 敏行, 奥村 典仁, 夏目 徹, 渡部 智, 筏 義人, 人見 滋樹
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1126-1129
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工気管置換術後の合併症である感染、縫合不全、また、逸脱やその後の狭窄を回避するために、我々は、生体内吸収性材料であるポリL乳酸を用い、自己組織の再生によって気道を形成し、置換部位に異物を残さない気道再建術を目指している。このために管状にしたコラーゲン被膜ポリL乳酸のメッシュを用いて家兎の頸部気管で置換術を行い、その周囲に自己の頸骨より採取した骨膜を輪状に移植した。しかし、置換部位での感染の発生率が高く、1週間後に骨膜から軟骨は形成されたがその後、骨の形成は認められなかった。これはポリL乳酸の、メッシュの性状に問題があったものと思われた。また、頸部気管を一部切除、開窓して自家骨膜で補填したところ、骨膜から骨の形成は認められなかったが、2週間後に気管内腔は気管粘膜にて上皮化された。一方、家兎の頸部気管の周囲に自家骨膜を輪状に移植したところ、9週目には輪状の骨の形成が認められたことより、気管および気管支軟化症などの治療への応用が期待される。
  • 今井 庸二
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1130
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 小出 幹夫, 小西 淳, 池上 和仁
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1131-1134
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    温水処理コラーゲンマトリックスは架橋したコラーゲンマトリックスを50~121℃の各温度で熱水に浸漬して作製した。このコラーゲンマトリックスの特性及びラット背部皮下及びマウズ腹腔内に埋入して経時的に組織学的検索を行った。コラーゲンマトリックスを温水処理すると処理温度の上昇と共にコラーゲンマトリックスは収縮し、更にα-ヘリックス含量が顕著に低下し、熱変性が生じていることが認められた。ラット皮下埋入した結果、未処理のコラーゲンマトリックスでは細胞の侵入性は極めて乏しくかつ検体の周囲に被包が形成されていたのに対し、温水処理した検体の場合には顕著な細胞侵入が見られ、被包形成も認められなかった。一方、マウス腹腔内に埋入した結果、未処理のコラーゲンマトリックスでは4週間後も検体は残存し、被包が認められたが、温水処理条件により検体の残存性と組織親和性が異なるが、121℃30分温水処理したコラーゲンマトリックスは組織親和性が良好だった。
  • 大崎 健一, 山崎 元志, 後藤 彰久, 沢本 二郎
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1135-1138
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    PVC叉はシリコーンを基材として、これにメチルビニルエーテル/マレイン酸モノエチルエステル共重合体からなる親水性ポリマー層を被覆した。これをマウス腹腔内にそのまま埋植、或は親水性ポリマーを掻き取ってマウス尾静脈から投与し、それぞれ経時的に、病理組織学的に検索した。
    その結果、親水性ポリマーは、PVCによる局所の異物反応とシリコーンによる生体への傷害作用を強く抑制し、更に周囲に生じるカプセル形成も緩和した。一方、それ自身に対する異物反応や毒性は見い出せなかった。
    以上の結果から、この親水性ポリマーは基材に良好な生体適合性を与えるのみならず、基材と生体との間の不都合な物質移動を阻止する能力である『バリアー特性』を兼ね備えていると考えられ、医用材料のための理想的な表面改質法の一つであると考えられた。
  • 門磨 義則, 今井 庸二
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1139-1142
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Cardiothaneのフィルムをラットの背部皮下に2年間にわたって埋植し、機械的性質や表面性状の経時的変化について検討した。埋植後回収したフィルムは着色、白濁が生じたが、断片化や破損は認められなかった。SEM観察では、埋植後6月頃から表面層に微小な亀裂が生じ、その後、徐々に進展した。フィルム表面のATR-FTIR分析により、ポリウレタンに特徴的な変化が認められた。ポリエーテルに帰属される1367、1103cm-1のピークの相対的強度が低下し、ウレタンのC=Oの吸収では、非水素結合性のピーク(1729cm-1)が水素結合性のピーク(1698cm-1)に比して著しく減少した。埋植によリポリウレタン表面の非水素結合性のウレタン結合が加水分解され、ポリエーテルの存在割合も低下したが、劣化が表層部にとどまったために、引張強さ及び破断時の伸びの変化は認められなかった。
  • 松田 武久, 井上 和彦, 阿久津 哲造
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1143-1146
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    本研究は培養細胞の二次元パターン形成技術の開発を目的とする。一般に接着依存性細胞は極めて親水性表面には接着しないが、極性あるいは疎水性表面では接着・増殖する。従って、親水性及び非親水性基を表面に導入して微細パターン化する表面修飾できれば、細胞は非親水性部のみに接着・増殖することになる。新しく開発した表面修飾技術は光反応によって微細パターン修飾を行なうことを原理としている。パターン形成は(1)まず、紫外線によって高反応性化学種に転化するフェニルァジド基を有する親水性高分子を合成し、(2)ついで、このポリマーを細胞培養床にコーティングして薄膜を形成させ、(3)フォトマスクを被せて、紫外線を照射して親水性高分子を露光部のみに化学固定した。内皮細胞はパターンの非露光部のみに接着・増殖し、二次完パターン培養が可能となった。本技術は二次元パターン培養の基本拉術とみなせる。
  • 野本 洋一, 真栄 田篤, 戸辺 成四郎, 赤池 敏宏, 小林 一清
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1147-1150
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々はラクトースを有するポリスチレン誘導体(PVLA)を用いて肝細胞との相互作用について研究してきた。肝細胞とPVLAとの相互作用はアシアロ糖蛋白レセプターによる糖鎖の特異的な認識によるものであることが示唆された。また、様々なポリスチレン誘導体に対するに肝細胞の接着性が血清成分の影響により変わってくることもわかった。本研究では血清成分中のフィブロネクチンとアルブミンに着目し肝細胞と基質材料(PVLA、PVMA、PStなど)との相互作用における血清の影響を検討した。
  • 箭川 昭生, 真栄田 篤, 野本 洋一, 戸辺 成四郎, 赤池 敏宏, 小林 一清
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1151-1154
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々は、既にラクトースを側鎖に有するポリスチレン誘導体であるポリ-p-N-ビニルベンジルラクトノアミド(PVLA)が、肝実質細胞とアシアロ糖タンパクレセプターを介して特異的に相互作用することを明らかにし、肝細胞培養基質としての応用の可能性を示してきた。さらに、分離した肝細胞の培養を始めてから、細胞膜表面のアシアロ糖タンパクレセプターの挙動について、PVLA固定ラテックスを調製し、レセプターを標識することによる解析を行なった。その結果、PVLA固定ラテックスは非接着面には接着しなかった。これより、PVLAコートシャーレ上で培養した肝細胞のアシアロ糖タンパクレセプターが接着面へ集中することが示唆された。
  • 山田 明夫
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1155
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 戸辺 成四郎, 武井 由香, 真栄田 篤, 赤池 敏宏, 小林 一清
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1156-1160
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    アシアロ糖タンパク質モデルとしての人工基質材料(PVLA)上の培養ラット肝細胞に、無血清下でEGFなどの成長因子を加えると、細胞は球状接着形態を保持したまま、互いに引き合い移動を開始し、48時間以内に顕著な多層集合体(Multilayer Aggregation)を形成した。この多層集合体形成を誘発させるためには成長因子の存在に加え、Caイオンの存在が必須の条件となる。この多層集合体の形成は、蒔き込み細胞数および成長因子の添加濃度に依存し、コラーゲン合成阻止剤であるcis-hydroxyprolineにより添加濃度依存的に抑制された。PVLA上の多層集合体は、組織学的にも細胞間マトリックスを有した三次元的生着形態を示し、長期間にわたって基質上に固定された。また、集合体を形成した培養肝細胞はアルブミン合成分泌能などの特異的機能を長期間にわたって維持した。この人工基質材料であるPVLA上での肝細胞三次元培養系は、ハイブリッド型人工肝臓の確立に向け非常に有用なモデルになり得るものと考える。
  • 水野 秀一, 柳 健一, 大島 宣雄
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1161-1164
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    肝機能補助装置やバイオリアクターの開発に際して不可欠の基盤技術である肝細胞の高密度培養を実現するための一手段として, 基材表面を修飾することによって, 培養条件を改善することを試みた。修飾物質は, 肝臓の細胞間物質, 荷電を変えたアルブミン及び人工ポリマーであるpoly-HEMAなどを選択し, 肝細胞の初代培養を行った。一週間の培養期間の範囲で, コンドロイチン硫酸, 陽性荷電アルブミン及びpoly-HEMAで修飾した基材では効率よく細胞凝集塊(spheroid)の形成が認められた。spheroidを形成する肝細胞では, 細胞が生存し, かつアンモニア代謝能, アルブミン合成能を維持していることから, Spheroidは高密度培養を行うために有効な形態であることが期待できる。
  • 高畠 弘行, 小出 典男, 坂口 孝作, 川口 光彦, 武南 達郎, 小野 良策, 松島 寛, 辻 孝夫
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1165-1168
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    肝細胞より抽出したプロテオグリカンを培養基質として, 無血清培地下に培養を行なうと凝集肝細胞培養形態―いわゆる肝細胞Spheroid―が形成される。プロテオグリカンを用いることなく肝細胞Spheroidを形成し得る培養基質を検討したところ親水性陽性荷電ポリスチレン皿がSpheroidの形成に有効であることが判明した。このSpheroidは, プロテオグリカン上で形成したSpheroidと比較してアルブミン分泌, 細胞増殖能及び形態的特徴のいずれにおいても差異を認め難かった。又, BSA塗布皿, メタクリレート樹脂塗布皿においても少数ながらSpheroidの形成が認められた。人工材料上での肝細胞Spheroid形成が可能になった事によりSpheroidの大量調整が可能となり, 生物学的人工肝作成に際しSpheroidの応用がより容易に成るものと考えられた。
  • 池 修, 夏目 徹, 清水 慶彦, 岡田 敏行, 奥村 典仁, 渡部 智, 筏義 人, 田村 康一, 人見 滋樹
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1169-1172
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工食道置換術後の合併症である感染、縫合不全、また、逸脱やその後の狭窄を回避するために、我々は、自己の食道粘膜の再生による食道再建術を試みている。つまり、管状にしたシリコーンの外側をコラーゲンで被覆した人工食道を用いて食道置換術を行い、術後は経口摂取を行わずにIVHによって管理した。これによると5cmの人工食道置換術後、3~4週間で自己の食道粘膜上皮の再生によって内腔が被覆された新隼食道が完成した。今回、新生食道の上皮化の期間を短縮させることを目的として、自己の口腔粘膜を10日間培養増殖させ、人工食道置換術時に人工食道のコラーゲン層内に注入播種したところ、術後の合併症もなく、術後1週間目に新生食道が形成され、術後2週間目には新生食道内腔の粘膜上皮が完成し、新生食道の形成時間を短縮することができた。また、電顕(TEM)的にも新生食道粘膜下層の線維芽細胞において粗面小胞体およびコラーゲン線維の増生が顕著に認められた。
  • 馬場 雅人, 安喰 弘, 中村 雅則, 仲倉 裕之, 菊池 洋一, 山岸 真理, 竹田 晴男, 浅井 康文, 小松 作蔵
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1173-1176
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症(PA+VSD)など、低肺血流性先天性心疾患に対するRastelli手術の手術成績は近年飛躍的に向上したが、用いる導管の材質、及び弁に関しては未だ多くの問題点を有している。
    教室では、1988年3月以降3例のPA+VSD症例に対し、異種心膜で3弁つき導管を作成し根治手術を行い良好な結果を得た。異種心膜で作成した導管は柔軟で、操作性も良く、肺動脈との吻合は容易であった。また、自作した弁は術後早期のみならず、最長1年6カ月の観察期間においても有効に機能していた。しかし、さらに長期の遠隔予後に関しては不明であり、今後も注意深い観察が必要である。
  • 松田 武久, 井上 和彦, 阿久津 哲造
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1177-1180
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    本研究は成型・加工したデバイスの内外面に生体適合性を付与する新しい表面加工技術の開発を目的とした。原理は光反応による修飾であり、用いた化学はフェニルアジド基が紫外線照射により開裂して高反応性ナイトレンに転化し、これが近傍の炭化水素基より水素を引抜くとともに、共有結合する性質を利用するものである。フェニルアジド基を側鎖に有する親水性のポリ(ジメチルアクリルアミド)共重合体を合成し、これを溶媒キャストにより造膜し、紫外線照射した。化学固定されたことをX線光電子分析及び接触角測定より明らかにした。多血小板血漿による血小板粘着テストでは血小板粘着及び凝集は極めて抑制された。本技術は未だプロトタイプであり、技術的な未解決問題を含んでいる。光ファイバーによって誘導可能であるので、原理的にはデバイスの修飾に応用可能であるので、実用化に耐える技術に発展させたい。
  • 駒井 喬
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1181-1182
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 湯浅 幸吉, 清水 健, 白川 尚哉
    1990 年 19 巻 3 号 p. 1183-1185
    発行日: 1990/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    胸壁浸潤肺癌症例の胸壁欠損に対しSilicone製材により補填, 再建を行い問題点を検討した。
    対象と方法一転移性肺癌を含む9症例, 胸壁再建は6症例に, 胸壁補填は3例に行った。胸壁の再建には20~3.0mmのSilicone sheetを補填には0.125~2.0mmのSilicone sheetを使用した。
    結果-局所の感染, 壊死, 疼痛, 異和感など重篤な合併症および術後管理上問題となることはなかった。4例を癌死にて失ったが, 他は生存中である。
    考察-Silicone sheetは(1) 選択, 作製が自由で操作取扱が簡便である。(2) 再建部の変型, 陥凹もなく十分な剛性を示す。(3) 長期間の使用にても感染, 脱落を生じない. などの利点を有する。
    結論-Silicone製材を胸壁浸潤肺癌症例の胸壁再建に使用し満足すべき結果を得た。Silicone製材は胸壁再建, 補填に有用な人工材料と考える。
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