人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
22 巻 , 1 号
選択された号の論文の53件中1~50を表示しています
  • 井街 宏
    1993 年 22 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 大平 整爾, 長山 誠, 花井 智司, 岩山 清和, 榎本 義雄, 似鳥 嘉昭
    1993 年 22 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    中空糸間にスペーサーフィラメント(SF)を配し、透析液流を均一化することにより溶質除去性能の向上を図ったPAN-15SF(膜面積1.5m2)を臨床的に評価した。対照ダイアライザーとして従来のPAN-17DX(1.72)、FB-150U(1.52)、F-80(1.92)を用いた。PAN-15SFの小分子クリアランス及び除去率は、対照ダイアライザーと同等であった。また、β2-MGのクリアランスは、同膜面積のFB-150Uより有意に高値を示した。膜面積効果を排した総括物質移動係数の比較では、PAN-15SFはBUNで従来のPAN-17DXより有意に高値を示し、他の溶質でも高値を示した。以上の結果より、SFにより溶質除去性能が改善され、PAN-15SFは、対照ダイアライザーと比較して、小分子から中高分子までの溶質に対して同等あるいはより優れた除去性能を有していることが臨床的に確認された。
  • 坂下 恵一郎, 筒井 敏彦, 伊藤 晃, 山崎 親雄, 増子 和郎
    1993 年 22 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    再生セルロース膜表面にPEG鎖をグラフトしたPC膜の抗凝固性について, 従来の再生セルロース膜(従来膜)と比較検討した。ヘパリン投与量は, PC膜で従来膜に比し29±10%減量することができた。最少ヘパリン量にての透析中のFPA, TAT, β-TGおよびPF-4の変化は, 両膜共FPA, TATおよびβ-TGで透析後の有意な上昇を認めたが, 両膜間で上昇率の差異はなかった。動静脈間の比較で, 従来膜では5分でβ-TG, 240分でFPA, TATおよびPF-4に, PC膜では240分でFPA, β-TGおよびPF-4に有意の上昇を認めたが, いずれも両膜間で差異はなかった。通常ヘパリン投与量でのプロスタグランジン系の変化は, 両膜共6-FPGK1αの透析後の有意な上昇を認めたが,11dTXB2は従来膜のみ有意な上昇を認めた。今回の検討で, PC膜は従来膜に比し, ヘパリン減量が可能で, 血小板系への刺激が少ないことが示唆された。
  • 斉藤 晃, 堀和 芳, 長見 英治, 山崎 英隆, 市川 久志, 川崎 忠行, 徳竹 修一, 犬丸 達也, 新井 貴士, 百瀬 卓志, 武田 ...
    1993 年 22 巻 1 号 p. 14-17
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    維持透析患者14名にCa濃度3.5mEq/L(以下3.5液)、3.0mEq/L(以下3.0液)、2.5mEq/L(以下2.5液)の透析液を使用し、血清Ca(以下T-Ca)、血清イオン化Ca(以下Ca++)、Ca出納量を測定した。3.5液、3.0液使用時のT-Ca、Ca++は開始時に比べ終了時で有意に上昇したが、2.5液使用時のT-Caでは不変であり、Ca++は有意な下降を示した。Ca出納量はすべての透析液使用時において透析排液中にCaが排出された結果であった。これは、活性型VD3及び炭酸Caの併用により高Ca血症を起こす可能性のある患者に対し2.5液の使用が望ましいことが示唆された。また、開始時のCa++とCa出納量はそれぞれ有意な相関を認め、透析液Ca濃度実測値(以下CDi)と開始時のT-CaまたはCa++の濃度差は、全例のCa出納量と有意な相関を認めた。このことは、開始時のCDi、T-Ca、またはCa++値によりCa出納量が予測できる可能性が示唆された。
  • 山海 嘉之, 太田 道男, 山海 知子
    1993 年 22 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工臓器を用いた治療を行う場合、必要十分なモデルを記述した方程式を用いて制御理論や各種アルゴリズムが効果的に利用できる。しかし、モデルは、常に修正、拡張、構造変更を余儀なくされ、共同利用などはモデルの構造が異なれば困難とされるのが現状である。本研究では、仮想人体構築のためのオブジェクト指向アーキテクチャおよびモデルに基づいた治療制御手法による総合的なモデルベースの治療手法の提案を行っている。特に、人工腎臓による血液浄化治療を例に、人工臓器における仮想人体と治療制御の基礎的役割について言及し、本研究の有用性を示している。
  • 竹内 敬昌, 今井 康晴, 澤渡 和男, 石原 和明, 星野 修一, 東舘 雅文, 三隅 寛恭, 寺田 正次, 杉山 喜崇, 別府 俊幸
    1993 年 22 巻 1 号 p. 24-26
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    経皮的に再調節可能な血管扼装置を開発し、臨床例4例に使用した。Norwood手術3例、modified Fontan手術1例で、体重は23kg~50.6kg、Norwood手術の3例はいずれも3kg以下であった。絞扼装置は、Norwood手術の3例はいずれもGore-Tex人工血管による体-肺動脈短絡術部に用いた。modified Fontan手術症例では、両側心耳吻合により右-左短絡路を作製し、吻合部に絞扼装置を装着した。術後、体外循環の影響の改善や、新生児における生理的な肺血管抵抗の変化に応じて絞扼程度の調節を行なった。Norwood手術の2例が手術死亡、他の2例は、術後56日目、14日目にスクリュー調節器を摘除し退院した。Norwood手術例では2回の絞扼でいずれもPaO2の低下が得られ、術後10日目でも絞扼解除によりPaO2は上昇した。modified Fontan手術例では6回の絞扼のうち5回はPaO2が上昇した。本装置の使用により、術後においても経皮的に容易に血流量の微調整が可能である。
  • 富田 直秀, 筏 義人
    1993 年 22 巻 1 号 p. 27-29
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来の経皮端子の最大の欠点である結合力の弱さを解決するために、あらかじめ皮膚をin situにて処理し、その機械的な把持によって経皮端子を固定した。今回はそのin situ処置として、1)グルタルアルデヒドの注入、2)エチルアルコールの注入、3)液体窒素にによる冷却を行い、ステンレス製の経皮端子を処理した皮膚に固定した。肉眼観察では、2)および3)の場合、経皮端子は早期に脱落したが、1)のグルタルアルデヒド処理群では術後30週の現在まで安定した外観を示している。組織所見では上皮細胞の基底層と処理部との界面は初期においては安定しており、down growthは見られなかった。
  • 斉藤 久生, 秋葉 隆, 小山 年勇, 阿部 薫, 星野 正信, 米虫 節夫, 丸茂 文昭
    1993 年 22 巻 1 号 p. 30-33
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    維持血液透析療法を施行中の患者の二次性副甲状腺機能亢進症に対して, ビタミンD3併用療法による低カルシウム(Ca)(Ca2.5mEq/l)糖加重炭酸型ドライケミカル透析液の臨床的有用性と溶解性を検討した二次性副甲状腺機能亢進症(G-PTH8ng/ml以上か, またはアルカリフォスファターゼが基準上限値の2倍以上で, かつ骨由来優位)の慢性腎不全患者より8例を無作為に選び, 交互対照試験法により東和薬品製透析液AKDD25(Ca2.5mEq/l)とAKDD30(Ca3.0mEq/l)を各12週間使用した。
    ドライケミカル透析液の溶解性は良好で, 安定した透析液供給が行えた。
    低Ca透析液AKDD25使用時において, 正Ca透析液より血清副甲状腺ホルモン濃度が有意に低値となり, かつ, 活性型ビタミンD3処方量は有意に増量することができた。
    以上から, 低Ca透析液AKDD25は二次性副甲状腺機能亢進症の患者のビタミンD3併用療法に有用である。
  • 遠藤 信之, 阿部 町子, 中川 一郎, 古川 守, 中村 藤夫, 保科 繁, 池田 裕, 浦野 寿夫, 鈴木 正司, 平沢 由平
    1993 年 22 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    重炭酸透析液に微量に含まれている酢酸の臨床治療上の影響を検討するため、酢酸を全く含まない血液浄化法Acetate Free Biofiltration(AFBF)と通常の重炭酸透析液(BCHD)を比較した。
    10名の患者群は同一としAFBF、BCHDをそれぞれ18回づつ実施した。血液流量、透析液流量は原則として両治療とも同条件とした。小分子量物質の除去率、電解質、代謝性アシドーシスの是正、血圧低下に対する処置では、両者の間に有意な差はほとんどみられなかった。また血中酢酸濃度は、AFBFの前に0.56~0.32mEq/l、後で0.55~0.32mEq/lと有意差なく、BCHDの前0.62~0.34mEq/l、後で1.06~0.40mEq/lと有意な上昇を認めた。しかし臨床症状の発現率はAFBFで27.8%、BCHDで38.9%という結果であり、統計学的には有意ではなかった。そのため今回の検討だけでは、BCHDの治療中の臨床症状が全て血中酢酸濃度のわずかな上昇に由来するとは断言できなかった。
  • 西山 敏郎, 上江 洲安之, 奥山 寛, 小林 力, 秋澤 忠男, 越川 昭三
    1993 年 22 巻 1 号 p. 39-42
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    アセテートを含有しない新組成の透析液を用いたacetate free biofiltration (AFBF)を施行し、各種溶質の治療前後血清濃度、治療中の臨床症状について重炭酸透析(BCHD)、従来のbiofiltration (BF)と比較検討した。6名の安定期透析患者を対象に、urea indexを一定として同一の高性能膜透析器を用いたBCHD、BF、AFBFをクロスオーバーで各々6か月間施行した。BF、AFBFでは血流量を増加させたため治療時間は有意に短縮した。治療前血清β2ミクログロブリン(β2M)濃度はBCHDからBFに変更後有意に減少、BFからAFBFへの変更でさらに減少した。治療前後のHCO3濃度はBCHDに比し、BF、AFBFで有意に増加し、BFとAFBFでは差はみられなかった。BCHD中の血中acetate濃度は有意に増加した。臨床症状の発現と処置頻度はBCHDに比してBFで有意に減少、AFBFでさらに有意に減少した。以上よりアセテートを含有しない透析液を用いたAFBFは不均衡症状の発生抑制、酸塩基平衡異常の改善、β2M濃度の抑制などの効果を持ち、HDF治療に広く応用が期待できる。
  • 西堀 英城, 伊藤 克佳, 大段 剛, 雨宮 均, 小林 力, 秋澤 忠男, 越川 昭三
    1993 年 22 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    セルローストリアセテートを膜素材とした、ハイパフォーマンス膜の孔半径を、従来の70Å(FB-U)から75Å(FB-F)に拡大した改良型透析器について、溶質除去性能、生体適合性を長期透析患者6名を対象に、4週間のクロスオーバー試験で検討した。小分子量物質のクリアランス、除去率に差は認められなかったが、低分子蛋白ではβ2-MGのクリアランス、除去率、ふるい係数、ミオグロビンのクリアランス、除去率がFB-FでFB-Uに比し有意に上昇していた。一方β2-MGの透析前値はFB-Fで有意に減少、その結果β2-MGの透析液中への除去量に両透析器間では差はなかったが、アルブミンの除去はFB-Fで6g/回と約3倍に増加した。治療中の白血球、血小板数、顆粒球エラスターゼの変動は両群とも軽度に留まり、捕体C3aに透析開始後15分の静脈側で軽度の上昇がみられた以外、C5aを含め変化は認められなかった。以上より、FB-F透析器は小分子量物質の高い除去効果と優れた生体適合性を保持したまま、低分子蛋白領域のより高い除去性能を達成したといえる。
  • 福田 誠, 金森 敏幸, 酒井 清孝
    1993 年 22 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    再生セルロース膜の表面にpolyethylene glycol(PEG)鎖をグラフトすると、その生体適合性が向上すると報告されている。一方、PEG鎖が形成する散漫層のために、改質再生セルロース膜の溶質透過性能が低下することが危惧される。本研究では迷宮細孔モデルに基づいて改質再生セルロース膜の膜構造モデルを考えると共に、改質再生セルロース膜の膜構造および溶質透過性能に及ぼすPEG鎖の散漫層の影響を検討した。従来の再生セルロース膜(AM-SD)と、SD膜に長さの異なるPEG鎖をグラフトした3種類の改質再生セルロース膜(AM-PC(l), PC(m), PC(s))の膜構造を解析した。SD膜とPC(m)膜およびPC(s)膜の細孔半径は2.8nmであり、膜面開孔率は35%であった。PEG鎖が最も長いPC(l)膜の細孔半径および膜面開孔率は他の膜のそれらよりも小さかった。吸光法で測定したPC(l)膜のビタミンB12の溶質透過係数は他の膜よりも小さく、上記の膜構造の解析結果を反映した。これはPC(l)膜のPEG鎖が膜表面の細孔入口を覆い、溶質の透過に寄与する細孔入口での細孔半径がSD膜のそれより小さかったためであると考える。
  • 鈴木 庸子, 小久保 謙一, 萩原 一仁, 金森 敏幸, 酒井 清孝
    1993 年 22 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    中空糸膜の荷電状態は、一般的にζ電位により評価されている。しかし、その測定方法は未だ統一されておらず、報告者によって値が異なっている。本研究では、ζ電位の測定値に影響する操作因子の影響を明らかにし、標準的測定法を確立することを目的とした。ζ電位を算出する基となる中空糸両端の圧力差および電位差(流動電位)は、測定セルへの膜の充填方法、セルの組立方法、および流動液組成により大幅に変化し、得られるζ電位は異なった。通常流動電位測定に用いられる流動液(0.01規定KCl水溶液)では流動電位の経時変化が著しく、その1/1000程度の導電率の流動液を用いなければ測定値は安定しなかった。膜素材の異なる8種類の中空糸透析膜について、新しく確立した標準方法でζ電位を測定したところ、リン酸イオンの溶質透過係数と良好な相関関係が得られた。
    標準手法で測定したζ電位を用いることにより、荷電膜の評価が可能であると思われる。
  • 渡貫 幹彦, 峰島 三千男, 阿岸 鉄三, 太田 和夫, 増田 利明, 福井 清, 酒井 清孝
    1993 年 22 巻 1 号 p. 58-63
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    新しい人工腎臓治療システムとして、連続的再循環腹膜透析(Continuous recirculating peritoneal dialysis; CRPD)を考案した。CRPDでは患者の腹腔内に貯液した透析液を一部再循環させ外付けのダイアライザにより連続的に浄化することから、その治療効果は外付けのダイアライザの性能に大きく依存する。本報では血液透析(HD)とは異なり、血液側に腹膜透析液が、透析液側にHD用透析液が流れるという条件を考慮してCRPD用ダイアライザの設計を行った。目標の尿素クリアランスを膜抵抗のみが存在すると仮定した場合の97.0ml/minの95%、92.2ml/minとし、中空糸内圧力損失を50mmHgとすると中空糸内径を87μmとすることにより小型、高効率なダイアライザの設計が可能であることが分かった。さらに、このダイアライザを用い1日8時間CRPD治療を施行するとして、その治療効果をcompartment modelを用い推算した。患者の体内尿素窒素濃度(BUN)の週間平均濃度(TAC)は32.2mg/dlとなり、12hr/weekのHDの45.3mg/dlに比較して低値を示した。
  • 金森 敏幸, 鈴木 庸子, 酒井 清孝, 桑名 克之, 中西 光
    1993 年 22 巻 1 号 p. 64-69
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    形状が全く同じで、膜の溶質透過性のみが異なる2種類の透析器、S・SP-1.5H(通常型)とS・SP-1.5L(高性能型)について透析液流量を変化させてvitamin B12のクリアランスを測定したところ、Hに比べLの流量依存性は大きく、高性能透析器ではvitamin B12程度の中分子量物質の溶質透過性は、もはや膜抵抗支配とはいえないことが分かった。
    化学工学的手法を用いて、高性能透析器の形状が溶質除去性能、血液側圧力損失、血液充填量に及ぼす影響を理論的に検討した。その結果、中空糸内径の減少は溶質除去能の向上に効果があるものの、圧力損失を急激に増加させるため、200μmが下限値であった。また、ジャケット内径の減少も溶質除去能の向上に効果があるが、糸束率が75%を越えると透析液側境膜抵抗が増加するため、上限値が存在した。
    S・SP-1.5Lの中空糸寸法およびジャケット内径は、ほぼ至適値に近かった。
  • 松井 則明, 中村 義弘, 安藤 亮一, 栗山 廉二郎, 小倉 三津雄, 芝紀 代子, 中川 成之輔
    1993 年 22 巻 1 号 p. 70-73
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    6種類の透析膜の吸着タンパクを分析した。膜表面荷電はethylenevinylalcohol (EVAL)膜の陰性荷電が最も強く, DEAE cellulose (HE)膜は唯一陽性荷電を認めた。タンパク吸着量はHe膜で最も多く, polyethyleneglycol-grafted cellulose (PC)膜, cellurosediacetate (CA)膜では少量であった。吸着フィブリン量はEVAL膜, polymethylmetacrylate (PMMA)膜で多く認められた。2次元電気泳動では膜素材による吸着タンパクの種類が異なることが示された。イムノブロッティングではEVAL膜にのみHMWK, 第XII因子が認められ, 内因系凝固の活性化が示唆された。またEVAL, PMMA, CA膜ではフィブリノゲン抗体に反応する低分子のタンパクが検出され, プラスミン以外のプロテアーゼの関与が示唆された。電顕によりPMMA, 従来のcellulose (OC)膜では血小板の付着が顕著であった。PC膜は膜付着物が少量で, 蛋白吸着の面からも生体適合性にすぐれた膜と考えられた。
  • 小久保 謙一, 金森 敏幸, 酒井 清孝
    1993 年 22 巻 1 号 p. 74-78
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    タンパク質の吸着による表面荷電状態などの材料表面の性質の変化は、血栓形成などに影響すると考えられる。そこで、チトクロームCの吸着による膜の荷電状態の変化をポリマーブレンド比の異なる三種類のポリエステル系ポリマーアロイ(PEPA)膜とポリアクリロニトリル(PAN)膜について、吸着前後でのζ電位の値を測定し評価した。また、表面性質の変化の速さを吸着速度を用いて評価した。PEPA膜、PAN膜ともにζ電位は負の値を示し、正に荷電しているチトクロームCが吸着するとその絶対値が小さくなった。膜の表面荷電状態は膜自身の荷電だけでなく、吸着したタンパク質の荷電の影響を受けると考えられる。また、PEPA膜の吸着速度は拡散律速であり、PAN膜では拡散速度が速く、タンパク質と材料の吸着反応の速さの違いが吸着速度に影響する。抗血栓性に優れているPAN膜は、吸着反応速度が速い抗血栓性のあるタンパク質が吸着していると考えられる。
  • 宮崎 哲夫, 長坂 肇, 藤森 明, 内藤 秀宗, 吾妻 眞幸, 橋本 幸枝
    1993 年 22 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析膜の表面電位を測定すると共に、臨床使用後の透析膜表面を走査電顕(SEM)観察をおこない付着蛋白との関連について検討を加えた。
    対象とした透析膜は、Cuprophan膜(Cup.), EVAL膜,PMMA膜(B2-1.0H, BK-1.6U), Polysulfone (PS)膜, Hemophan膜の5膜素材、6種類の膜を使用した。
    膜付着血漿蛋白や血液有形成分の付着が膜表面電位が陽性であるHemophanで少なく、陰性であるCup. で多いこと、陰性荷電膜でも付着物がPS, EVAL, BKで少なく、同じPMMAでも類似した電位をもっBK, B2で異なった付着状態を呈することより透析前の膜表面電位と表面付着物とには関連が薄く、透析膜表面付着物は、荷電以外の膜の高次構造の影響をより強く受けていることが考えられた。
  • 内藤 秀宗, 吾妻 眞幸, 橋本 幸枝, 宮崎 哲夫, 長坂 肇, 藤森 明
    1993 年 22 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    セルロース、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、Hemophan, EVAL, PNQNA (B2, BK), PS., PEPA, PAN, ポリアミド膜の臨床使用前と4時間透析後の膜表面及び破断面構造をSEM観察し比較した。セルロース、セルロースジアセテートやHemophanは均一構造で, 表面は比較的滑面構造を呈していたのに比べ、セルローストリアセテートでは、破断面の血液側にporous構造を認め表面も比較的粗面構造であった。付着物はセルロースで多く、血小板や白血球などの付着が認められた。他の3膜は、薄い蛋白層と思われるものに覆われ所々血小板の付着のみが観察された。EVALでは従来報告したように付着物は少なかった。PMMA (B2, BK)では、B2で血液有形成分の付着物が観察されたのに対してBKではほとんど認められなかった。PS, PEPA, PAN, の膜構造はマクログラジュエント、ポリアミド膜はマクロボイド構造が破断面で観察され、表面構造は粗面構造で類似していた。
  • 中西 裕治, 稲垣 王子, 高光 義博, 藤田 嘉一
    1993 年 22 巻 1 号 p. 88-91
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    種々の血中物質の透析膜への吸着性が注目されており, 薬剤の荷電に基づいたpolyacrylonitrile膜およびhemophan膜への吸着性について基礎的検討を行った。陰性荷電膜としてpolyacrylonitrile膜, 陽性荷電膜としてhemophan膜, 対照膜として荷電性の弱い再生セルロース膜の3腫類の透析膜を使用した。陽性荷電薬剤としては, アミン基を有する, nafamostat mesilate, cimetidine, procainamide, diltiazem, 陰性荷電薬剤としては, スルホン基またはカルボキシル基を有する, heparin, furosemide, cefotaxime, carbazochromを用いて, 各透析膜へのin vitro吸着実験を行った。陽性荷電薬剤はpolyacrylonitrile膜に, 陰性荷電薬剤はhemophan膜に吸着される成績が得られた。nafamostat mesilateやheparin以外の荷電性薬剤もnafamostat mesilateやheparinと同様にイオン結合により透析膜に吸着される可能性が示唆された。
  • 多田 洋子, 太田 裕治, 土肥 健純, 堀内 孝
    1993 年 22 巻 1 号 p. 92-97
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    持続的携行腹膜透析(CAPD)におけるクルコース投与の最適化を目的として、点滴式によりクルコース溶液を透析液中に投与する方式を考案した。その効果を検証するため、新たにリンパ流を考慮した腹膜における物質移動モデルを作成した。モデルは従来の物質移動項に、リンパによる水および溶質の移動項を加えた。リンパ吸収速度は腹腔内圧に比例するものとし、腹腔内圧は透析液量に比例するとした。計算機によるシミュレーションより、クルコース点滴投与CAPDでは、除水量を維持したまま、グルコース吸収量を従来より約16%減に抑えられることが示された。
  • 熊野 和雄, 山下 明泰, 酒井 糾
    1993 年 22 巻 1 号 p. 98-102
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    TPDでの尿素除去能は透析液使用量(TVD)、タイダル量(TV)の違いでいかに変化するか、また、IPDに比してどの程度効率が向上するかを腹膜機能の異なる4名の腹膜透析患者で検討した。患者のクレアチニンのD/P 4時間値は0.62~0.91であった。治療時間は8または10時間、TDVは10、16、22、28L、初期注入量は2L,TDは0.5、1、1.5Lとした。サイクラーはPAC-X-II Cyclerを用いた。尿素の除去は総除去量/血中濃度(M/CB)として表した。また、poolmodelを用いた解析も行った。TPDが16L以下では尿素除去量はIPDと差がなかったが22L以上の液使用により10-17%増加し、TDVが大きい程、高値を示した。TVは1Lが最も良く、次に1.5Lであった。M/CBを実測値とモデル式よりの推測値で比較すると実測値の方が低値を示した。腹膜機能が平均以上の患者では8時間、22LのTPDでKt/Vは1.75/週以上が得られた。
  • 山下 明泰, 熊野 和雄, 酒井 糾, 中西 光, R.P. POPOVICH, J.W. MONCRIEF
    1993 年 22 巻 1 号 p. 103-106
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    腹膜透析における物質移動を促進させるために、電気マッサージ器を用いて体外から腹部に振動を与えた。高濃度の尿素およびクレアチニンを含む試験液を犬の腹腔内に貯留し、これらの溶質濃度を経時的に測定した(対照実験)。対照実験後、試験液を完全に排液した。ここに再び新鮮な試験液を貯留し、腹部に電気マッサージ器を取り付けて、対照実験と同じ実験を行った(トライアル実験)。心電図に検出された振動の雑音を、高速フーリエ変換により分析したところ、電気マッサージ器による皮膚の振動はおよそ55Hzであることがわかった。
    腹膜の物質移動速度を腹膜ダイアリザンスで評価すると、連続的な体外からの振動により物質移動速度を尿素およびクレァチニンについておよそ2倍に増加させられることがわかった。
  • 遠藤 幸男, 元木 良一, 井上 仁, 薄場 彰, 三浦 純一, 阿部 幹, 竹重 俊幸, 斎藤 拓朗
    1993 年 22 巻 1 号 p. 107-112
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    術後多臓器不全症例における血液浄化法(BP)施行時の循環動態を計150回測定し、問歇的血液透析(HD)8例(I群)と持続的血液濾過法(CHF)6例(C群)、更にBP施行中の低血圧の有無によりI(+)群とI(-)群、C(+)群とC(-)群に分類し、次の結果を得た。1) BP施行中にはI(+)群ではI(-)群より左室1回仕事量指数(LVSWI)と全末梢血管抵抗指数(TPRI)が各々有意に低下し、C(+)群ではC(-)群よりLVSWIが有意に低下し、C(+)群ではI(+)群よりTPRIが有意に上昇した。2) BP施行中には施行前より、I(-)群・I(+)群ではLVSWIが有意に低下した。3) BP施行中にはC(-)群ではI(-)群より右室1回仕事量指数(RVSWI)が有意に上昇した。4) BP施行後にはBP施行前よりI(-)群ではLVSWIが有意に低下した。以上よりBP施行中の血圧には左心機能と末梢血管抵抗が関与し、CHFではHDより左右心機能と代償的血管収縮が良好に維持され安全で有効であった。
  • 高木 啓之, 宮内 潤一郎
    1993 年 22 巻 1 号 p. 113-119
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々が開発した空気駆動ポンプ用の自動制御式制御駆動装置を用い、同じく我々が開発したミニチュアポンプを駆動する事で、透析回路のローラーポンプの代用が可能か否かを検討した。ミニチュアポンプは、チャンバー容積2ml、弁口径3mmを最小に、容積6ml, 弁口径4mm迄、各種であった。模式透析回路循環で、250ml迄の流量を自由に選定すれば、動静脈圧が変化しても自動対応し、設定量を維持した。この自動制御方式は長期間連続CVVHに適しているのみならず、制御のメカニズムを利用すると、患者の循環動態のリアルタイムの連続監視に利用できると考えられる。
  • 芝本 隆, 秋山 正男, 西山 謙一, 小林 力, 大貫 順一, 川崎 忠行
    1993 年 22 巻 1 号 p. 120-123
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    目的: 本装置AVC-308(旭メディカル社)は透析液回路を閉鎖系とせず, ダイアライザーへの透析液流入出量の差を, コンピュータ制御にて監視し流出量を目的除水量に到達するよう制御する新しい方式により開発された。運転情報をコンピュータ内に取り込むため情報処理が容易となる。新しい除水システムの除水精度の確認を中心に臨床評価した。方法: 対象は慢性透析を受ける15例(男12, 女3)である。除水システムの除水精度を水系実験と臨床使用から確認した。本装置の情報をメーカーとの間で通信した。結果: 水系実験による除水精度は誤差率100以内, 臨床使用では誤差は2%以内であった。データ通信では装置の安定した情報が送れた。結論: AVC-308透析装置による除水制御精度は水系実験や臨床使用から満足できた。本装置はフルコンピュータ制御のため装置内の情報をパソコンに取り出せ, その情報を電話回線通信にてメーカーへ送ることが可能で遠隔メンテナンスを可能にした。
  • 中尾 俊之, 山本 裕康, 栗山 哲, 友成 治夫, 松本 博
    1993 年 22 巻 1 号 p. 124-128
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Screwl ock CAPD systemバッグフリータイプの実験モデルを作り, 接続チューブコネクター先端部に細菌を103個付着させたが, 透析液注入前洗浄操作後や保護キャップ装着後の同部の培養では菌の発育を認めなかった。臨床的には, 93%の医療スタッフが本システムが従来のスパイクシステムより簡便性が高いとし, 細菌汚染に対する安全性はUVシステムと同等とした。患者16名がバッグ交換手技を習得するまでの日数は3.2±1.1日であつたが, 他のシステムの習得困難と思われた5名の患者も9.2±4.3日で本システムを習得できた。腹膜炎発生率は1回/39.7患者・月であり, 同時期に行った他のシステムに比べ低かった。
    Screw lock systemによるCAPDは, 簡便に確実な操作ができる特徴をもち, 従来の方式では習得困難な患者にも比較的容易に適応できるため, 有用性が高いと考えられた。
  • 北本 康則, 副島 秀久, 松下 和孝, 糀本 芳郎, 高橋 郁夫
    1993 年 22 巻 1 号 p. 129-132
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    エアートラップチャンバー部での血液と空気の接触をトリカプリリン(TC)用いる事によって遮断し、凝血の変化を調べた。ビーグル犬14匹を2群に分け、透析回路で150ml/分の体外循環を60分行った。抗凝固剤は用いず7匹でTCをVチャンバーに浮遊した。残りの7匹は対照とした。凝固時間(ACT)、回路内圧を測定、ダイアライザーの凝血を観察した。さらに8例の透析患者を対象にV側並列3連チャンバーを川い、凝血に対するTCの効果を調べ、他の5例で透析によるトロンビン・ATIII複合体の生成に及ぼす影響を見た。体外循環中ControlでACTは短縮傾向にあったがTC群で不変であった。対照群に見られた血液空気境界面での凝血は、TC群で消失した。患者ではTCによりチャンバーの凝血は改善した。TATは透析により増加したが、TC使用で5例中4例の増加が抑制された。これはトロンビン生成の抑制によると考えられた。
  • 水口 潤, 川島 周, 杉浦 清史, 高木 豊巳, 斎藤 明, 宮崎 哲夫, 内藤 秀宗, 中川 芳彦, 寺岡 慧, 太田 和夫
    1993 年 22 巻 1 号 p. 133-136
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血清β2ミクログロブリン(β2MG)濃度をできるかぎり低値に維持することは、透析アミロイドーシスの予防のための基本的な考え方であると思われる。今回、慢性透析患者3例を対象として維持治療用PANフィルターを用いたCAVHFを行ない、β2MG除去に対する有効性について検討した。治療法として、(1)濾過量5L/日のCAVHF+週1度の血液透析、(2)濾過量5L/日のCAVHF+週3度の夜間緩徐透析、(3)濾過量10L/日のCAVHFを行なった。いずれの治療法でも17~20mg/Lの血清β2MG濃度を維持することが可能であった。なお治療法(1)では尿素窒素、クレァチニンおよびK値の上昇が問題であったが、治療法(2)および(3)ではそのような問題点はみとあられなかった。持続治療法には、フィルターの開発、装着性など解決しなければならない多くの問題点があるが、β2MG除去をはじめとした除去療法として有力な方法であると考える。
  • 長谷川 みどり, 村上 和隆, 柳井 利之, 小島 邦義, 川島 司郎, Masahiko SHIKANO
    1993 年 22 巻 1 号 p. 137-141
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析アミロイドーシスの患者では血清中のClq・β2-MG複合体が有意に上昇し、Clq・SAP複合体が有意に低下していることを明らかにすることができた。今回はこれら複合体が透析療法の直接的な影響によりどの様に変動するかを観察するために、透析膜前後、血液透析(HD)前後で各複合体を測定した。さらに体外実験を行って、透析膜への吸着の有無を調べた。Cu膜によるHD後には血中のClq複合体は上昇し、PAN膜によるHD後には血中のClq複合体は低下した。体外実験よりPAN膜へのClq複合体吸着を示唆する結果が得られ、PAN膜を使用した際、HD後にClq複合体が低下した一因は吸着であると考えられた。
  • 長浦 博, 玉置 透, 小崎 正巳, 平野 俊彦, 岡 希太郎
    1993 年 22 巻 1 号 p. 142-146
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全(CRF)患者透析廃液中に含まれるリンパ球幼若化反応促進因子について検討した。CRF患者11名の平均年齢、透析期間はそれぞれ58.5歳、83.8ヶ月であった。廃液を凍結乾燥後、逆相HPLC法により分析した。1)溶出画分を10分毎に回収して検討した結果、10-20分に活性が認められ、0-20分までの溶出画分をさらに2分毎に回収したが、活性は、保持係数(k') 2.08から2.45 (Fr. AとB)に溶出された。2)FLB中のピークを有する患者の透析廃液は高いリンパ球幼若化促進活性を示した(p0.002)。3)廃液中に含まれる可能性のある既知物質クレアチニン、馬尿酸、キノリン酸、チミンなどを同一条件でHPLC分析したが、これらはいずれも活性ピークと一致しなかった。4)Fr. AとBは用量依存的に幼若化反応を促進した。以上の結果、クレアチニンより脂溶性の高い242nmにUV吸収極大を示す物質が、透析廃液中のリンパ球幼若化促進活性に関与する可能性が示唆された。
  • 三好 浩稔, 柳 健一, 古川 克子, 大島 宣雄
    1993 年 22 巻 1 号 p. 147-152
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Polyvinyl formal (PVF)樹脂多孔質体を担体とする充填層型リアクターを用いて、1週間の肝細胞の連続培養を行った。内径20mmのリアクターに、平均孔径250μmのPVF樹脂を2x2x2mmに細切した担体500個を充填し、灌流培養に使用した。対照として、ディッシュを用いる単層培養を行った。培養期間中、培地のアンモニア及び尿素窒素の濃度変化を測定し、速度論的な解析からアンモニア代謝能と尿素合成能を評価した。培地条件を変えて培養を行った結果、無血清培地、epidermal growth factor添加培地を使用した場合には、アンモニア代謝能と尿素合成能は、培養時間の経過とともに急激に低下した。灌流培養では、1日目の活性の10%程度しか培養終了時に維持しておらず、活性低下の速度も単層培養より大きかった。これに対して、血清添加培地では、灌流培養、単層培養とも活性は良好に維持され、培養終了時にも1日目の50%程度が保たれていた。
  • 竹下 和良, 石橋 治昭, 鈴木 雅之, 戸辺 成四郎, 武井 由香, 岸田 明博, 赤池 敏宏, 小玉 正智
    1993 年 22 巻 1 号 p. 153-158
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    肝細胞培養系を利用する体外循環型ハイブリッド人工肝臓の実現のためには、高度の分化機能と高いviabilityを維持した状態での高密度灌流培養法の確立が不可欠である。また異種動物肝細胞の利用を考える場合、免疫学的問題の解決が必要である。ホローファイバー型モジュールは体外循環系への適用が容易である上に、ボアサイズの制限によりimmuno-isolationが可能である。このような利点を持つホローファイバー型モジュール内に、コラーゲンゲルを用いて肝細胞を高密度に組み込み(4x107個/2ml/module)、14日間の灌流培養を行った。アルブミン合成分泌能、尿素産生能は、静置単層培養法と比較してほぼ同等に機能維持された。アンモニア処理能は培養8日においても培養初日の機能の約43%が維持された。以上より、本培養システムは、体外循環型人工肝臓の実現に向けて大きく期待されるシステムであると考えられた。
  • 葛西 眞一, 澤 雅之, 富田 一郎, 橋本 道紀, B JIANG, 平井 修二, 柿坂 明俊, 山本 哲, 水戸 廸郎, 井上 政昭
    1993 年 22 巻 1 号 p. 159-163
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    生体材料との複合型人工臓器、いわゆるHybrid型人工臓器では、生体材料と人工材料との適合性が、大きな問題のひとつである。今回Hybrid型人工肝臓の代謝のリアクターとして、セルロース由来マイクロキャリア接着肝細胞の代謝能について検討した。0.03%コラーゲンをコーティングしたマイクロキャリアと肝細胞をスピナーフラスコ内で3時間培養し、間欠撹拌にて約70%の肝細胞が接着した。また、培養24時間後のNH3およびfructose負荷試験では、単層培養肝細胞に比して良好な代謝能を示し、6日後の負荷試験においても、代謝能の低下は単層培養肝細胞に比して軽度であった。
  • 酒井 康行, 鈴木 基之
    1993 年 22 巻 1 号 p. 164-170
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    浮遊スフェロイド形成後に固定化することによる人工肝モジュールの製作をめざし, スフェロイドの大量迅速形成法および安定固定化法について検討を行った. 大量形成については, 市販のスピナーフラスコを改造した培養槽での50mLの浮遊懸濁培養を行った. 肝細胞は約24-48時間で球状の凝集体を形成した. この凝集体を固定化したところ, 静置培養で形成させたスフェロイドと同様に良好な機能を維持したことから, 迅速形成させた凝集体は, スフェロイドであるといえた.
    安定固定化については, ポリリジン上再付着・アルギン酸カルシウムゲル包括・コラーゲンゲル包括の3種の方法で, 迅速形成させたスフェロイドを固定化し, 機能発現を比較検討した. 高濃度ホルモンを含んだ無血清培地ではいずれも良好な機能維持を示したが, 血清濃度を増加させたり, ホルモン濃度を生理的濃度まで低下させたりした場合には, コラーゲンゲル包括が最も良好な機能維持を示した.
  • 井嶋 博之, 松下 琢, 船津 和守
    1993 年 22 巻 1 号 p. 171-176
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々はポリエーテル系硬質ポリウレタンフォーム(PUF)孔内で形成・固定化させたラット肝細胞スフェロイドを、PUFごと縦型に積層充填したPUF/スフェロイド充填層培養装置(PUF充填率: 36%, 装置体積: 100cm3)を開発し、ハイブリッド型人工肝臓としての性能評価を行った。今回は特にアンモニア処理(尿素合成)活性に着目し、1mM-NH4Clを添加した無血清培地で検討を行った結果、細胞当りでは、4.28μmol/106cells/dayの尿素合成速度及び2.31、μmol/106cells/dayのアンモニア処理速度を、また装置体積当りでは1.53mmol/L-module/dayの尿素合成速度を有していた。このうち細胞当りの尿素合成速度は、生体内レベルと同等またはそれ以上の高機能発現量であり、また3mM-NH4Cl添加系での実験では、この活性が約1ケ月に渡って維持されたことから、このPUF/スフェロイド充填層培養装置はハイブリッド型人工肝臓のプロトタイプとして期待が持てるものと考えられた。
  • 小林 明, 大河原 久子, 大森 安恵, 後藤 光昭, 小林 一清, 赤池 敏宏
    1993 年 22 巻 1 号 p. 177-181
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ラ氏島を包埋培養する際に、ゲル中にラ氏島の1種のアゴニストであるグルコースを有したポリスチレン誘導体を用い、ラ氏島の機能発現性を検討した。はじめに蛍光標識したポリマーとラ氏島の相互作用を検討した結果、ラ氏島は糖側鎖末端がガラクトースであるポリマーより、グルコースを有したポリマー(PVMA)と相互作用し易いことがわかった。この結果をもとに、HEMAとのランダム共重合体を合成し、アガロースゲル中に共存させると、0.005% (W/V) VMA-HEMA co-polymerを共存させた時に、グルコース濃度に応じた、ラ氏島からのインスリンの放出能が最も高くなることがわかった。一方、1.0% (W/V)のアガロースゲルのみでは、培養初期において、すでにグルコース応答能及びインスリンの放出能が消失していた。このようにラ氏島の一種のアゴニストである、グルコースを有したポリマー共存下で培養を行うと、ラ氏島の機能維持が向上したことは、非常に興味深い知見である。
  • 小林 和生, 岡 孝之, 栗山 澄, 岩田 博夫, 雨宮 浩
    1993 年 22 巻 1 号 p. 182-185
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ハムスター・ラ島を移植することで感作した糖尿病マウスをレシピエントとして用い、アガロースマイクロカプセル化ハムスター・ラ島の生着期間に及ぼすアガロース濃度の影響を検討した。感作後14日目に、移植前20日間以上長期培養したマイクロカプセル化ラ島を移植した。レシピエントマウスの血漿中には、マイクロカプセル化ラ島移植日から50日以上に渡って、高力価の抗ハムスター・抗体が存在していた。マイクロカプセル作製に用いるアガロースの濃度を高めるとともに、マイクロカプセル化ラ島の生着期間は延長した。特に、7.5%濃度の高分子量アガロースマイクロカプセルに封入したラ島を移植した群では、6匹中4匹まで100日間以上血糖値が正常化した。種々のアガロースゲル中の免疫グロブリンG (IgG)の移動しやすさを電気泳動法を用いて評価した。マイクロカプセル化ラ島の生着期間は、アガロースゲルのIgGの拡散定数に反比例して延長することが明らかになった。
  • 青松 幸雄, 中島 祥介, 金廣 裕道, 福岡 敏幸, 久永 倫聖, 吉村 淳, 中野 博重, 岩田 博夫, 雨宮 浩
    1993 年 22 巻 1 号 p. 186-189
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    光架橋性polyvinylalcohol (PVA-sbQ)と膵ラ島を組み合わせた血液灌流型Bioartificial Pancreas (BAP)を考案し、犬同種移植モデルでその有用性につき検討した。約7万~19万個の犬膵ラ島を10% PVA-SbQ溶液に混和後、人工血管壁に塗布、光照射により固着しBAPを作製した。この人工血管を膵全摘犬の腹部大動脈に端々吻合し、同種移植した(n=5)。移植前後に、血糖値が150mg/dlとなるようにinsulinを投与し、免疫抑制剤は投与しなかった。膵全摘後0.4ng/ml以下であった血中CPRは移植後0.6~1.3ng/mlと上昇した。移植前8~16U/dayであったinsulin投与量は移植後0~10UIdayとより少ない投与量で血糖値のcontrolが可能となり、組織学的にも拒絶反応は認められなかった。以上より、PVA-SbQを用いた血液灌流型BAPは免疫隔離能と共にインスリン分泌能を有し、その移植はI型糖尿病に対する有効な治療法となる可能性が示された。
  • 中路 修平, 犬飼 雄一, 高倉 孝一
    1993 年 22 巻 1 号 p. 190-193
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    生体適合性に優れた親水性HEMA系ポリマー(以下PHEMA)でコーティングした多孔性陰イオン交換樹脂を吸着剤とする高ビリルビン血症治療用のビリルビン吸着器を開発した。陰イオン交換樹脂の中で高いビリルビン吸着性能をもつ多孔性陰イオン交換樹脂を選択した。最適なPHEMAコーティング条件を選ぶことにより、ビリルビン吸着性能を低下させることなくアルブミン、フィブリノーゲンなどの血漿蛋白の吸着を有意に抑制できた。この吸着剤を充填した吸着器はin vitro吸着性能試験で優れたビリルビン及び胆汁酸の吸着性能を示した。また、血漿吸着法によって実施した臨床試験においても優れたビリルビン吸着除去能を示し、血漿処理量5リットル以上の吸着容量をもつことが示された。
  • 岡 樹一郎, 中路 修平, 高倉 孝一, 高守 正治
    1993 年 22 巻 1 号 p. 194-197
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    重症筋無力症(MG)の病因物質であると考えられる抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体の内
    AChとAChRの結合を阻害するブロッキング抗体を特異的に吸着除去する吸着器メディソーバMGの開発を行なった。ブロッキング抗体が標的とするAChRのαサブユニットのアミノ酸残基番号183-200に相当する部分をベースとした合成ペプチドをリガンドとして多孔性セルロースビーズに固定化した吸着剤を作製し、カラムに充填して吸着器とした。in vitroおよび臨床評価の結果、本吸着器はブロッキング抗体を選択的に吸着し、IgG、アルブミン等の血漿蛋白をほとんど吸着しないことが明らかになった。また臨床評価では副作用は観察されず、約80%の症例で種々の症状の改善が認められ、MG治療用の選択的血漿成分吸着器としての有用性が確認された。
  • 添田 耕司, 堀 潤朗, 伊藤 靖, 磯野 可一, 小高 通夫
    1993 年 22 巻 1 号 p. 198-203
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ステロイド抵抗性CIDPにてDFPPを4年4か月で238回、3年8か月で105回施行した症例について検討した。DFPPを中止すると歩行困難となること、2週に1度のDFPPにより症状もなく日常生活に復帰したことにより、CIDPに対しDFPPは有効と思われた。長期間のDFPPにより、低蛋白血症、低コレステロール血症、低カルシウム血症、貧血が出現していた。いずれも重篤ではなかった。DFPPによりアルブミンが18g, IgGが3.2g除去されたが、5~7日後に、DFPP前値に回復していた。血清免疫グロブリンの値と神経症状とは必ずしも一致していなかった。リンパ球サブセットのCD4/8は症例1でDFPP後低下傾向にあったが、症例2では変化がなかった。他家アルブミン補充によるDFPPを数年行うのは問題と考え、症例1で免疫学的血漿吸着法に変えたが有用であった。DFPPの有効性の機序にimmunomodulationが考えられたがその関与の判定はできなかった。
  • 小路 久敬, 三永 昌弘, 酒井 良忠, 國友 哲之輔, 武山 高之, 谷 徹, 小玉 正智
    1993 年 22 巻 1 号 p. 204-211
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血中エンドトキシンの除去を目的として、ポリミキシンB固定化繊維(PMX-F)を応用した血液浄化用カラムを開発した。繊維表面に固定化したポリミキシンBの固定化様式とエンドトキシン(ET)の解毒率との関係について、in vitroおよびin vivoの系で検討した結果、固定化ポリミキシンB分子内の1級アミノ基数が多いほど解毒率が高く、アミノ基の正荷電と固定化様式で定まるポリミキシンBの立体構造とが活性の発現に重要な役割を果していることが推察された。また担体繊維によるコントロール実験では血液系でのET解毒は認められず、固定化ポリミキシンBの意義を確認できた。さらにPMX-Fは種の異なる種々のグラム陰性菌由来のLPSに作用でき、スペクトルの広いことも判明した。PMXカラムを臨床応用した結果、重篤な副作用の発生はなく、血中エンドトキシンの除去により、血行動態の改善、低下していた血圧の上昇など興味深い臨床症状の改善が認められた。
  • 清水 将夫, 酒井 清孝
    1993 年 22 巻 1 号 p. 212-216
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血漿分離では時間とともに濾過流束が減少し、定常状態における濾過流束は、同一条件における純水や血漿を用いた時の濾過流束の数十分の一になる。これは、赤血球分極層、堆積層および赤血球による細孔閉塞が濾過流束に対して大きな抵抗になるためである。しかし、多くの血漿分離モデルは赤血球分極層だけに着目している。また、赤血球の血漿中における拡散についての検討も不十分である。
    本研究では、赤血球分極モデルに赤血球の拡散係数の赤血球体積分率依存性、および細孔閉塞による膜抵抗の増加を考慮した新しい血漿分離モデルを考案した。そして洗浄赤血球懸濁液を用いた定圧濾過実験を行うことにより、モデルの妥当性を検討した。
    その結果、赤血球分極モデルに赤血球の拡散係数の赤血球体積分率依存性および細孔閉塞による膜抵抗を考慮に入れることによって、実験結果を本モデルで説明できることが明らかとなった。
  • 横田 徹, 谷 徹, 沼 謙司, 阿部 元, 小玉 正智
    1993 年 22 巻 1 号 p. 217-219
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Pokeweed mitogen (PWM)による抗腫瘍活性誘導能を高めるため精製したPWMについて検討した。市販のPWMをゲル濾過法にて分離し、分子量35,000±5,000の部分を回収してさらに精製した。この精製したPWM (pure PWM)を用いてリンパ球の幼若化反応および抗腫瘍活性誘導能を検討した。比較として市販のPWMを添加したもの、PWMを加えないものについても調べた。リンパ球幼若化試験ではStimulating Index (S. I.)値が、市販のPWM、pure PWMでそれぞれ2.42, 3.83とpure PWMの方が有意に高かった(p<0.05)。pure PWM、市販のPWM、無添加で誘導されたリンパ球のK-562細胞に対する細胞障害活性ではそれぞれ、40.46%, 13.17%, 6.68% (E/T=5)、Daudi細胞に対しては65.52%, 33.08%, 0.48% (E/T=10)とpure PWMで誘導されたリンパ球が有意に強い活性を示した(P<0.01)。担癌患者のリンパ球を用いた場合でもpure PWMは強い細胞障害活性を誘導でき、短時間で安定した抗腫瘍活性が誘導できると考えられる。
  • 米川 元樹, 今裕 史, 高橋 昌宏, 小野 寺一彦, 目黒 順一, 久木 田和丘, 川村 明夫, 駒井 喬, 松田 道生, 関口 清俊, ...
    1993 年 22 巻 1 号 p. 220-225
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Cryofiltrationを施行している慢性関節リウマチ(RA)4例、強直性脊椎炎1例、SLE2例、多発性筋炎1例を対象にCryogelおよび血漿中のフィブロネクチン(pFN)と細胞型FNの一つであるEDA(+)FNを測定し、Cryofiltrationによる除去効率を検討した。Cryogel中のFbg量は血漿中濃度の2.59dl分に相当したが、EDA(+)FNは51.33dl分に達した。これらの症例では血漿中pFNは異常高値を示さないが、EDA(+)FN値およびEDA(+)FN/pFNは高い症例が多く、特にRA症例では痔痛の増強に伴って上昇し、Cryofiltrationによる症状改善に伴って下降した。したがって血漿EDA(+)FNおよびEDA(+)FN/pFNはプラスマフェレーシス治療の適応決定や効果判定の指標として有用であると考えられた。またEDA(+)FNの血漿減少率は低いものの多量に除去され、Reduction Indexは2.5~3.0Lと高かった。これはCryofiltration施行中、pFNは単調に減少するものの、EDA(+)FNは血漿以外の組織から血中に移行して、血漿濃度が一時的に上昇するためと考えられた。
  • 米川 元樹, 今裕 史, 高橋 昌宏, 小野 寺一彦, 目黒 順一, 久木 田和丘, 川村 明夫, 坂下 栄治
    1993 年 22 巻 1 号 p. 226-229
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Cryofiltrationにおける二次フィルターの洗浄方法を変えることによりアルブミン損失の減少を図った。従来の方法(A法)は目づまりを起こす度に生理食塩水500mlで逆洗浄を行なったが、新しい方法(B法)では生理食塩水200mlでフィルター内の血漿を生体に戻した後、300mlでフィルターを逆洗浄した。免疫複合体疾患5例において、蛋白の減少量、減少率、洗浄回数、洗浄間隔、総治療時間をA法、B法で比較検討した。血清総蛋白はB法で減少量、減少率共に低下した。アルブミンは補充量を1/3に減少したにもかかわらず、3例で減少量、減少率共に有意に低下し、洗浄方法を変えることによりアルブミン損失の減少を図ることができた。しかしながらB法では二次フィルターの洗浄が中途半端になることにより目づまりの頻度が多くなった。治療回数は倍に増し、総治療時間も増加したが、アルブミン補充の減少というメリットは大きいと考えられた。
  • 金井 美紀, 山路 健, 杉山 元信, 津田 裕士
    1993 年 22 巻 1 号 p. 230-234
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    膠原病患者に認められるレイノー現象の発現機序として血漿粘度の上昇が考えられており、その治療法としての血漿交換療法(以下PP)の有用性を血液および血漿粘度に着目して検討した。レイノー現象を伴う膠原病患者6名(全身性エリテマトーデス1名、強皮症2名、混合性結合織病2名、皮膚筋炎1名)に対し二重膜濾過法を施行し、その前後で血液および血漿粘度を測定した。血液および血漿粘度の測定には、それぞれ円錐-平板型回転粘度計(Brookfield社製)、微量毛細管粘度計(磯員式)を用いた。血液粘度はPPの前後で有意差は認められなかったが、血漿粘度はレイノー現象患者で正常よりも高く、またPP前後で有意な低下が認められた。サーモグラフィーによる指尖皮膚温の測定ではPPにより皮膚温の上昇を認め、臨床症状の改善も認められ、レイノー現象の治療法としてPPの有用性が考えられた。
  • 山路 健, 金井 美紀, 杉山 元信, 津田 裕士
    1993 年 22 巻 1 号 p. 235-239
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ(以下RA)患者に対する血漿交換療法(以下PP)における血液粘度の変化について測定し、RAの活動性、臨床症状、検査データとの関連性について検討した。今回施行したPPは二重膜濾過法(以下DFPP)で、対象はRA患者18例(男性5例、女性13例)で、血沈50mm/hr以上をA群、血沈50mm/hr未満をB群とし、PP前後における血液粘度および血漿粘度の変化、臨床症状との相関、検査データとの相関について比較検討した。血漿粘度についての両群の比較では、A群における血漿粘度がB群より有意に高かった。またPP前後の変化では、両群とも血漿粘度の有意な低下を認めた。臨床症状についてもA群において、より重症度を示し、特にLansbury indexについては、A群において有意に高値を示した。またPP前後における臨床症状は、両群とも改善傾向を示した。検査データでは、血沈、γ-グロブリン、IgG、IgA、コレステロール、フィブリノーゲンが、A群において有意に高値を示した。
  • 篠田 俊雄, 新倉 秀雄, 高 昌星
    1993 年 22 巻 1 号 p. 240-242
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    信州大学における最近5年間の神経疾患に対する血漿交換療法の治療成績を検討し ,若干の知見を得た。対象はGuillain-Barré症候群(GBS)12例, Fisher症候群(FS)6例, Sensory Neuropathy (SN)1例, 多発性硬化症(MS)3例(うち2例はBalo病), 重症筋無力症(MG)5例の計27例である。これらに対し, 4.4%アルブミン製剤の置換による単純血漿交換法(PE)とImmusorba PH350, TR350を用いた免疫吸着法(IAPP)を施行し, 臨床効果を判定した。GBS, FS, MS, MGでは従来報告されている有効性と一致した成積であった。SNとBalo病での有効性, GBSでの血漿交換療法単独の有効性に加えステロイドの併用効果, FSとSNにおける発症2週間以上での有効性が示唆され, これらは新知見と考えられる。自己免疫機序が関与するとされる神経疾患に対し, 血漿交換療法は有効であるが, 適応時期やステロイドの併用効果は疾患ごとに異なる可能性が示唆される。
feedback
Top