高脂血症に対する積極的治療法としてLDL-apheresis療法(LDL-A)が導入され, 動脈硬化の改善効果等が期待されているが, 著者らは高度の高脂血症を伴い, 術後病変の進行やグラブト閉塞の危険性が大きいと予測された虚血性心疾患(IHD)5例(男4例, 女1例, 年齢; 40~71歳), 慢性動脈閉塞症(CAO)4例(ASO:男2例, 女1例, TAO:男1例, 年齢; 49~66歳)にLDL-Aを施行し, その有用性につき検討した. LDL-A後, 血清総コレステロールおよび中性脂肪値は全症例で低下し, 低下率はそれぞれ8~26%および10~53%であった. IHD群では5例中1例に冠動脈病変の進行を認めたが, 残り4例は全く進行が認められず, グラフトは全例開存していた. CAO群は全例に虚血症状の改善と歩行距離の延長が認められ, APIは治療前後で0.65~0.84→0.86~1.14と有意に上昇した. 以上よりLDL-AはIHDおよびCAOの術後病変の進行防止に有効な治療法と考えられた.
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