人工臓器
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23 巻 , 3 号
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  • 桜井 靖久
    1994 年 23 巻 3 号 p. 543
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 山家 智之, 仁田 新一, 薗部 太郎, 永沼 滋, 秋保 洋, 柿沼 義人, 小林 信一, 芳賀 洋一, 井筒 憲司, 南家 俊介, 田中 ...
    1994 年 23 巻 3 号 p. 545-550
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工心臓による循環が生体にとって生理的といえるのか、要素還元法的な解析ではなく全体論的な解析を加えることを目的としてカオス理論による検討を行なった。成山羊を用い、両心バイパス方式に補助人工心臓を2つ装着した。血行動態時系列曲線を4次元位相空間に埋め込んだ後、 3次元位相空間内に投影して位相力学的な解析を加え、リアプノフ指数の解析によりカオスの判定を行なった。その結果、人工心臓循環下における動脈圧のアトラクターは4次元位相空間内に埋め込み可能であり、トポロジカルには三角形のトーラスを基本構造とした2次元に近い力学構造を持っているものと考えられた。更にリアプノフ指数の解析により、このアトラクターはカオスの特徴を保持していることが示された。カオス的なシステムはある程度外乱に強いフレキシブルなシステムを具現化し得ると報告されており、人工心臓による循環がこのような柔軟性を保持し得る可能性が示唆された。
  • 吉澤 誠, 竹田 宏, 山家 智之, 仁田 新一, 阿部 裕輔, 磯山 隆, 井街 宏, 鎮西 恒雄, 藤正 巌
    1994 年 23 巻 3 号 p. 551-558
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    空気圧駆動の完全置換型人工心臓(TAH)を体内に埋め込む場合の最も大きな問題は, サックの拍動状態が視認できないため, 手動による駆動空気圧の調整が困難となることである. この点, 著者らがこれまで補助人工心臓において開発してきた最適動作点制御法に基づく一回拍出量の定値制御系では, サックの拍動状態を視認する必要がない. なぜなら, この方法では人工心臓の収縮時間と拍出流速に関する情報だけを用いて駆動空気圧の自動調整が可能であるからである. そこで本研究では, 空気圧駆動型TAHの体内埋め込み化を目的として, 一回拍出量の定値制御を必要とする阿部らが提案した1/R制御法に基づく東大型TAHの駆動システムに, 新たに最適動作点制御法を導入し, 動物実験によってその動作の有効性と問題点を評価した.
  • 周 徳華, 藤枡 裕実, 野川 淳彦, 木島 利彦, 梅津 光生
    1994 年 23 巻 3 号 p. 559-563
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液流路の形状が血液の破壊に与える影響を検討するため, 狭窄管の性状に対する牛新鮮血の赤血球破壊(溶血)を比較した. まず、内径10mmの管路に対して内径5mm(面積比:1/4), 長さ15mmの急縮小, 急拡大の管路をコントロールとした. 狭窄管の流入側に20°のテーパ, あるいは, エッジにR=0.5mmの丸みを付すことにより赤血球破壊がそれぞれコントロールの20%, 35%に抑えられた. 狭窄部入り口付近の管路内表面粗さRa=1.35μmの場合, Ra=0.54μmに比べ6倍以上の溶血量を示した. 一方, 狭窄入り口部の形状が急縮小であっても, 表面粗さがRa=0.54μmの場合には溶血は少量にとどまった. 狭窄部の圧力損失の大きさと溶血量には相関関係は見られなかった. 以上の実験結果より, 溶血抑制のための管路性状の重要性が示唆された.
  • 皮籠石 信親, 野尻 知里, 城戸 隆行, 千秋 和久, 金森 敏幸, 酒井 清孝
    1994 年 23 巻 3 号 p. 564-570
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    抗血栓性材料のin vitro評価法として、蛍光顕微鏡、ビデオ、パラレル・プレート・フロー・チャンバーから成るEpifluorescent Video Microscopy(EVM)を用いたリアルタイム評価法を検討した。比較的表面特性の類似した2種類のセグメント化ポリエーテルポリウレタンPU-PTMG(650)およびPb-PTMG(2000)をスライドグラスにコートし、フロー・チャンバーに装着した。蛍光色素で標識した血小板を含む血液をシリンジポンプにより壁ずり速度200sec-1で20分流し、1分毎に血小板粘着量を測定した。PU-PTMG(650)にはPU-PTNG(2000)より有意に多く血小板が粘着した。またPU-PTMG(650)は血小板のβ-TG放出を、PU-PTMG(2000)は補体活性化を促進する傾向を示した。比較的表面特性の類似した2種類の材料間で抗血栓性に差が認められたことから、本EVM装置がin vitroでの抗血栓性材料評価法として有用であることを確認した。
  • 由井 伸彦, 岡野 光夫, 桜井 靖久, 高良 真一, 平沼 隆明, 石川 健次, 山下 修蔵
    1994 年 23 巻 3 号 p. 571-577
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    結晶-非晶ミクロ構造を制御した高分子材料(ポリエーテル-ナイロン・マルチブロック共重合体)及び汎用高分子材料で作製した血液バック中に保存したウサギ血小板の代謝変化を、膜流動性及び細胞質内遊離Ca2+濃度に着目して検討した。汎用高分子材料表面と接触した血小板には、膜流動性の低下及びそれに引き続く細胞質内遊離Ca2+濃度の上昇が認められ、血小板の活性化が示唆された。一方、ポリエーテル-ナイロン・マルチブロック共重合体表面と接触した血小板には、上述のような代謝変化が認められず、活性化の抑制が示された。以上より、ポリエーテル-ナイロン・マルチブロック共重合体表面での血小板活性化の抑制効果は、結晶-非晶ミクロ構造によって血小板膜流動性の低下が回避されていたことに基づいていると結論された。
  • 金森 敏幸, 酒井 清孝, 福田 誠
    1994 年 23 巻 3 号 p. 578-584
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液透析膜の基本性能として、溶質透過性および透水性が挙げられる。溶質は膜に含まれる水の中を拡散し、水は膜内外で入れ替わることにより膜を透過するため、膜内の水の状態は溶質透過性および透水性に影響すると考えられる。本研究では、7種類の高分子素材からなる31種類の血液透析膜について、膜に含まれる水の分布状態および体積を測定した。その結果、膜内には分子運動性が異なる3種類の水が存在し、その比率は膜素材によって大きく異なることが明らかになった。再生セルロース系高分子の血液透析膜では、膜内の水の大部分が高分子鎖によって強く束縛を受けており、その内部の溶質拡散現象は疎水性高分子膜におけるそれとは異なることが明らかになった。さらに、自由体積理論によって再生セルロース系高分子の血液透析膜の膜内拡散現象を解析したところ、5種類の溶質の膜内拡散係数を膜内の水の分布体積によって表すことができた。
  • 神田 圭一, 岡 隆宏, 松田 武久
    1994 年 23 巻 3 号 p. 585-589
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    微小循環系または低圧系における超小口径人工血管に応用出来る可能性のある柔軟な高密度管状組織体を、I型コラーゲンゲルと血管平滑筋細胞(SMC)を用いて形成した。ガラス管、シリコーンチューブとステルス棒を用いて作製した外形7mm、内径1mm、長さ7cmの円筒型鋳型に、仔牛皮膚由来の酸可溶性I型コラーゲン溶液と仔牛大動脈由来のSMC浮遊液を4℃で混合した溜液(コラーゲン濃度0.25%, SMC密度2×106cells/ml)を注入し、37℃でゲル化させることにより円筒状のSMC埋植、イブリッド組織体を作製した。この内腔に外径0.5mmのステルス棒を挿入した後培養液中に浮遊させ、埋植したSMCによる自己収縮を誘導した。約10日間でゲルは収縮し、内径0.5mm・長さ約4cmの管状高密度組織体を構成した。さらに組織体を1%グルタルアルデヒド溶液で架橋し、強度を増加させた。形態学的評価では高密度に集積し円周方向に配向するコラーゲン線維束を認めた。生体組織由来成分のみから成る管状組織体は高い生体適合性が期待できる。
  • 仁田 新一, 山家 智之, 薗部 太郎, 永沼 滋, 柿沼 義人, 秋保 洋, 井筒 憲司, 小林 信一, 南家 俊介, 田中 元直, 福寿 ...
    1994 年 23 巻 3 号 p. 590-594
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工心臓の開発を進めてゆく上で問題となる感染症の発生を解決するためには、エネルギー源を含めて完全に体内に埋め込むことができる人工心臓システムの開発が必要である。われわれは小型振動流ポンプと、アモルファスの応用により伝送効率を向上させた経皮的エネルギー伝送システム及び自動駆動制御装置よりなる完全体内埋め込み型補助人工心臓システムを開発した。動物実験の結果より、経皮的エネルギー伝送システムを介して安全かつ十分な電力伝送が可能であり、2次コイル周辺の皮膚温上昇も許容範囲内であった。また外部の駆動制御装置により振動流ポンプの駆動制御を行い、十分な左心補助を施行し得た。振動流ポンプ内には有意の血栓形成は認められず、溶血量も許容範囲内に抑えられ、今回開発した完全体内埋め込み型補助人工心臓システムは、補助循環システムとして有望であると考えられた。
  • K. KANDA, T. OKA, T. MATSUDA
    1994 年 23 巻 3 号 p. 595-601
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    We have developed the Valvo-Pump, an axial flow blood pump, which is implanted at the natural heart valve position. This device has several advantages; it fits well anatomically, its blood-contacting surface is small because the left or right ventricular cavity is used as the blood storage reservoir, and it is implanted as easily as an artificial heart valve replacement. The Valvo-pump consists of an impeller and a motor, both of which are encased in a housing. An impeller with 5 vanes (22.0mm in diameter) is connected to a samarium-cobalt-rare earth magnet direct current (DC) brushless motor (21.3mm in diameter and 24.9-mm-long). Sealing is achieved by means of a ferrofluidic seal. A pump flow of 16.1 l/min was obtained at a pump differential pressure of 7.7kPa (58mmHg), and a flow of 5.0 l/min at 18.4kPa (138mmHg) with a motor speed of 8500 revolutions per min (rpm). Sealing was kept perfect against a pressure of 29.3kPa (220mmHg) at 9000rpm. The Valvo-Pump is a very promising and simple method of circulatory support.
  • 中野 清治, 北村 昌也, 大塚 吾郎, 橋本 明政, 岩出 和徳, 青崎 正彦, 小柳 仁
    1994 年 23 巻 3 号 p. 602-605
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工弁置換術後のワーファリン療法の治療域を、当施設ではトロンボテスト(TT)で10-25%(PT-INR 2.8-1.6)としている。一方国際的にはPT-INR 4.5-3.0が推奨されている。この違いを術後の合併症の頻度と血液凝固の点から検討した。対象はSt. Jude Medfcal弁、Björk-Shiley弁、生体弁による単弁置換術1554例である。また99例に対しthrombin-antithrombin 111 complex (TAT)、prothrombin fragment 1+2 (F1+2)をTTおよびPT-INRと同時に測定した。術後の血栓弁と血栓塞栓症の頻度は弁種によらず、欧米から報告されているのと同様に抵く、出血性合併症の頻度は欧米に比べ極めて低かった。従ってTT 10-25%は至適治療域といえる。しかしPT-INR 3.0以上の例ではTAT, F1+2とも全例正常なのに対し、TT 10-25%の患者のうち11%にTATが14%にF1+2が高値を示した。凝血学の面からはこれらの患者には治療域の再考が必要である。
  • 宮本 裕治, 中埜 粛, 高野 弘志, 松田 暉
    1994 年 23 巻 3 号 p. 606-611
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    開心術中に起こる凝固線溶系の賦活化などの種々の生体反応の抑制を試みた。1. nafamostat mesilate (FUT): 成人開心術において、FUT投与群(n=15)と非投与群(n=15)で、(1)血小板数(2)凝固系マーカー(TAT)と線溶系マーカー(PIC)(3)血管作動性物質(セロトニン、ヒスタミン、ブラディキニン)(4)術後出血量を比較した。2. ヘパリンコーティング: 実験ではヒト血(n=6)を用い、テルモ式コーティングのCPB回路とコントロールの回路で凝固系(TAT)、血小板(PF-4)、白血球(顆粒球エラスターゼ)、補体(C3a)について比較した。臨床では冠動脈バイパス術において、カーメダ式コーティング(n=15)とコントロール(n=15)で血小板数と凝集能・粘着能について比較した。結果:1. FUTには、血小板保護作用と線溶系抑制作用があり術後出血量軽減に有用で、また血管作動性物質の変動も抑制した。2. ヘパリンコーティングにより、実験では上記の全てのパラメーターが低値となり、生体適合性が向上することが示された。また、臨床においても血小板保護作用がみられた。
  • 川人 宏次, 井野 隆史, 安達 秀雄, 井手 博文, 水原 章浩, 山口 敦司, 村田 聖一郎
    1994 年 23 巻 3 号 p. 612-617
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    補助循環における血液凝固制御として、我々はヘパリンコーティングを主とした抗血栓性回路を使用し、血液接触面での血栓形成を抑制することで、全身投与するヘパリン量削減を図っている。この抗血栓性回路を用いたLow dose systemic heparinizadonの有用性について検討した。症例は術後補助循環や心肺停止例に対する蘇生手段として使用したPCPS(Percutaneous cardiopulmonary support system)25例、経皮的左心バイパス3例、胸部大動脈手術の術中補助手段としての部分体外循環法6例の計34例である。抗凝固療法は微量ヘパリンを全身投与し、ACT(Activated coagulation time)で、PCPS: 150秒、左心バイパス: 150-200秒、術中部分体外循環: 200秒を目標として管理した。長期生存はPCPS32%(8/25)、左心バイパス0%(0/3)、部分体外循環法67%(4/6)であった。出血に関しては、術後PCPS症例のドレーン出血量は術後3時間目以後は30ml/hour以下であり、また部分体外循環を用いた胸部大動脈手術の術中出血は785±382mlと出血のコントロールは良好であった。循環補助中の出血合併症の発生はなく、また臨床上、剖検上血栓塞栓症の発生はなかった。回路内の血栓形成に関しては、流量0.8-1.0L/min. の低流量で長時間の循環補助をした心筋梗塞後心室中隔穿孔術後症例に対するPCPSの1例に、回路内血栓を認め、回路交換を余儀なくされた以外は、人工肺の血流停滞部やチューブ接続の段差部にわずかな血栓を認めたのみで臨床上問題となるようなものはなかった。このように、抗血栓性補助循環回路を用いたLow dose systemic hepadniza-tionの試みは、出血をコントロールする上で有用であると考えられたが、低流量で長時間使用する症例に対して課題が残った。また、回路内の段差や血液停滞部をなくすような流体力学的効果をもつ形状デザインが重要であると思われた。
  • 水口 潤, 斉藤 明, 川島 周, 杉浦 清史, 高木 豊巳, 宮崎 哲夫, 内藤 秀宗, 峰島 三千男, 寺岡 慧, 太田 和夫
    1994 年 23 巻 3 号 p. 618-621
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    持続治療法では、従来の間欠的治療法に比べ凝固線溶系への影響が大きいと思われ、持続治療を行った場合の抗凝固療法の問題点について検討した。安定期の慢性血液透析患者を対象とし、濾過量5lまたは10lの持続治療を行った。抗凝固剤としてヘパリン500~750単位/時間を使用し、フィルター寿命および凝固・線溶系について1~8週間の観察を行った。フィルターの耐用日数は2~11日であり、4週目までは約1週間の連続使用が可能であったが、その後のフィルター耐用日数は有意に短縮し、8周後には2~3日となった。またそれにともない血小板数およびAT-IIIの減少、TATおよびD-dimerの増加が観察され、凝固線溶系が活性化されていることが予測された。今後、長期にわたる臨床応用のためには、さらに抗血栓性にすぐれたフィルターの実用化や、抗血小板剤の開発が必要であると考える。
  • 中島 博, 貝原 真, 鈴木 嘉昭
    1994 年 23 巻 3 号 p. 622-628
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    優れた抗血栓性を有する血管内皮細胞によるハイブリッド化は、小口径人工血管の生体適合性の付与に有力な手段である。内径1.3~1.5mmガラス基材ハイブリッド人工血管を雑種成犬の大腿動静脈に置換して培養血管内皮細胞の抗血栓性を検討した。動脈置換群は置換後6時間でも全例が開存し、肉眼的および走査電顕所見で明らかな血栓形成を認めず、内皮細胞の優れた抗血栓性が示された。静脈置換群は平均流速が動脈群と比較して有意差がないにも関わらず重力方向下面に肉眼的血栓形成を認めた。この差異は、静脈内での重力による血球成分の不均等分布が流速を低下させ、拍動流と比較して勢弾力の小さい層流による血液凝固への影響によると考えられた。この流れの問題は血管内皮のconfluencyや安定性、また基材の抗血栓性と同様にハイブリッド人工血管開発の上で十分に検討すべき課題であると考える。
  • 北村 昌也, 高沢 有史, 青見 茂之, 八田 光弘, 西田 博, 遠藤 真弘, 橋本 明政, 小柳 仁, PE OYER, VA STAR ...
    1994 年 23 巻 3 号 p. 629-633
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    最近約1年間の当施設の補助循環12例とスタンフォード大学の移植へのブリッジ6例を中心ζして、両施設の緊急入院例・開心術症例及びスタンフォード大学の移槙手術例などを検討し,移術医療の有無による治療体系及び成績の葦異について解析した。当雄設の非開心術6例には経皮的心肺補助(PCPS)を適応し、3例で離脱に成功し、うち1例(16.7%)が隼存した。開心術後の補助循環6例では、主に遠心ポンプと模型肺を用い、5例で離脱に成功し、うち2例(33.3%)が生存した。ネタンフォード大学の移植へのブリッジ6例では、Novacor左室補助システム(LVAS)3例、開心術後のIABPからの緊急心臓移植1例、ECMO後の片肺移植1例、片肺移植後のECMOからの心肺再移植1例が行われ、うち4例(66.7%)は生存退院した。両施設の補助循環の治療体系を比較すると陛特に非開心術後の補助循環において、移植へのブリッジの早期適応の有無が成緯に大きく影響していると思われた。
  • 西村 和修, M. YACOUB
    1994 年 23 巻 3 号 p. 634-636
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    補助心臓を心移植前後に使用した患者の成績を検討した。1989年1月から1992年6月までの期間にヘアフィールド病院において心移植手術を受けた患者のうち、移植までのブリッジに補助心臓を使用した患者は5人(1.4%)で、移植後の心不全のために使用した患者は12人(3.3%)であった。前者にはにはABIO MEDのポンプを用い、後者ではABIOMEDポンプ(8例)またはBIOMEDICUS遠心ポンプ(4例)が用いられた。ブリッジの5例の血行動態は、補助循環開始後に著明に改善したが、この内2例にのみ心移植が行われて成功した・他の3例は出血、感染などで移植までに至らずに死亡した。移植後心不全12例中2例において離脱に成功し、1例のみ長期生存した。他に再移植にて1例救命した。合併症は出血、腎不全、感染などが主なものであった。心移植に関連した補助心臓の使用は有効であるものの、より良い成績を上げるためには適切な患者管理と、Deviceそのものの向上が必要である。
  • 中谷 武嗣, 高野 久輝, 穴井 博文, 妙中 義之, 赤城 治彦, 増澤 徹, 馬場 雄造, 巽英 介, 鬼頭 義次, 川島 康生
    1994 年 23 巻 3 号 p. 637-640
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々は, ブリッジ用として日本人に適したサイズの埋込型左心補助人工心臓システム(LVAS)の開発を進めている, 血液ポンプは抗血栓性・耐久性に優れたセグメント化ポリウレタン(TMシリーズ)製空気圧駆動ダイアフラム型で, ポンプの拍出量モニタリングおよびfull-fill to full-empty駆動制御を非侵襲的に行なうためのインピーダンス法を開発し, さらに適用患者のQOL向上のために携帯型駆動装置を試作した.慢性動物実験は, 成山羊11頭を用い左室心尖脱血-下行大動脈送血にて行った.事故、出血等により5頭を2~9週にて失ったが, 2頭は4週, 1頭は9週, 3頭は14週以上の循環補助後犠死せしめた. 循環補助中, 全身状態は良好に維持され, 血液・生化学検査上特に異常を認めなかった. 本LVASは, 3ヵ月以上の使用が可能であり, 現在, 臨床応用にむけて更に慢性動物実験を続行中である.
  • 林 衆治, 折原 明, 横山 逸男, 高木 弘
    1994 年 23 巻 3 号 p. 641-645
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    異種臓器血管内皮細胞は、移植後超急性拒絶反応の最大のターゲットである。異種血管内皮細胞をヒト補体系の攻撃から守るためにヒト補体制御因子遺伝子(DAF,HRF20)をレトロウイルス法を用いてウシ血管内皮細胞(BAEC)に導入し、BAECでのDAF及びHRF20のexPression及びfunctionが検討された。遺伝子導入BAEC(BAEC/DAF,BAEC/HRF20)での遺伝子発現は、ヒト膀帯静脈(HUVEC)での発現と同程度であった。PI-PLC処理により、これらの発現は減少ないしは消失した。BAEC/DAFまたはBAEC/HRF20によるcomplement dependent lysisは、コントロールBAECと比較して著明に抑制されたが、ヒト血清にラビット補体を加えた場合、lysisはコントロールと同程度であった。以上より、DAFまたはHRF20をレトロウイルス法により導入された異種血管内皮細胞は充分の抗原発現を有し、種特異的にcomplement dependent lysisを抑制すると考えられた。
  • 峰島 三千男, 渡貫 幹彦, 山形 桂仁, 江良 和雄, 寺岡 慧, 阿岸 鉄三, 太田 和夫, 酒井 清孝, 増田 利明, 福井 清
    1994 年 23 巻 3 号 p. 646-649
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    次世代型人工腎システムの1つとして連続的再循環腹膜透析(continuous recirculating peritoneal dialysis, CRPD)を開発した。CRPDでは患者腹腔内へいったん貯液した腹膜透析液の一部を新開発のダブルルーメンカテーテルを通じ体外循環し、外部ダイアライザによって積極的に溶質除去を行う透
    析システムである。現在までに、(1)イヌ透析実験を通じCRPDの安全性、溶質除去特性などの性能評価を、(2)(1)で得られた結果をcompartment modelを用いたシミュレーショγ解析により腹膜ダイアリザンスを求め、実際に臨床応用した時の治療効果の推算を、(3)水溶液実験により試験ダイアライザの溶質除去特性を把握し、その結果からCRPD用外部ダイアライザの至適設計を行った。CRPDはCAPD同様、腹膜炎合併の恐れはあるものの、HDをはるかに超える性能をもち、原則的に抗凝固剤やブラッドアクセスを必要としないなどの多くの長所を有する治療法であることが確認された。
  • 中村 崇人, 宮本 啓一, 金 武男, 鴇田 昌之, 駒井 喬, 高村 賢一, 東 信良, 笹島 唯博, 久保 良彦
    1994 年 23 巻 3 号 p. 650-653
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    PET代用血管の機能向上を目的とし, 生体由来物質であるゼラチンを基質とする血栓バインダーの分子設計と調製を試みた.温和な条件下でゼラチンに長鎖アルキル基を持つアシル基を導入すると, ゼラチン内の炭化水素鎖の疎水性相互作用の増加により, ゲル網目の構造安定性が向上し, ゲルは化学架橋処理によることなく, より安定なものになることが, 融点および融解のエンタルピー変化の評価から明かになった. PET上にキャストしたゼラチンゲルの表面組成は, 疎水基の導入に反して気相界面には極性基濃縮が起きていることがX線光電子分光法による分析から明かになった. 導入された疎水基は内部に埋没していることが示唆された. 本研究によって, ゼラチンの界面特性および構造安定性が, 適切な化学修飾を行なうことにより制御可能となり, PETと血栓の接着界面に介在する有効なバインダーが開発できたと言える.
  • 石原 一彦, 渡辺 昭彦, 中林 宣男
    1994 年 23 巻 3 号 p. 654-659
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    セルロース膜を使用した血液透析時に起こる補体活性化及び血液細胞の粘着、活性化を抑制するためにセルロース膜表面に生体膜を構成するリン脂質極性基を有する2-メタクリロイルオキシエチルポスホリルコリン(MPC)ポリマーをグラフト化した. MPCグラフト化セルロース膜の力学的強度及び溶質透過性は未処理の膜に比較して変化が認められないのに対して、補体活性化率は表面のMPC分率の増加と共に有意に減少し、MPCモル分率0.5程度の膜では未処理のセルロース膜に対して10%程度となった。MPCはセルロース中空糸にも容易にグラフトできた。この中空糸を充填したミニモジュールをウサギの頚動静脈間につないでヘパリンを添加しない状態で血液を45分間循環させたところ、血栓形成により閉塞した中空糸は5%以下であり、未処理のセルロース中空糸の場合の閉塞率60%に比べて有意に抗血栓性の改善がみられた。
  • 大前 仁, 中村 崇人, 宮本 啓一, 鴇田 昌之, 駒井 喬, 米川 元樹, 川村 明夫, 坂下 栄治
    1994 年 23 巻 3 号 p. 660-664
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    クリオフィルトレーションにより除去され、病態変動に良く感応する免疫複合体(Cryogel)の本質を解明する研究は今まで殆どなされていなかった。我々はこのCryogelの主成分がEDA(+)FNであることを生物化学的手法、免疫化学的手法を用いて解明し報告してきたが、今回常温下で血液から直接EDA(+)FNを選択吸着除去しクリオフィルトレーションによるリュウマチ治療と同様の効果のあるシステムの構築を目的としてEDA(+)FNの特異選択的吸着材の開発を行なった。EDA(+)FNの高ヘパリン親和性に着目し、セルロースモノフィラメントからなる不織布を出発材料として固体ヘパリノイドの調製に成功した。本材料の血漿成分の吸着性を検討した所、EDA(+)FNを最大約90%吸着し、総FNは50%未満、Fbgは20%未満、他は13%未満と非常に優れたEDA(+)FNの特異選択性を発現することが判明した。
  • 高塚 旨寛, 中山 泰秀, 松田 武久
    1994 年 23 巻 3 号 p. 665-670
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    心臓・血管系の人工臓器、およびその周辺器具にハイドロゲルを固定化し生体適合性を付与する技術を開発することを目的として、光化学反応を用いた新しい表面修飾法の開発を行なった。光反応性基として、光照射により高反応性のラジカル対に解離するジチオカルバミン酸基を用いた。ジチオカルバミン酸基を導入した光反応性高分子を合成し、その水溶液を基材上に塗布し、光照射するとハイドロゲルが形成されると同時に基材表面へ固定化された。光反応性高分子を塗布する際、ウロキナーゼ、あるいはヘパリンを混合することによりゲル内に包埋させることが可能であった。ヘパリンを包埋化するとin vitroにおいて血小板の粘着が抑制され、全血凝固時間が延長した。またウロキナーゼを包埋化するとフィブリン膜の溶解が観察された。
  • 清谷 哲也, 寺町 政美, 滝本 行延, 奥村 典仁, 中村 達雄, 清水 慶彦
    1994 年 23 巻 3 号 p. 671-674
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    ゼヲチン糊の有用性について検討を行った。まずラットの背部に作成した長さ2cmの切開創を、それぞれゼラチン糊(GRF®glue,E.H.S.,フランス)、フィブリン糊で接着・閉鎖した群、および縫合した群の3群を作成した。経時的に創の抗張力の測定と、組織学的な評価を行った。GRF群の抗張力は3日後までは他の2群よりも高かったが7日以降は他の2群ほど増加しなかった。組織学的には、GRF群の炎症細胞の浸潤は高度であったが、周囲組織の変性・壊死は認めなかった。フィブリン糊が7日以内に消失したのに対し、GRF glueは3週後も6例中3例での残存を認めた。つぎにウサギで肺のエアリークの閉鎖及び肝・腎よりの出血の止血に対するGRF glueの効果を検討した。エアリークの閉鎖には、全例成功した。少量の出血に対しての止血効果を認めたものの、持続的な動脈性の出血に対する止血効果は不十分であった。
  • 志水 秀行, 上田 敏彦, 四津 良平, 木曾 一誠, 西川 邦, 前原 正明, 大蔵 幹彦, 金子 寛, 今村 洋二, 川田 志明
    1994 年 23 巻 3 号 p. 675-678
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1992年10月より1993年4月までに20症例の心大血管手術に際し、生体接着剤GRF(gelatin-resorcin-formalin)を使用した。急性大動脈解離2例及び弓部大動脈瘤食道破裂、急性心筋梗塞後心室中隔穿孔、冠静脈洞損傷の各1例を失ったが、死因はGRFとは無関係であった。急性大動脈解離7例全例及び慢性大動脈解離5例中1例で、GRFを接着剤として大動脈断端部の解離腔閉鎖に用いた。接着部は適度な弾性と強度を持ち縫合が容易で針穴からの血液漏出もなく、極めて有用であった。他の多くの症例では、GRFを止血剤として主に縫合部に用いた。冠静脈洞損傷の1例でGRF塗布時に同部の乾燥が得られなかったために無効であったが、適用部位を一時的に乾燥させた上で使用した症例では、技術的に縫合困難とされる急性心筋梗塞後心室中隔穿孔や大動脈石灰化の著明な高安動脈炎の症例を含めて良好な止血効果が得られた。対象となった症例で副作用はなく、安全に使用し得る製剤と考えられた。
  • 窪田 倭
    1994 年 23 巻 3 号 p. 679-684
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    創傷被覆材としてのガーゼの最大の欠点は創傷面と強く固着することである。ガーゼに温度感応性ポリマー(PNIPAAm)をコーティングし, 剥離時, 下限臨界共溶温度以下に冷却するとPNIPAAmが溶出し剥離が容易になるのではないかと推定し, ラットの全層皮膚欠損創に用いた。その結果, 未コーティングガーゼおよびソフラチュールは4日間留置で創傷面と固着し, 剥離するとガーゼに肉芽組織が付着し, 肉芽組織の断裂がみられた。トレックスガーゼは7日間で剥離困難となり, 無理に剥離するとガーゼ面に肉眼的にも肉芽組織が付着し, 肉芽組織の断裂および大量の出血がみられた。PNIPAAmコーテ
    ィングガーゼは7日間留置でも剥離は容易であり, 光顕的にもガーゼに組織片の付着はなく, 創面も平滑であった。14日間では創縁で剥離がやや困難であった以外, 7日間留置とほぼ同様の所見であった。
  • 板岡 俊成, 毛井 純一, 村杉 雅秀, 茅野 公明, 兼安 秀人, 小山 邦宏, 小野 完二, 横山 正義, 新田 澄郎, 岡野 光夫, ...
    1994 年 23 巻 3 号 p. 685-689
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ポリエーテルセグメントとポリアミドセグミントからなる縮合系高分子材料のポリエーテルセグメント化ポリアミドで新たに作成した静脈留置針カテーテルを臨床使用し、従来市販静脈留置針と抗血栓性を電顕的に解析し比較検討した。その結果、治験カテーテルの透過型電子顕微鏡像で結晶-非結晶のミクロ分離構造(微結晶厚:6.5nm、長周囲:12nm)と均一表面結晶幅(約10nm)を呈していた。このため、従来使用静脈留置針カテーテルに比べ、走差電子顕微鏡による血栓形成度分類(9分類)による評価でも表在蛋白付着が均一で、血小板活性化による血栓形成が抑制されていた。この事は静脈留置針カテーテル等の長期に血液接触を余儀なくされるものへの医療材料として、ミクロ分離構造を有すポリエーテルセグメント化ポリアミドは優れた抗血栓性機能が得られることが示唆された。
  • 宮本 啓一, 中村 崇人, 鴇田 昌之, 駒井 喬, 米川 元樹, 川村 明夫, 足立 正一
    1994 年 23 巻 3 号 p. 690-694
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々は、末期癌の末梢血穎粒球数とリンパ球数の比(G/L比)を血液体外循環技術によって調節し制癌効果を得るG/L比変換システムを考案した。本研究では、本システムに用いた穎粒球選択吸着樹脂(酢酸セルロースビーズ)表面に付着した蛋白質の物理化学的性質について検討した。抽出蛋白質はそのヘパリン反応性と分子量分布およびイオン交換クロマト分析による静電的性質から、複合体蛋白質として発現する性質であることがわかった。ヘパリンを添加した抽出液中には、300kD以上の高分子量物質が36%の割合で存在しており、抽出操作中に形成されたと思われるヘパリン含有複合体であった。更に、in vitroにおいて、この複合体モデルを細胞性フィプロネクチンを用いた系で再現することに成功し、抽出物との相同性を強く示唆した。
  • 平 光, 田中 晶子, 片岡 一則, 鶴田 禎二, 林 正男
    1994 年 23 巻 3 号 p. 695-699
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    側鎖にジアミンの繰返し構造を有するポリアミングラフト共重合体表面上で血管内皮細胞を培養した結果、コポ可々ー中のアミノ基量の増加に従い、内皮細胞の接着、伸展、増殖が促進されることが明かとなった。また.血清タンパク質の影響を評価するため、,牛胎児血清(FCS)あるはアルプミン(BSA)をコポリマー表面に吸着させた表面上で内皮細胞の接着、伸展を評価した結果、FCS吸着層上ではアミノ基量の増迦に従い接着、伸展が促進されたが、BSA吸着層上では阻害された。これにより血清タンパク質、特に細胞接着性タンパク質が関与していると考え、このコポリマニ表面に吸着した血清タンペク質のうちフイブロネクテン(FN)、ビトロネクチン(VN)の定量を酵素免疫測定法により行った。その結果アミノ基の増加に従いFN、VNの吸着量も増加し、アミノ基含有表面がFN、VNの吸着量の促進を通じて細胞増殖能を向上させていることが示唆された。
  • 鈴木 嘉昭, 日下部 正宏, 貝原 真, 岩木 正哉, 雀部 博之, 西坂 剛
    1994 年 23 巻 3 号 p. 700-707
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    イオンビーム照射をポリスチレン(PS)、酸素プラズマ処理PS(PS-0)、コラーゲンコーティングPS(PS-C)、ゼラチンコーティングPS(PS-G)に行い細胞の接着制御を試みた.Ne+, Na+, Ar+, Kr+イオンビームを試料に加速エネルギー50, 100, 150keV、照射量1×1015ions/cm2照射した.イオン照射によってPSへの子宮頸部癌細胞(HeLa細胞)の接着が促進された.イオン照射によりPS-O, PS-C, PS-GへのHeLa細胞の接着は抑制された.イオン照射したPSへのHe正a細胞の接着は生成官能基による効果であり、PS-O, PS-C, PS-Gへの接着抑制はPS-OについてはC=Oの減少、PS-C, PS-Gはタンパク質の分解および存在比の減少によって生じたものと考えられた.またNe+イオンビームをPS-Cへ150keVで1×1015ions/cm2照射した表面へのHeLa細胞は接着抑制を示すのに対して、血管内皮細胞は接着を生じ、同一照射面への細胞種による接着挙動の差が観測された.
  • 谷 徹, 林 國瑞, 寺本 和雄, 遠藤 善裕, 小玉 正智
    1994 年 23 巻 3 号 p. 708-711
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    不溶性の抗菌材料としてポリスチレンにヨードを化学結合させたヨードアセトアミドメチルスチレン(No.6-I)の活性と影響する因子について検討した。まずクロールとヨードそれぞれの、αからδ化合物の中で最も活性の強い材料を選んだ。菌種にはE. coli(ATCC25922)、Saccharomyces. cerevisiae、とCandida. albicansを104-106CFU/mlに調整して用い、材料0.25gと5ml菌液とを振とう反応させた。効果は経時的な菌数減小により判定した。No.6-I(-CH2I)が最も抗菌活性が強く、細菌のみならず真菌にも有効であった。この活性はオートクレープ滅菌により減弱した。4℃の低温下では活性が低く、37℃では強くなった。またシートタイプの材料を用い抗菌活性と厚みとの関係を調べた実験では、シートの厚みが厚くなれば活性も強くなった。
  • 川人 宏次, 井野 隆史, 安達 秀雄, 井手 博文, 水原 章浩, 山口 敦司, 村田 聖一郎
    1994 年 23 巻 3 号 p. 712-716
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    親水疎水型ミクロ相分離構造をもつ含フッ素・アクリル・スチレン・ウレタン・シリコン(FASUS)共重合体の抗血栓性をウサギ頚動静脈間シャント法を用いて評価した。循環血小板数はポリ塩化ビニル(PVC)製のチューブ(内径3mm、長さ60cm)を用いたCONTROL群(n=5)では実験開始後180分で開始前値の74.4±22.4%と有意に減少した(P<0.05)。これに対し、同様のチューブの内面をFASUS共重合体でコーティングしたFASUS群(n=5)では開始後180分で開始前の90.3±13.8%と有意な血小板減少はなかった。APTTは開始後180分でCONTROL群: 124.8±54.3%、FASUS群: 89.5±13.9%と有意差はないものの、FASUS群においてAPTT延長が抑制される傾向があった。血小板凝集能、PTの変化には差がなかった。走査電顕所見上、FASUS群では血栓形成が抑制されており、血小板の軽度の形態変化が認められたのみであった。親水-疎水型ミクロ相分離構造をもつ本材料においては、血小板および内因系凝固反応の活性化が抑制されていることが示唆された。
  • 中山 泰秀, 松田 武久
    1994 年 23 巻 3 号 p. 717-720
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工心臓、人工血管などのデバイスに血液適合性を付与することを目的とし、光化学反応を用いた基材表面へのグラフト重合を行なった。光反応性基として光照射によりラジカル解離し、光イニファタ(重合開始-移動-停止剤)として機能するジチオカルバミン酸基を用いた。ジチオカルバミン酸基を側鎖に導入したポリスチレン誘導体を合成し、これを基材上に塗布し、ジメチルアクリルアミドを光グラフト重合した。照射時間の経過に伴って表面の水濡れ性が増し、親水性となった。グラフト鎖が照射時間に応じて成長することを水晶発振子上での光グラフト重合挙動、およびX線光電子分析による表面解析より確認した。本反応を用いれば、照射部のみに限定されたグラフト重合、および照射時間による鎖長制御ができた。従って、高分子表面のXY面(グラフト領域と密度)、およびZ軸(グラフト鎖長)の表面組成、および物性が制御可能となった。
  • 田中 志信, 石原 一彦, 中林 宣男
    1994 年 23 巻 3 号 p. 721-725
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    直接血液灌流(DHP)用ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)被覆活性炭の血液適
    合性向上を目的として、リン脂質極性基を有するモノマー(MPC)を含む被覆用共重合体(MBG)を新たに合成し、その性能評価を行った。被覆後、加熱または塩基触媒処理することにより、PHEMA中の水酸基とMBG中のエポキシ基間で架橋反応が進行し、安定に被覆可能であることが確認された。また溶質吸着能については、MPCユニットの有する強いタンパク質吸着抑制効果により、模擬血漿中においてもPBS中と同様、良好なクレアチニン吸着特性が維持されることが明かとなった。血液適合性についてもPHEMA被覆活性炭に比べ血小板粘着特性及び抗血栓性が改善されたことから、MPC共重合体がDHP用活性炭被覆材料として有用であることが確認された。
  • 中山 泰秀, 松田 武久
    1994 年 23 巻 3 号 p. 726-730
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    医用デバイスの素材となる種々の汎用性高分子に対し、紫外域に高強度のパルス光を発振するKrFエキシマレーザーを照射し曝蝕による微細エッチングを行なった。単位パルス当りの曝蝕深度はガラス転移温度(Tg)が低い高分子が大きかった。加工精度はTgの高いポリイミド、ポリカーボネートが優れていた。ビニルポリマーにArFレーザーを曝蝕しきい値以下の低エネルギー強度で照射し表面改質を行った。ポリビニルアルコールに照射すると、X線光電子分析により表面の酸素組成比が減少し、側鎖の水酸基の解裂を示唆した。またポリ(p-アミノスチレン)の場合、窒素組成比の減少と同時に酸素組成比が増加
    し、水濡れ性となった。側鎖のアミノ基の解裂と同時に酸化が生じた。エキシマレーザーの照射波長と強度を選択することにより、高分子表面組成変化、および親水、疎水性付与の可能性が示唆された。
  • 上沢 修, 三澤 吉雄, 長谷川 嗣夫, 布施 勝生
    1994 年 23 巻 3 号 p. 731-734
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    コンプライアンスを有するポリウレタンシートを用いた胸壁再建術の実験結果を報告する.10~15
    Kgの雑種犬8頭を用い, 連続する肋骨を2~3本を含めて切除して約6×6cmの胸壁欠損を作成し,同シートを用いて胸壁を再建した. 術後再建部の呼吸性動揺の有無を観察し, 1~9ケ月後にシートを採取した, 採取時に肺との癒着の程度を観察しシートの組織反応を検討した, 術後再建部胸壁に奇異性の胸壁動揺はみられなかったが感染で1例を失った. シートと肺との癒着は比較的軽度であった. 組織学的にはシートの両面に膠原繊維よりなる表面平滑な線維性組織が早期より形成されていた. 縫合部を中心に軽度のforeign-body mactiomがみられたが, リンパ球浸潤は軽度であった. 走査電顕像では交錯する膠原繊維が見られたが中皮細胞は確認されなかった.以上よリポリウレタンシートは胸壁の支持力, 組織反応の点から胸壁再建人工材料として有用であることが示唆された.
  • 杉山 忠宏, 水品 静夫, 杉浦 敏文, 木村 元彦, 木村 泰三, 原田 幸雄
    1994 年 23 巻 3 号 p. 735-739
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール(PVA)ハイドロゲルは、生体組織に近い高含水性と力学的特性を有する医療用高分子材料として注目されている。キチンは創傷治癒促進作用を持つ材料として使用されている。そとで、この両者を混合した材料について皮下埋め込み材料としての可能性を検討した。材料の生体適合性を評価する方法として孔に対する組織の侵入性能を利用したモデルを提案し、その評価方法について検討した。
    雑種成犬に対して材料を埋め込み、シリコンやポリウレタンとの比較およびPVAとキチンの濃度、埋め込み期間の影響について測定した。キチンにより周辺組織中の異物巨細胞および炎症性細胞浸潤等の増殖が抑えられることが判った。また、キチンを含有したPVAゲルは、シリコンやポリウレタンに比べて程度の大きな組織の侵入が観られ、皮下埋め込み材料としての可能性を示した。提案したモデルを用いた評価法については、有望であることが判った。
  • 阿部 一彦, 鈴木 憲, 岡野 光夫, 桜井 靖久, 堀江 俊伸
    1994 年 23 巻 3 号 p. 740-747
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    in vivo, in vitroで優れた抗血栓性を有するHEHA-Stブロック共重合体表面における血小板微小管(MT)の脱重合の抑制能を評価するために、PSt表面、HEMA-Stランダム共重合体表面を対照群として、コルヒチン(CH)添加血小板の材料表面に対する接触及び3時間粘着血小板の超微形態を走査型及び透過型電子顕微鏡を用いて解析した。さらに、接触血小板の凹凸の度合いは高解像度画像処理解析装置にて定量評価した。CH添加血小板と材料表面との相互作用はマイクロスフィアカラム法を用いて行った。本研究とintact血小板を用いた既報の結果から、ブロック共重合体表面はPSt表面、ランダム共重合体表面に比べて血小板MTの脱重合を抑制するのみならず、血小板のアクチン重合及びアクトミオシン収縮を抑制することが示唆された。
  • 孟 真, 野一 色泰晴, 中村 光哉, 山本 賢二, 小菅 宇之, 市川 由紀夫, 井元 清隆, 近藤 治郎, 松本 昭彦
    1994 年 23 巻 3 号 p. 748-751
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    生体由来材料を植え込み用人工臓器素材として使用する際、架橋処理法、細胞種により細胞親和性の違いが生じるか否かを培養系で検討した。ブタ大動脈を無処理(以下N), グルタールアルデヒド処理(以下G), エポキシ処理(以下E)を行った後に30%エタノール中で保存した。それぞれを洗浄後大動脈内膜側に培地に浮遊させたウシ肺動脈内皮細胞(以下血管内皮細胞)および3T3-Swissマウス胎児組織由来線維芽細胞(以下線維芽細胞)を播種した。播種後14日目の血管内皮細胞生着細胞数はN>E≧Gで, 線維芽細胞生着細胞数はE>G≧Nであった。架橋処理法、細胞種により細胞親和性の違いが生じ、架橋処理は血管内皮細胞の接着・増殖を阻害したが、線維芽細胞に対しては形態変化を引き起こすものの、接着・増殖を阻害しないことが示された。E血管はG血管より線維芽細胞に対する細胞親和性は優れていたが、血管内皮細胞の増殖は見られずendothelial seedingは困難であった。
  • 佐藤 伸一, 丹生 智史, 神田 圭一, 平井 二郎, 和田 行雄, 岡 隆宏, 渡辺 幸二
    1994 年 23 巻 3 号 p. 752-756
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    幼小児の大血管に対する人工血管置換術は幼小児の成長に伴い、人工血管の口径が相対的に小さくなるため容易には行えない。今回平織りの人工血管で円周方向の捻糸を強さの違う二種類のポリエステル繊維で構成して口径を必要なときに経皮的血管形成術(PTA)で拡大できる人工血管を開発した。この人工血管はex vivoで1.5~1.75倍の口径に拡大することが判明し、さらに初期内径6mmの人工血管を雑種成犬の胸部大動脈に移植し、3カ月後PTAを行った。PTAは15気圧の内圧負荷で行った。人工血管周囲には軽度の血腫を認めたが出血量は軽微であり、拡張術は安全に行うことができると考えられた。この人工血管は幼小児の大血管に対する人工血管置換に臨床応用可能であると思われた。
  • 鬼頭 浩之, 中島 伸之, 松田 武久
    1994 年 23 巻 3 号 p. 757-762
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工血管の内腔側と外側の治癒過程は異なるため、それぞれに要求される細胞反応も異なる。従って内腔側設計と外側設計を区別すれば人工血管により組織適合性を付与することができると考えられる。この設計概念に基づき、コーティング材料として細胞外マトリックス(ECM)に光反応基を導入し、紫外光照射でゲル化を可能にした光反応脚(珪皮酸化コンドロイチン硫酸(CS)とクマリン化ゼラチン(GT))を合成した。In vitroで光ゲル化CS上には血小板は殆ど接着せず、光ゲル化GT上にはECが良く接着、伸展した。ダクロン製人工血管(内径5mm, 長さ5cm)の内腔側にCSを、外側にGTをコーティングしたグラフトの犬への急性期(一週間以内)植え込み実験では、内腔面の光ゲル化CSに覆われた部分には血球成分の粘着は殆どみられず、外側面は線維芽細胞が人工血管線維間隙に良好に侵入していた。合成した光反応性ECMはin vitroと急性期in vivoにおいて、その細胞反応は設計概念に合目的であることが示された。
  • 江崎 祐造, 高橋 誠, 小原井 裕樹, 塚本 敦子, 永井 博史, 高野 良仁, 片倉 健男, 若林 惣兵衛
    1994 年 23 巻 3 号 p. 763-769
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    性を有する多孔質人工血管基材にプラスミン処理フィブリンを付与した新しい小口径人工血管PF-Vを開発した。PF-V基材はポリエステル系弾性糸により編まれた管状体(porosity 2700ml/cm2/min)に弾性フィラメント補強を施したものであり、従来の人工血管にはない優れたコンプライアンスを有する。今回は、開発した人工血管の機能を確認する目的で、内径4mmと5mmのPFI-Vを、内径5mmの市販人工血管Sauvage EXSを対照として、ヘパリン等抗凝固剤を一切使用せずに犬血管に移植し、ハンドリング性、血液適合性、組織適合性等について移植後9ヶ月まで検討を行った。その結果、PF-Vはプレクロット操作なしで移植が可能であることを確認し、開存率はSauvage EXSで70%に対し、PF-Vでは100%であった。組織検索により新生内膜形成状態はPF-Vで良好であった。以上より、PF-Vは長期開存が期待される小口径人工血管となりうることが示唆された。
  • 稲葉 雅史, 笹嶋 唯博, 和泉 裕一, 大谷 則史, 吉田 博希, 東 信良, 郷 一知, 久保 良彦
    1994 年 23 巻 3 号 p. 770-775
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    CORVlTAR人工血管の術後2年以降の長期基礎移植成績および臨床例に対する移植成績を検討し報告した。基礎的には雑犬の腎動脈下腹部大動脈に内径6mm, 長さ6cmのCORVlTAR人工血管を移植し、3か月以上生存した10頭および移植後7日で別出した2頭を対象とした。移植後6か月までは、吻合部近傍は仮性内膜で被覆されているがグラフト内面には部分的に赤色血栓が認められ、内膜の基質化は完了しておらず内皮細胞は吻合部から数mmの範囲にとどまっていた。しかし、20か月以降は内面全体が内皮細胞で被覆され、吻合部内膜肥厚も軽度であった。また、最長32か月までの観察でグラフト拡張、瘤化は認めなかった。臨症例に対しては、1992年12月以降9例11肢に内径6mmのCORVlTAR人工血管を移植した。術式は全例大腿-膝窩動脈バイパスであり、術後抗凝血療法を併用した。最長観察10か月で2例(18%)がグラフト閉塞となったが、グラフトに直接起因する合併症は認めなかった。
  • 奥田 泰弘, 米谷 雅之, 濱口 美穂, 片見 一衛, 山之内 昭介, 熊田 敏彦
    1994 年 23 巻 3 号 p. 776-780
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Expanded polytetrafluoroethylene (EPTFE)人工血管(内径2mm, 繊維長30μm)に細胞接着性タンパク質であるゼラチン化アテロコラーゲンまたはフィプロネクチンを共有結合固定した人工血管を作製した。EPTFEの微細繊維一結節からなる多孔質構造は完全に維持され、その表面は固定したタンパク質で完全に被覆されていた。この人工血管でウサギ頚動脈を置換し、血栓形成性、開存性、内皮被覆率、器質化を検索した。吻合5分後、タンパク質を固定したEPTFEの内腔面は未処理のものと比較して血小板や血球成分を含む血栓の付着が多かったが、60分後にはフィブリンを主体とする平滑な血栓で覆われ、その上には血小板等は殆んど付着していなかった。12週までの開存率は未処理EPTFEと同等で、鍍銀染色による内皮様細胞の被覆率は約2倍と高かった。内皮被覆の促進には置換後の早期に形成するフィブリンを主体とする血栓の形成が重要であることが示唆された。
  • 米谷 雅之, 奥田 泰弘, 片見 一衛, 山之内 昭介
    1994 年 23 巻 3 号 p. 781-785
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工血管への内皮新生機序を検討する目的でEPTFE(未処理群)および細胞接着性タンパク固定EPTFE(処理群)人工血管でウサギ頸動脈を置換し、新生した内皮様細胞の形態を解析した。術後4週で摘出した標本内腔面に、吻合部宿主血管から連続して敷石状構造をした内皮様細胞の新生を、両群に認めた。形態{細胞面積(A), 周長(P), 長軸長, 短軸長, Shape Index (4πA/P2),Cell Angle(グラフト軸方向と細胞長軸方向の成す角度)}解析の結果、Shape Index値は両群共吻合部で増加、Cell Angle値は両群共宿主血管と同様の値を示した。また、面積値の宿主血管との比較では、未処理群で平均2.6倍、処理群で平均2.0
    倍と増加、さらに、進展端部で吻合部より大きい傾向を示した。以上の結果、固定したフィブロネクチンの細胞形状や配向への影響は不明であるが、大型細胞の有無に関与しており、内皮新生機序を検討するうえで有用な知見を与えるものと考えられた。
  • 小出司 郎策, 稲村 俊一, 金渕 一雄, 小田 桐重遠, 正津 晃
    1994 年 23 巻 3 号 p. 786-790
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    教室では浅大腿動脈ASOに径6mm補強リング付き人工血管(EPTPE)と反転した自家大伏在静脈(ASVG)を用いて, 大腿-膝窩(膝下)動脈バイパスを行って来た。このうち, 術後3カ月以上の開存を得た, 62例, 77肢(EPTFE 31本, ASVG 46本)を対象にグラフト開存性を比較検討した。
    EPTFEの累積開存率は術後3年(23本)83%, 5年(14本)71%, 7年(8本)64%と, 年を追う毎に低下したが, ASVGは術後3年(32本)93%, 5年(20本)87%, 7年(3本)87%と良好であった。
    遠隔期閉塞の再手術では, ASVGを用いた再バイパスは5例中5例で成功し, 平均61カ月開存中に対し, EPTFE使用の2例では,1~2カ月で閉塞した。
    大腿-膝窩(膝下)動脈バイパス・グラフトとして, EPTFEは有用であるが, 長期開存性と再バイパス時のグラフトとして, ASVGに劣る結果であった。
  • 大庭 聡, 小須賀 健一, 浦口 憲一郎, 山名 一有, 大石 喜六
    1994 年 23 巻 3 号 p. 791-794
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1986年より1992年までに、Externally supported knitted Dacron(以下EXS)と自家大伏在静脈(以下ASV)を用いて末梢側吻合部位を膝上部(above-knee)に置いた大腿・膝窩動脈バイパス術(AK-FPB)施行した28例37肢を対象とした。両群の性・年齢・重症度・基礎疾患・手術危険因子に差を認めなかった。術後療法としてEXS群とASV群の症例にワープアリン(100%, 33%), 抗血小板剤(89%,90%)を各々投与した。EXS群7例9肢の累積開存率(年次グラフト数)は、1年88.9%(8), 2年88.9%(8), 3年88.9%(4),4年88.9%(2)であった。これに対してASV群21例28肢の累積開存率は、1年89.1%(26), 2年85.3%(25), 3年85.3%(23), 4年80.8%(19)であった。
    AK-FPBの材料として、EXSはASVと比較し開存率に差が無く、有用性が示唆された。
  • 神田 圭一, 三輪 裕通, 岡 隆宏, 松田 武久
    1994 年 23 巻 3 号 p. 795-798
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    内径4mmのニット製ダクロングラフト内腔面に、雑種成犬由来の平滑筋細胞(SMC)を埋植したハイブリッド中膜組織を形成後、さらに内腔面に内皮細胞を播種して階層構造をもつハイブリッド人工血管を作製した。このグラフトを同一犬の内頸動脈に移植し、2週後(n=3)及び12週後(n=3)に摘出した標本を透過電顕で観察した。ハイブリッド中膜組織中のSMCを合成型、中間型、収縮型の3種に分類して比率を定量し、統計学的に比較検討した。植え込み前、SMCは球状で典型的な合成型の様態を示した。移植後2週目、中膜組織は主に合成型(50.5%)と中間型(41.8%)SMCで占められており、収縮型は僅か(77%)であった。12週目ではそれぞれ9.9、
    26.2、63.8%であり、収縮型の比率が統計学的に有意に増加していた(P<0.05)。以上の結果よりハイブリッド中膜中のSMCは移植後の生体内環境下で2、3ケ月以内に合成型から収縮型に形質変換し内膜下肥厚の原因とはなりにくいと考えられる。
  • 神田 圭一, 岡 隆宏, 松田 武久
    1994 年 23 巻 3 号 p. 799-802
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    仔牛大動脈由来の平滑筋細胞(SMC)をI型コラーゲンゲル中に埋植して作製したハイブリッド中膜組織に3種の力学的ストレスを最大4週間負荷し、形態学的に評価した((1)培養液中に浮遊させ自己収縮させた対照群;(2)等長に保った静的ストレス負荷群;(3)周期的伸縮性ストレス(周期60RPM、振幅10%)を負荷した動的ストレス負荷群)。対照群中のSMCは多角形で不規則に配列し、微細構造上典型的な合成型SMCであった。細胞外コラーゲン線維束の走行は無秩序であった。静的・動的ストレス負荷群では紡錘状に伸張したSMCとコラーゲン線維束が高密度に集積した柔軟性なハイブリッド組織体を形成し、いずれの成分もストレスに対し平行に配向していた。静的ストレス負荷群中のSMCは対照群同様、合成型SMCであった。動的ストレス負荷群中のSMC内では収縮規管が増生し、細胞外縁には基底膜様の物質を認めた。三次元培養と周期的伸縮性ストレス負荷という生理的環境を模倣した条件下ではSMCが合成型から収縮型へ形質変換しうることが示唆された。
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