砥粒加工学会誌
Online ISSN : 1880-7534
Print ISSN : 0914-2703
ISSN-L : 0914-2703
49 巻, 6 号
JUN.
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
論文
  • 何 偉銘, 井原 透, 梅田 和昇, 佐藤 壽芳, 谷 泰弘, 奥野 昇, 高橋 満雄
    2005 年49 巻6 号 p. 328-334
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    真直形状誤差曲線の測定法である逐次2点法を大型化, 高精度化が著しいSi基板の平面形状誤差曲面を評価することに適用した. この際, 計測能率を向上するため, 変位計を移動させている状態, 基板を回転させている状態で, 連続的にデータ取得して逐次2点処理をする連続逐次2点法を用いた. この方法では, 逐次2点とするデータとその周辺のデータとの間で平均化処理し, 相対運動状態の測定によるゆらぎの均一化を図った. その結果, この方法による形状誤差曲線が, 従来の方法による結果と比べて十分小さい誤差で得られることを確認した. また, 基板などの円周方向の測定で重畳する形状誤差曲線と振動成分である運動誤差曲線をシミュレーションにより, 分離して測定できることを示した後, 実際の測定でもこれを確認した. 基板の変形状況を確認するため, これを吸引保持する平面形状精度の高い吸着板を製作し, 基板, 吸着板, 吸着板で吸引した基板について, 直径方向の真直形状誤差曲線群, 円周方向の形状誤差曲線を測定して, 相互の関連を調査した. また, これらから平面形状誤差曲面を構成し, 基板が吸着板の形状に倣って変形することを可視的に示して特性を確認した.
  • ―単粒切削実験による臨界切込み深さの測定―
    田牧 純一, 佐藤 元, 前川 公貴, 閻 紀旺, 久保 明彦
    2005 年49 巻6 号 p. 335-340
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    単結晶SD46ダイヤモンド砥粒の三次元切れ刃形状を走査型レーザ顕微鏡 (SLM) で測定し, 切削方向に対する砥粒切れ刃の姿勢に注目して1面切れ刃と2面切れ刃にモデル化した. 1面切れ刃はすくい角と刃先角, 2面切れ刃はすくい角とくさび角で形状を特性化した. 次に, それぞれの切れ刃モデルについて硼珪酸ガラスの単粒切削実験を行い, 切削条痕をSEMとSLMで観察することにより, 除去過程が延性領域から延性・脆性境界領域に遷移する点の切込み深さ, すなわち, 臨界切込み深さdcを測定した. その結果, 負のすくい角35~90°の範囲でdc値は60~160 nmの範囲に分布し, 負のすくい角が大きくなるほどdc値は小さい値を示すこと, ダウンカットに比べてアップカットのほうが20 nmほど大きい値を示すことがわかった. また, 砥粒切れ刃と同等のすくい角領域では, 刃先を精密に成形した単結晶ダイヤモンド平バイトのほうが25 nmほど大きいdc値を示すことがわかった.
  • 臼杵 年, 中島 省吾, 塚原 隆行, 中尾 順一, 高塚 広志
    2005 年49 巻6 号 p. 341-346
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    現在主流の印刷形式では, 原版はパンチによって開けられた穴を基準に印刷ドラムへセットされている. したがって, パンチ穴には高精度が要求される. 本研究の目的はパンチ穴の精度とパンチ寿命に大きく影響を与えるクリアランス, コーティング材種および下地処理を変化させて最適な設計条件を実験的に調査することである. その結果, 穴精度の観点からすると, クリアランスは小さい方がよいが, 現段階のパンチでは20μmが限界である. パンチ寿命は穴あけによるパンチ切刃の摩滅によって決まるのではなく, ダイスへの溶着物生成によって決定する. またDLCコーティングの前処理としてのショットピーニングは, 表面粗さの増大のために逆効果であり, ラジカル窒化の方が好ましい結果が得られる.
  • 第1報 : 導電性ダイヤモンド切刃砥石の提案とボンドレスダイヤモンド砥石の試作
    鈴木 清, 岩井 学, シャルマ アヌラーグ, 田中 幸徳, 田中 克敏, 植松 哲太郎
    2005 年49 巻6 号 p. 347-352
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 微粒ダイヤモンドホイールを用いる超精密研削における諸問題を解決するため, 導電性ダイヤモンド切刃をもつダイヤモンドホイールの開発の可能性を検討した. 導電性をもつダイヤモンド素材に着目した新しいダイヤモンドホイールは, (1) 放電加工による精密かつ簡便な成形, (2) 高集中度化の実現, (3) 十分なチップポケットと微細切刃の両立, (4) 低比抵抗による切刃の非接触感知, (5) 高い熱安定温度による鉄系材料の研削への適用等が期待される. 考え得る種々のダイヤモンドホイールとその製造法を検討した結果, 新しい導電性ダイヤモンドホイールは, (a) ボンドレス導電性ダイヤモンドホイール, (b) ボンド有り導電性ダイヤモンドホイールに分類できる. 導電性CVDダイヤモンド薄膜表面に放電加工を利用して, ホイールとしての切刃の創成を試みた結果, 放電条件に応じて, 凹凸の異なる切刃を創成できることがわかった. 微細切刃を創成したダイヤモンドセグメントを貼り付けたラッピング砥石で超硬合金を定圧押し付け条件で研削した結果, Ry=0.110μm, Ra=0.008μmの鏡面を得ることができた. また, マイクロ研削加工用砥石として, V形砥石および軸付砥石を作成し, 超硬合金に対し, 砥石摩耗をほとんど起こさずにV溝研削できることを明らかにした.
feedback
Top