超精密加工機械の高精度化を図ることを目的とした研究の一環として,前報では,自成絞り方式空気静圧スピンドルの剛性,回転精度および発熱に及ぼす諸要因の影響を調査し,スピンドル性能を向上させるための方策を論じた.本報告では,超精密加工機械の高精度化に不可欠な直線案内機構および送り機構について検討を行った.直線案内機構については有限形V-Vころがり案内を,送り機構についてはリニアモータ駆動の採用を検討した.試作実験装置による検討の結果, 1) 各部品の高精度化・形状の最適化によって有限形V-Vころがり軸受の摩擦係数は流体軸受に匹敵し,微小うねりを10nm以下にできた.また,垂直方向の静剛性は2500N/μ mが得られた.2)案内機構の高剛性化,マグネットとコイルの配置・制御方法の検討などによってコギングによる運動精度への影響を微小化した.また,3) 有限形V-Vころがり案内とコア付リニアモータの組合せにより,ポジションループゲインをKp=320s
-1に設定することが可能となり,従来型ボールねじ機の8倍~10倍に向上した.速度ループ特性の応答限界は約200Hzと,高い動剛性が得られた.さらに,4)円弧補間運動をさせた場合,ボールねじ駆動では60nmあった象限突起が10nm以下となった.
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