砥粒加工学会誌
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51 巻, 8 号
AUG.
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  • 田中 幸徳, 二ノ宮 進一, 岩井 学, 村上 良彦, 佐野 定男, 植松 哲太郎, 鈴木 清
    2007 年 51 巻 8 号 p. 471-475
    発行日: 2007/08/01
    公開日: 2009/05/18
    ジャーナル フリー
    ダイヤモンド砥石は,硬脆材料の研削加工に欠かせない工具であるが,砥粒が高硬度である故にその切れ味を安定して維持することは難しい.近年,導電性ダイヤモンド切刃砥石が開発され,放電ツルーイング法によってダイヤモンド刃先自身も微細に成形できることが明らかになっている.本研究では,この導電性ダイヤモンド切刃砥石を利用し,研削作用に放電作用を重畳する新しい放電複合研削法を提案した.本方法は,砥粒刃先と被削材間でも放電が生じるため,既存の放電複合研削法の特徴に加えて (1)安定した被削材の放電除去作用と(2)切刃自身に対するインプロセスドレッシング作用が期待され,とくに高硬度材料の加工に有効であると思われる.基礎実験として,超硬合金の平面プランジ研削を無負荷電圧E0=60V,パルスオンオフタイムte/to=20/30μs,設定電流Ip=0~12Aで行った結果,設定電流Ip=8A以上のときに研削抵抗の低減効果が現れることを明らかにした.
  • 第2報: 加工液が加工特性に及ぼす影響
    早川 寿一, 進村 武男
    2007 年 51 巻 8 号 p. 476-481
    発行日: 2007/08/01
    公開日: 2009/05/18
    ジャーナル フリー
     近年,携帯電話やコンピュータ関連機器のモバイル化と大容量データ処理のため,使用される部品は従来と比較して複雑精密化.小型化している.そのため部品に要求されるエッジ品質は,部品全体が小型化されたことと併せて一層厳しくなっている.従来のエッジに対する要求は切削加工で生じたバリを単純に除去することであったが,現在ではバリ除去後のエッジ形状精度まで問う品質になり,まさに精密エッジ仕上げが要求されている.筆者らは,磁気援用加工を基に新しい精密エッジ仕上げ加工法を提案し,この新加工法を手仕上げに頼る部分の多い精密部品のエッジ仕上げに適用してきた.本報では,加工液が精密部品(工作物)の加工量に与える影響について実験的に調べ,最適加工条件を提示した.
  • 第2報:リニアモータ駆動方式有限形V-Vころがり案内の検討
    田中 克敏, 福田 将彦, 覚張 勝治, 鈴木 清, 植松 哲太郎
    2007 年 51 巻 8 号 p. 482-487
    発行日: 2007/08/01
    公開日: 2009/05/18
    ジャーナル フリー
    超精密加工機械の高精度化を図ることを目的とした研究の一環として,前報では,自成絞り方式空気静圧スピンドルの剛性,回転精度および発熱に及ぼす諸要因の影響を調査し,スピンドル性能を向上させるための方策を論じた.本報告では,超精密加工機械の高精度化に不可欠な直線案内機構および送り機構について検討を行った.直線案内機構については有限形V-Vころがり案内を,送り機構についてはリニアモータ駆動の採用を検討した.試作実験装置による検討の結果, 1) 各部品の高精度化・形状の最適化によって有限形V-Vころがり軸受の摩擦係数は流体軸受に匹敵し,微小うねりを10nm以下にできた.また,垂直方向の静剛性は2500N/μ mが得られた.2)案内機構の高剛性化,マグネットとコイルの配置・制御方法の検討などによってコギングによる運動精度への影響を微小化した.また,3) 有限形V-Vころがり案内とコア付リニアモータの組合せにより,ポジションループゲインをKp=320s-1に設定することが可能となり,従来型ボールねじ機の8倍~10倍に向上した.速度ループ特性の応答限界は約200Hzと,高い動剛性が得られた.さらに,4)円弧補間運動をさせた場合,ボールねじ駆動では60nmあった象限突起が10nm以下となった.
  • -工作物温度の加工性に及ぼす影響-
    平 晋一郎, 吉岡 正人
    2007 年 51 巻 8 号 p. 488-493
    発行日: 2007/08/01
    公開日: 2009/05/18
    ジャーナル フリー
    フッ素樹脂を基板材料とするマイクロ流体デバイスを作製するため,機械的手段による高精度微細加工の実現が強く求められている.フッ素樹脂は熱可塑性のプラスチック材料であるため,切削熱による加工性に対する影響は大きい.本報は,代表的なフッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の微細機械加工における変形や除去特性などの温度依存性を明らかにするため,試料表面温度が約-10℃∼80℃の範囲で微小切削加工のモデル実験を行った.ビッカース圧子を使った押し込み実験では,試料表面温度が低いときほど明らかに硬さは大きくなるが,弾性回復は温度によって顕著な傾向を示さないことなどがわかった.三角錐形状のダイヤモンド工具を使った低荷重・低速の引っかき実験を行った結果,試料表面温度が低温であるときほど荷重が小さくても切りくずが生成されやすいことや,切りくずの生成する条件においては転写性が向上することなどがわかった.さらには精密工作機械を使って市販のエンドミルでいくつかの切削加工実験を行い,試料温度の加工性に対する効果についても検証を行った結果,低温ではバリの発生が抑制されることなどが明らかになった.
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