砥粒加工学会誌
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53 巻, 4 号
APR.
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  • 江頭 快, 上島 章, 岩田 光央
    2009 年 53 巻 4 号 p. 226-229
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    高性能の極小径切削工具を実現するため,超高硬度材料である焼結ダイヤモンド(PCD)とCBNを工具材料に用いて直径15μmの半月形ドリルを製作した.放電加工を用いることにより,超高硬度材料でも簡易な工具製作が可能であった.そして,その性能を同形状の超硬合金ドリルと比較して評価した.PCDドリルは超硬合金ドリルに比べて切削抵抗の上昇が少なく,刃先摩耗量も小さかった.ただし,折損までの加工穴数で表される工具寿命が短い場合があった.CBNドリルはさらに工具寿命が短かったが,これは使用した素材の粒径がPCDや超硬合金に比較して大きかったことが原因と考えられる.
  • 柴原 豪紀, 熊谷 幹人, 幸田 盛堂, 奥田 孝一
    2009 年 53 巻 4 号 p. 230-235
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    本研究では,工作機械の運動誤差を考慮した加工面テクスチャのシミュレーション法を提案し,NC工作機械の工具回転精度が金型加工面テクスチャに及ぼす影響について検討した.提案したシミュレーション法により,ボールエンドミルを用いて加工した場合の金型加工面テクスチャを求め,実際の加工面と比較することで工具回転振れが金型加工面テクスチャに及ぼす影響について評価を行った.その結果,ボールエンドミルの一枚の切れ刃で生成される加工面では,工具回転振れが表面粗さに影響を及ぼさないこと,そして工具回転振れ量の大きな加工条件では,表面粗さが最小になる工具傾斜角が存在することを明らかにした.最後に金型加工で用いられる一般的な加工条件について,工具回転振れ量と表面粗さの関係をシミュレーションから求め,表面粗さを基準とした工具回転振れ量の数値目標を得た.
  • 市田 良夫, 佐藤 隆之介, アクバリ ジャワド
    2009 年 53 巻 4 号 p. 236-241
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    本研究は,微粒のダイヤモンドドレッサを用いて粗粒ビトリファイドcBNホイールのマイクロドレッシングを行う場合の切れ刃形成機構と仕上面生成に及ぼすマクロドレッシングの効果について検討したものである.微小切込みおよび微小送りの条件下でドレッシングを行うことにより,平滑な延性モード表面と微小脆性破壊により生成された深さ約0.5μm以下の無数の表面マイクロチッピングから構成された平坦な切れ刃が形成される.このような切れ刃をもつcBNホイールを用いることにより,粗さ Ra が0.035μm以下で,加工層表層部に高い圧縮残留応力を有する鏡面を高能率で創成することが可能である.
  • 中野 貴之, 三好 瑛, 峠 睦, 渡邉 純二
    2009 年 53 巻 4 号 p. 242-247
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    PCDは硬度,化学的安定性などの優れた特性から,切削工具に広く用いられており,最近では金型部品として摩耗が激しい部位への組込みや精度確保のための耐摩耗材として用いられ始めている.今後の広い応用のためにはPCDの鏡面仕上げ加工および精密成形加工が求められている.本研究では,紫外線援用研磨法を考案し,これらの課題に取組んだ.前報で示した定圧研削法での削除率は10μm/hであることを明確にし,紫外線援用研磨法では前加工で生じた研削条痕を短時間で除去し,加工面性状を大きく向上させることを明らかにした.最終的にPCDの表面粗さは0.8nmRaに達し,上面および側面を研磨することにより0.29μmの丸みを有する稜線を形成することができた.また,PCD金型部品の曲面などの精密加工にも応用できることを確認した.
  • —第1報 延性モード研削加工における砥粒単体の負荷の考察—
    今井 健一郎, 橋本 洋
    2009 年 53 巻 4 号 p. 248-253
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    これまでに,光学ガラスBK7の延性モード研削加工において,単位時間当たりの材料除去量が0.075 mm3/sec以下で研削抵抗が一定となる条件を見出している.定常的な抵抗が得られる場合,加工に作用する砥粒数は巨視的にみて一定であるとみなすことができる.それゆえ,作用砥粒数を概算して延性モード研削加工における砥粒単体の負荷を評価した.その結果,1) 接線研削抵抗は0.18 mN以下であり,とくに切込みを変化させた場合は約0.13 mNでほぼ一定であった.2)比研削エネルギは減少傾向を示した.3) 平均切りくず厚さは最大でも4 nm以下と概算された.以上の結果より,0.075 mm3/sec以上の条件でも延性モード研削加工は可能であると考えた.しかし,実際には加工面に熱損傷が生じて加工できなかった.したがって,延性モード研削加工の加工能率の向上を妨げる主要因は,加工に作用する砥粒の切削能力ではなく,工具と被削材の連続接触によるものと考察した.以上より,工具-工作物間に断続的な接触をうながす背分力方向振動の援用が,延性モード加工における加工能率の向上に有効であるとの考えを論じた.
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