砥粒加工学会誌
Online ISSN : 1880-7534
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54 巻, 12 号
DEC.
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  • 菊池 将一, 廣田 遥, 小茂鳥 潤
    2010 年 54 巻 12 号 p. 720-724
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2011/07/27
    ジャーナル フリー
    本研究では,鋼の微視組織変化に及ぼすピーニング粒子寸法の影響について検討を加えた.具体的には,噴射粒子の運動エネルギに注目し,小径の粒子を用いる微粒子ピーニング(FPP)により形成される鋼の微視組織と通常のショットピーニングを施した鋼の微視組織を比較することにより,鋼の微視組織がいかなる因子によって変化するかという点について検討を加えた.その結果,FPPは,通常のショットピーニングと比較して低噴射エネルギで鋼の結晶粒を微細化させることが可能なことが明らかとなった.これは,粒子の小径化に伴い粒子数が増加し,単位衝突痕面積において被処理材の塑性変形に消費される粒子の総運動エネルギが増加するためである.以上の結果は,FPPが鋼の結晶粒微細化に有効であることを示すものである.
  • 諏訪部 仁, 藤 宙樹, 石川 憲一
    2010 年 54 巻 12 号 p. 725-730
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2011/07/27
    ジャーナル フリー
    ICやLSIなどの半導体デバイス基板に用いられるシリコンウエハの製造において,スライシング加工は,後の工程における精度を左右する重要な工程である.現在,8インチ以上の大口径インゴットのスライシング加工には生産性や加工精度に優れる工作物降下型マルチワイヤソーが用いられている.しかし,本方式は加工部に直接スラリーを供給することが難しく,スラリー供給状態や最適な供給条件に関しては十分な解明がなされていない.そこで,本研究では工作物降下型マルチワイヤソーを用いた円柱工作物のスライシング加工における最適なスラリー供給方法について検討を行った.具体的には,円柱形状のパイレックスガラスを工作物に用い,スラリー供給方法を変化させた場合の加工部周辺におけるスラリー挙動及び加工溝内部において発生する諸現象の観察を行った.本報告では,観察によって明らかとなった加工溝内部に発生する現象と,その防止策について検討を行った結果を述べる.
  • 溝渕 啓, 小川 仁, 笹岡 達央
    2010 年 54 巻 12 号 p. 731-736
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2011/07/27
    ジャーナル フリー
     ソーダライム系ガラス基板へ高品位,高能率および長工具寿命の通り穴あけを行うために,研削抵抗3成分の挙動から欠けの発生について検討した.カプセル形工具の先端部に粒度の異なるダイヤモンド砥粒を電着し,き裂の進展方向を研削抵抗の作用方向から推測した.加工の進行とともに研削抵抗のxおよびy軸成分は,徐々に増加し,貫通後は緩やかに減少する.z軸成分は,加工開始とともに増加する.そして,穴の貫通時に急減後,加工終了まで徐々に小さくなる.粒径の小さい砥粒ほど研削抵抗は大きく,穴の貫通する際の工具進入深さは浅い.穴の貫通時の欠けは研削抵抗に影響する.一方,貫通後から加工終了までの穴の形成時の欠けは工具半球部から円筒部の粒径に影響する.
  • 第3報:材料物性値を考慮した背分力の推定
    三浦 浩一, 山田 高三, 李 和樹
    2010 年 54 巻 12 号 p. 737-742
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2011/07/27
    ジャーナル フリー
    微細軸を旋削加工により創成する際,加工時に発生する背分力が悪影響を及ぼし加工を困難にする.したがって,微細軸を旋削加工するためには,背分力をゼロに制御することが重要である.これまでの研究で工具の諸元に係わる変数を用いて旋削中の背分力が実験的に推定可能であり,推定値より背分力がゼロになるような旋削条件を定め,直径1mm以下の微細軸の旋削加工が可能であることを実験的に確認している.本研究では実験的な考察を基に背分力推定のための実用式の定式化を行い,式を構成する各項の物理的な意味についての検討を行った.また,実用式に含まれる各項の係数と材料のビッカース硬さとの関係を実験的に明らかにし,実用式の有用性についての検討を行った.
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