砥粒加工学会誌
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54 巻, 4 号
APR.
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  • 田中 秀明, 千葉 拓, 吉川 武尚, 前田 幸男
    2010 年 54 巻 4 号 p. 212-217
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2011/01/12
    ジャーナル フリー
    HDD用薄膜磁気ヘッド等に用いられるGMR素子の研磨加工面の表面粗さと磁気特性の関係を検討した.強磁界トランスファカーブの測定から,GMR素子の磁気特性のひとつである磁気抵抗変化率(MR比)が研磨加工により低下することを明らかにした.また,本実験条件のもとでは,MR比は研磨加工面をイオンビームエッチング(IBE)することでほぼ回復した.また,回復に必要なIBE量は研磨加工面の最大谷深さに比例することがわかった.これは,有限要素法解析の結果より,研磨加工面の塑性ひずみ層が減少したためと考えられる.
  • 若林 正毅, 池野 順一
    2010 年 54 巻 4 号 p. 218-223
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2011/01/12
    ジャーナル フリー
    フェムト秒レーザは従来のレーザと比べて光子密度が高く,多光子吸収を引き起こすなどの特徴を有しており,これまでにない微細加工や改質効果が期待されている.そこで本研究では,重ねた2枚のガラスにフェムト秒レーザを照射した際にガラス間隙で生じる加工現象に着目し,ガラスにおける新たな微細加工の可能性を探ることにした.基礎実験の結果,ガラス間隙がレーザの半波長倍であるときにガラス合わせ面内で微細な加工痕が生じることを突き止め,定在波の発生が加工に関与していることを明らかにした.この加工原理を利用することで,ガラス間隙によって生じる干渉縞に従った微細加工が可能となった.さらにガラス間隙を1/4波長分アクチュエータで制御すれば,レーザ発振やメカニカルシャッターを制御することなく,加工のON/OFF制御が可能となった.以上より,定在波を援用したフェムト秒レーザ微細加工の新たな可能性を見出すことができた.
  • 奥山 繁樹, 由井 明紀, 北嶋 孝之
    2010 年 54 巻 4 号 p. 224-229
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2011/01/12
    ジャーナル フリー
    一般に,アルミニウム合金の研削加工には,軟質のGC砥石と高潤滑な研削液を用いる必要があるが,仕上面粗さ,加工能率などに課題が残されている.そこで前報では#46のダイヤモンド砥粒をホイールの外周に整然と配列させた研削砥石を試作した.この砥石と汎用の研削液(A3種)を用いて工業用純アルミニウムを研削した結果,容易に鏡面仕上できたものの,アルミニウム合金の場合には焼けが発生しやすい,という課題を残した.そこで本研究では,#60のダイヤモンド砥粒配列砥石を試作し,各種の研削油剤を用いて軽合金の研削特性を調べるとともに,その性能を#46の場合と比較した.A1種の研削液を用いた場合,各種のアルミニウム合金を焼けなく鏡面研削できる.ただし,粒度を変えたことによる効果はほとんど見られない.チタン合金(Ti6Al4V)の場合には,切りくずが凝着しやすく,良好な仕上面は得られない.
  • 手塚 亮, 關谷 克彦, 加藤 昌彦, 山田 啓司, 山根 八洲男
    2010 年 54 巻 4 号 p. 230-235
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2011/01/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,高い平滑性および低摩擦特性を有する非晶質炭化珪素(アモルファスSiC)皮膜の切削工具への適用を試みた.ヘリコンスパッタ(誘導結合RFプラズマ支援マグネトロンスパッタ)法によって超硬K種スローアウェイチップのすくい面にアモルファスSiCを1μm被覆した工具を試作した.アルミニウム合金の連続旋削試験を行い,ノンコート超硬工具およびDLC被覆超硬工具との間で耐凝着性の比較を行った.本研究の範囲では,アモルファスSiC被覆工具は,乾式切削時にDLC被覆工具と同等程度の耐凝着性を有することがわかった.また,皮膜剥離強度の改善を目的として,異なる表面処理を施した超硬工具母材上に皮膜をコーティングし,圧痕試験を行った結果,皮膜強度に関して最適表面粗さが存在することがわかった.
  • —機械的性質と研削形態の関連性—
    澤 武一, 幾瀬 康史, 小田喜 敏美, 海野 邦昭, 冨田 進
    2010 年 54 巻 4 号 p. 236-240
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2011/01/12
    ジャーナル フリー
    本研究は,ファインセラミックスの機械的性質と研削形態の関連性について吟味する.ビッカース圧子をダイヤモンドホイールの単一砥粒と仮定し,鏡面研磨したセラミックス表面にビッカース圧子を圧入した場合に生じる圧痕および亀裂長さを調べ,ビッカース硬さの評価式に基づき,研削方向の接線方向除去断面積を計算した.そして,定圧研削実験から得られた除去速度と亀裂長さから算出した接線方向除去断面積を比較した結果,両者は定性的な傾向が一致し,機械的性質に依存するビッカース圧子圧入試験から,定圧研削時における加工形態が予測できる可能性を見出した.
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