砥粒加工学会誌
Online ISSN : 1880-7534
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54 巻, 8 号
AUG.
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 布引 雅之, 木次 陽亮, 奥田 孝一
    2010 年 54 巻 8 号 p. 477-481
    発行日: 2010/08/01
    公開日: 2011/05/27
    ジャーナル フリー
    本論文はレーザによって金属板に細いスリットを切断した場合に試料下面に付着するドロスの除去技術について検討している.バリは研削,旋削,フライス加工,穴空け加工などの機械加工において加工面に残る不要な残材部分であり,現在バリ取りに多大な時間とコストを要することが工業製品の製造において大きな問題となっている.一方レーザ切断においてはドロスがバリに相当する問題を引き起こしており,ドロスの付着を減らすためにアシストガスを高圧にするなどのさまざまな工夫がされているがドロスを完全に取り除くことはできていない.とくにステンレス鋼のレーザ切断では生成されるCr酸化物が母材より高融点・高硬度であるためドロスフリー切断の実現は容易ではない.加えて装飾品を加工する場合はバリの除去だけでなく,鋭いエッジで人が負傷しないように面取りする必要もある.しかし一般にこれらは手作業に頼っており,加えて幅が数百μmしかないスリットの両側に付着したドロスを除去したり鋭いエッジを面取りする加工技術は未だ確立されていない.本研究ではレーザ切断後に再度デフォーカスしたレーザを照射しオンマシンでドロス除去ならびに面取りを行う手法を提案しその有効性を示す.
  • 篠塚 淳
    2010 年 54 巻 8 号 p. 482-487
    発行日: 2010/08/01
    公開日: 2011/05/27
    ジャーナル フリー
    多数の微細な複雑形状の溝群を高能率にかつ安価に創成する手法として,薄硬質材と薄軟質材を積層した工具を用いた超音波微細溝加工法を開発した.本研究では,この積層工具をサンドウィッチ工具と呼ぶ.本論文では,開発したサンドウィッチ工具を用いた超音波微細溝加工法の加工原理を述べる.次いで,サンドウィッチ工具を構成する硬質材の剛性,砥粒粒度,サンドウィッチ工具と被加工物の接触面に負荷させる静的な垂直応力や超音波加工時間が,アルミナセラミックス基板上の微細溝加工特性に及ぼす影響について検討し,得られた結果を用いて開発した加工法の加工現象を論じる.最後に開発した手法を用いて創成した複雑形状の微細溝の例を示す.
  • 松井 伸介, 阿部 宜輝, 細野 茂, 浅川 修一郎, 小林 潤也, 小林 勝, 長瀬 亮
    2010 年 54 巻 8 号 p. 488-493
    発行日: 2010/08/01
    公開日: 2011/05/27
    ジャーナル フリー
    急速に広がりつつある光通信に用いる新しい現場組立光コネクタとして我々が開発しているSFタイプの現場組立コネクタでは,現場で光ファイバ素線端面に高精度なテーパ形状を形成する必要がある.そこで現場において短時間で簡単に高精度なマイクロテーパ形状を実現する加工機構および装置を開発した.この加工でテーパ形成は高精度である光ファイバのたわみ変形およびそれによる変形加重を利用してリップ型カップ砥石のテーパ斜面で行われる.検討の結果,精度の良い加工加重を用いた圧力転写により必要な精度のテーパを短時間にしかも乾式で加工することができた.また,砥石のボンド等を最適化することにより砥石交換せずに多数本の加工も可能であることも確認した.
  • —センサ出力への影響因子の解明—
    清水 翔太, 藤原 貴典, 山本 亮介, 塚本 真也
    2010 年 54 巻 8 号 p. 494-500
    発行日: 2010/08/01
    公開日: 2011/05/27
    ジャーナル フリー
    研削加工における干渉開始点検出は未だに作業者の経験と勘に依存し,砥石のアプローチ作業は難度が高い.これが時間的コストの増大や技術継承難などのデメリットの原因でもある.この問題を解決すべく,干渉開始点を電気的に検知するタッチセンサを開発し,出力特性を実験的に確認してきた.これまでに明らかになった課題は接触式構造ではセンサ寿命が短いこと,研削液の変質や供給位置の変化によりセンサ出力が影響を受けることである.本報告では,これらの問題点を解決し,実用型タッチセンサの開発に成功したことを示す.まず,センサ電極の消耗を低減して長寿命化を図るために非接触構造を採用し,接触型と同等のセンサ出力を得た.また,研削液は使用履歴により電気的特性が変化し,それによりセンサ出力も変動する.そこで,研削液の導電率を用いたセンサ出力の補正処理を行い,タッチセンシング特性を統一的に表現する.さらに,超砥粒砥石による研削作業においてセンサ出力に影響を及ぼす設定パラメータは,1)砥石円周角に対するセンサ固定位置,2)研削液供給量,3)砥石作用面とセンサ検出面間隔および4)研削液吐出位置の4要素であることを明らかにし,これらの最適化を行った.
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