砥粒加工学会誌
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56 巻, 1 号
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  • 大西 孝, 湯川 知厚, 大橋 一仁, 坂倉 守昭, 塚本 真也
    2012 年 56 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2012/01/01
    公開日: 2012/09/19
    ジャーナル フリー
    板厚が0.5mm程度の極薄板の平面研削においては,研削終了後に工作物に反りが生じる.この現象の解明を目的として,本研究では,研削温度と工作物の反り量および残留応力に着目し,両者を測定することで実験的に反りの発生メカニズムを検討した.その結果,研削中の工作物表面温度が限界温度に達すると,工作物をチャックから取り外した際に反りの向きが反転するとともに,工作物表面の残留応力も,圧縮から引張へと変化することを確認した.また,両者が反転する限界温度は,被削材の変態温度と近いことから,研削熱によって工作物表面近傍の材料が変態し,残留応力が生じて反りが発生することを明らかにした.
  • 神崎 昌郎, 森田 次郎
    2012 年 56 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 2012/01/01
    公開日: 2012/09/19
    ジャーナル フリー
    航空機材料や自動車用材料として用途を広げつつあるTi合金等の難削材の高効率加工実現を目指し,高硬度で耐熱性に優れるB4Cをベースとした切削工具用コーティング材の機械的特性向上を検討した.その結果,スパッタ成膜時に化学的に活性なTiを添加することにより,密着力は約2倍向上した.さらに,成膜時にCH4ガスを導入し炭素含有量を制御することにより,15GPa以上の硬度を維持した状態で摩擦係数は0.6から0.2近くにまで低下した.この高密着性を有し潤滑性に優れるTi-B-C膜をコーティングした切削工具を用いることにより,Ti合金加工時の切りくず排出性は改善し,切削抵抗は低下した.さらに,被削材(Ti合金)の表面粗さも小さくなったが,切削距離1000m時点においてはTi-B-C膜は剥離した.
  • 笹岡 秀紀, 大岡 昌洋, 西村 一仁
    2012 年 56 巻 1 号 p. 40-43
    発行日: 2012/01/01
    公開日: 2012/09/19
    ジャーナル フリー
    ガリウム(Ga)をイオン源とする収束イオンビーム(FIB)によって加工を施された単結晶CVDダイヤモンド(100)面と,ダイヤモンド工具の被削材として一般的なアルミニウム(Al)との反応性の評価を,加工後の表面改質処理なし,真空加熱処理,水素プラズマ曝露処理を施した場合について,エネルギ分散型X線分析装置などにより行った.表面改質処理なしの場合,Al膜を形成した後,加熱することで加工面残留していたGaが,加熱のみの場合に比べて速く減少する傾向が見られた.また加速電圧が20~30kVの場合では673K以上で,加速電圧10kVの場合では773Kで加熱された加工面は,水酸化ナトリウムによるエッチングで除去されないAlの存在が確認された.このことから,Alの被削材に対してFIBによって形成された刃先をもつダイヤモンド工具を表面改質処理なし使用する場合,少なくとも673K以上になるとダイヤモンド工具刃先でAl材料との固着が起こりうることが示唆された.また,FIB加工後に1373Kで1時間の真空加熱,1200Kで1時間の水素プラズマ曝露の表面改質処理を行った加工面では,Al膜形成後に573Kから773K加熱を行ってもAl,Gaの残余は見られなかった.
  • -ボールエンド工具を用いた実験的検討―
    小川 圭二, 中川 平三郎, 門谷 憲太
    2012 年 56 巻 1 号 p. 44-49
    発行日: 2012/01/01
    公開日: 2012/09/19
    ジャーナル フリー
    セラミックス部品の穴加工では,貫通穴出口部の欠け発生が重要な課題となっている.そこで,本研究ではセラミックスのヘリカルボーリング加工において,貫通穴出口部の欠け発生メカニズムを解明し,欠けの抑制方法を提案することを目的としている.欠けの起点となるき裂が加工中のどの時点で発生するのか,またそれがどのように伝播して最終的な欠けとなって残るのかを実験的に検討した結果,最初に生じる大規模なき裂によって最終的な欠けの大きさが決定することがわかった.そこで,ボールエンド工具を用いて,下穴を設けた工作物にヘリカルボーリング加工を行った結果,下穴なしの工作物の場合に比べて,欠けが抑制でき,かつ工具を長寿命化できることを明らかにした.
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