航空機材料や自動車用材料として用途を広げつつあるTi合金等の難削材の高効率加工実現を目指し,高硬度で耐熱性に優れるB
4Cをベースとした切削工具用コーティング材の機械的特性向上を検討した.その結果,スパッタ成膜時に化学的に活性なTiを添加することにより,密着力は約2倍向上した.さらに,成膜時にCH
4ガスを導入し炭素含有量を制御することにより,15GPa以上の硬度を維持した状態で摩擦係数は0.6から0.2近くにまで低下した.この高密着性を有し潤滑性に優れるTi-B-C膜をコーティングした切削工具を用いることにより,Ti合金加工時の切りくず排出性は改善し,切削抵抗は低下した.さらに,被削材(Ti合金)の表面粗さも小さくなったが,切削距離1000m時点においてはTi-B-C膜は剥離した.
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