PCD製の微細なエンドミルを用いて,石英ガラス素材上に高品位の延性モード加工面を持つ微細3次元形状を加工することを目指し,石英ガラスのマイクロミーリング加工プロセスの挙動と切削条件について考察し,加工品質に及ぼす影響因子を特定する目的で研究を行った.その結果,加工面に作用するZ軸方向切削抵抗が延性モード加工面を得る上で重要な影響因子であることが判明した.本研究を実施した環境では,工具と加工面の接触単位面積あたりのZ軸方向切削抵抗が約2500N/mm
2以下であれば常に延性モード加工が行え,典型的に得られる延性モード加工面は,平均面粗さ5nm,最大面粗さ40nmであることを確認した.また,工具底面の加工面との接触部を加工後に原子間力顕微鏡で観察し,その結果から今回の加工は,工具底面部に多数存在する微細なダイヤモンド粒子の働きによるマイクロ研削プロセスであると考えたほうが妥当であると結論された.また,本研究により得られた延性モード加工条件で3次元の自由曲面形状を石英ガラスに生成し,高品位な加工面が得られることを確認した.
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