砥粒加工学会誌
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58 巻, 10 号
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  • 由井 明紀, 北嶋 孝之, 角谷 均, 原野 佳都子
    2014 年 58 巻 10 号 p. 637-643
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2014/12/23
    ジャーナル フリー
    高精細な光学部品などの成形加工に用いる精密金型の長寿命化を図るために,高硬度材料に直接微細加工を施すことが産業界より期待されている.本報では,すくい角が異なる単結晶ダイヤモンド工具とナノ多結晶ダイヤモンド工具を用いて,コバルトレス超硬合金に微細V溝の正面切削を行い,工具寿命を評価する.切削過程において工具形状を無酸素銅に転写し,溝深さを測定することにより工具刃先後退量(刃先損耗量)を知る.(工具刃先後退量)/(切削距離)を刃先損耗比と定義すると,すくい角0°の単結晶ダイヤモンド工具の刃先損耗比は0.012μm/m,ナノ多結晶ダイヤモンド工具では0.005μm/m,そして-30°の負のすくい角を付与した単結晶ダイヤモンド工具では0.009μm/m,ナノ多結晶ダイヤモンド工具では0.004μm/mでナノ多結晶ダイヤモンド工具および-30°の負のすくい角を付与した工具の優位性が明らかになった.一方,-30°の負のすくい角の付与により,単結晶ダイヤモンド工具では欠損が2.325μmに達した.工具刃先のSEM観察によると,単結晶ダイヤモンド工具の損耗は劈開による欠損が支配的であり,ナノ多結晶ダイヤモンド工具の損耗は摩滅摩耗と微小チッピングが支配的であった.
  • -膜構造および機械的特性に及ぼす試料台電位とスパッタガスの影響-
    城谷 友保, 坂本 幸弘, 斎藤 邦夫, 川名 淳雄
    2014 年 58 巻 10 号 p. 644-651
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2014/12/23
    ジャーナル フリー
    CNx膜は優れた機械的および化学的特性を有しているために,工具や摩擦摺動部材などへの適応が期待されている薄膜であるが,作製法および作製時の種々のパラメータに大きく影響をうけてその性質は大きく変化してしまうため,系統だった研究が必要である.本研究はCNx膜を比較的膜質制御の容易である反応性スパッタリング法によって作製する時のN2分圧と試料台電位が膜の構造と機械的特性に与える影響について検討した.その結果,スパッタガス中へのN2の添加により,生成物中へのCとNの結合と柱状構造の導入が確認され,N2の増加に伴い,硬度が低下し,試料台電位をアースにした条件では柱状構造が微細化し,グラファイト成分が増加した.一方,試料台電位をフローティングした場合は,柱状構造が不明瞭になったが,硬度の著しい変化は認められなかった.また,同じスパッタガスを用いた場合,試料台電位をアースした場合において,高い硬度を示した. 
  • 畝田 道雄, 髙橋 佳宏, 澁谷 和孝, 中村 由夫, 市川 大造, 石川 憲一
    2014 年 58 巻 10 号 p. 652-657
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2014/12/23
    ジャーナル フリー
    半導体デバイス用シリコン(Si)ウェーハの表面を高平坦化することを目的に,CMP(Chemical Mechanical Planarization/ Polishing)による研磨加工が行われている.CMPにおいて,研磨時間の経過に伴い研磨レートは低下し,このことは研磨パッドにおける表面性状(アスペリティ)の悪化に大きく起因することが知られている.さらに,スラリー砥粒濃度が高いほど研磨レート向上が得られることはよく知られているが,その他の研磨条件や諸現象との因果関係は明確でない.本研究ではSi-CMPの研磨レートに及ぼす要因分析として,接触画像解析法に基づく研磨パッド表面性状の定量的評価値とともに,研磨中における研磨ヘッドの振動加速度やウェーハと研磨パッド間の摩擦係数,研磨パッド表面温度を評価することで,各パラメータが研磨特性に及ぼす影響を体系的に明らかにした.その結果,Si-CMPにおいては,研磨ヘッドの振動加速度の増加に伴い研磨レートは低下する傾向にあることを明らかにした.また,一般には摩擦係数ならびに研磨パッド表面温度と研磨レートは比例関係にあると考えられているが,その傾向はスラリー砥粒濃度の高低によって異なること,を明らかにした.
  • 溝渕 啓, 岩本 靖弘, 石田 徹
    2014 年 58 巻 10 号 p. 658-659
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2014/12/23
    ジャーナル フリー
    著者らが考案した小径ダイヤモンド電着工具を用いて,ガラス板への斜め穴加工を行い,本工具の斜め穴加工への有用性を調査した.直穴加工時と同様に,本工具の特長的な形状により,切りくず排出のためのステップ送りを採用しなくとも切りくずの排出は良好であり,通常の一方向送りのドリリングサイクルでの穴加工は可能であった.また,座ぐりや捨て座,超音波援用装置などを用いなくとも,工具の食付き側および抜け側に生じる欠けは小さかった.工具抜け側の欠け幅は加工終了間際の軸方向成分の挙動に左右した.
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