化学的機械的複合研磨(Chemical mechanical polishing/ planarization:CMP)は,高性能半導体デバイス実現のために必須となる製造プロセスの1つである.CMPにおいて,研磨レート(研磨速度)や研磨精度という研磨特性はスラリーや研磨パッド,ならびにドレッサに代表される消耗副資材に依存する.このような中にあって,研磨パッド表面を全面均一にドレッシングし,高寿命で安定したドレッシング性能を示し得るフレキシブルファイバードレッサが開発された.現在までにフレキシブルファイバードレッサの特徴としてダイヤモンドドレッサと比較した基礎的な結果が報告されてきている.本論文では,フレキシブルファイバードレッサの特徴をより詳細に評価することを目的として,接触画像解析法,ならびに高速度カメラによるその場観察法を適用し,ドレッサの工具寿命検証を行った.その結果,フレキシブルファイバードレッサは35時間にわたる長時間の使用を経ても安定して継続使用でき,シリコン基板の研磨レートも同様に安定させ得ることに加えて,ドレッシングによる研磨パッドの被削量を大幅に抑制できることを示した.したがって,フレキシブルファイバードレッサはCMPプロセスにおけるドレッサ寿命の大幅延伸とともに,研磨パッドの寿命延伸も可能にするという結果を得た.
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