マシニングセンタや複合加工機の場合,工具交換機能を有しており,工具の種類や工具径を変えながら加工が進められるため,主軸回転数も頻繁に変化させることになる.その結果,主軸回転数によってモ-タ発熱量や熱変形特性は変化する.したがって,スピンドルの発熱特性を把握して,適切な冷却構造をスピンドルに具備させたうえ,適切な冷却条件で冷却を行うことによって,高い加工精度を実現することが望まれる.とくに,最近,主流になっているビルトインモ-タスピンドルについては,モ-タの発熱がスピンドルの発熱や熱変形に直接影響する.本報では,開発した冷却構造を備えたビルトインモ-タスピンドルに対して,実験では測定が困難なスピンドル内部の温度変化と温度分布を熱解析シミュレ-ションにより検証した.さらに,水を冷却流体として供給し,スピンドルの回転数の違いによる温度変化,各冷却条件における冷却効果を実験的に明らかにし,シミュレ-ションとの比較を行った.
本研究では,ねじ切り用工具であるスレッドミルを使用し,マシニングセンタのヘリカル補間運動を用いた際のねじ切り加工の特性について考察する.X,Y,Z方向およびトルクの4成分が測定可能な圧電式動力計を用いて,ヘリカル補間運動中のスレッドミルに作用する工具接線方向分力(主分力)と工具半径方向分力(背分力)を分離できる手法を提案する.また,無線式ホルダを使用することにより切削力の極座標表示とその特徴を考察し,提案手法の整合性を確認した.さらに提案手法および無線ホルダ,サ-ボドライブユニットからの位置情報にてねじ切り加工時の工具の公転と自転に起因する切削力を分析し,ねじ切り加工時に粗加工切れ刃と仕上げ加工切れ刃で生じる現象の解明を試みた.また,被削材硬度と切削力の関係を考察し,ねじ加工に対する検討を行った.