ア-クイオンプレ-ティング(AIP)法によるPVDコ-ティング工具の切削性能向上を目的として,成膜前後にドラッグフィニッシュバレル(DFB)研磨を施した.前処理としてのDFB処理は,切れ刃形状の最適化(工具表面の平滑化や切れ刃稜の丸み負荷など)によって膜の密着強度を上げて工具摩耗を抑制することを目的としており,後処理はコ-ティング処理で生成されたドロップレットを除去してさらなる平滑化することで工具寿命を向上させることを目的としている.DFBの効果は,成膜前後にDFB処理した4種類の高速荒加工用CrAlSiN-コ-ティングエンドミルによる炭素鋼S55Cの乾式切削によって検証した.その結果,前処理と後処理ともに工具摩耗の抑制に寄与するが,後処理の効果がより顕著であることを実証した.この理由はドロップレットが起点となって切りくずの凝着と脱落が生じて工具摩耗が進行することをボ-ルオンディスク型摩擦摩耗試験によって明らかにした.結果として成膜前後にDFBを行うことで,工具寿命が飛躍的に増加する.
表面テクスチャリングはしゅう動要素の摩擦を低減させる一有力手法として知られている.近年における表面テクスチャの製造は,短時間かつ高精度で加工できるレ-ザ加工が主流になっているが,コストなどの問題を抱えている.このような状況下で,切り立った微小凹パタ-ンを周期的に配置したテクスチャ表面を簡便に創成する手法として,三角錐ダイヤモンド圧子工具の切込み深さ方向への微小振動援用切削による表面テクスチャリング技術を開発している.本論文では,アルミニウム合金平板上に面積密度の異なる数種類のテクスチャ表面を創成し,そこにグラファイト固体潤滑材を塗布し,ボ-ルオンプレ-トすべり試験を通して,固体潤滑特性を評価した.その結果,開発したテクスチャ表面は摩擦・摩耗の低減に有効であり,とりわけ適度な面積密度のテクスチャ表面では,摩擦・摩耗は最小になることが明らかになった.