日本アスレティックトレーニング学会誌
Online ISSN : 2433-572X
Print ISSN : 2432-6623
5 巻, 2 号
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特集
  • 山本 利春
    2020 年 5 巻 2 号 p. 81
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/06/05
    ジャーナル フリー
  • 砂川 憲彦, 大垣 亮, 永野 康治, 原田 長, 土屋 篤生, 津賀 裕喜, 山本 利春
    2020 年 5 巻 2 号 p. 83-91
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/06/05
    ジャーナル フリー

    This study aimed at clarifying the present status and problems of studies on sports injury surveillance studies in Japanese schools. We performed a literature search using databases (CiNii Articles and Google Scholar) and extracted 69 papers involving studies that investigated sports trauma and overuse injuries in schools for the period from 1980 to 2016. Most of extracted studies targeted contact sports and university students. Those reporting only females were limited. In addition, the injury definition and the methods for classifying the body part are varied. There were also aspects of examination and integration difficulties. We found that the problems such as bias in the types and ages of the study subjects and the inconsistencies in the study methods on trauma and overuse injuries.

  • 大伴 茉奈, 細川 由梨, 村田 祐樹, 佃 文子, 砂川 憲彦
    2020 年 5 巻 2 号 p. 93-99
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/06/05
    ジャーナル フリー

    学校現場における「障害」の実態を調査し,学校現場におけるアスレティックトレーナーの必要性を検討した.

    独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害給付データベースを参照し,平成21年度から30年度までに中学校と高等学校の校舎内において発生した「障害」事例2,094件を抽出して検討した.

    課外指導では98%,各教科等では86%,学校行事では71%がスポーツに関連する活動を行っていた際に「障害」が発生していた.運動場・校庭では93%,体育館・室内運動場では90%,プールでは96%がスポーツに関連する活動を行っていたことがわかった.

    学校現場で発生する「障害」の多くはスポーツに関連したものであり,ATが学校現場に配置された場合は,それらに対する応急処置や「障害」の予防を含めた安全管理を行うことが可能となる.

  • 山本 利春, 笠原 政志, 清水 伸子
    2020 年 5 巻 2 号 p. 101-108
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/06/05
    ジャーナル フリー

    学校現場において,救急対応やスポーツ外傷・障害予防の必要性は高く,その対応を担う専門家が具体的に介入することが有用ではあると考えられるが,学校現場の多くにおいて,児童・生徒の事故やスポーツ外傷・障害に対して最初に対応しなければならないのは教員である.つまり,その教員が救急対応やスポーツ外傷・障害予防のコンディショニングに対して正しい知識を持って的確に対応できることが,学校現場でより求められていることになる.しかしながら現状では教員の救急対応能力は十分とは言えない状況である.したがって,今後は様々な場で多くの指導者(教員)を対象に救急対応やスポーツ外傷・障害予防のためのコンディショニングに関する講習会を開催していく必要があると考えられる.同時に,学校現場へ救急対応やスポーツ外傷・障害予防ができるトレーナーなどの専門的スタッフが配置することができれば,従来からの課題であるスポーツ外傷・障害を減らすための質を高めることができると考えられる.

  • 倉持 梨恵子, 村田 祐樹, 大見 卓司
    2020 年 5 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/06/05
    ジャーナル フリー

    In Japan, school sports club activities and safety measures are important themes in school sports. The purpose of this study is to present as much objective data as possible regarding how athletic trainers are placed and intervene in athletic club activities in junior high and high schools in Japan and to clarify the current situation. In addition, while analyzing the problems and issues related to the interventions, we tried to identify commonalities and find solutions by assessing the current situation in the United States, where trainer intervention in schools seems to be more substantial than in Japan.

    The participation of athletic trainers in high school athletic club activities in Japan was about 20 to 30%, but no objective data regarding junior high school were found. Athletic trainer support for athletic club activities was also desired by instructors and is clearly needed, but more data are needed to prove its involvement. Furthermore, academic discussions are also needed. The search for athletic trainers and the achievement of their placement in high schools, which has been undertaken since the early 1990s in the United States, will be an effective landmark for achieving the beneficial involvement of athletic trainers in Japanese schools.

  • 村田 祐樹, 大見 卓司, 倉持 梨恵子
    2020 年 5 巻 2 号 p. 115-121
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/06/05
    ジャーナル フリー

    青少年のスポーツにおいて,アスレティックトレーナー(AT)が関与することの重要性についての認識が高まっている.本邦でも一部の高校では,課外活動の質を向上させるために専任のATを雇用している.しかし,高校におけるATの業務内容とATが関与することの効果を示した報告はほとんどない.本研究の目的は,高校のATがスポーツ現場でどのような業務を行っているかをインタビューおよび自己開示によって明らかにすることであった.2名の私立学校に勤務するATが本研究に参加した.勤務形態は,1名が専任であり,もう1名が非常勤であった.対象者の主な業務は,スポーツ外傷・障害の評価,救急処置,リコンディショニング,スポーツ外傷・障害の予防であった.それらに加えて,スポーツ外傷・障害の予防と管理について,生徒,コーチ,教諭,養護教諭などに啓発することは,学校スポーツにおけるATの重要な役割であった.本研究は,学校現場でのATの介入事例を2例のみ示したものであり,高校の専任ATに関して更に多くの情報が必要である.したがって,高校においてATが関与する状況を明らかにするためには,体系的な調査を実施する必要があると考えられた.

原著
  • 大垣 亮, 大竹 源人, 中根 聡子, 小笹 由希子, 菅野 陽介, 村上 大記, 谷川 聡, 竹村 雅裕
    2020 年 5 巻 2 号 p. 123-132
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/06/05
    ジャーナル フリー

    本研究は,男子大学生ラグビー選手を対象に,肉離れの発生率,重症度,外傷負担,発生要因について分析することを目的とした.男子大学生ラグビー選手113名を対象に,2017年から2018年の2年間に発生した肉離れを記録した.肉離れの発生率は,練習時(0.66/1000 player hours)よりも試合時(13.38/1000 player hours)で有意に高かった.重症度は試合時と練習時で差はなかったが,外傷負担は試合時が282.5 (日/1000 player hours)で練習時の約15倍であった.肉離れの38.5%はランニングで発生したが,次いでラックが26.9%でコンタクトプレーでも発生していた.また,肉離れの既往歴を有する選手は発生リスクが4.5倍であった.若年層からの肉離れの予防と再発予防は,チームの競技時間損失の軽減に貢献すると考えられた.

  • 浦辺 幸夫, 福井 一輝, 笹代 純平, 前田 慶明, 鈴木 雄太, 白川 泰山
    2020 年 5 巻 2 号 p. 133-139
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/06/05
    ジャーナル フリー

    本研究では,10代から80代までの世代別静的バランス能力を調査することを目的とした.バランス能力の指標に閉眼片脚立位保持時間の測定を実施した.30秒未満の割合を各世代間で比較した.参加者は541人であった.閉眼片脚立位保持時間の平均値は,20代と30代がそれぞれ42.8秒であった.一方,10代の平均値は33.0秒であった.60代以上では,閉眼片脚立位保持時間の平均値は10代と比較して有意に減少していた(p<0.05).静的バランス能力は,高齢者にとって転倒を防ぐために重要である.10代ではスポーツパフォーマンスに関与しているが,静的バランス能力が10代で20代,30代よりも低値を示していたことは,10代のバランス能力低下を防ぐ対策が必要になる可能性を示唆している.

  • 榎 将太, 倉持 梨恵子, 村田 祐樹, 鈴木 雄貴
    2020 年 5 巻 2 号 p. 141-149
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/06/05
    ジャーナル フリー

    棒高跳選手は腰椎/下背部に傷害が多く,慢性的な腰痛に悩む選手が多い.本研究は,大学生男子棒高跳選手9名を対象とし,慢性腰痛の有無において踏切動作を比較し,その特徴を明らかにすることを目的とした.アンケートから,4名に慢性腰痛が認められた.高速度カメラを用いて競技動作を撮影し,2次元DLT法により実座標に換算した.その結果,慢性腰痛あり群は試技間における股関節伸展角度の変動係数が有意に大きかった.これらの結果から,慢性腰痛がある選手は四肢の動作制御に貢献する体幹部の安定性が不足しており,動作にバラつきが生じている可能性が推察された.

  • 筒井 俊春, 前道 俊宏, 飯塚 哲司, 鳥居 俊
    2020 年 5 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/06/05
    ジャーナル フリー

    本研究は野球選手の発育に伴う慣性値の変化を暦年齢ならびに相対発育の2つの発育指標から明らかにし,肘障害予防の一端を担うことを目的とした.対象は小学生から大学生までの野球選手133名とした.DXA装置を用いて全身スキャンをし,Ganleyの慣性モーメントの算出法に準じて,前腕・手部慣性値を算出した.また,肩甲帯部除脂肪量に対する前腕・手部慣性値を示す慣性値比,野球ボール保持想定での慣性値比を求めた.さらにアロメトリー法を用いて身長に基づく相対発育の観点から慣性値比および野球ボール保持想定での慣性値比の変位点を求めた.慣性値比は12歳頃,または身長約150cmでピークとなり,この時期には肘障害のリスクが高まることが示唆された.

  • 佐藤 晋也, 飯田 勝彦, 高橋 憲正, 菅谷 啓之, 酒井 大輔, 三枝 奨
    2020 年 5 巻 2 号 p. 159-163
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/06/05
    ジャーナル フリー

    本研究は僧帽筋下部に対して実践している筋力トレーニングの筋電図解析を行い,トレーニングの比較・検討を行うことを目的とした.対象は健常男性9名で,僧帽筋下部に対するトレーニング3種目(エクササイズ「Y」・「A」・「U」)を実施し,僧帽筋上部・中部・下部・三角筋後部の筋活動の%MVCの比較を行った.「Y」は「U」・「A」よりもすべての筋において有意に高い筋活動を示し,「U」は「A」よりもすべての筋において有意に高い筋活動を示した.以上の結果から「Y」は僧帽筋下部の強化に最も期待ができると考えられ,「U」は胸椎の伸展可動性を引き出しながら僧帽筋下部の強化を行う場合有効なトレーニングと考える.

  • 二瓶 伊浩, 仁賀 定雄
    2020 年 5 巻 2 号 p. 165-169
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/06/05
    ジャーナル フリー

    Groin pain(以下GP)は様々な部位に痛みを生じ復帰に長期を要する例がある.しかし難治性GPになり易い症例を自覚症状から判断するのは難しい.本研究はスポーツ中のGPを主訴とし当院でMRIを施行した1091例のうち16~40歳の651例(男555/女96例,平均:年齢20.3±5.2歳,身長171±7cm,体重64.6±9.5kg,BMI21.9±2.3,経過観察40週)の自発痛部位の割合を調査し難治性GPに特徴的なMRI所見の有無で分類,それぞれの自発痛部位と難治性GPのMRI所見との関連性を検討した.自発痛は鼠径部(47%)に最も多く認められたが,難治性GPに特徴的なMRI所見と関連を認めた自発痛部位は下腹部(p<0.001),会陰部(p=0.015),恥骨結節部(p<0.001)だった.上記3部位の痛みは難治性GPになる可能性があると現場で判断する指標の一つとなり得ると考える.

  • 八戸 美朱, 倉持 梨恵子, 榎 将太, 德武 岳
    2020 年 5 巻 2 号 p. 171-177
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/06/05
    ジャーナル フリー

    大学キャンパス内のAED設置場所の認知度および認知度に影響する要因について検討した.C大学スポーツ系学部を対象に,基本的属性およびAED設置の有無について質問紙調査を実施し,451名からの回答を分析した.

    AED設置場所の認知度に関する正答数の中央値(正答率)5(25.0%)であり,所属学科によって有意な差が認められた.所属部活動の最寄りのAEDの正答者割合は67.6%であった.

    正答数別にみると,多くの学生がAEDの設置有無を認識しておらず,また,所属学科が正答数に強く影響していた.日頃の活動場所でも約3割の運動部活動生が誤認識をしており,更なる教育を通した認識の改善が必要であると考えられた.

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