敗血症および創傷化膿巣を有する患者由来コアグラーゼ(「コ」)陰性表皮ブドウ球菌で,病原性の安定していると思われる菌8株を選んで,マウスおよびウサギに対する感染実験を行なつた。
1. 血液および病巣由来の各供試菌株は,マウスに対する致死力は認められなかつたが,皮下接種で明ちかにびまん性の膿瘍形成が観察された。
2. マウス体重減少を示したのは1株のみで,他の表皮種接種マウスでは,接種6日目より僅かながら増加の傾向を示したが,「コ」陰性の非病原性株Aとは明らかに差が認められた。
3. ウサギ皮内接種では発赤,硬結,脱毛などがみられたが,膿瘍は形成しなかつた。
4. マウス腎,骨髄内の定着性は,B-141株とS-3232株が両臓器内で106以上の菌数を示し,非病原性株Aとは有意差を示した。
5. マウス静脈内感染実験では,各臓器に膿瘍形成は認められなかつたが,病理組織学的観察により,菌の侵襲による中性好性白血球を主とした細胞浸潤像が認められ,起病力を有することが示唆された。
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