日本細菌学雑誌
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26 巻, 10 号
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  • 慢性中耳炎患者血清での予備観察
    高井 晶子, 長尾 四郎, 森 弘
    1971 年 26 巻 10 号 p. 467-472
    発行日: 1971/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 慢性中耳炎患者血清と,その患者の耳漏から分離した緑膿菌の60C 30分加温抽出液を抗原とし,Boyden法により感作血球凝集反応を行なつた。緑膿菌の検出された患者血清では大多数が40倍から320倍希釈まで陽性反応がみられたが,健康者および緑膿菌の検出されなかつた中耳炎患者などからの対照血清では1例を除きすべて20倍以下であつた。
    2. 分離した38株の抽出液を抗原とする本反応は,患者血清で検してみると本人由来以外の菌株とも交差反応を呈するものがあつた。しかし免疫ウサギ血清でみると,本反応は各菌株間の交差性の低いものであつた。
  • 桜井 稔三, 遠山 清, 新井 浩
    1971 年 26 巻 10 号 p. 473-481
    発行日: 1971/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. Lactobacillus salivariusと同定された乳酸桿菌Sa-S株について,マイトマイシンCおよび,紫外線による誘発をこころみ,それが溶原株であることを確認した。
    2. マイトマイシンCおよび紫外線の誘発条件について検討した結果,マイトマイシンCの濃度は37C 15分処理の場合,最終濃度2∼10mcg/mlが適当であり,紫外線誘発の場合には(15W殺菌燈,90cm) 5.4erg/cm2/sec 30∼60秒の照射が有効であつた。
    3. 誘発の際の菌のageは対数増殖期初期が適当であり,休止期に近いものは誘発がかからなくなる。
    4. Sa-S株のテンペレートファージPLS-1の指示菌について検討した結果,Sa-S株の誘発生残菌より得られた非誘発性の菌株のみが指示菌となることが明らかになつた。
    5. PLS-1ファージの潜伏期は約80分,平均放出量は100∼130である。その他,紫外線耐性,形態,種々の乳酸桿菌に対する吸着等,PLS-1ファージの生物学的性質について検討した。
  • 遠山 清, 桜井 稔三, 新井 浩
    1971 年 26 巻 10 号 p. 482-487
    発行日: 1971/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Lactobacillus salivarius SaS由来のテンペレートファージPLS-1によるSaS株由来“cured” cell SaS-No.44の溶原化と形質導入について検討した。
    1. PLS-1感染菌の生残率および生残菌のうち溶原化した菌の割合は培地・温度条件により顕著に変動した。吸着温度37CでSaS-No.44が良く増殖する培地(ILS)を用いると,killing作用が強く,溶原化率も20∼25%と低かつた。30Cでこの菌がほとんど増殖しないイーストペプトン培地を用いると,生残率はmultiplicity of infection 10∼1で33∼67%に増加し,溶原化した菌の比率も最高50%まで増加した。しかし,試験したいずれの条件でも非溶原性でPLS-1感受性コロニーが高率に出現する特異な現象がみられた。
    2. ファージPLS-1による形質導入の受容菌として,SaS-No.44の3種の栄養要求株,セリン要求株,プロリン要求株,リジン要求株および乳糖非発酵性変異株を用いた。これらすべての変異株はファージPLS-1により形質導入されて野生型コロニーを生じた。導入の頻度は比較的低いが,栄養要求株では10-7∼10-8,乳糖非発酵性変異株では10-8であつた。また導入に際して必ずしも溶原化を必要としなかつた。以上の事実からファージPLS-1は乳酸桿菌では初めての普遍形質導入ファージと考える。
  • 鈴木 要, 磯貝 誠吾, 橋本 一
    1971 年 26 巻 10 号 p. 488-492
    発行日: 1971/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    100頭以上飼養している養豚農家よりおのおの1頭ずつ計114頭のブタを対象として耐性大腸菌,とくにアンピシリン(APC),カナマイシン(KM)耐性大腸菌の耐性型と,そのR因子型を調べて次の結果を得た。
    1. ブタではAPC耐性菌17%, KM耐性菌が19%と比較的高頻度に分離された。これはヒトからの赤痢菌に比べればかなり多い。
    2. 検査数114頭中,耐性菌保有頭数はSM 96頭(84%), TC 91頭(80%), SA 68頭(60%), APC 19頭(17%), KM 23頭(19%), CM 3頭(3%)でNF耐性菌保有ブタはいなかつた。
    3. 総分離株数は214株で,その耐性型はTC・SM・SA 25%, TC・SM 24%と両者で49%を占め,その他16種の耐性型はいずれも10%以下であつた。
    4. 耐性菌214株中R因子保有は69株32%で,これを耐性型からみると,TC・SM・SAの組み合わせからなる耐性型より,これらにAPCの結合した株の方がR因子の保有率が高い傾向がうかがわれた。
  • II. マウスならびに家兎に対する病原性
    村上 正博
    1971 年 26 巻 10 号 p. 493-498
    発行日: 1971/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    敗血症および創傷化膿巣を有する患者由来コアグラーゼ(「コ」)陰性表皮ブドウ球菌で,病原性の安定していると思われる菌8株を選んで,マウスおよびウサギに対する感染実験を行なつた。
    1. 血液および病巣由来の各供試菌株は,マウスに対する致死力は認められなかつたが,皮下接種で明ちかにびまん性の膿瘍形成が観察された。
    2. マウス体重減少を示したのは1株のみで,他の表皮種接種マウスでは,接種6日目より僅かながら増加の傾向を示したが,「コ」陰性の非病原性株Aとは明らかに差が認められた。
    3. ウサギ皮内接種では発赤,硬結,脱毛などがみられたが,膿瘍は形成しなかつた。
    4. マウス腎,骨髄内の定着性は,B-141株とS-3232株が両臓器内で106以上の菌数を示し,非病原性株Aとは有意差を示した。
    5. マウス静脈内感染実験では,各臓器に膿瘍形成は認められなかつたが,病理組織学的観察により,菌の侵襲による中性好性白血球を主とした細胞浸潤像が認められ,起病力を有することが示唆された。
  • 木根淵 英雄
    1971 年 26 巻 10 号 p. 499-502
    発行日: 1971/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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