Abbott法によつて型別されている各型のcolicinの免疫血清学的な研究を行ない,下記に示す結論を得た。
1. 各型のcolicin産生菌を酵母エキス加brain heart infusion培地で培養し,その上清を免疫原として,ウサギを免疫すると,32-64 D.U.以上のcolicin活性を培地内に産生する型ではcolicin活性を中和する抗体が検出されるが,16-32 D.U.以下のcolicin活性しか示さない型(2, 3A, 7, 11型)では中和抗体が検出されなかつた。
2. 指示菌による特異性とcolicin中和反応の成績を比較すると,レセプター特異性による型別と,各抗血清による中和パターンはよく一致したが,免疫性によつてサブグループに分類されているEグループのcolicin間〔9, 12型;
Escherichia coli K12-317 (E2)〕には共通抗原が認められ,12, 10型(E部分)と
Shigella sonnei (P9 E2), 3型(X部分)とK colicin 〔1B, 5型
E. coli K235 (K)〕は中和反応によつて区別することはできなかつた。
3.
S. sonneiの産生するEグループ〔8, 9, 12, 13型,P9 (E2)〕および
E. coli K12-317 (E2)の産生(紫外線照射およびマイトマイシン-Cの誘発は用いていない)するcolicinは産生菌自身のO抗原と共通抗原をもたないことが判明した。
4. Abbott型のうち,K colicinを産生する1B, 5型に対する抗血清は
E. coli K235のK colicinに対する抗血清と中和能において差は認められないが,凝集価が低く,ゲル内沈降反応で沈降線ができないことから,1B, 5型の産生するcolicinはO抗原と共通抗原をもつといつた成績は得られず,
E. coli K235の産生するK colicinとは異なつた性状をもつことが示唆された。
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