日本細菌学雑誌
Online ISSN : 1882-4110
Print ISSN : 0021-4930
ISSN-L : 0021-4930
26 巻, 11 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 小島 良平
    1971 年 26 巻 11 号 p. 533-536
    発行日: 1971/11/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Arthrobacterの菌体から分離した脂肪酸トレハロースエステルはEhrlich腹水癌に対して弱い抗癌性を示した。
    ArthrobacterおよびNocardiaの菌体から分離した脂肪酸トレハロースエステルはマウスのSa-180固型腫瘍の発育を著明に抑制することを認めた。
  • 中村 昌弘, 佐々木 満子
    1971 年 26 巻 11 号 p. 537-542
    発行日: 1971/11/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    大阪大学微生物病研究所,東北大学抗酸菌病研究所および国立予防衛生研究所よりそれぞれヒト型結核菌H37 RvおよびH37 Ra株の分与をうけ,それらをpH 4.5小川培地に培養することによつて,この酸性培地に発育しうるか否か,すなわちas (acid-sensitive)マーカーにより強毒株H37 Rvと弱毒株H37 Raとの分別を試みて次の結果を得た。
    1. 通常の方法で保存されているH37 Rv株は例外なくpH 4.5小川培地に集落を生じas+であるのに反し,H37 Rv株はpH 4.5小川培地に集落を形成しえずas-であつた。
    2. しかし,H37 Rv株とH37 Ra株のpopulationの中には前者において約10% as-の混在があり,後者では約40%にas+の混在があつた。
    3. さらにH37 RvとH37 Raの原株から定型的asマーカーをもつ集落各1株を選びasマーカーを検討したところ,前者には約6%の割にas-,後者には約8%の割にas+の混在があった。
    4. 非定型的性格をもつH37 Rv株の集落as-とH37 Ra株の集落as+の中のpopulationをasマーカーで検討すると,前者にはなおも92%のas+の混在があり,後者ではas-は0%であつた。
    以上の結果より,ヒト型結核菌H37株はRv株,Ra株とも,その基盤はas+と判断される。しかしながら,H37の原株としての表現型はH37 Rv株はas+であり,H37 Ra株はas-である。
    asマーカーと病原性との相関関係およびas-の機作等については目下検討中である。
  • III. 各colicin型間の免疫血清学的な関係について
    石倉 康宏, 児玉 博英, 久保田 憲太郎
    1971 年 26 巻 11 号 p. 543-552
    発行日: 1971/11/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Abbott法によつて型別されている各型のcolicinの免疫血清学的な研究を行ない,下記に示す結論を得た。
    1. 各型のcolicin産生菌を酵母エキス加brain heart infusion培地で培養し,その上清を免疫原として,ウサギを免疫すると,32-64 D.U.以上のcolicin活性を培地内に産生する型ではcolicin活性を中和する抗体が検出されるが,16-32 D.U.以下のcolicin活性しか示さない型(2, 3A, 7, 11型)では中和抗体が検出されなかつた。
    2. 指示菌による特異性とcolicin中和反応の成績を比較すると,レセプター特異性による型別と,各抗血清による中和パターンはよく一致したが,免疫性によつてサブグループに分類されているEグループのcolicin間〔9, 12型;Escherichia coli K12-317 (E2)〕には共通抗原が認められ,12, 10型(E部分)とShigella sonnei (P9 E2), 3型(X部分)とK colicin 〔1B, 5型E. coli K235 (K)〕は中和反応によつて区別することはできなかつた。
    3. S. sonneiの産生するEグループ〔8, 9, 12, 13型,P9 (E2)〕およびE. coli K12-317 (E2)の産生(紫外線照射およびマイトマイシン-Cの誘発は用いていない)するcolicinは産生菌自身のO抗原と共通抗原をもたないことが判明した。
    4. Abbott型のうち,K colicinを産生する1B, 5型に対する抗血清はE. coli K235のK colicinに対する抗血清と中和能において差は認められないが,凝集価が低く,ゲル内沈降反応で沈降線ができないことから,1B, 5型の産生するcolicinはO抗原と共通抗原をもつといつた成績は得られず,E. coli K235の産生するK colicinとは異なつた性状をもつことが示唆された。
  • 長田 恭明, 中條 正行, 小河 秀正
    1971 年 26 巻 11 号 p. 553-562
    発行日: 1971/11/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    上向性腎盂腎炎の実験モデルを作成することを目的として,E. coliのモルモット膀胱内接種による感染成立の基礎条件と臨床分離株を含めた数菌株の尿路感染能を検討した。基礎条件の設定には,主として細胞内侵入・増殖性のあるいわゆる赤痢型病原大腸菌,E. coli O143を用いた。その結果,感染成立の基礎条件として,1)動物はモルモットの雌を用いる。2)モルモットは感染48時間前から24時間後まで4日間絶水させ,排尿を制限する。3)感染増強をはかるために,酢酸コーチゾンを5mg 1日1回,感染24時間前から48時間後まで連続4日間皮下投与する。4)膀胱内接種菌液は,6%ムチン等量混和液とし,菌数は1010/ml以上とした。この条件下で種々のE. coli株の感染能を比較したところ,細胞内侵入・増殖性のある赤痢型病原大腸菌のみが著しい膀胱炎,尿管炎,腎盂炎をおこし,螢光抗体法で各部位の上皮細胞内に菌の侵入が確かめられた。患者尿からの新鮮分離株や,保存中に細胞内感染性を失つた赤痢型病原大腸菌の変異株は,腎および膀胱から菌の分離はできても,モルモット尿路系には肉眼的および組織学的変化をおこさなかつた。
  • 1971 年 26 巻 11 号 p. 563-605
    発行日: 1971/11/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
feedback
Top