1, 3-O, O-di [1-
12C] acetyl Chloramphenicolと1, 3-O, O-di [1-
14C] acetyl Chloramphenicolを質量分析した結果,前者はm/e 195, 212, 214, 216にマスピークを示し,後者はそれぞれがm/e 2だけ高質量部に移動し,m/e 197, 214, 216, 218にピークを示した。したがつて,diacetylated Chloramphenicolの質量分析ではC-1とC-2間の結合の開裂が認められ,m/e 195, 197はC-1を含むフラグメントに帰属し,m/e 212, 214, 216, 218はC-3を含むフラグメントに帰属することがわかつた。この方法を利用してdiacetylated ChloramphenicolのC-1とC-3に結合しているアセトキシ基を判別した。
Chloramphenicol acetyltransferaseによつてアセチル化をうけるChloramphenicolの部位を調べるために,[1-
14C] acetyl CoAを使用して3-O-[1-
12C] acetyl Chloramphenicolへ[1-
14C] acetyl基を導入した。得られた化合物のマスピークはm/e 195, 212, 214, 216, 218に検出され,特にm/e 214の強度比は増大していた。m/e 197のピークは見られなかつた。それゆえ,ChloramphenicolのC-1には[1-
12C] acetyl基が,C-3には[1-
14C] acetyl基または[1-
12C] acetyl基が結合していることが判明した。
これらの結果と反応速度論的解析から,Chloramphenicol acetyltransferaseによるChloramphenicolのmono-とdiacetylationは,ともにChloralnphenicolのC-3に結合している水酸基において起きるものと考えられる。なお,モノアセチル体に[1-
14C] acetyl基が存在することは[1-
12C] acetyl基と[1-
14C] acetyl基の相互変換を示唆するものである。
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