196頭のブタの抗酸菌症から分離した75株は
Mycobacterium avium-intracellulare-complex (MAI-complex)と同定された。それぞれ分離菌株は菌体から抽出したpeptidoglycolipid (PGL)の薄層クロマトグラフィー(TLC)とSchaeferの方法による血清凝集反応により分類したところ,MAI-complexの32株は血清型8型,15株が血清型9型,3株が血清型11型,2株が血清型4型でTLC型と一致し,5株は一致しなかつた。血清凝集反応で型別出来なかつた18株の中で14株はTLCのPGLパターンで分類可能であつた。MAI-complex標準菌株の血清型1から20の各血清型特異的peptidoglycolipidの糖および脂肪酸組成はガスクロマトグラフィー(GC)およびガスクロマトグラフィー・マススペクトロメトリー(GC/MS)により決定された。各血清型のほとんどのPGLに共通する糖の種類として3, 4-di-O-methylrhamnoseおよび6-deoxytaloseが,また特定の血清型PGLに含まれる糖として2-O-methylrhamnose, 4-O-methylrhamnose, 3-O-methylrhamnose, 2-O-methylfucoseがそれぞれGC/MSにより推定された。一方,
Mycobacteriumに特徴的な脂肪酸としては炭素数のきわめて長いC
30およびC
32よりなるモノエン長鎖脂肪酸が含まれ,このなかには多メチル分枝脂肪酸,ヒドロキシ脂肪酸も少量ながら含まれていることがGCおよびGC/MSによる分析で明らかとなつた。
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