Lactobacillus casei subsp.
casei LAC3株と
L. acidophilus LAC5株についてphosphoenolpyruvate: hexose phosphotransferase system (hexose-PTS)の基質域を検討した。LAC3株ではglucose (Glc), mannose (Man), glucosamine (GcN), 2-deoxyglucose (2DG)およびfructose (Fru)に対する活性,LAC5株ではManおよびFruに対する活性が証明され,これらはすべて構成性(constitutive)であった。LAC3およびLAC5株の増殖は2DGにより強く阻害され,それぞれから,2DG耐性変異株DG329およびDG504株を分離した。Glcを炭素源として培養したDG329株では上記LAC3株の活性がすべて欠損していたが,DG504株のPTS活性はLAC5株と同様であった。DG329株では,別に,ManおよびFruを基質とする誘導性のPTS活性が認められ,ともにMan, Fruおよびsucroseにより誘導された。LAC3株はGcNを炭素源として増殖し,この増殖はDG329株では著明に障害された。LAC5株はGcNに増殖しなかった。以上の成績から,LAC3株は従来知られている広基質域・構成性Man-PTSの外,ManおよびFruを基質とする1つ,または2つの誘導性PTSを持ち,他方,LAC5株は上記Man-PTSを持たず,代わって,ManおよびFruを基質とする1つ,または2つの構成性PTSを持つことが強く示唆された。
このほか,
L. fermentum LAC12株では,既報(Microbiol. Immunol. 36, 533-538, 1992)のように構成性Man-PTSは存在したが,LAC3株に見られるような誘導性PTS活性は見いだされなかった。
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