日本細菌学雑誌
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54 巻, 4 号
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  • 松下 治
    1999 年 54 巻 4 号 p. 753-761
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    二種のガス壊疸起因菌Clostridium perfringens, C. histolyticumから計三種類のコラゲナーゼを精製した。それらの構造遺伝子を解析したところ,予想一次配列にセグメント構造(S1, S2, S3)が認められた。N末端側のS1には金属プロテアーゼに共通なモチーフ(HEXXH)が存在していた。C末端側のS2, S3には重複が認められ,酵素により重複パターンが異なっていた。C. histolyticumの酵素の一つColHを用いて構造活性相関の解析を試みた。N末端側のS1のみからなる組換え酵素が水解活性を示したので,S1は触媒ドメインを形成すると考えられた。単離C末端領域が不溶性コラーゲンに結合することから,この領域はコラーゲン結合ドメイン(CBD)を形成すると考えられた。CBDを用いて細胞成長因子をコラーゲンにアンカーリングし,局所で長時間作用させることができた。CBDの構造が新しい薬物送達システム(drug delivery system, DDS)の開発に応用できる可能性が示された。
  • 三好 伸一
    1999 年 54 巻 4 号 p. 763-772
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ヒトにおいて,敗血症あるいは創傷感染症の原因菌となっているVibrio vulnificusは,プロテアーゼ(V. vulnificus protease: VVP)を分泌している。本研究では,まずVVPの生化学的性状について検討した。そして,この酵素が亜鉛イオンを補因子とする金属プロテアーゼであること,また,亜鉛イオンの結合様式や酵素作用の基質特異性などからサーモリシンファミリーに属することを明らかにした。次に,in vitroならびにin vivoにおいて,VVPの病原因子としての作用を検討した。その結果,VVPによって種々の生体内蛋白質が活性化もしくは不活性化されること,そして生体の恒常性維持に必須であるプロテアーゼとその阻害因子の平衡状態が打ち破られ,生体が病的状態に陥ることが示された。しかしながら,血漿中に存在するα-マクログロブリンによって,VVPは速やかに不活性化された。
  • 小出 幸夫, 永田 年, 内嶋 雅人, 吉田 篤司, 青枝 大貴
    1999 年 54 巻 4 号 p. 773-793
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    DNAワクチンは液性免疫のみならず,これまで生ワクチンが必須であった細胞性免疫をも強力に誘導できることから注目を浴びている。DNAワクチンによる感作の機序が明らかになりつつあり,抗原提示細胞(樹状細胞)やプラスミド自身が持つCpGモチーフが免疫応答に重要な役割を果たすことが示された。また,接種法としては,遺伝子銃法が筋注法に比して免役効率,再現性ともに優れていることが判明した。細菌に対するDNAワクチンの作製にあたっては,特にコドンを哺乳類のものに適合させ,翻訳効率を高める必要がある。細菌の中でも細胞内寄生菌感染の防御には細胞性免疫が必要であるため,DNAワクチンの重要な研究対象となる。事実,結核に対するDNAワクチンの研究報告は極めて多い。しかし,細胞内寄生菌に対して有効な細胞性免疫は,病原体により異なり,CTLを必要とするものと1型ヘルパーT細胞を必要とするものに分かれる。我々は細胞内寄生菌のモデルとして,両方の細胞性免疫が感染防御に関与すると考えられるリステリアを用い,CTL誘導型およびヘルパーT細胞誘導型DNAワクチンを作製することに成功した。
  • 大村 智
    1999 年 54 巻 4 号 p. 795-813
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    サルファ剤やペニシリンの導入以来,化学療法は絶えることなく耐性菌問題を引きずって,今日に至っている。最近では,薬剤耐性結核菌やバンコマイシン耐性腸球菌などの出現が社会問題となりつつある。また,過去20年間で新たな感染症は30種類以上とも報告されているが,治療法もいまだに確立されていないものも多く,化学療法剤の前途は厳しいと言わざるを得ない。一方,最近では個々の病原性遺伝子の役割がより詳細に知られるようになり,付着,侵入などの病原性に関わる遺伝子も薬剤の標的として考えられる。従って,従来の化学療法剤のように抗菌,静菌作用を有するものに加え,今後はbacterial adaptation/survivalまたは病原性をコントロールできる薬剤や宿主の免疫力を高める薬剤等を含め“抗感染症薬(antiinfective drugs)”と表現される,より拡大された概念をもった薬剤の開発が期待される。本稿では“抗感染症薬”という新しい概念の下で研究される(1)新規な標的を有する化学療法剤,(2)細菌毒素の毒性軽減物質,(3)毒素分泌機構に作用する薬剤,(4)病原細菌の感染機序から発想された標的,(5)宿主の感染防御機構に学ぶ抗感染症薬の開発を取り上げ,その可能性を論じる。
  • 多村 憲
    1999 年 54 巻 4 号 p. 815-832
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    恙虫病病原体はリケッチアの一種で,これまでRickettsia tsutsugamushiと呼ばれてきた。しかし我々は本菌が他のリケッチア属のものとは種々の点で性状を異にすることを見出し,これを新属に分類し,Orientia tsutsugamushi (Ot)と改名することを提唱した。本稿では,Otの形態と構造やその他の性状に基づいて新属に分類するにいたった理由を解説し,さらにOtの分離培養上の新知見,細胞内増殖機構,各種血清型の存在と型特異的抗原の同定及びその構造解析,各血清型間の類縁関係と分類,本邦に分布するOtと国外で分離されるOtとの異同,ベクター体内でのOtの分布と垂直伝播機構,媒介ツツガムシ種とOtの血清型との関係,マウスに対する病原性,などについて,主に最近の知見を中心に我々のこれまでの研究成果を解説した。
  • シクロデキストリン誘導体を用いた百日咳菌培養法の技術革新とその応用
    鈴木 洋二
    1999 年 54 巻 4 号 p. 833-839
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 54 巻 4 号 p. 853-854
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 54 巻 4 号 p. 855-857
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 54 巻 4 号 p. 858-860
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 54 巻 4 号 p. 861-862
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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