日本細菌学雑誌
Online ISSN : 1882-4110
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62 巻 , 3 号
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平成19年小林六造記念賞受賞論文
  • 戸邉 亨
    2007 年 62 巻 3 号 p. 337-346
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    病原性の発現は, 多くの場合菌の増殖環境により大きく変化する。病原性大腸菌や赤痢菌の病原性遺伝子の発現も環境因子の変化に応答して調節されている。病原性遺伝子は, 水平伝播により獲得された外来性遺伝子であるが, 環境応答の制御システムは非病原性大腸菌にも共通の基本骨格ゲノムにある環境応答システムに組み込まれていることが明らかとなった。環境因子の変化は, 二成分制御系やストレスなどに応答するグローバル制御系を介して感知され病原性調節遺伝子を通じて病原性遺伝子発現を調節していた。これらに加え, 温度による発現制御では, H-NSなどにより構成される核様体構造を基盤とし, 温度によるDNAの局所的な構造変化を感知し病原性調節遺伝子の転写を直接調節していた。すなわち, 散在する外来性の病原性遺伝子群は, 環境応答調節を受ける病原性調節遺伝子を介して協調的に発現調節されていること, 及び病原性発現調節システムは内在性の調節システムを利用し巧妙に構築されていることが明らかとなった。
  • 宮田 真人
    2007 年 62 巻 3 号 p. 347-361
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    ヒト異型肺炎の主な原因であるマイコプラズマ (Mycoplasma pneumoniae) は, 動物細胞や固形物の表面にはりつき滑るように動く “滑走運動” を行う。その運動は, 動きが顕微鏡下で一目でわかるほどに速いものである。マイコプラズマが宿主に寄生することに滑走運動は必須であるが, これまでにそのメカニズムが調べられたことはなかった。筆者らはもっとも観察の容易なMycoplasma mobile の滑走装置とタンパク質を発見し, 構造と, そこで起こっている反応を調べた。それらの結果から滑走運動メカニズムを説明するモデルを提案した。さらにその知見をもとに, Mycoplasma pneumoniae の滑走メカニズムの研究も進めている。マイコプラズマの滑走運動が, これまでに研究されたどんな生体運動とも本質的に異なっていることが明らかになった。
総説
  • 柴田 健一郎
    2007 年 62 巻 3 号 p. 363-374
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    微生物の有するリポタンパク質 (LP) がグラム陰性菌のリポ多糖体 (LPS) と同様な種々の免疫生物学的活性を有し, その活性部位はN-末端リポペプチド (LPT) 部分であることは古くから知られていたが, Toll-like receptor (TLR) が発見されるまでその受容体は明らかにされていなかった。TLR発見以来, LPならびにLPSの認識機構が研究され, それぞれの認識にTLR2ならびにTLR4が重要な役割を果たしていることが明らかにされた。また, LPの有する新たな免疫生物学的活性ならびにLPによるマクロファージ, 樹状細胞等の活性化のメカニズムも分子レベルで明らかにされている。さらに, MHC分子に結合する抗原ペプチドをLPT化することにより, 免疫原性が顕著に増加することも明らかにされ, 新規ワクチンとしての研究もなされている。本稿では, 微生物由来LP・LPTの生物活性ならびに自然免疫系による認識機構について最近の知見をもとに概説している。
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