日本細菌学雑誌
Online ISSN : 1882-4110
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68 巻 , 4 号
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平成25年黒屋奨学賞受賞論文
  • 木田 豊
    2013 年 68 巻 4 号 p. 313-323
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/26
    ジャーナル フリー
    緑膿菌によって産生される主な病原性因子には,宿主組織を傷害するアルカリプロテアーゼやエラスターゼなどの分泌型プロテアーゼが挙げられる。また,緑膿菌のゲノム解析は,病原性因子候補である幾つかの機能未知プロテアーゼの存在を示唆している。本研究では,緑膿菌由来の未知のプロテアーゼが,プロテアーゼ活性化受容体(PARs)を介して宿主免疫応答を修飾する可能性に着目し,緑膿菌の培養上清から精製された新規のプロテアーゼLepAによるPARsを介した炎症応答の誘導能について検討した。LepAは,V型分泌装置(type V secretion system; T5SS)のtwo-partner secretion(TPS)による分泌蛋白質に特徴的なTPSモチーフを有し,PAR-1, -2, -4を介してNF-kBを活性化することを見出した。一方,生体内における細菌由来プロテアーゼは,組織傷害による菌の拡散を促すだけでなく,栄養源を獲得するために宿主由来の蛋白質やペプチドの分解に関与すると考えられる。そこで,生体内でのLepAの役割を解析するために,急性全身感染マウスモデルを用いて緑膿菌野生型株とlepA破壊株の毒力と増殖能を比較した。LepAは,生体内での緑膿菌の毒力と増殖に寄与することが明らかになった。
総説
  • 平川 秀忠, 富田 治芳
    2013 年 68 巻 4 号 p. 325-335
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/26
    ジャーナル フリー
    細菌はオートインデューサーと呼ばれるシグナル分子を産生することで,菌密度に依存して様々な遺伝子の発現を制御することが知られている。この生理現象は,クオラムセンシングと呼ばれており,多くの常在菌や病原性細菌において発見されている。オートインデューサーの中でも,アシルホモセリンラクトン(AHL)型がヒト病原性細菌の緑膿菌を筆頭に最も研究が進められている。AHL型オートインデューサーは,ホモセリンラクトン骨格に直鎖型の脂肪酸側鎖が結合したものである。シグナルの特異性やバリエーションは側鎖となる直鎖脂肪酸の種類によって決定されるが,その種類は30種類程度と,AHL産生菌の総数に比べて圧倒的に少ない。しかしながら,近年,側鎖が直鎖脂肪酸ではない新しいタイプのAHL分子が相次いで報告された。これは,AHL産生菌の多様性を説明することができると同時に,クオラムセンシング研究を拡張する革新的な発見である。本稿では,この新規AHLサブタイプとそのユニークな特性について紹介する。
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