日本細菌学雑誌
Online ISSN : 1882-4110
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70 巻 , 3 号
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平成27年浅川賞受賞論文
  • 赤池 孝章
    2015 年 70 巻 3 号 p. 339-349
    発行日: 2015/08/26
    公開日: 2015/08/26
    ジャーナル フリー
    一酸化窒素(nitric oxide, NO)や活性酸素種(reactive oxygen species, ROS)は, 非特異的感染防御機構において重要な役割を演じている。細菌, ウイルス, 真菌といった病原体の種類の如何に関わらず, 感染病態においては, 誘導型NO合成酵素(inducible NO synthase, iNOS)が誘導される。iNOSは, 病原体の持つ様々な菌体由来成分が, 対応する病原体分子パターン認識受容体群(pattern recognition receptors)であるToll-like receptorによって認識されることによって誘導され, さらに感染に伴って産生される炎症性サイトカインやインターフェロンなどによって相乗的に誘導が増強される。iNOS誘導に伴って過剰に産生されたNOは, 感染局所のROSと反応し, パーオキシナイトライトなどの化学反応性に富んだ活性酸化窒素種となり, 特に細菌感染において, 強力な抗菌活性を発揮し, マクロファージ等の貪食細胞による自然免疫と感染防御機能に重要な役割を演じている。その反面, NOやROSは, 宿主の細胞・組織を損傷し酸化ストレスをもたらす。一方近年, NOとROSが生体の酸化ストレス応答の生理的なレドックスメディエーターとして機能していることが明らかになってきた。NOとROSによるレドックスシグナル制御は多岐にわたっており, 感染防御機構と感染・炎症が関わる病態を理解する上で重要な課題であるだけでなく, 感染症の新たな予防・治療戦略の構築に大きく貢献するであろう。

総説
  • 南野 徹
    2015 年 70 巻 3 号 p. 351-364
    発行日: 2015/08/26
    公開日: 2015/08/26
    ジャーナル フリー
    多くの細菌は, べん毛と呼ばれる細胞外へ長く伸びる繊維状の運動器官を持っている。べん毛が細胞表層に構築される際には, べん毛基部に存在する独自の蛋白質輸送装置が細胞内で合成されたべん毛蛋白質をべん毛先端へと輸送する。輸送装置は6種類の膜蛋白質からなる輸送ゲート複合体と3種類の可溶性蛋白質からなるATPaseリング複合体から構成される。これらの他に, 輸送シャペロンが自身の輸送基質蛋白質に特異的に結合し, 効率よく輸送ゲート複合体のドッキングプラットフォームへリクルートする。輸送装置はATPと細胞膜を横切るプロトン駆動力を動力源に利用してべん毛蛋白質を輸送する。その際, 輸送装置はフック先端で起こるフック構築過程をモニターし, 配送すべき輸送基質蛋白質を選別する。本総説では, Salmonella enterica serovar Typhimuriumのべん毛輸送装置の機能と構造について, 最新の研究成果を交えながら詳しく解説する。

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