日本細菌学雑誌
Online ISSN : 1882-4110
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75 巻, 4 号
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2019年黒屋奨学賞受賞論文
  • 松田 重輝
    2020 年 75 巻 4 号 p. 215-225
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/27
    ジャーナル フリー

    腸炎ビブリオは1950年に我が国において発見された,細菌性食中毒の代表的な原因細菌である。本菌食中毒は長年にわたり我が国における細菌性食中毒の発生原因の上位を占めるのみならず,近年は広く世界的な流行をみせている。腸炎ビブリオの主要な病原因子として従来より知られる外毒素である耐熱性溶血毒に加え,現在は2種類の3型分泌装置およびそれらより輸送されるエフェクター群の重要性に対する認識が高まっている。外毒素およびエフェクターは標的細胞に直接作用し,宿主細胞機能を傷害・撹乱することで,感染の成立そして病態形成に至るまでの細菌の病原性に重要な役割を果たしていると考えられている。我々はこれまで腸炎ビブリオの病原性発現機構の理解に向けて本菌が産生する外毒素・エフェクターの作用機構の研究を行ってきたが,これら病原因子の一部はその生理活性として宿主細胞を傷害する細胞毒性を有している。本稿では腸炎ビブリオの外毒素・エフェクターの中でも,このような細胞毒性を示す因子を取り上げ,その作用様式について我々の解析結果を中心にした最近の知見を紹介する。

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