(一)、腹腔内二注射シタル石松子ハ腸間膜淋巴腺ニ移行セズ。サレド該淋巴腺ハ此際惹起セラル、腹膜炎ニ随伴シテ反應性變化ヲ呈ス。
(二)、此種ノ變化ハ腸間膜腹膜、腸漿膜面等ニ於ケル石松子ノ刺戟現象ニ績發スルモノナラン。蓋シ是等ノ部分ハ腸間膜淋巴腺ニ流入スル淋巴流ノ上流ニ當レルヲ以テ是等ノ部分ニ起ル變化ハ直チニ以テ該淋巴腺ニ影響ヲ與フルコト甚ダ明白ナリ。
(三)、淋巴腺ノ反應性變化ハ主トシテ淋巴竇ノ炎症ノ形ニ於テ現ハル。而シテ邊縁竇及之ニ績ク中間竇ニ早ク初マリ次デ髄質部ニ及ブ。之レ起炎物質ガ前記淋巴流ノ上流ニ於ケル病竈ヨリ淋巴腺ニ運搬セラル丶コトニ一致ス。
(四)、炎性刺戟強激ナル時ハ淋巴腺實質ノ破壊、組織球並ニ巨大貧喰細胞ノ旺盛ナル出現或ハ廣汎ナル出血ヲ認ム。單ナル石松子ノ腹腔内注射ガ斯ノ如キ著明ナル變化ヲ淋巴腺ニ惹起スルハ注目ニ値ス。
(五)、上述ノ如キ急性炎症性變化ハ比較的短時日ノ間ニ消失スルモ組織球ノ出現ハ比較的長ク認メラル。之レ腹腔漿膜面ニ於ケル石松子ノ吸收ト淋巴腺トガ一定ノ關係アリテ該細胞ガ之ニ關與スルモノト思惟セラル。
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