育種学研究
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18 巻, 3 号
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原著論文
  • 松本 憲悟, 佐藤 宏之, 太田 千尋, 瀬田 聡美, 山川 智大, 鈴木 啓史, 中山 幸則
    原稿種別: 原著論文
    2016 年 18 巻 3 号 p. 103-111
    発行日: 2016/09/01
    公開日: 2016/09/15
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    イネごま葉枯病(以下,ごま葉枯病)は,日本の稲作において3番目に発生面積が大きい病害であるが,抵抗性育種研究が進んでいない.そこで,本研究において抵抗性育種研究の基礎となるごま葉枯病圃場抵抗性検定法を開発した.検定圃場には,感染圧を高めるためにあらかじめごま葉枯病を発病させた罹病性水稲品種「みえのゆめ」を感染源として均一(条間30 cm,株間30 cm)に配置した.また,過去の研究に基づき,高い分生胞子形成能を持つ進展性病斑を「病斑の中心部分が灰白色に抜けている,あるいは,病斑の幅がイネ葉身の一次支脈幅を越えている病斑」と新たに定義付けした.ごま葉枯病に罹病したイネ葉身の病斑面積率を目的変数,総病斑数および進展性病斑数率を説明変数とした重回帰分析の結果,病斑面積率に対して総病斑数よりも進展性病斑数率の方が寄与していた.病斑面積率と進展性病斑数率の関係を解析し,進展性病斑数率に基づく病斑型と病斑面積率により10段階(0–9)に区分した新たな「ごま葉枯病発病程度調査基準」を作成した.この基準を用いて,ごま葉枯病抵抗性品種「Tadukan」と罹病性品種「ヒノヒカリ」の交配由来組換え自殖系統群の発病程度調査を穂ばらみ期以降に4回行った結果,系統群の発病程度頻度分布は移植後113日に最も正規分布型を示した.複数年次で同じ供試材料の発病程度調査を行ったところ同様の評価結果となったことから,検定圃場設置法および発病程度調査法から構成される本検定法の精度が実証された.また,本検定法を用いて熟期別の圃場抵抗性基準品種を選定した.

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