育種学研究
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原著論文
  • 岡本 和之, 川又 快, 青木 法明, 田中 淳一, 梅本 貴之
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 22 巻 2 号 p. 139-148
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2020/12/17
    [早期公開] 公開日: 2020/11/18
    ジャーナル フリー HTML
    電子付録

    酒米の重要な特性である蒸米の酵素消化性は,澱粉の糊化温度が低い米において優れる.著者らは,代表的な酒造好適米を含む41品種・系統から,澱粉の糊化温度の指標となる粘度上昇開始温度が低い「秋田酒44号」を見出した.この系統のアミロペクチンの側鎖長分布を解析したところ,「あきたこまち」や「五百万石」等と比べ,重合度6から12の短鎖の比率が高く,重合度13から24の中鎖の比率が低かった.また,同系統は胚乳における澱粉代謝系酵素のひとつ,澱粉ホスホリラーゼ1の活性を欠損していた.一方,「秋田酒44号」とその系譜上にある品種・系統について,澱粉ホスホリラーゼ1の活性を調査したところ,活性の欠損は「秋田酒44号」以外には認められなかった.「秋田酒44号」は「58系3071」へのγ線照射によって育成されていることから,澱粉ホスホリラーゼ1活性欠損の原因は,このγ線照射による変異が原因と推定された.さらに,「秋田酒44号」の澱粉ホスホリラーゼ1遺伝子の塩基配列を決定し,同酵素活性を保持する「日本晴」の配列と比較したところ,第12エクソンにアミノ酸置換を伴う一塩基置換があることを確認した.この変異が「秋田酒44号」の澱粉ホスホリラーゼ1活性の欠損,ひいては澱粉糊化時の粘度上昇開始温度が低い原因であると考えられた.

  • 石森 裕貴, 佐伯 研一, 遠藤 貴司, 中込 佑介, 佐藤 浩子, 溝淵 律子, 田口 文緒, 福岡 修一, 山内 歌子, 安藤 露, 水 ...
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 22 巻 2 号 p. 149-158
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2020/12/17
    [早期公開] 公開日: 2020/11/18
    ジャーナル フリー HTML

    高温登熟耐性に優れる中生の水稲系統「東北206号」の出穂期を5~10日晩生化させるため,「東北206号」を反復親,「コシヒカリ」を供与親とした連続戻し交配により,出穂期関連遺伝子座(Hd1, Hd16, Hd18)を組み合わせて「コシヒカリ」型に置換した準同質遺伝子系統群(NILs)を育成し,宮城県におけるHd1Hd16Hd18の出穂期改変効果について検証した.Hd1座を「コシヒカリ」型に置換したNILの出穂期は,「東北206号」の出穂期よりも29日遅くなり,Hd16座,Hd18座をそれぞれ単独で「コシヒカリ」型に置換したNILの出穂期は,ともに3日早くなった.当初,出穂期を5日程度遅らせると予測したHd1座とHd16座をともに「コシヒカリ」型に置換したNILの出穂期は,「東北206号」より15日遅くなった.Hd1座,Hd16座,Hd18座を全て「コシヒカリ」型に置換したNILの出穂期は10日遅くなり,育種目標に合致した.予測した出穂期と実際の出穂期との違いは,「コシヒカリ」のHd1Hd16Hd18と,「東北206号」が保有するそれ以外の遺伝子の相互作用,あるいは温度や日長等の環境要因が原因と推察された.Hd1座,Hd16座,Hd18座を全て「コシヒカリ」型に置換したNILの中から,農業形質に優れる「東北229号」を選抜した.「東北229号」の出穂期は,「コシヒカリ」より9~10日遅く,高温登熟耐性に優れていた.本研究により,Hd1座,Hd16座,Hd18座を「コシヒカリ」型に置換することにより,行政ニーズに対応した高温登熟による玄米品質の低下を避けられる晩生の有望系統を短期間で育成することができた.

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