育種学研究
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8 巻, 1 号
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原著
  • 和田 卓也, 浜地 勇次, 尾形 武文
    2006 年 8 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/09
    ジャーナル フリー
    1998年と1999年に福岡県の奨励品種および育成系統など計19品種を供試して,玄米で1年間室温貯蔵させた米の食味低下の品種間差および食味低下を評価するための指標形質について検討した.新米および貯蔵米の食味総合値を説明変数としたクラスター分析により,新米の食味の差が小さいにもかかわらず,貯蔵後の食味低下がコシヒカリと同程度に小さい品種群とコシヒカリよりも大きい品種群が認められた.食味の低下の大きな品種群においては,粘りと味の低下が顕著であった.新米,貯蔵米各々の食味に関連する理化学的特性のうち,テクスチャー特性値のH/A3とH/-Hはいずれの品種においても貯蔵後に増加していた.貯蔵米の食味に差のある群間でテクスチャー特性値を比較すると,新米時には差がなかったが,貯蔵後には食味低下の大きい品種群の方が大きく,貯蔵後の食味低下の大きい品種は貯蔵によるこれらテクスチャー特性値の増加も大きいことが認められた.このことから,テクスチャー特性値は食味低下の小さい品種を選抜するための指標形質として有効であると考えられた.また,両群の穂発芽程度に有意差が認められ,穂発芽性の難易と貯蔵による食味低下との関連性が示唆された.
  • 齊藤 美香, 石川 吾郎, 米丸 淳一, 中村 俊樹
    2006 年 8 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/09
    ジャーナル フリー
    パンコムギ品種「関東107号」におけるWx-B1遺伝子の変異は,麺用コムギに適する「やや低アミロース」形質の要因であり,育種における重要な選抜指標となっている.その変異の原因がコード領域全体の欠失であることは既に報告されているが,そのゲノム上での欠失点はまだ明らかにされていない.そこで,本研究では,コムギEST情報,オオムギおよびヒトツブコムギの waxy遺伝子を含むBACクローン塩基配列情報,さらにはイネゲノム情報を利用してマーカーを作製することにより,1) Wx-B1遺伝子下流の欠失点は,終止コドンから3.3 kbから6 kbの間に存在すること,2)同欠失により, Wx-B1遺伝子の下流に存在する機能未知の遺伝子も同時に欠失していることを明らかにした.
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