育種学研究
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早期公開論文
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  • 西村 努, 森 正彦, 鎌田 貴大, 中根 わかな, 小嶺 壱慶, 大西 一光, 乕田 淳史, 神野 裕信, 三浦 秀穂
    論文ID: 19J05
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究ではコムギの穂発芽性“極難”に関わる遺伝的要因を解明することを目的に,“極難”系統の「北系1802」と「きたほなみ」の交雑による分離集団を北海道内の地域と年次の異なる6環境下で栽培し,穂発芽耐性と種子休眠性に対するQTLの探索を行った.穂発芽耐性は晩刈りした切り穂を用いた人工降雨処理後の穂発芽指数にて,種子休眠性は同じく晩刈りした種子を用いた15℃での発芽率にて評価した.穂発芽耐性では4個のQTLが検出された.そのうち2D染色体長腕のQTL(以下QPhs-2D)の効果は,6環境条件全てで安定して認められた.種子休眠性遺伝子MFT-3Aの穂発芽耐性に対する効果は3環境で認められ,加えて1A染色体と7B染色体にもそれぞれ1環境でQTLの効果が認められた.これらQTLはいずれも「北系1802」アレルが耐性を高めていた.一方,15℃での発芽率で示される種子休眠性は栽培環境全てでMFT-3Aにのみ明確な効果が認められ,「北系1802」アレルが種子休眠性を維持する方向に作用していた.穂発芽耐性QTL,QPhs-2Dはいずれの条件でも種子休眠性に対しては明らかな効果を示さなかった.これらの結果から,「北系1802」の穂発芽性“極難”には穂発芽耐性と種子休眠性が複合的に影響し,穂発芽耐性には種子休眠性以外の要因に関与するQPhs-2Dが,種子休眠性にはMFT-3Aが大きく貢献していることが明らかになった.

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