著者等は,前報(近藤・水島,(1964)で,インド品種,SurjamkhiがC-遺伝子座を重複してもち,C
B1およびC
E2の2優性遺伝子を両座にもつことを示唆した。しかも,それらは異った染色体に位置を占めるものと思われた。本報告では,Surjamkhi(C
B1C
B2AP)×農林1号(C
BA
aP)のF
3,および,F
5と分析品種とを交雑した実験結果から,前報に対する傍証をあたえる。〓先無色のF
3の5系統から各1個体を無作為に抽出し,2分析品種を用いて検定交雑を行ない,F
1の表現型,および,F
2分離の型から,供試のF
3植物のすべてが優性のPを欠き,更に,それらのうちの2個体は優性のAを欠くことを明らかにした。それらの遺伝子型はC
B2AP
-およびC
B2A
-P
-である。ここで,P
-およびA
-の記号は,Surjamkhiおよび農林1号から与えられた優性のPおよびA遺伝子を欠くことを示す。また,検定交雑されたF
5の5個体は,C
BC
B1およびAP,C
BA
aP,またはC
BAPのいずれかであった。優性遺伝子,PおよびAの欠失する機構については別に検討するが,F
3植物にC
B2をもつ系統が発見され,また,F
5配偶子にC
BC
B1APなる遺伝子型のものが発見され,SurjamkhiがC座を重複してもつことの明白な証拠と考えられた。F
2 Surjamkhi×農林1号ではC
B2APの表現型を呈する個体が発見されなかったが(水島・近藤,1959),これについては,C
B1およびC
Bを欠き,C
B2のみをもつF
3個体のすべてがP遺伝子を欠いていたことから,Pを欠くことによりC
B2の表現があらわれなかったものと推論した。
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