育種学雑誌
Online ISSN : 2185-291X
Print ISSN : 0536-3683
ISSN-L : 0536-3683
15 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 山田 豊一, 安達 篤
    1965 年15 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 1965/03/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1・夏枯れが少なく多収の暖地向赤クローバの育種を目的とし,基礎集団とし畜試在来,北海道在来4襟,外国種3群を蒐集した。2.これらを隔離下で不良株淘汰を行なって後,収量ならび生存率の検定を行った。収量については集団間に大差なく,僅かに畜試在来がすぐれた。生存率については越冬率は比較的高く集団差異はほとんど認められなかったが,越夏率は全体に低く,かつ,集団間に著しい差があり,とくに畜試在来が勝つだ。3・この結果から目的を達成するためには,畜試在来のもつ高い越夏性を保ちながら,これと組合せ能力の高い相手集団を見出さなけれぱならないと考え,北海道在来2集団,外国3集団を相手とする単集団間交配,ならびにこれら集団を相手とする多集団間交配を行った。4.これら6組合せの組合せ能力を推定するために後代検定を行った結果,畜試在来X北海道農試在来,および畜試在来×5集団の2組合せが多収で強いヘテロシスを示し,かつ越夏率も商いことがわかった。5.この2組合せを種子増植し,地方適応性検定試験に供したところ,多くの所ですぐれた成績を示し,ほぼ所期の目的を達した。それぞれ農研1号,2号と仮名し原種生産に移している。
  • 浦野 啓司, 坂口 進, 荒井 重美
    1965 年15 巻1 号 p. 7-12
    発行日: 1965/03/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    It had been shown by URANO in antigen-antibody reaction that variation of quantitative precipitation take place between inbred lines of corn. On this question URANO indicated that if the fact that higher heterosis is ususlly obtained between the inbred. parents of a more remote relationship is recoguized, it may be possible to diagnose the extent of heterosis in F1 represented by its grain yield with determining quantitatively precipitation by chemical analysis instead of the crossing test. According to the previous investigation we could determine the relationships between corn inbreds immunologicaly, but it was not clear which fractions are concerned with the precipitin reactions. If we try antigenic factor analysis, it may be desired to obtain higher titer antigen. Adjuvant method has been applied to medical investigation. We tried to clarify whether Adjuvant method is effective or not in phyto-immunological studies. Two inbred lines of corn 189, 191 and F1, B2, B3, B5, backcross hybrids from the 189×191, and two' inbred lines of corn 378, 414 and F1 B2, B3, B5, backcross hybrid from the 378X414 were used in the studies.
  • 細川 定治, 斎藤 健一
    1965 年15 巻1 号 p. 13-17
    発行日: 1965/03/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    てん菜の褐斑病低抗性を遺伝子型によって直接支配される固有抵抗性,異った環境条件における生理的または形態的反応による環境反応低抗性および両者の相互作用による低抗性とに分割した。またてん菜褐班病菌の病原力を該病菌の病原力に関与する遺伝子型によって直接支配される固有病原力,寄主環境を異にした場合に発見される環境反応病原力および両者の相互作用による病原カとに分割した。これら3つの成分(低抗性および病原力)に対応するparameterにもとづいて,褐班病低抗性および病原力について考察Lた。得られた結果はつぎに示すとおりでおる。1.てん菜の褐斑病抵抗性に関しては,固有低抗性椅数(Dc)が極めて大きく,環境反応低抗性指数(Db)およびそれらの相互作用効果指数(Dbc)がいちじるしく小さかった。したがって,これらのparammeterの値から,てん菜の褐斑病低抗性はその生育環境条件によって変化するが,抵抗性の相対的関係はあまり顕著には変化しないものと推定された。2.てん菜褐斑病菌の病原力に関しては,固有痛原カ指数(Dc)は非常に大きく,環境反応病原力指数(Db)ならびにそれらの相互作用効果指数(Dbc)は共に比較的大きい。さらにDbcが負であることから,いゆわゆる病原性を異にする系統あるいはraceが本邦の該病勘こも存在することが本報での解析によっても証明された。3.本報で採用した統計学的解析方法と,通常の分散分析による結果とは本質的に同一である。しかしながら前者の方法が育種学的により具体的解釈が可能であり、Lかも簡便な方法と思考される。
  • 近藤 晃, 水島 宇三郎
    1965 年15 巻1 号 p. 18-22
    発行日: 1965/03/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    F2 SurjamkhiX農林1号にみられる異常分離の原因として,さきの報告で考えられたC遺伝子の欠失,ならびに,重複のおこる機構について,再検討がなされた。さきの報告(水島・近藤,1959,’60)では,Cの異常分離の原因として,C遺伝子座の潜性転座,または,約50%の組換価をもって包含逆位でずれていることか推論された。本研究は,F5 Surjamkhi×農林1号の着色個体に北海糯1号(C+A+Pgl)を交雑したF2で,花青素着色と糯粳性の両形質の分離を調査Lた。供試されたF5個体中の1個体はC遺伝予を重複してもつ系統(CB1CBAP)と判定され,Lかも,そのC遺伝子の1つとglとは明らかに連鎖関係があり,独立遺伝しない。このことから,重複や欠失を起こす遺伝子のうちの,Cと判定されているものは,C自体であることがあきらかである。その他の4検定交雑F2の中,3系統でC-glの組換価が算出され,従来明らかにされている値と近い大きさであることがわかったので,C遺伝子の異常分離の原因は,包含逆位や,潜性転座よりも,むしろ,重複染色体の異常接合に帰せられるものと結論された。
  • 西山 市三, 丸山 毅夫
    1965 年15 巻1 号 p. 23-29
    発行日: 1965/03/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1.新中長と伊賀筑後(ともにTriticum aestivumssp.vulgare)を構成しているAABBDDゲノムからAABBを抽出して,現在の二粒系コムギ(AABB)と比較研究して,(1)普通系コムギの発祥にいかなる二粒系コムギが参与したか,(2)普通系コムギ中でABゲノムかDゲノムと共存しているうちに,どのように分化したかを推知するために本実験を行なった。2.新中長または伊賀筑後×T.polonicumの五倍雑種を自殖し,または自殖子孫を普通コムギ親に戻し交雑して,2n=28の植物を選抜し,それらの語形質を比較調査した。新・B1F3は最も多くの形質(少なくとも20形質中15以上)を普通コムギ(新中長)のそれらと入れ替えた最も初期の目的植物に近いものである。しかしこの抽出四倍植物は現存の二粒系コムギのどの種にも該当しがたい。3・そのほか2n=28子孫中には,稔実性が著しく低下したり,半矮性や極矮性植物の出現,ネクロシスの発現,相互転座を有するものなどの出現は,普通コムギ中ではAABBゲノムがある程度独自の分化を起していることを暗示するものである。
  • 堀江 正樹, 斎尾 乾二郎, 畑村 又好, 伊藤 綾子
    1965 年15 巻1 号 p. 30-42
    発行日: 1965/03/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    第1報の目的および考え方にしたがい,第2報水稲にひきつづいて,ここでは大豆をとりあげ,1955年より'60年のあいだの5ケ年('57年は材料の都合により欠)にわたって試験をおこたった。この間に試験にもちいられた組合せ(1~5組合せ),形質(6~12形質),試験場所(2~4ケ所)および推定方法(1~6方法)は年次によって異っている。結果として,1959年度の平均値,分散および変異係数と,5年間にわたりそれぞれの推定方法によってえられた遺伝力の値を表にしてあげ,とくに注意すべき点を指摘した。すなわち,遺伝力については水稲の場合と同様に少くともこの程度の試験では,全般にわたって一定した傾向を捉えることは難しい。しかし,大体いえることは,発育形質はかなり大きな値を示し,収量形質は小さく,形態形質は概してその中間にあるようである。推定方法については,h2v(F3)やh2B(p)はかなり大きな値を示すが,h2v(F4)やh2<RS>(2t,3p)は小さい値を示している。また,h2B(F1),hN2(f)やh3Aは比較的変動の大きい推定方法といえそうるである。結論についての詳しい論議は水稲およびおよび蚕の結果と併せてのちにおこなう。
  • 松尾 孝嶺, 小野沢 芳郎
    1965 年15 巻1 号 p. 43-46
    発行日: 1965/03/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    藤坂5号より放射線によって誘発された5つの晩生突然変異系統について,出穂期変異に関与する遺伝子構成を分析した。原品種との交雑ならびに変異系統間の相互交雑のF2について出穂期の分離をみた。またFM5×FM3とFM5×FM2の2組合せについては長日条件下でのF3の分離が調べられた。その結果からFM5とFM6とはそれぞれ遺伝子座の一異なる1つの主遺伝子の劣性突然変異によって,原品種よりも感光性が大きくたり,そのために自然目長下でもかなりの晩生化がもたらされたものと推定された。他の変異系統については表現力の小さいいくつかの遺伝子が関与しているらしいが,その遺伝子構成を明らかにすることはできなかった。またいづれの変異系統にも主遺伝子のほかにポリジーンが関与Lているものと思われた。
  • 岡 克, 江口 恭三
    1965 年15 巻1 号 p. 47-52
    発行日: 1965/03/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    The inheritance of the yields and alkaloid content in flue-cured tobacco was investigated with the cross between Hicks Broadleaf and N. F. T. 706. The former is the leading variety in the world and the latter shows the lowest alkaloid content among the flue-cured varieties. F1, F2, F3, B1 and B2 of this cross were grown for 2 years. Estimates of additive genetic, dominance and error variances were obtained from variances of F2 and F3 generations for yields per plant and alkaloid content. Estimates of dominance variances were larger than estimates of additive genetic variances in both characters
feedback
Top