育種学雑誌
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20 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 清沢 茂久, 横尾 政雄
    1970 年20 巻4 号 p. 181-186
    発行日: 1970/08/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    インドのイネ品種CO.25のいもち病抵抗性を導入して育成された“とりで2号”は、用いた7菌系のすべてに対して働く低抗性遺伝子Pi-ztと、2菌系のみに対して働く低抗性遺伝子Pi-aにより支配されることを明らかにした。これらの2遺伝子はCO.25からきたものであり、CO.25はPi-zt、Pi-aのほかに未知数の低抗性遺伝子をもつものと考えられた。
  • 大曾根 兼一, Mikaelsen Knut
    1970 年20 巻4 号 p. 187-196
    発行日: 1970/08/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    イネの種子浸漬に伴う胚の発育とγ線、MMS、EMSに対する感受性の変化との関係を知ることを目的とした。ハンガリー品種「ドンガムシャリー」の種子を25℃で0~72時間浸漬し、浸漬に伴う胚の発育を水分含量、RNA合成、DNA合成、細胞分裂の増加などに基づいて追跡した。γ線、MMS、EMSに対する感受性の変化をM、芽生の生長阻害によって調べ、胚の発育により感受性の異なる次の3つの時期を認めた。(1)第1の時期は物理的な吸水によって胚の水分含量が急速に増加する浸漬開始後6時間までの時期で、MMS、EMSに対する感受性の減少が見られた。これは処理前の吸水によって薬品の稀しゃく効果が働くためと考えられた。(2)第2の時期は浸漬開始後6~30時間までの時期で、この時期には胚の吸水は緩慢となるが、RNA合成が次第に益んになり、γ線、MMS、EMSに対する感受性が緩やかに増大した。(3)第3の時期はDNA合成およびそれに続く細胞分裂の開始される浸漬開始後30時間以上の時期で、胚の吸水は再び活溌となり、γ線、MMS、EMSに対する感受性が著しく増大した。さらに、この実験の過程で(1)MMS(<14>CでラベルされたMMS使用)の種子胚への吸収は処理前の種子浸漬の時間や〓の有無によって異なり、また胚に吸収されたMMSを洗い去るには12時間以上の水洗が必要であること。(2)M1芽生の生長阻害は出葉の遅延と成案長の減少からなり、標準区に対するパーセントで表わされるM1芽生長は発芽初期には変動が大きいこと。(3)気乾種子処理によってM1芽生の生長を50%阻害する線量と濃度は、γ線24krad、MMS 0.27%、EMS 2.25%であったが、浸漬種子処理では異なることなどが明かにされた。
  • 川端 習太郎, 後藤 寛治
    1970 年20 巻4 号 p. 197-199
    発行日: 1970/08/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    この研究は、世界各地から導入したオーチャードグラス品種を、1965年から1969年まで、3次にわたって、(1)乾草型利用として、出穂期に1番草を刈取り、8月下旬にaftemathを刈取る、いわゆる年2回刈りと、(2)放牧型利用として、出穂期とは無関係に一定の草量に達したときに刈取る、年4回刈りの2つの刈取り様式のもと'で、乾物収量の比較を行ない、分散分析によって、刈取り様式と品種との相互作用の大きさを評価したものである。分散分析の結果は、第2表に示したが、刈取り様式と品種との相互作用は、第2試験の1967年をのぞいて、いずれも、きわめて有意義であった。いずれの刈取り様式のもとでも高収を示す品種として、キタミドリ、那系5号、逆に、いずれの刈取り区でも低収の品種としてS26、S143、Chinook、Bumper、一方、2回刈り区で高収の品種としてLatar、Pennlate、Tammisto、また4回刈り区で比較的収量の高い品種としてS345などをあげることができる。つぎ'に、2回刈り区と4回刈り区の間の乾物収量の相関係数は第3表に示したが、試験期間中の合計収量でみると、第1~第3試験で、それぞれ+0.309、+0.298、+0.494となっており、2回刈り区収量から4回刈り区収量を推定することは困難と思われる。オーチャードグラスは多目的に利用される草種で、乾草あるいはサイレージ用としてのみならず、放牧地にも利用されるが、本研究の結果、系統あるいは品種の収量は、少なくともそれぞれの利用様式に類似した刈取り頻度のもとで検定しなければならないことが明らかとなった。
  • 加藤 美知代, 志村 喬
    1970 年20 巻4 号 p. 200-210
    発行日: 1970/08/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    チャの耐凍性品種を得るために、チャとチャ以外のツバキ属植物とを交雑することが多くの人によって行なわれている。ワビスケがチャとツバキの雑種であれば、チャとツバキとの交雑性も大きいと考えられる。したがって、著者らはいろいろの方法でチャとツバキを交雑することを試みているが、ここではまず、ワビスケの減数分裂と胚嚢および葯形成について報告する。成熟分裂については、ワビスケは品種により異なり、アカワビスケやシロワビスケではチャやツバキと同様に成熟分裂は正常に行なわれ、胚嚢や葯の形成も正常に行なわれた。ところが、スキヤワビスケとウスワビスケでは、成熟分裂に1価染色体が多くみられ、花粉稔性は1価染色体が多いものほど低かった。また、胚嚢と葯形成も異常が多くみられ、コチョウシロワビスケでは、ほとんど葯と胚嚢が形成されなかった。このためワビスケは、品種によって程度の差はあるが、染色体の間に非相同性があると考えられる。したがって今後核型分析をする必要がある。さらに、葯室形成において、チャ、ヤブツバキ、ワビスケにおいても、壁細胞が平行分裂し、外側の細胞が二層の中間層と内被を、内側の細胞がタペート層を形成し、開花時には、タペート層と中間層は退化していた。次に、チャでは、胚嚢形成において線状四分子が形成されるといわれてきたが、ツバキ、チャ、ワビスケにおいて、いずれも二分子しか形成されないとみてよいことがわかった。また、ワビスケの中にみられる葯形成と胚嚢形成の異常は、それぞれの始原体が形成されるときに異常がみられ、さらにそれぞれの胞原細胞の分裂の異常によることがわかった。そして、チャやツバキの場合と比較してみるとワビスケの胚嚢形成の時期と葯形成の時期が接近しているものほど、葯や胚嚢に異常の多いことがわかった。
  • 徳増 智
    1970 年20 巻4 号 p. 211-218
    発行日: 1970/08/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    In Pelargonium roseule4 WILLD., the pollen of the diploid plant (2n=77) is abortive but its colchicine-induted tetraploid (2n=154) can produce fertile pollen. According to anatornical observations, there are no differences in the development and disintegration of tapetum as well as in the formation of microspores and young pollen grains between both ploidal plants. After the maximum enlargement of the extine pollen grains in the diploid become empty, while in the tetraploid plant pollen grains suddenly increase the volume of their cytoplasm at the time of tapetal disintegration. At the flowering time, each pollen grain in the tetraploid becomes bi- or trinucleated.
  • 高 泰保, 山県 弘忠
    1970 年20 巻4 号 p. 219-222
    発行日: 1970/08/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    M1 panicles and their offsprings raised from rice seeds treated with ethyleneimine (EI) and X-rays were examined for seed sterility. Experimental results showed that EI caused zygotic sterility much more frequently than X-rays.
  • 藤本 文弘, 松村 正
    1970 年20 巻4 号 p. 223-229
    発行日: 1970/08/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    Heterosis in polycross was great in root weight and sugar yield, but small in sugar percent. In these three characters, positive correlation was recognized between the performance of parental strains and their polycrossed progenies, and the general combining ability was almost parallel with the parental performance. The general combining ability estimated by regression line was considered more reliable than the performance of polycrossed progenies.
  • 岩田 伸夫, 大村 武, 中川原 捷洋
    1970 年20 巻4 号 p. 230-236
    発行日: 1970/08/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    三染色体植物を連鎖分析に利用する目的で、Japonica品種を用いて三染色体植物の分離、同定を試みた結果、イネに期待される12の型を成熟期の形態的特徴によって分離することができた。これらのうちの11の型は4品種の同質3倍体の後代から、残りの1型は相互転座ヘテロ個体の後代からえられた。三染色体植物の成熟期の量的形質を、同一系統内に分離する2倍体に対する百分率で示すことにより、遺伝的背景の均一でない場合にも冬型の特徴をより正確に比較しえた。とくに、粒形質は有効であった。また、相互転座系統を用いる方法などにより、これまでに5型について過剰染色体の種類を明らかにした。
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