これまで二倍体O.punctataとCゲノムをもつO.officinalisおよびCeylonese officinalisとの間に多数の交雑が試みられたにもかかわらず,真のF
1雑種を作出することはできなかった。 筆者らは1972年,二倍体O.punctata(W1514)×Ceylonese officinalis(W0006)の組合せから3個体,また翌年,二倍体O.punctataとその近縁種とされている0.eichingeri,O.punctataとO.eichingeriとのintermediate formおよびCeylonese officinalisとの間に,それぞれF
1雑種をえた。 本研究は,これらF
1雑種の細胞遺伝学的研究をとおして,供試材料のゲノム関係を明らかにすることを目的として行なったものである。 F
1雑種の減数分裂第一中期に形成される二価染色体数は少なく,個体平均1.44~3.49にすぎなかった。一方,すでに著者らはO.eichingeri,intermediate form,Ceylonese officinalisおよびO.officinalis相互間のF
1雑種に形成される二価染色体数は,個体平均11~12と高く,従って,これらの種はO.officinalisと同じCゲノムをもつと報告した。 これらの結果は,二倍体O.punctataとその近縁種との間のゲノムが明らかに異ることを示唆したものである。このことは,すでに,著者の一人が報告したように,二倍体O.punctataがB-ゲノムをもつ種であることを示した実験結果を裏付けるものといえる。
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