育種学雑誌
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24 巻, 4 号
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  • 片山 平, 小川 紹文
    1974 年 24 巻 4 号 p. 165-168
    発行日: 1974/08/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    これまで二倍体O.punctataとCゲノムをもつO.officinalisおよびCeylonese officinalisとの間に多数の交雑が試みられたにもかかわらず,真のF1雑種を作出することはできなかった。 筆者らは1972年,二倍体O.punctata(W1514)×Ceylonese officinalis(W0006)の組合せから3個体,また翌年,二倍体O.punctataとその近縁種とされている0.eichingeri,O.punctataとO.eichingeriとのintermediate formおよびCeylonese officinalisとの間に,それぞれF1雑種をえた。 本研究は,これらF1雑種の細胞遺伝学的研究をとおして,供試材料のゲノム関係を明らかにすることを目的として行なったものである。 F1雑種の減数分裂第一中期に形成される二価染色体数は少なく,個体平均1.44~3.49にすぎなかった。一方,すでに著者らはO.eichingeri,intermediate form,Ceylonese officinalisおよびO.officinalis相互間のF1雑種に形成される二価染色体数は,個体平均11~12と高く,従って,これらの種はO.officinalisと同じCゲノムをもつと報告した。 これらの結果は,二倍体O.punctataとその近縁種との間のゲノムが明らかに異ることを示唆したものである。このことは,すでに,著者の一人が報告したように,二倍体O.punctataがB-ゲノムをもつ種であることを示した実験結果を裏付けるものといえる。
  • 工藤 和美, 蓬原 雄三
    1974 年 24 巻 4 号 p. 169-175
    発行日: 1974/08/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    チヤは葉芽の分化発育と花芽の分化発育を枝の頂端と葉腋の同一場所でくらべられるので,放射線障害に関する研究に好適な材料である。このような観点から,チヤを用いて一連の放射線照射実験を行なった。これまでに得られた主肢結果は次の通りである。1)葉芽の分化発育期照射では,線量率の増加にしたがって葉芽の発育は阻害されて葉芽は欠失し,その結果,葉芽数は減少する。一方,花芽の分化発育への影響は葉芽のそれにくらべて少なく,そのため花芽数の変化は少ない。2)花芽の分化発育期照射においては,高線量率で花芽の分化発育は阻害されて花芽数は減少するが,100R/d以下の線量率区ではほとんど変化しないか,むしろ増加する。一方,葉芽数は低線量率区ではむしろ増加する。これは,2個の葉芽を形成することに起因するものであるが,このような現象は対照区では認められない。3)葉芽と花芽の分化発育期を含む全期問照射では葉芽の分化発育期照射と似た反応様式がみられ,葉芽数は減少するが花芽数は高線量率区以外はほとんど減少しない。しかしながら一方,5年にわたる低線量率継代照射では花芽数はむしろ対照区より増加する。4)全照射区とも,葉芽と花芽が同一頂芽内で同時に増加する例は認められなかった。5)生育時期別照射による花粉稔性への影響についてみると,全照射区とも総線量に比例して不稔花粉が増加する。6)花芽の発育に対する放射線の影響に関しては,春枝と夏枝との間には顕著な差は認められなかった。
  • M・アクバル , 藪野 友三郎
    1974 年 24 巻 4 号 p. 176-181
    発行日: 1974/08/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    栽培イネ品種Blubonnet,IR8,Jhona349とMagnoliaの生育初期における塩処理に対する反応を種子発芽,芽生の生長量および根の再生力について比較した。 (1)種子発芽調査では蒸溜水中に塩化ナトリウムと塩化カルシウムを等量宛含む5,O00;10,000;15,000と20,OOOPPmの塩濃度区の25±1℃条件下での2週間の発芽状態と対照区(蒸溜水のみ)におけるそれとを比較した。 (2)芽生の生長量の比較は培養液(硫酸アンモニウム35.5mg,硫酸マグネシウム30.6mg,硝酸カルシウム29,2mg,燐酸カリウム12.3mg,硫酸カリウム16.1mg,クエン酸鉄5.4mg/l,pH6.0)を含む1,000;'2,OOOと3,000ppmの塩濃度区と対照区(培養液のみ)で発芽後1か月間,25±1℃,相対湿度70%,照度2,600ルックスの条件下で培養し,芽生長,根長,茎葉と根の範燥重量を測定して行なった。 (3)根の再生力についての比較は上記(2)で用いたと同じ培養液と温度・湿度・照度条件下で1か月間生育させた健全苗の根を約1mmの長さに切除し,その苗を培養液を含む1,000;2,O00;3,000と4,000PPmの塩濃度区と対照区(培養液のみ)へ移植,10日間培養し,再生根長と芽生当りの根数の調査によって行なった。 これらの結果,次のような一般的傾向が認められた。 (1)塩の濃度が高くなると発芽に要する日数も多くなる。特にIR8は15,000と20,000ppm濃度区で顕著な発芽遅延を示した。 (2)発芽後1か月間の塩処理は供試4品種の芽生長と根長に対して抑制的作用を示し,茎葉と根の乾燥重は対照区に比し1,000ppm区ではむしろ増加したが,2,000と3,000ppm区では減少し,根重は茎葉重に比し,より大きい塩処理の影響を受けた。 (3)根の再生力に対する塩処理の影響は再生根長と芽生当りの根数の減少として示された。 Magnoliaの種子発芽に対する塩処理の影響は最も軽度であったが,同品種の茎葉と根の乾燥重は3,O00PPmの塩処理区で最も顕著な減少を示し,IR8はこれと逆の傾向を示した。このように生育初期における供試4品種に対する塩処理の影響の程度は対象とした調査形質によって異なっていた。全生育期間を通じて耐塩性を示すようなイネ品種を育成するには種々の生育相における塩に対する反応を綜合的に考慮して選抜することが必要であろう。
  • 脇塚 巧, 中島 哲夫
    1974 年 24 巻 4 号 p. 182-187
    発行日: 1974/08/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    胚珠培養法は種子形成の機構を明らかにするための有効な手段である。また試験管内受精など育種技術の基礎研究にとっても重要であると考えられている。しかしながら現在のところ,胚珠の培養法が確立されているとは言いがたい状態である。そこで,本実験では胚珠培養法を確立するための基礎研究として,ペチュニア(Petunia hybrida Vilm.)の胚珠培養を行い,培養胚珠の発育に影響する培地条件について検討した。受粉後7日目の胚珠には球状胚が認められる。この程度にまで発育した胚珠は無機塩類,ビタミン類および庶糖を含む簡単な培地でよく発育することが認められた。とくに,培地の庶糖濃度を種々(4~10%)に変えてみたが,いずれの濃度でも置床した胚珠のほとんど大部分が発育して完熟種子となった。 受粉後4日目の胚珠には,接合子と数細胞からなる胚乳が認められる。このような胚珠は培地の庶糖濃度の影響を受け,庶糖6%の培地でもっともよく発育したのに対し,庶糖濃度がそれより高い場合も低い場合も完熟する種子は減少した。とくに庶糖4%,9%の培地では,ほとんど完熟種子が得られなかった。 幼胚珠の培養にキュウリ果汁が有効であることが知られているので,キュウリ果汁の浸透価を調べてみた。若い果実からの果汁の方がより高い浸透価を示し,胚珠培養に用いられている開花後10日目程度の果実からの果汁は庶糖8%に相当する浸透価を持っていることが明らかになった。この事実にもとづき,培地に種々な濃度のキュウリ果汁を加え,培地の浸透価が庶糖6%相当になるように加える庶糖の濃度をおとした培地を調整した。たとえばキュウリ果汁25%を含む培地では庶糖は4%しか加えていないのであるが,このような培地で受粉後4日目の胚珠を培養したところ,いずれの培地でもほぼ同程度の率で完熟種子が得られた。すなわち,受粉後4目目の胚珠では浸透価が適当ならば,庶糖濃度やキュウリ果汁の濃度は胚珠の発育に影響をほとんどおよぼさないことが明らかになった。
  • 山口 彦之, 内藤 忠雄, 多次良 敦
    1974 年 24 巻 4 号 p. 188-193
    発行日: 1974/08/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
  • 森田 潔
    1974 年 24 巻 4 号 p. 194-198
    発行日: 1974/08/31
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
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