著者ら(1970)が形態的特徴によって分類した12型(A~L)の三染色体植物のうちの8型(A~H)と,12連鎖群の標識遺伝子とのF
2における分離から,三染色体植物と連鎖群との関係を調査した。さらに,8遺伝子,すなわち,がま穂遺伝子Bp,扁平粒遺伝子rk,横斑葉遺伝子z,退色緑葉遺伝子A,淡緑葉遺伝子pgl,生理的病斑葉遺伝子spl
1,盆栽稲型矮性遺伝子d
Bおよび細葉遺伝子nal
2・nal
3を新たに記載するとともに,それらの連鎖分析を行った。結果の概要はつぎのとおりである。 1. B型は,第I連鎖群に所属するwx,dp
1,wsおよびClについて三染色体的分離を示した。よって,B型は第I連鎖群に対応する。 2. E型は,第II連鎖群に所属するlgの三染色体的分離によって同連鎖群と対応する。rkも同様にこの連鎖群に所属する。 3. F型では,第IV連鎖群に所属するd
6,gおよびRcが三染色体的分離を示し,同連鎖群に対応する。 4. G型は,標識遺伝子la,spの三染色体的分離から第VIII連鎖群に対応する。zも三染色体的分離を示し,第VIII連鎖群に所属する。 5. H型と第VII連鎖群との対応は,Dn,dp
2の三染色体的分離からえられた。Bpも同連鎖群に所属する。また,従来第V連鎖群に所属するとされていたI-BfもH型と三染色体的分離を示し,第VII連鎖群に包含される。 6. fi,pglは,C型とのF
2で三染色体的分離を示し,一つの連鎖群を構成する。 7. slp
1,d
Bおよびnal
2は,ともにA型とのF
2で三染色体的分離を示し,一つの連鎖群を構成する。また,従来第III連鎖群に属するとされていたrlも,同様に,この連鎖群に所属する。しかし,第III連鎖群に所属するlax,egは,A型とのF
2で二染色体的分離を示した。 8.以上のように,7型の三染色体植物について,連鎖群との対応が明らかにされた。 9. D型では,上記の7連鎖群は勿論,eg(III),d
1(VI),nl(IX),bl
1(X),dl(XI)およびgl(XII)のいずれの遺伝子とも二染色体的分離を示し,対応する連鎖群が同定されなかった。
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