第I報では,オオムギ葉身気孔数と光合成速度に正の相関があり,気孔数を数えることにより光合成能力の高い個体を選抜できる可能性があることを報告した。本研究はこの光合成速度と気孔数との間の関係に理論的根拠を与えるために行なわれた。GAASTRA(1959)によれば,葉身の光合成速度(P)は,[numerical formula]と表わされる。ここで,(CO
2)、:外囲空気のC0
2濃度,(C0
2)
chl:葉緑体でのC0
2濃度・r
a:C0
2拡散に対する空気抵抗,r
s:気孔抵抗,r
m:葉肉抵抗,である。(C0
2)
chl=0と仮定され,r
a,r
sは蒸散速度から推定される。このGAASTRAの方法で求められたr
s,r
mの値は一般的にr
mがr
sよりかなり大きく,r
sのみの変化は光合成速度に大きな影響を与えないものとされていた。しかしこの方法では呼吸を考慮しておらず,また(C0
2)
chl=0と仮定しており,この両者共にr
mを過大評価する。従ってここではFig.1のモデルによる葉身内での呼吸を考慮し,かつ(C0
2)
chl=0の仮定をせずにr
mを求める式を作り,その式に吉田ら(1975),吉田(1976)のデータをあてはめてr
mの値を計算しなおした。
抄録全体を表示