穂いもち圃場抵抗性の遺伝様式を解明するため,2組の二面交雑セットのF
2およびはつかおり/越南102号のF
3・F
4系統の検定と結果の解析を行った。まず4品種・系統間の二面交雑F
2集団の穂いもち発病程度を調べたところ,集団平均値は両親のほぼ中間で,正逆交雑の間に差はみられなかった。つぎに7品種。系統間の正逆交雑を含まない二面交雑のF
2ダイアレル分析の結果,穂いもち圃場抵抗性に関与する遺侯子の相加効果が大きく,優性効果は重要でなく,エピスタシスは認められなかった。そして広義および狭義の遺伝率の推定値はそれぞれ0,752,O.666と比較的高かった。さらに穂いもち抵抗性に強いはつかおりと,弱い越南102号の交雑から得られたF
3系統は,穂いもち発病程度に関し,両親の中間を頂点とする正規分布型の分離を示した。そしてF
3-F
4親子相関はγ=O.675**,広義の遺伝率の推定値はO.628~0,797といずれも比較的高く,F
4における分離系統群の割合から推定した有効因子数は2~4であった。またこれらと同時に供試した22品種・系統の分散分析から推定した狭義の遺伝率は0,921~0,944ときわめて高かった。以上の結果から,穂いもち圃場低抗性は相加効果を主とするポリジーンまたは複数遺伝子,あるいはその両者により支配されており,細胞質の効果はなく,遺伝率は高いと推定された。
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