育種学雑誌
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45 巻, 2 号
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  • P. J. Bebeli, P. J. Kaltsikes
    1995 年45 巻2 号 p. 151-156
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    ライムギ由来の染色体腕7RL(品種Drira)と6RS(品種Rosner)において,末端異質染色質の有無が12の実用形質に及ぼす効果を,六倍体ライ小麦の2つの姉妹系統を用いて調べた.解析には,多変量分散分析,偏相関,重回帰分析および正準相関を用いた.末端異質染色質の欠失が12の実用形質の平均値において有意な変化を伴うことが,多変量分散分析と収量と他形質との回帰によって明らかになった.異質染色質を欠失した系統の偏相関係数が,Rosner系統よりもDrira系統でより多く変化した.Rosner系統では多くの係数が大きくなったが,Drira系統では逆の傾向を示した.最も影響のあった形質は品種によって異なった.種子収量と他形質との回帰にも変化があった.異質染色質を欠失した系統においてのみ穂数が有意に寄与し,穂長,穏当たり小穂および穂密度は寄与しなかった.末端異質染色質の欠失が形質発現や実用形質と形質のグループとの間の関係に有意な効果があり,いくつかの形質ではその効果が品種および染色体に特異的であると考えられた
  • Masanori Inagaki, Abdul Mujeeb-Kazi
    1995 年45 巻2 号 p. 157-161
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    六倍体コムギ(2n=6x=42)の3品種(Chinese Spring,農林61号およびSieteCerros)を母親にトウモロコシ,トウジシビエおよびモロコシの各2系統を花粉親として交雑した.交雑により得られたコムギ未熟胚を無菌培養し植物体に再生させ,その染色体を調べた.供試したコムギ3品種はトウモロコシ2系統との交雑で胚を12.6%から26.8%の頻度で形成した.トウジシビエとの交雑においては,胚形成の頻度は0.8%から39.4%まででコムギ品種およびトウジシビエ系統により大きな差異がみられた.モロコシとの交雑では,Siete Cer・osは胚を形成せず,コムギ品種により胚形成の頻度は大きく異なった.Chinese Springおよび農林61号と3種の花粉親との交雑から得られた胚について,胚の大きさと植物体再生の頻度との関係をみると,トウモロコシとの交雑から得られた胚はトウジシビエおよびモロコシとの交雑から得られた胚に比べて大きかったが,やや低い植物体再生の頻度を示した.合計377個体の再生植物体の染色体を調査した結果,2個体の異数半数体(染色体数20および22)と2個体の二倍体(染色体数42)を除き,他はすべて複相半数体(染色体数3力=21)であった.以上から,トウモロコシとの交雑を利用する六倍体コムギの複相半数体作出の頻度はトウジシビエあるいはモロコシとの交雑を利用する方法よりも安定していると考えられた.
  • 村井 正之, 佐藤 茂俊, 伊勢 一男, 蝉平 恭央
    1995 年45 巻2 号 p. 163-171
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    アメリカ合衆国の南部では,主として乾田直播が行われている.同地域の基幹品種Lemontは,2.5cm以上の深播きにすると出芽 苗立ちが不良になることがある.Lemontは,低脚鳥尖に由来する矢要性遺伝子d-47を有するとみなされる.本研究では,d-47と他の数種の矢要性遺伝子が深播条件における出芽力(土面まで出芽する能力)に及ぼす作用を同質遺伝子系統を用いて調べた. 供試系統としては,しおかりを反復親としたd-47(低脚鳥尖矢要性),d-12(ユーカラ矢要性),d-18k(小文玉錦矢要性)に関する同質遺伝子系統(d-47系統等と略称),台中65号を反復親とした左47に関する同質遺伝子系統であるd-47(T65)系統,Calrose76(d-47と同一座のsd-1を有する,C76と略称),小文玉錦(KTと略称),およびそれらの現品種であるCalroseと玉錦を用いた
  • 服部 一三, Kazumi Hattori
    1995 年45 巻2 号 p. 173-177
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    リョクトウ系統IBP22-117の子葉から形成されたカルスは2型の細胞群,すなわち,カルス上部の緑色でコンパクトな部分と基部の白色でフライアブルな部分から構成されていた.これらの各々の部分を凍結走査型電子顕微鏡(Cryo-SEM)により観察したところ各々の部分は異なった形態の細胞群より成ることが明かとなった.緑色でコンパクトな部分は主に丸く,密に配列した細胞群により構成されたが,一方,白色でフライアブルな部分は長く伸長し,粗く配列した細胞群により構成されていた.また,白色でフライアブルな部分には少数ではあるが,大きな丸い細胞が散在していることが認められた.これら2型の細胞群の振とう培養に対する反応性の比較を行ったところ,白色でフライアブルな部分はL6培地(Kumar et al.,1988)で細かく,分散した振とう培養細胞を形成した.ここで得られた振とう培養細胞を光学顕微鏡で観察した結果,培養期間を変化させても白色でフライアブルな部分を構成していた長く伸長した細胞と大きく丸い細胞のみで構成されることが明かとなった.またこれらの振とう培養細胞を固形培地に移植したところ,大きく丸い細胞は順調に細胞分裂を繰り返し,コロニーを形成した.細長い細胞ではコロニー形成は稀にしか行われず,多くの細胞では移植直後の状態をそのまま保っていた.しかしながら,得られたカルスからの植物体再分化はこれまでには確認されていない.
  • 深井 誠一, / , Wim Rademaker
    1995 年45 巻2 号 p. 179-184
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    茎切片を外植体としたキクの効率的形質転換法を確立した.植物材料には,高率に不定芽を再生し,バクテリア感染によって不定多再生率が低下しない品種(1581)を用いた.培地はMS培地に1.0mg/l BA,0.1mg/l IAA,30g/lショ糖,7g/l寒天を添加したものを基本とした.形質転換には,Agrobacterium tumefa-ciensAGLO(pMOG410)を用いた.バイナリーベクターpMOG410には,b-glucuronidase(GUS)intron遺伝子とneomicinphos photransferase II(NPTII)遺伝子が組み込まれている. バクテリアを接種した茎切片を100mMアセトシリンコンを添加した基本培地上で2日間共存培養した後,基本培地に10mg/lカナマイシンを添加した選択培地に移植した.以後3週間毎に新しい培地に移植しながら9週間培養し,この間再生した不定芽の内緑色で健全なものだけを収穫し,GUS発現を検定した.共存培養直後の外植体には,高いGUSの一過的発現が観察された.
  • 中村 淳, 小松 節子, 夏 宝森, 平野 久
    1995 年45 巻2 号 p. 185-188
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    イネの第1染色体上で,種子貯蔵タンパク質グルテリンα5割およびα5bサブユニットをコードするGlu-1座と半矮性遺伝子sd-1座が15.5%の組換価で連鎖すること,また,sd-1は脱粒性遺伝子sh-2と13.7%の組換価で連鎖することが報告されている.本研究ではGlu-1座の第1染色体上の座位を推定するために,Glu-1,sd-1およびsh-2の3遺伝子間で連鎖分析を行った.材料は,日本型水稲品種農林29号と,農林29号の遺伝的背景にインド型品種台中在来1号の半矮性遺伝子を導入した半矮性準同質遺伝子系統SC-2を交配したF2集団(204個体)を用いた.各F2個体の秤長,脱粒性およびグルテリンα5サブユニットについて調査し,3遺伝子間の組換価を算出した.稗長は各個体とも豊熟期の最長程を測定し,脱粒性は豊熟期の穂を強く握った際の脱粒程度で判定した.グルテリンは,二次元電気泳動法で胚乳タンパク質から分離し,クマシー・ブリリアントブルー染色で検出した.その結果,これらの遺伝子はGlu-1,sd-1そしてsh-2の順で第1染色体に座乗していることが推定された.
  • 北林 広巳, 氏原 暉男, 廣瀬 玉紀, 南 峰夫
    1995 年45 巻2 号 p. 189-194
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    ルチンは,フラボノイドの一種で,毛細血管の脆弱性を抑制し,血圧を下げるなどの薬理作用を有するといわれている.タッタンソバ(Fagopyrum tataricum Gaertn)は植物体に多くのルチンを含み,また食用としての利用が可能であることから,有用なルチン資源であると認識されている.しかし,タッタンソバの種子および葉のルチン含量に関する遺伝変異についての報告は今までにほとんどない.そこで,系統間の変異を明かにするため,主要な栽培国から導入したタッタンソバ16品種・系統(Table1)を1992.1993年に各2反復の乱塊法で栽培し,種子および葉のルチンをHPLCにより定量した.また主要形質のうち,第1花開花まで日数,1,000粒重および1株稔実粒重についても調査を行った.その結果,種子のルチン含量は1,110mg/1OO g DWから1,950mg/100g DWの,葉のルチン含量は2,460mg/100g DWから3,610mg/100g DWまでの変異を示した(Table2).ルチン含量に関する年次間相関を検討したところ,種子では相関係数は0.86でO-1%水準で有意な相関が認められたが,葉では有意な相関はみられなかった(Fig.1).ルチン含量および主要形質について分散分析をおこなったところ,種子および葉のルチン含量について有意な系統間差が認められた(Table3).また,分散分析から推定したルチン含量の遺伝率は種子と葉でそれぞれ0.76,O-1Oであった(Table3)
  • 菅谷 優江, 丹羽 勝, 原田 久也, 柳沢 貴司, 丸橋 亘
    1995 年45 巻2 号 p. 195-198
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    ワサビダイコンの葉および根由来のカルスから再分化した植物について,合成オリゴヌクレオチドをプローブとしたDNAフィンガープリントを,それぞれの親個体との間で比較した.1枚の葉から由来した再分化植物14個体,および1個の根由来カルスから再分化した植物12個体の葉から抽出したDNAを制限酵素Rsa1で消化し,ディゴキシゲニンでラベルした合成オリゴヌクレオチド(GAA)5をプローブとして,サザンハイブリダイゼーションを行い,発光シグナルを検出した. 葉由来カルスからの再分化植物のうちの2個体に,親植物とは明瞭に異なる数本のバンドが検出され,この2個体のバンドパターンはきわめて類似していた.根由来カルスからの再分化植物のうちの1個体に,親植物とは明瞭に異なるバンドパターンが検出され,この他の4個体で,親植物にはなかった薄いバンドが5.Okbの位置に検出された
  • 村井 耕二, 常脇 恒一郎
    1995 年45 巻2 号 p. 199-203
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    コムギ近縁野生種Aegilops crassa細胞質を持つ日本コムギ品種農林26号は,短日条件下(14.5時間以下)では可稔であるが,長日条件下(15時間以上)では不稔となる日長感応性細胞質雄性不稔(PCMS)を示す(Murai and Tsunewaki 1993).本報では,他の日本コムギ品種におけるんAe.crassa細胞質によるPCMS発現の有無を調べる目的で,連続戻し交配によりAe.crassa細胞質を17の日本コムギ品種(Table1)に導入した. 戻し交配は兵庫県加西市(北緯35度)の住友化学工業(株)加西試験農場で行い,戻し交配各世代における交雑種子稔性(%)および自殖種子稔性(%)を調べた.PCMSの発現程度は,コムギの日長感応期である穎花分化期に,15時間以上の長日条件が得られる北海道端野町(北緯44度)の端野町農業協同組合試験圃場において栽培した系統の自殖種子稔性に基づいて判定した
  • 秦野 彰二, 山口 淳二, 堤 伸浩, 平井 篤志
    1995 年45 巻2 号 p. 205-209
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    イネの緑葉から核由来の巨大DNAを調製する新しい方法を開発した.この方法では子葉のみならず成熟葉も材料として用いることができ,多くの品種や系統について,少量ずつ巨大DNAを調製して比較することが容易になった.このため,従来の胚芽を材料として用いた方法では,多くの種子が必要であったが,多量の種子の入手が困難な系統からも巨大DNAを調製できるようになった. smaIを用いてイネ核巨大DNAを切断し,パルスフィールド電気泳動法で分離し,染色すると,一様なバックグランド上に微細な明暗のバンドパターンが観察される.このパターンについて,イネの品種間で多型性が見られるかどうかを検討した.
  • 力石 和英, 武田 和義, 安田 昭三
    1995 年45 巻2 号 p. 211-215
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    本研究では世界各地のオオムギ在来品種269品種を供試して,完熟胚由来カルスからの器官再生率について検討した.本培養条件では不定芽は再分化せず,供試品種の約1/3にあたる85品種が不定根を発生した.それぞれの品種におけるカルス当たりの不定根発生率はO%から100%まで幅広く変異した.地域別にみると日本,朝鮮半島,中国,ネパール,トルコおよび北アフリカ地域の平均値は1~5%の低い値であったが,西南アジア,ヨーロッパおよびエチオピア地域の平均値は13~19%の高い値を示した.栽培オオムギを東亜と西域の品種群に大別する場合,重要な形質の一つである小穂非脱落性の遺伝子型について不定根発生率の平均値を比較すると,東亜に主として分布するBt bt2型の品種では3.3%,西域に主として分布するbt Bt2型の品種では15.7%となり,後者が1%水準で有意に高い値を示した.一方,2種の小穂非脱落性遺伝子型別に二条・六条性および皮・裸性の間で不定根発生率を比較すると,それぞれ有意差は認められず,エステラーゼ同位酵素,Est-1座の各遺伝子型間にも差がなかった.これらのことから,不定根発生率を高める要因は小穂脱落性を支配するBt,Bt2の遺伝子型と関係があるとみられた、
  • 武田 和義, 金谷 良市
    1995 年45 巻2 号 p. 217-221
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    様々な豊熟条件の下で8×8正逆ダイアレルF1を用いて二条オオムギの裂反粒歩合の遺伝解析を行った.裂反粒歩合は栽培条件によって明らかに異なり,豊熟の良い条件で高かった.裂反粒歩合は主として相加的な複数の遺伝子に支配されており,一般に裂反粒歩合の低い方向が部分優性とみられた.エピスタシスおよび母性効果はほとんど無く,広義の遺伝率は0.9程度,狭義の遺伝率は0.8程度と高かった.
  • 呉 基日, 金谷 良市, 武田 和義
    1995 年45 巻2 号 p. 223-226
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    4組合せの二条オオムギのF2集団とF3系統を供試して裂反粒歩合と1,000粒重の遺伝率ならびに両形質間の遺伝相関係数を推定した.F2集団における裂反粒歩合の分散から推定した広義の遺伝率は0.5~0.8,F2-F3選抜反応から推定した遺伝率は0.4~0.6,親子相関と親子回帰から推定した遺伝率はほぼ0.5であり,選抜反応から推定した1,000粒重の遺伝率はO.1~O.2であった.また,F2集団における分散と共分散から推定した裂反粒歩合と1,OOO粒重との表現型相関係数は0.1~0.3,品種内変異から推定した両形質間の環境相関係数はO.4~O.6,相関反応から推定した両形質間の遺伝相関係数は-0,1~-0.3であった.従って,裂反粒の発生が問題となっているビール麦の育種において,裂反粒歩合に対する選抜は粒重に対する選抜よりも容易であり,また,粒重に対する間接的な影響をほとんど与えないとみられる
  • 安藤 敏, 増田 彩子, 高橋 千晶, 清水 俊雄
    1995 年45 巻2 号 p. 227-228
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    アルファルファ品種Spredor IIの40個体から全DNAを抽出し,イネのミトコンドリアDNAのクローンをプローブとしてサザンハイブリダイゼーション法によりmtDNAの多型を調査した.その結果,個体差が確認され,4つの型に分類できることが明かとなった.更に品種Vancor,Saranac,及びRangelanderについても調査した結果やはり個体差が確認された.以上の結果からアルファルファでは同一品種内においてもミトコンドリアに多型のあることが示された.
  • 長谷川 博, 矢頭 治, 一井 真比古
    1995 年45 巻2 号 p. 229-232
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    塩素酸イオンは植物の細胞毒であるが硝酸イオンのアナログとして挙動する.塩素酸に対する感受性を指標として植物の硝酸代謝能を評価することができる.本実験では農業生物資源研究所放射線育種場において保存されているイネ突然変異系統より塩素酸に高感受性を示す1系統M605を選抜し,その硝酸吸収能,硝酸還元酵素(NR)および亜硝酸還元酵素(NiR)活性を原品種である農林8号およびインド型品種Leuang Tawngと比較した.M605は農林8号に比べて硝酸吸収能が低下していたが,塩素酸吸収能は1.2倍に促進されていた.M605の葉と根におけるNRとNiR活性は共に農林8号と同レベルであった.これらの結果はM605の塩素酸高感受性が塙素酸吸収量の増加に起因することを示唆している.
  • Satoshi Nakai, Daisuke Noda, Masatoshi Kondo, Toru Terachi
    1995 年45 巻2 号 p. 233-236
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    Helianthus petiolaris由来するヒマワリ雄性不稔細胞質のミトコンドリアDNAには,雄性不稔を引き起こすと考えられているorf522遺伝子が存在する.本研究ではこの遺伝子の生物学的および生化学的な機能の解明を目的に,大腸菌の発現ベクター(pMAL-c2)を利用して,orf522遺伝子のクローニングならびにこの遺伝子産物の大量調製を試みた.まず,雄性不稔系統のミトコンドリアから抽出したRNAよりRT-PCRによって合成した。DNAを,pBluescriptIISK+ベクターを介してpMAL-c2ヘクローニングした(Fig1).この融合プラスミドによる形質転換体は,プラスミド内のtacプロモーターを0.3mMIPTGで誘導すると,プレート上にコロニーを形成しなかった(Fig.2).
  • 日高 哲志, 森口 卓哉, 本村 敏明, 片木 新作, 大村三男
    1995 年45 巻2 号 p. 237-239
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    市販の6cmのペトリ皿を用いて電気融合を行うための同心円状電極を作成した(Fig1).メキシカンライムとラフレモン,並びに`セミノールとラフレモンあるいはユズの電気融合を行って,市販の同様なタイプの電極(平行電極)と比較したところ,ヘテロカリオンの形成率は,すべての組み合わせにおいて,新しく作成した電極の方が高まった(Tablel,2).また,市販の電極の最大処理量は4mlであるが,作成した電極は8mlまで処理でき,その効率も高いことが明らかになった
  • 矢澤 稔, 杉沼 千恵子, 市川 貫太, 鎌田 博, 秋濱 友也
    1995 年45 巻2 号 p. 241-244
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    本研究では,Agrobactertum rhlzogenesを用いることにより,キウイフルーツの毛状根を誘導し,その毛状根から形質転換体が獲得されたことを報告する.国内菌で野性型のA. rhizogenes NIAES 1724株をキウイフルーツ(Actinidia deliciosa (A. Chev. )C. F. Liang et A. R. Ferguson var.deliciosa)実生の胚軸切片に接種したところ,植物ホルモン無添加のMS培地にて活発に伸長する2系統の毛状根が得られた.さらに,これらの毛状根からは容易に不定芽が得られ,完全な植物体が得られた.これらの植物体は,In vitroにおいて,コントロールと比較して,節間が詰まる,葉にしわがよる,根の発達が著しいといった特徴が観察され,また,順化後の形態的特徴としては,分枝数の増加や葉の小型化が観察された.また,植物体の葉の抽出液よりミキモピンが検出され,RiプラスミドのT-DNA上に存在するrol遺伝子群が確認されたことから,形質転換体であることが証明された.以上のことから,A. rhizogenesによるキウイフルーツの形質転換が可能であり,キウイフルーツの品種改良におけるA. rhizogenesの有用性が示唆された.
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