ダイズ [Glycine max (L.) Merr.] のリノレン酸含量は, ダイズ油の酸化による不快な匂いの原因となり, 脂肪酸の酸化安定性の改良と深く関係している. この研究で使用した突然変異体のM-5とIL-8リノレン酸含量はそれぞれ4.63%と4.50%で, Bayの8.02%に比較して約半分の含量, そして, C1640は4.58%と低含量であった. この研究は, 低リノレン酸含量となるM-5, IL-8, C1640の3系統とBayのリノレン酸含量の遺伝的関係, M-5, IL-8, C1640の相互間の遺伝的関係を明らかにすることを目的とした. 低リノレン酸含量となるM-5, IL8, C1640と高リノレン酸含量となるBayの正逆交雑では, M-5×Bay, IL8×Bay, C1640×BayのF
3種子の分析から, F
2世代ではM-5, IL-8, C1640の低リノレン酸含量は1遺伝子0女1配であることを明らかにした. さらに, M-5×IL-8, M-5×C1640, C1640×IL8の交雑では, リノレン酸含量についてF
2世代で明瞭な分離が認められず, M-5, IL-8, C1640は同座に属する複対立遺伝子の支配が推定され, 3系統の低リノレン酸含量は, いずれも同座性のfun遺伝子の支配によることを明らかにした.
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