育種学雑誌
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47 巻, 2 号
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  • 中村 和弘, 服部 一三
    1997 年 47 巻 2 号 p. 101-105
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    遺伝変異の拡大と固定を目的に,イネの葯培養系への放射線照射を試みた.しかし,単に培養系への照射といっても,培養細胞は脱分化から再分化へと様々な段階を経ており,その各段階で放射線照射効果が異なることが予想された.そこで,イネ品種日本晴の葯培養(二段階法)の培養直前期,脱分化期,および再分化期に60Coガンマー線照射を行い,そのカルス形成および再分化に与える影響の比較を行った。その結果,カルス形成に関して,脱分化期照射により培養直前期照射でその阻害効果が大きく,脱分化期照射においてもその初期(葯置床2日目)と後期(葯置床7日目)で比較すると,初期照射でより大きな阻害効果が認められた(Table 1).このようなカルス形成阻害効果の差は,照射された時期に小胞子がもつ細胞数によっているものと思われた。照射された小胞子内の細胞のうち,それほど障害を受けなかった細胞が分裂を続けカルス化するため,小胞子が照射時に帯つ細胞が多ければ多いほど,その補償効果によりカルス形成率が高くなるものと思われた。カルス誘導過程の組織学的観察(Fig.1)により,培養直前期,葯置床2日目および7日目の小胞子は,それぞれ1個,2個および多数の細胞を含んでいた。また再分化に関しても同様な補償効果が認められ(Table 2),培養直前期照射および再分化期照射で再分化阻害効果が認められた。脱分化期照射は,再分化に関してはほとんど影響を与えないようであった。本実験において,カルス形成率及び緑色植物体再分化率に加えて,置床葯数あたりの緑色再分化体が誘導された葯の数を,置床葯効率(Plating anther efficiency(PAE))とし,放射線感受性の比較のための指標とした。置床葯効率を指標とした場合,培養直前期で放射線感受性がいちばん高く,次いで再分化期であり,脱分化期では感受性がいちばん低かった。それぞれの置床葯効率に関する放射線半減線量は,約6Gy,20~25Gyおよび50Gy以上であった。
  • 田口 塩原, 加藤 浩, 丸山 清明, 岡 成美
    1997 年 47 巻 2 号 p. 107-113
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    イネ種子カルスの再分化能に関与するQTLの検出用集団の親品種を選ぶため,主としてインドアッサム地方に産する34品種を用い,日本型・インド型検定品種との交雑F1に不稔が生じにくい品種をスクリーニングした。イネでは日本型とインド型との間で多数のマー力ーが得られるが,その組合せでしばしば生じるF1不稔に着目した。すなわち,再分化能QTLの検出の際,効率的な形質評価のためには集団の大きさを限らざるを得ないため,F1稔性の高い親品種を選ぶことでマー力ーの分離化を理論値により近づけ,検出精度を向上させることを目的として現品種をスクリーニングした.インドアッサム地方産の品種を用いたのは,幅広い変異を含み,目的とする品種を含む可能性があるからである。すべての供試品種・検定品種は,80%以上の種子稔性,85%以上の花粉稔性を示したため,これらの値を高い稔性の基準とした。出穂期が遅れたために低温障害を受けた1品種を除く33品種のうち17品種は,日本型およびインド型検定品種のいずれと交配しても高いF1種子稔性を示した。低温障害を受けた2品種を除く32品種のうち8品種は,いずれの検定品種と交配しても高いF1花粉稔性を示した。全34品種のうち12品種とそのF1について花粉直径を測定したところ,花粉直径は雄性配偶子の稔性の指標として有用であることが明らかになった。すなわち,花粉稔性が高いF1ほど花粉直径はその両親と同程度に大きく,花粉直径のヒストグラムでも両親同様に明瞭な単一のピークを示し,大半の花粉が正常に発達していることが示唆された。一方,花粉稔性の低いF1では両親と比べて花粉直径は小さく,ヒストグラムでは2つないしはそれ以上のピークを示したことから,正常な花粉の発達が阻害されていることがわかった。種子・花粉稔性のいずれも高かったのは,ARC5193,ARC5198,ARC5198,Akula,Calotoc,CP-SLO,ARC5184の6品種であった。QTL解析用集団作成のさい,集団の大きさを限らざるを得ない場合に,これらの品種はF1稔性からみて親品種の候補であると考えられた。
  • 佐藤 宏之, 土門 英司, 河瀬 眞琴, 長谷川 博, 井田 正二, 矢頭 治, 一井 眞比古
    1997 年 47 巻 2 号 p. 115-120
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    イネには2つのタイプの硝酸還元酵素(NR),即ちNADH-NR及びNAD(P)H-NRがある。イネ突然変異体M819(野生型は農林8号)ではNADH-NRの活性が欠失しており,さらにNR部分活性の測定結果からM819のNADH-NR遺伝子のヘムドメインコーディング領域には点突然変異あるいは微小な欠失が生じていると予想されている(Hasegawa et al.1992)。本実験ではその検証を試みた。イネNADH-NR遺伝子pHBH1クローンをプローブに用いてノーザンブロット解析を行ったところM819及び農林8号の両者に約3kbのパンドが検出された(図1)。約3kb以外のパンドがM819で検出されなかったことから,M819のNR遺伝子のエクソン内にはノーザンブロットで確認できるような大きな構造変異は生じていないと考えられた。次にイネ品種M201からクローニングされたNADH-NR遺伝子の塩基配列をもとにプライマーを設計し,M819及び農林8号のDNAからNADH-NRヘムドメインを含む約700bpのDNA断片をそれぞれPCRにより増幅した(図2)。得られたPCR産物はpBluescriptIISK+にクローニングした。農林8号由来のクローンを使用してPCR産物とpHBH1クローンとの相同性をサザンブロット及びノーザンブロット法により確認した後(図3),M819及び農林8号のNADH-NRヘムドメインの塩基配列を決定した(図4)。農林8号の塩基配列は既知の配列と同一であったが,19では2つ並んだバリン残基(Val-561及びVal-562)のうちどちらか一方に相当する3塩基対の欠失が認められた。またこの点突然変異は,PCR法を用いる事により容易に検出することができた(図5)。
  • 一井 眞比古, 石川 道夫
    1997 年 47 巻 2 号 p. 121-125
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    イネ品種オオチカラのM2幼植物集団から根伸長が野生型(原品種)より劣っている変異体を選抜し,その後代を用いて特性解析を行った。短根突然変異体RM1及びRM2幼植物の根長は野生型の30-50%であったが,草丈や根数,根毛数はほぼ同じであった。根の皮層細胞の大きさを観察したところ,細胞伸長を停止した分化領域のRM1及びRM2における細胞長は野生型の約60%であり,RM1及びRM2の短根性が主に細胞長の短小化によることを示していた。RM1及びRM2と野生型とのF1幼植物の根長はいずれも野生型とほぼ同じであり,いずれのF2幼植物集団でも野生型と短根型が3:1に分離した。なお,RM1とRM2とのF2幼植物はすべて短根型であった。これらの結果は,RM1及びRM2の短根性は単因子劣性の遺伝子によるものであり,RM1及びRM2は同一の遺伝子座の突然変異に起因することを示唆している。
  • 高崎 剛志, 畠山 勝徳, 小島 邦彦, 渡辺 正夫, 鳥山 欽哉, 日向 康吉
    1997 年 47 巻 2 号 p. 127-134
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    アブラナ,ハクサイ,カブ,ツケナ類を含むB.rapaでは,その再分化能とアグロバクテリウム感染率の低さから,形質転換体の作出が困難とされてきた。本研究では,β-グルクロニダーゼ(GUS)のトランジェント発現系を用いて,アグロバクテリウムの感染率に影響を与える諸要因を検討し,形質転換B.rapa ssp.chinensisを作出することに成功した。コマツナ(品種おそめ)の胚軸を外植体とした。T-DNA上にカナマイシン耐性遺伝子,intron-GUS遺伝子及びハイグロマイシン耐性遺伝子を含むバイナリーベクターpIG121Hmを組み込んだAgrobacterium tumefaciensEHA101を胚軸に感染させた。感染率は共存培養後のGUS遺伝子のトランジェント発現を示す胚軸数から算出した(Fig.2A)。アグロバクテリウムの感染率を増加させるため,共存培養培地のpH(pH5.2,5.8),グルコース,アセトシリンゴンの共存培養培地への添加及びタバコのフィーダーセルの使用について検討した。フィーダーセルを伴ったpH5.2の共存培養培地の使用が有効であった(Tab1e 1)。次に,感染時間及び共存培養温度・期間が感染率に及ぼす影響を調査した。1-3日間の共存培養期間の延長は感染率を著しく増加させた。この期間中,25℃よりも28℃の方が高い感染率を示した。28℃,4日間以上の共存培養では感染率の減少が認められた(Fig.1)。胚軸を高い感染率を示した条件下で感染・共存培養した後,カナマイシンで選抜を重ね,形質転換効率(GUS活性を示す幼植物数)を比較した。25℃の共存培養では,.感染率の増加に従い,カナマイシン耐性のカルスとシュート数が増加した。感染時間30分間,共存培養3日間で最も高い形質転換効率(5%)が得られた。一方,28℃の共存培養では,感染率の増加に伴い褐変枯死する胚軸数が急増し,カナマイシン耐性のカルスとシュート数は減少した。25℃よりも高い感染率を示すにも拘わらず,その形質転換効率は25℃よりも劣っていた(Table 2)。カナマイシンの代わりにハイクロマイシンを形質転換体の選抜に用いたが,形質転換効率はカナマイシン選抜の方が高かった(Tab1e 3)。GUS遺伝子をプローブとしたサザンブロット解析により,形質転換体おける導入遺伝子の存在を確認した(Fig.3)。形質転換体をP1温室で育成したところ,正常に開花結実し,自殖種子を得ることができた。自殖後代におけるカナマイシン耐性形質とGUS遺伝子の発現を調査した結果,導入遺伝子の発現が確認された(Table 4)。高い感染率を示し,かつ再分化に影響の少ない感染・共存培養条件を与えることにより,B.rapa ssp.chinensisの形質転換体の作出が可能になった。
  • 王、晶珊 , 境 哲文, 田浦 悟, 佐藤 宗治, 國分 禎二
    1997 年 47 巻 2 号 p. 135-139
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    サツマイモ(Ipomoea batatas(L.)Lam.)の交配不和合品種間の体細胞雑種の作出に成功した。交配不和合な2品種(B群)コガネセンガンとBitambiのプロトプラストをPEG法により融合処睡後,O.05mg/l2,4-DとO.5mg/lkinetinを含む1/2修正MS液体培地に置床して培養した。形成した1~2mmのカルスを2,4-DとkinetinあるいはABAを,又はNAAとBAPを添加したMS固形培地に移植した後,植物ホルモンフリー培地で培養した。培養した393個のカルスから45個体が再生した(Fig.1)。形態的特徴,染色体数及びDNA多型(RAPD)等の分析によって,2個体の再生植物体が体細胞雑種であることを確認した。葉形と頂葉色は融合両親の中間の特性を示し,染色体数は両親の和であった(2n=12x(2n+2n)=180)(Tab1e 1,Figs.2,3)。RAPD分析を行った結果では,融合両親の一部バンドを合わせ持ち,しかも両親には認められないバンドも有していた(Fig.4).圃場での生育は悪く(Tab1e 1),キダチアサガオに接木して誘導した花は奇形で,花粉稔性率はO及び12.2%であった。また,サツマイモ品種九州30号(C群)の花粉を受粉しても種子は得られなかった(Tab1e 1)。
  • 山本 敏央, 佐々木 卓治, 矢野 昌裕
    1997 年 47 巻 2 号 p. 141-144
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    栽培イネにおける草型の改良は重要な育種目標のひとつであるにもかかわらず,一般には雑種後代で連続的かつ複雑な変異を示すため,その遺伝学的な知見は少ない。本研究では草型の構成要因のひとつである株の開張性(spreading stub)について遺伝子分析を試みた。日本型品種日本晴とインド型品種Kasalathの交雑F1個体に日本晴を反復親として育成した戻し交雑後代個体BC3F1-11の自殖集団(BC3F2-11,n=50)は遺伝的背景が日本晴型に近づいたため株の開張性に関して単因子様の分離が認められた。BC2F3後代検定を実施したところ,この形質の遺伝子型評価が可能になり,その系統数の内訳は直立型:分離型:開張型=9:29:12(1:2:1,χ2=1.64)であった。また分離系統内では開張個体と直立個体がほぼ3:1の割合で観察された。これらの結果から,この集団における株の開張性はKasalathが有する優性の1遺伝子によって支配されることが明らかとなった。またRFLPマーカーを用いた連鎖分析によってこの遺伝子座(Spk(t)と仮称)は第9染色体に座乗することが判明した。
  • 一谷 勝之, 奥本 裕, 谷坂 隆俊
    1997 年 47 巻 2 号 p. 145-152
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    出穂性は,品種の適応性や生産性を左右する重要な農業形質である。稲作の北限地域の一つである北海道では,長日条件(15時間以上)で推移する短い夏期に適応するように育種された結果,感光性をほぼ喪失した極早生品種が栽培されている。本研究では,12の北海道イネ品種について,感光性を支配する重要な遺伝子座Se-1座の遺伝子型を調査した。その結果,8品種(はやゆき,農林20号,早生富国,キタヒカリ,しおかり,栄光,ユーカラ,マツマエ)がSe-1座に不感光性遺伝子Se-1^eをもつのに対して,4品種(きよかぜ,はやこがね,きらら397,ささほなみ)はSe-1座に感光性遺伝子Se-1nをもつことが判明した。これまでの結果から,ほとんどの北海道品種は感光性遺伝子座E1座の不感光性遺伝子e1をもつことが判明しているが,Se-1座の不感光性遺伝子Se-1eは,北海道品種の弱感光性に必ずしも必要でないと考えられた。また,Se-1nの発現を抑制する遺伝子の存在が示唆された。この遺伝子はe1とともに北海道品種の弱感光性に関与していると考えられる。さらに,Se-1座の遺伝子型と北海道品種の早晩性とは無関係であること,Se-1nをもつことが判明した北海道品種は,すべて系譜上の親に農林15号をもつことが明らかになった。
  • 湯 陵華, 森島 啓子
    1997 年 47 巻 2 号 p. 153-160
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    雑草イネとは稲田の中や周辺に雑草として定着しているイネで,直播田で多く報告されている。世界各地で収集された雑草イネ24系統の各種形質およびアイソザイム変異を調査し,その遺伝的特性を明らかにしようとした。繁殖体系に関しては,自然脱粒・自然発芽する自生型と,形態・生態が栽培イネと非常に似ているためイネに混入したまま収穫・播種される作物擬態型の2つのタイプが認められた。また,インド型・日本型への分化が明瞭に認められた。供試系統はインド型的作物擬態型(I群),インド型的自生型(II群),日本型的自生型(III群)に大別されたが,これらは異なる起源を持つと考えられる。作物擬態型は,古い在来品種が持っていた多様な遺伝変異の中から雑草的なものが選抜されて残ったのであろう。野生イネの分布する熱帯の水田地帯で見出される自生型は,野生イネと栽培イネの自然交雑に由来するものと考えられる。野生イネの分布していない地域で見出される自生型系統の起源についてはよくわからないが,目印交雑のような遠縁品種間交雑の分離後代に由来する可能性や,過去に存在した野生イネと栽培イネとの自然交雑の結果生じた可能性などが考えられる。中国長江下流域に自生していた雑草イネ(III群)の成立には,この地域に存在していた可能性の高い日本型的野生イネが関与したと考えることもできる。
  • 安井 健, 佐々木 朋子, 松木 順子, 山守 誠
    1997 年 47 巻 2 号 p. 161-163
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    胚乳澱粉中にアミロースを含まないモチ性パンコムギ系統が作出されているが,これらの系統の大部分は,胚乳澱粉に結合するワキシー(Wx)蛋白質のうち,Wx-A1およびWx-B1蛋白質を二重に欠失する関東107号等とWx一D1蛋白質を欠失する品種Bai Huo(白火)との交配により得られている。アミロースの有無以外の形質の状態が原系統とほとんど等しいモチ性系統を得るために,関東107号の種子を突然変異原であるメタンスルホン酸エチル(EMS)で処理し,そのM2種子からモチ性突然変異体を見いだし,その後代の胚乳澱粉の特性等を検討した。関東107号の乾燥種子約2,OOO粒をO.5%EMS/7%エタノール200mlで4時間処理し,水洗後,バーミキュライトに播種して生育させた。EMS処理種子2,000粒からM2種子を稔実したM1植物1,872個体が生育し,M2種子10,634粒が得られた。M2種子のうち4,000粒の胚乳の切片を作り,ヨウ素/ヨウ化カリウム溶液で染色した結果,2粒が赤褐色に染色されたため,モチ性であることが示唆された。これら2粒のM2種子の胚側の半粒を播種してポットで生育させ,178粒および107粒のM3種子を得た。これらのM3種子の胚乳はヨウ素溶液で全て赤褐色に染色された。そこで,各M2植物由来のM3種子5粒ずつを播種し,M4種子を得。各M3植物由来のそれぞれ12粒のM4種子は全てモチ性であった。これらの結果からモチ性は固定されていると判断し,これら二つの系統をK107Wx1およびK107Wx2と命名した。また,M3世代の10個体を圃場で生育させ,出穂日および成熟期における農業特性を調査したところ,原品種の関東107号と比べ,これらの系統の出穂日は2-5日遅く,K107Wx2の千粒重が小さい以外,稗長,穂長,草型,穎色および粒色においては,関東107号と差が認められなかった(Tab1e 1)。M3種子から調製した胚乳澱粉のアミロース含量は0.9%であり,示差走査熱量測定においてもアミロース脂質複合体の融解に由来する吸熱ピークは認められなかった(Fig.1)。また,M4種子の胚乳澱粉から蛋白質を抽出し,電気泳動法によってワキシ-蛋白質の有無を調べた結果,胚乳澱粉にはWx蛋白質は認められなかった(Fig 2)。これらの結果は,パンコムギにおいても,一種類のWx蛋白質のみが発現している場合には,突然変異原処理がモチ性系統の作出に有効であることを示している。
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