今や人工知能(AI)の時代と言われて久しく、未だ夢物語が飛び交いつつも、かなり理解が進み適用も多くなってきたと感じる。他方、植物科学・農学におけるAI研究はお世辞にも盛んであるとは言えず、よく言えば、伸びしろがあるとも言える。本著では、AIの基礎的な部分から紹介を行っていくが、説明可能なAI (explainable-AI)という概念が実装されたことにより、単なる予測ツールからAI観点の解釈を科学に持ち込めるようになった。ここでは植物科学における、よくある画像解析だけでなく、遺伝配列を用いた解析においてもどのような研究が可能なのかを、その実例を追いながら紹介を進めていくとともに、ChatGPTやAlphaFoldシリーズの鍵となるTransformerの特性なども併せて解説する。正しいAIへの理解が浸透すれば、その使い道・活用法だけでなく、脆弱性やロバスト性に配慮した幅広い解析が可能になるだろう。
次世代シーケンシング技術の進歩に伴い、ゲノムデータの生成速度は急速に増加しており、さらにバイオデータの多様性も加わり、その管理と解析が現代の研究者にとって重要な課題となっている。本稿では、大規模かつ多様なバイオデータ解析におけるクラウドデータウェアハウスの利用方法を詳細に論じ、特にSnowflakeを用いたデータ管理および解析のフレームワークを提案する。また、疾患バリアント解析やin silico創薬の具体例を通じて、その利便性と効果を示す。Snowflakeの導入によって、研究者は多様なバイオデータを効率的に管理・解析し、統合的な解析を通じて新たな生物学的知見を得ることが可能となる。これらの具体的な手法や応用事例を通じて、バイオインフォマティクス分野の研究進展を加速させることを目指す。
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