日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
22 巻 , 1 号
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  • 根本 隆洋, 水野 雅文
    2011 年 22 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    統合失調症の早期介入に対する世界的な関心の高まりの中で,予後決定因子として精神病未治療期間(duration of untreated psychosis : DUP)が注目を集めている。我々は本邦における DUPを報告し,その要因や転帰との関連について検討してきた。DUP 短縮への努力は治療臨界期における治療の開始に直結しているが,近年はさらに進んで,顕在発症予防の視点に立った疾患の前駆期における介入も世界的に展開されつつある。我々は発症危険状態(at-risk mental state : ARMS)と初回エピソード統合失調症に特化したケアユニットであるユースクリニックとユースデイケア「イルボスコ」を開設し,詳細なアセスメントを行うとともに,思春期・青年期に配慮した心理社会的アプローチと脳機能への直接的介入を目指した認知機能訓練とを両輪とした,包括的な治療サービスの提供を行っている。
  • 後藤 直樹, 吉村 玲児, 中村 純
    2011 年 22 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    画像研究において MRI と同様に核磁気共鳴現象を利用した Magnetic resonance spectroscopy (MRS)は生体内組織を構成する原子核の化学シフトの違いを定量化することが可能である。3T 以上の MRI 装置を用いることにより従来の方法では捉えることができなかった脳内物質であるγ-アミノ酪酸(GABA),グルタミン酸(Glu),グルタミン(Gln)なども非侵襲的に定量することが可能となった。本稿では初回エピソード統合失調症における MRS 研究の最近の知見と今後の展望について述べた。
  • 高橋 努, 鈴木 道雄
    2011 年 22 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,精神病早期介入の活発化に伴い,初回エピソード統合失調症や精神病の発症危険群である「アットリスク精神状態(at risk mental state : ARMS)」を対象とした脳画像研究が増えつつある。こうした早期精神病を対象とした横断的および縦断的な磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging : MRI)研究の結果から,①後に精神病を発症する ARMS 群では発症に先立ちある程度の脳形態変化を認め,これらの一部は将来の発症予測因子であること,また②統合失調症をはじめとする精神病性障害では顕在発症から初回エピソード中にさらに活発な進行性の脳体積減少が生じることが示唆された。本稿ではこれらの研究結果を概説し,早期精神病における神経生物学的所見の臨床応用に向けた課題についても言及したい。
  • 福島 順子
    2011 年 22 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    自閉症スペクトラム障害(ASD)では非言語性対人的相互性の障害の基礎にある脳機能として表情認知の障害が注目されている。本研究は ASD における表情認知の特徴を明らかにする目的で,表情認知課題遂行中の大脳皮質活動を fMRI で調べた。ASD 群と定型発達者群各 13 名に,視覚刺激として happy(H),anger(A),sad(S),neutral(N)の 4 種類の表情からなる顔写真を用い,課題遂行中に撮像を行い SPM8 で解析した。MarsBar を用いて左右紡錘状回,左右ミラーニューロン(MN)領域,補足運動野,前部帯状回,左頭頂間溝,右島の 8 ヵ所の関心領域(ROI)を設定し,各表情の偏回帰係数を ROI 毎の ANOVA により検定し,ASD 群で AQ 値と各表情の偏回帰係数の相関を ROI 毎に求めた。ANOVA では右 MN 領域で群×表情の交互作用を認め,2 群間での有意差のあった領域は,右紡錘状回(H, S, N)と右 MN(A)であった。AQ 値と各表情の偏回帰係数では右 MN 領域においてH と N で有意な負の相関を示した。これらの結果は表情認知に際して ASD 者は定型発達者とは異なる皮質活動を右 MN 領域で行っていることを示唆し,表情に対する情報処理に違いがあることを示している。
  • 油井 邦雄, 小柴 満美子, 中村 俊, 濱川 浩
    2011 年 22 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    不飽和脂肪酸のアラキドン酸は神経発達に重要な役割を果すので,ミラー入 0 ロン系を中心とした情報伝達・処理や志向性に関わる脳機能の発達不全とされる自閉症スペクトラム障(Autism Spectrum Disorders : ASD)の対人的相互性障害を改善し得ると期待される。アラキドン酸 240mg/日(12 歳以下は1/2)の臨床効果を 16 週間の double-blind placebo-controlled trial で検索した。アラキドン酸投与群はプラセボー投与群にくらべて,社会的ひきこもりとコミュニケーションが有意に改善した。神経細胞の signal transduction に関わっている transferrin が投与前にくらべてアラキドン酸投与群で有意な変動を示し,superoxide dismutase も投与前にくらべてアラキドン酸投与群有意傾向で変動した。社会的相互性障害の改善は signal transduction の upregulation によると推察された。
  • 棟居 俊夫
    2011 年 22 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    Oxytocin は下垂体後葉から血中に分泌されるだけでなく,主に樹状突起から脳内にも分泌される。この際に CD38 が重要な役割を担っており,CD38 knockout マウスでは oxytocin の十分な分泌がなされない。CD38 の DNA 解析により,exon 部分のある single nucleotide polymorphism(SNP)を有する自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder : ASD)者の血中 oxytocin 濃度は SNPを有さない ASD 者に比べ有意に低かったが,この SNP と ASD との関連性を十分に示すことはできなかった。鼻腔投与された oxytocin は血液循環を経ずに直接に脳内に移行すると考えられる。また脳内では半減期が長く,広く拡散することが可能であり,かつ受容体に結合するとその神経細胞は oxy-tocin をさらに分泌する。Oxytocin が ASD の症状の一部を改善する臨床研究がいくつかある。 Oxytocin nasal spray による ASD 者を対象とした長期間の臨床試験が望まれる。
  • 中村 俊, 小柴 満美子
    2011 年 22 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    社会性行動は個体間の感覚運動的相互作用によって発達する。我々は社会的きずなの形成を神経行動学的に解析し,その分子的基盤を解明することを目指して動物モデル(家禽ヒヨコおよびマーモセット)を開発した。まず社会性行動を統合的・定量的に解析するための行動テスト法を確立し,テスト中の身体動画像から得られたパラメータの多変量解析により行動の質を評価する方法を開発した。ついで,社会的きずなの形成には,社会的相互作用が特に有効な時期(臨界期,高感受性期)が存在することを明らかにした。この時期に相互作用を体験しない個体におけるセロトニン,ノルアドレナリン作動性神経系の賦活効果を検討したところ,SSRI/SNRI が有効であったが,同時に臨界期後の社会性行動の“トレーニング”が必須であった。この結果は,本モデルが発達障害や他の精神疾患における社会性行動障害の病態モデルとして有効であることを示唆している。
  • 山下 裕史朗, 原 宗嗣, 高橋 知之, 松石 豊次郎
    2011 年 22 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    Rett 症候群(RTT)は,乳幼児期の筋緊張低下,自閉傾向,重度の精神遅滞,獲得されていた手の合目的的な運動の喪失と特有な手の常同運動,頭囲などの成長減速が年齢依存性に出現し,てんかん,過呼吸や無呼吸などの呼吸障害,小さく冷たい手足や便秘などの自律神経の異常などを伴う発達障害である。MECP2 遺伝子が原因遺伝子であることがわかっているが,脳における役割はまだ不明な点が多い。病態には,生後 3 ~ 4 ヵ月に臨界期をもつ脳幹モノアミン系の異常が起こり,生後発達期の認知機能発現のための神経構築の形成障害をもたらすと想定されていた。実際,ノルアドレナリン,ドパミン,セロトニンなどの生体アミンの変化が RTT 患者で報告されており,MECP2 遺伝子欠損マウスでも同様の所見が見出されつつある。現在の研究状況とマウスモデル由来の ES 細胞や iPS 細胞を用いた今後の研究の可能性ついて述べた。
  • 高橋 英彦
    2011 年 22 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    自己と他者の所有物の高低と自己と他者との関係性の遠近というパラメータを調節することで,妬みの強さを調節し,f MRI 実験を行った。妬みの感情のもう 1 つの側面として,妬みの対象が不幸に見舞われると,私たちは他人の不幸は蜜の味ともいわれる非道徳な感情を抱くことがあり,この点についても併せて検討した。その結果,妬みと前部帯状回の背側部の活動が関係することがわかった。前部帯状回の背側部は身体的な痛みにも関わる部位で,社会的な痛みといえる妬みも同様な部位が賦活されたことは興味深い。また,妬みの対象に不幸が起こると,報酬系である腹側線条体の賦活を認め,文字通り他人の不幸は蜜の味であるかのような反応を認めた。
  • 橋本 亮太, 安田 由華, 大井 一高, 福本 素由己, 山森 英長, 武田 雅俊
    2011 年 22 巻 1 号 p. 55-57
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 藤村 洋太
    2011 年 22 巻 1 号 p. 58-59
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • Yuen Shan Ho, Kwok Fai So, Raymond Chuen Chung Chang
    2011 年 22 巻 1 号 p. 60-61
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • Benson Wui-Man LAU, Kwok-Fai SO
    2011 年 22 巻 1 号 p. 62-63
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
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